ねむいです。
このじかんはいつもねむくなるのです。
しょうがないのです、これががくせいのさだめなのです。
つぎはさいごのじゅぎょう、これをすぎればかえれます。
もしたいくつなじゅぎょうだとねてしまいます。
でもだいじょうぶ、つぎはけいねせんせいのじゅぎょうだから。
ほかのせんせいとちがって、けいねせんせいはおもしろいはなしをしてくれます。
いつもそれをきくのがたのしみです。
「こんにちわ。皆、元気していたかな?」
けーねせんせいがやってきました。
いつもきりりとしたすがたで、かっこいいせんせいだとおもいます。
「じゃあ早速授業を始めようか。教科書を開いてくれ」
さっそくじゅぎょうがはじまりました。
けーねせんせいは、ぼくたちにれきしをおしえてくれます。
れきしはとってもむずかしくてなかなかあたまにはいりません。
じかんがたつにつれ、まわりのみんなもあくびをしてねむそうにしています。
「ふむ……そうだな……。皆は三種の神器について知っているかな?」
けーねせんせいがぼくたちにきいてきました、もちろんしりません。
「三種の神器とは、それは恐ろしいほどの強大な魔力を秘めた物でな。
決して無闇に使用してはいけないものなんだ、必ず災いが降りかかる。
そう、今日は一つの神器についての昔話を教えよう……」
そういってけいねせんせいは、ぼくたちにはなしはじめたのでした。
§ § § § §
それは、とある図書館での出来事だった。
図書館の主であるパチュリー・ノーレッジは来客に備えて準備をしていた。
「これでよし……と」
これから来る客はパチュリーにとって、とても厄介な人物であったのだ。
図書館に来るたび、その人物は本を無断で持ち去り帰ってしまう。
これにはパチュリーのみならず司書の小悪魔も困ったもので、
口をそろえて、次こそなんとかしないと、と呟いていたものだ。
ギィィと扉の開く音がする、目的の客は今到着したらしい。
パチュリーは何食わぬ顔で椅子に座り、それに気づかない振りをして待った。
「よぉ、また来たぜ」
霧雨魔理沙が到着したとき、パチュリーは本を顔に押し付け読んでいた。
魔理沙にとってその光景はいつものことだが、ただ違和感が一つだけ。
「……?」
魔理沙がここに来ると、決まって「また来たの?」と声をかけられた。
軽い嫌味を含んだその挨拶も慣れたもので、
次第に魔理沙の方も「また来たぜ」と堂々返してやった。
しかし今日はそれが無かった。
静寂溢れるこの図書館で、パチュリーはそれこそ黙々と本を読んでいる。
「まあいいや、勝手に漁るぜ」
本棚を前にし、適当な本を見繕い手に取っていく。
その間も魔理沙はちょくちょくパチュリーに目をやるが、動きは無かった。
いつもならば魔理沙の動向に目を光らせていたというのに。
いつもと違った空気に戸惑いながらも、気づけば既に大量の本を手に取っていた。
魔理沙はそれを机まで持ってきて、勢い良く置く。
微動だにせず本を読む少女を不思議に思いながら、静かに問いかける。
「一体何の本を読んでるんだ?」
「……」
何も応えない、顔も見せない。とうとう魔理沙は苛立ちを覚え、机を思い切り叩く。
ギロリとパチュリーを睨み、それでも動こうとしないのを確認すると本を再び抱える。
「もういい、今日は帰るぜ。邪魔したな」
呆れきった魔理沙は背を向け、そのまま本を持ち帰ろうとした、その時だった。
「まって……」
「ん?」
ようやく、パチュリーが口を開けたのだ。
何故今まで黙っていたのかよりも、何を言うつもりなのか、気になっていた。
「もってかないで……」
魔理沙は落胆した。結局いつものように引き止めるだけじゃないか、と。
苛々していた魔理沙は思わず振り返って、怒鳴ろうとした。
「あのなぁパチュリー、そんな事はも……う…………?」
「お願い……もってかないで?」
魔理沙の目が点になった。
パチュリーが本をずらし、上目遣いで甘ったるい声をかけてくる。
「ねえ……、どうしても駄目なの?」
ずい、と顔を寄せ語りかけ、その視線を投げかけてくる。
――眼鏡というレンズを通したその視線を。
「ぎゃははははははははははははははは!!!!!!」
「ま、魔理沙?」
「な、なんだよパチュリー、その格好!
眼鏡なんて……香霖じゃあるまいし……ははははは!」
パチュリーは何が何だか分からず、きょとんとしていた。
「ぜんっぜん似合ってないぜ!! ははははははははははは!!!」
「………なぁっ!?」
ケタケタと、我慢できずに魔理沙は笑い転げた。
可笑しくて、可笑しくて、頭がどうにかなりそうだった。
パチュリーは黙ってその様子を見ているしかなかった。
悔しくて、恥ずかしくて、頭がどうにかなりそうだった。
「悪かったよ、本は今日は置いていくぜ……ぷ、
邪魔した……く、……くくく、はははははは!!」
去りながらも大声を出して常に笑い声をあげていた。
途中で本棚にぶつかりながらフラフラとした足取りで帰っていく魔理沙から、
とうとう最後まで笑いが止むことは無かった。
図書館の扉がギィィと閉められ、ようやくその場に重たい静寂が戻ってきたのだ。
パチュリーは黙って右手で眼鏡を外すと、左手で近くの本棚を思い切り叩いた。
こんな屈辱を受けたのは生まれて初めてだった。
悔しい、恥ずかしい、死にたい。
――事の発端はレミィだった。
「これを使えばあの黒白から本を守れるよ、間違いないわ」
そういって手渡されたものは、一つの眼鏡だった。
強力な魔力を持つそのアイテムは人を惹きつける最強の代物だ、とレミィは言った。
レミィはあれでいて読書家で、私とは違った方向性の本を良く読んでいた。
だからその道具を、未知の知識として有難く受け取った。
言われるがままに、使用方法に沿って正しく実践したのだ――
結果として成功している。でもこんなはずじゃなかった、と本棚を殴りつける。
なんでこんなことになってしまったのかと、頭の中を整理する。
それはレミリアが眼鏡を渡したからに他ならない。
だが、二人の間にある厚い友情の賜物であって、好意であって、悪気は無い。
だからそれに文句を言うなんてとんでもない、とパチュリーは戒めた。
パチュリーは深呼吸をして、自らが落ち着くよう努力した。
そしてゆっくりと眼鏡をかけ直すと、親友の待つ部屋へと赴いた。
パチュリーは笑顔で応えようと思った。
『貴女のおかげで無事成功したわ』と。
§ § §
「いよいよね……」
二人の目の前に置かれた『蒼の水晶玉』に、図書館の風景がくっきりと映し出されていた。
一人が水晶玉に手を添え、軽く念じる。
その風景はやがて一点に集中し、焦点を合わせる。
やがて、図書館の主である知識人の姿が大きく映し出された。
「お姉様凄いー、良く見えるねコレー」
「ええ、そうね……フフフ」
二人の目の前で小さく動く知識人は、眼鏡をかけてソワソワと来客を待っていた。
「ああ、パチェ……イイ! 凄くイイわ!
まさかこんなに……ソソるなんてね………じゅるり」
「……お姉様……?」
締まらない口をそのままに、だらだら出てくる涎を押さえ、目をギラギラ光らせる。
そんな姉の様子に、妹は戸惑いを隠すことなどできやしない。
『お願い……もってかないで?』
「――っ!! かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「お姉様!?」
突然発狂したかのように暴れだし、身の回りのあらゆるものを平手でバンバン叩き付けた。
そんな姉を、妹には止める術は無かった。
「もうたまらん! 『もってかないで』ですって!?
お持ち帰りするに決まってるじゃないの! この眼鏡っ娘め!!」
「……お、お姉様、落ち着いて……」
「私は落ち着いているわ!
時にフラン、この水晶玉には素晴らしい機能があってね……」
そう言うと、姉は水晶玉に手を沿え、軽く念じた。
『お願い……もってかないで?』
「戻って好きな場面を何度でも……かぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
再び発狂した姉は、身の回りのものをバンバンと叩く。
思い切り叩かれるそれらは宙に舞い上がり、部屋は混沌と化した。
壊れた姉の様子を、妹は黙って見守る他には無かった。
「時にフラン、貴女ももっとはしゃいで良いのよ?」
「私は興味無いから……ねえお姉様、変だよ。
いつものお姉様じゃないよ、変だよ、戻ってきてよ……」
「フラン……」
スッと、我に返ったのか、姉の様子が落ち着く。
いつものような威厳あるキリリとした姿で、妹と目を合わせじっと見つめた。
妹はホッとして、いつもの姉が戻ってくれたことに安堵する。
「貴女、心にレンズはハマっているのかしら?」
「……はい?」
「新しい世界を見る目を持ちなさい、そこには楽園が待っているわ」
もう二度と帰ってきてはくれない、と悟った。
「いやー、堪能したわ」
「……良カッタデスネ、オ姉様」
「パチェをそそのかして眼鏡をかけさせる計画は大成功ね」
ふと、その光が気になって、あっと思ったときには遅かった。
妹は後ろの扉から、光が差し込んでいたことに気づいた。
そして一つの人影が扉に寄りかかり、ゆっくりとその光を狭めた。
バタン、二人の後ろで物々しい音を立てて扉が閉まる。
何事かと思い姉が振り返る。
そこには最上級の悪魔が持つに相応しい、凶々しいオーラを放つパチュリーの姿があった。
「パ、パパパパパパパパパチェ!? い、いつから居たの!?」
「ちょっと前からよ」
ガクガクと震え、嫌な汗がレミリアの全身を伝った。
パチュリーは水晶玉にチラっと視線を映すと、そのまま眼を動かさず淡々と言った。
「私ね、あんな屈辱は生まれて初めてよ。
もう死んでしまいたいと思った。でもね、レミィが考えてくれたことだから。
私の為を想ってしてくれたことだから、とりあえずお礼を言いに来たの」
パチュリーは決してレミリアと目を合わせず、黙って本を開くと、術式を展開させた。
「ゆ……許してよ、パチェ。ほんの一時の気の迷いじゃない」
「待ってよパチュリー! お姉様は悪くないの! あの悪魔にそ――」
「レミィ、最後に言いたいことはそれだけ?」
紅魔館が震える。地獄の底から鳴り響く轟音が迫り、目の前の魔女が本気だと悟る。
「パチェ……一つだけ」
「……なぁに?」
「ツンツンしながらも眼鏡がズレてるパチェ萌え」
パァン!!――空気中に漂う魔力が破裂し木霊する。
荒々しく構築された魔力の塊が、パチュリーの頭上へと集められていく。
何故こんな目に、巻き込まれなければいけないのかと心の底から姉を呪った。
「ありがとう、そしてさようなら――レミィ、死ぬときは一緒よ」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
悲痛な叫びを最後に、紅魔館は永遠に沈黙した。
§ § § § §
「あの有名な紅魔館も、たった一つの、些細なことで崩壊してしまった。
強力な物ほど、使い方を謝ると取り返しの付かない悲劇を起こしてしまうのさ。
それほどまでに神器『鏡』の魔力は強いんだ。――こんな風に」
けいねせんせいは、いつのまにかよういしていためがねをかけました。
くろいふちどりのそのめがねのどこに、そんなまりょくがあるんでしょうか。
よこをみると、ともだちのタロちゃんがつくえをばんばんたたいて、もだえてました。
ぼくには、えろいひとのかんがえはよくわかりません。
やっぱり、れきしのじゅぎょうはとってもむずかしいです。
「ふむ、皆も頭が疲れてきたかな。
じゃあそろそろ、何か面白い話でもしてあげよう」
だから、これからしてくれるはなしが、たのしみでしかたありません。
要するにパチェ萌えw
や b 眼 な 。 というわけで貴殿にも栄えある『馬鹿』の烙印をば。
世界眼鏡っ娘保護協会(会長 八雲紫)から表彰状を贈られます。
あと……たろちゃんゆーなーw
ここが一番の笑い所でした、ごめんなさいw
なくなるわw まともでとばっちりくらうフフランが新鮮でした。
いやしかし貴方もどうしてとんだパチェシエですな(笑)
貴方にできる善行は残りの2つを書き上げることです。
そして発案者のレミリア様に乾杯。
あなたはいったいだぁれ?
…いやマジで。
たぶん、akiさんの13個下の方。所謂 や<font color=eeeeee size=0>っぱり</font>床<font color=eeeeee size=0>間たろひさんは</font>え<font color=eeeeee size=0>ろいひとだ</font>な 。
あと、パチュリーに対して「眼鏡が似合わない」などという珍妙発言をする魔理沙は眼科と脳外科と八意医院に行った方がいい。マジで。
何が言いたいかというと、要(エメラルドメガリス
あ ん た は 神 だ
是非つぎの萌えパチェを期待しています
馬鹿って言うほうが馬鹿だもん■━⊂( ・∀・) 彡 パチェモエ☆`Д´)ノ
時に、皆様今回はこのように御堅い考察話を読んで頂き真に有難うございました。
とりあえず一部の気になる発言にレスを。
>>たろちゃんゆーなーw
ごめんなさい、もう言わないと思います、私もたまには嘘を付きません。
>>タロちゃんって……ここが一番の笑い所でした
私もそこが一番の笑いどころな気がします。
>>パチェシエ
最上級の称号で呼んでいただけるなんて光栄の極み! 有難うございます。
>>後二つお話があるわけですね!
3つ目が思いついたら書くかもしれません。
>>魔理沙は眼科と脳外科と八意医院に行った方がいい。マジで。
自分も書いててそう思いました。
>>「レミィ、死ぬときは一緒よ」って。
イイ台詞を惜しみなくこういうので使うのが贅沢な遊び心というやつです。
>>パチェスレの一人として~
遠いところからわざわざようこそおいでくださいました。
これからも鬱ったり燃えたり攻めたりと色んなパチュリーを書いていきます。
改めて皆様有難うございました。
前ニ作の雰囲気をどこかに踏襲しつつ、これでもかと言わんばかりの台無しを持って成熟されたストーリー展開がちょおステキ。
でも、子供に嘘教えちゃだめだよ先生。
魔理沙、ココは笑う所ではありません、
「萌え」る所ですよ。
はいみんな、ココ、テストに出ますよ~。
パチュリー早まっちゃらめえぇぇぇ!!!!
あと慧音先生はフレームレスの小さめ丸眼鏡だと思うんだ。