* 東方文花帖のネタバレありです。注意してください。
* ヘタレプレイヤーからの視点です。
「「乾杯!!」」
皆の号令の下、次々と杯が交わされる。ある者は笑顔で、ある者はもう既に出来上がった顔で、またある者は喘息で苦しそうな顔で互いに杯を交わしていく。一部のお子様には保護者の強い意向が取り入れられ、例外的にお酒が振るわれていないが。
「いや、今回もご苦労様。私は正式に出るのは二回目だけど、貴女はこれで六回目だからな。毎回毎回さぞかし大変だったろう?」
と狐がメイドを労っていれば、
「ふふん、今回であたいの出番は四回目。もうこれでレギュラーの座は確定したと言っても間違い無し。いいでしょう?」
と蛍に自慢する氷の妖精、
「いやー、感激しましたよ。エンディングにも出させてもらえない日々が続きましたからね。こりゃあ本格的に私の事を忘れてしまったのかと嘆いてましたよ。二回目があったといっても中途半端な出番でしたし。いやほんと、正式にオファーが来て良かったですよ。」
と同じく出番が殆ど無かった宵闇の妖怪や冬の妖怪と一緒に喜び合う門番。しかしその姿は本当に嬉しそうである。涙が出そうなくらいに。
「それにしても、今回は参ったわ。夏の出演が決まってからようやく一段落着いたと思ったら、いきなりの出演要請だから。正直もうちょっと休みが欲しかったです。」
と嘆く庭師。いつも休み無しで働いている彼女にとっては辛かったのだろう。まあ、主人があれじゃあ彼女が休む訳にもいかないのだろうが、それでも同情を禁じえない。無給だし。
「貴方はまだいいわ。今回も得意の刀を振り回していたんだから。私なんか酷い時は格闘をさせられたのよ。私に格闘よ。まったく、何を考えているのかしら。あんなにバタバタと動いたのは始めてよ。お陰であの後喘息が酷くなって大変だったんだから。」
と過去の事を何時までも根に持つ日陰者が苦情を漏らす。確かに彼女に殴ったり殴られたりは辛そうだが、それでも久しぶりに回ってきた出番が嬉しくない訳では無いようだ。
「やれやれ、まさか私にまで出番が回ってくるとはな。私はこれでも人里で忙しい身なのだが。」
「いいじゃない、たまには。それに今回も姫と貴方の所の妹紅が競演するんだから、目を離したら何しでかすか分からないでしょう。姫は前回で影も形も出られなかった鬱憤が溜まっていたみたいだし。」
そうですか、一応永琳さんはエンディングには出ていましたからね。永遠亭でただ一人出番が回ってこなかった輝夜さんがふてくされるのも道理。二人の保護者がいなかったら暴れて今回の話は台無しになっていた所ですね。それにしても、ここぞと言わんばかりに張り切られなくてよかったな。いや、ほんと、あれ以上の弾幕が来てもらっても困りますので。
「あー、それ私が食べようと思っていたのに!!」
「ふん、この幻想郷最速の私を相手にぼやぼやしている奴が悪いんだ。いくら子供だからと言って容赦はしないぜ。」
大人気ないですよ、魔理沙さん。いくら出演依頼が来なかったからと言って、橙さんに当たるのはどうかと思います。ほら、保護者がお怒りですよ?
あー、それにしても皆さん元気ですね。私なんかもう疲れて動けませんよ。そう言えば大掃除もまだやってませんし。ここのところ忙しかったので家の中は散らかし放題ですけど、もうどうでも良いって感じですね、は、は、は。
「あー、どうしたんだ、文。そんなゲッソリとした顔で机に伏せたりして?」
「いつに無く包帯や絆創膏だらけだけでボロボロね。カメラ片手に飛び回っていた元気はどうしたの?」
「せっかくの打ち上げなんだ。主役がそんなんでどうするんだい。ほら、もっと飲んだ飲んだ。それとも、お前さんには酒よりも弾のほうが喜ばれるのかねえ?」
ううう、私だってもっと楽しみたいですよ。でも、もう動けません、避けれません、シャッター切れません。勘弁してください・・・
年も暮れた大晦日の日、誰が言い出したのか皆で博麗神社に集って宴会を開こうと言う事になった。ちょうど東方文花帖への出演も終わった事もあって、忘年会と打ち上げを同時に行おうという事なのだ。
皆が思い思いの食材やお酒を持ち合わせ、料理とお酒の準備を整えた。常時貧困に喘いでいるこの神社の巫女に宴会の食材を期待できる訳も無く、皆何の申し合わせも無いのに食材を持参したのは言うまでもない。約一名、自分の家の周りに生えている怪しげな茸を大量に持ってきて総スカンをくらい、焼却処分を言い渡された者もいたが。
部屋に大小様々な皿が次々と並べられ、香ばしい匂いを漂わせた。気の早い者が数名つまみ食いに走ったが、速攻で取り押さえられ閻魔様がじきじきに説教地獄に叩き落とした。それ以後乾杯の合図があるまでつまみ食いを行う勇者が現れなかったのは言うまでもない。
料理が全て並べ終わり、各人に酒が渡され、部屋の壁に大きく『弾幕禁止』の張り紙が張られた。そして乾杯の合図と共に宴会が開かれたのである。が、当然グロッキー状態で倒れている私には楽しむ余裕など無いのである。
「軟弱ね、あの程度で音を上げるなんて。昔なんかもっと酷い時があったのよ。そうね、あれは確か輝夜達が出た時の出演だったかしら。あれはまさに地獄だったわね。ただ時間が経つまでひたすら避け続けるっていう事をやらされたわ。それも大量に。」
「本当にあれは地獄だったわね。来る日も来る日も弾を避け続ける日々。成功するまで同じ弾幕を何十何百回と避けさせられた。当時は弾幕を避ける方もだけど、放つ方も疲れきっていたわね。」
当時の事を思い出したのか、あからさまにうんざりした顔をするスキマ妖怪と吸血鬼。この幻想郷きっての二大妖怪がこうも言うとは、よほどの事なのだろう。私も何となく分かる気がするし。
「ですが、もう少しお手柔らかにしてもらえてもよかったのではないでしょうか。いくらなんでも序盤から飛ばしすぎですよ。」
「何言ってるの、せっかくの出番なの。張り切っていくに決まってるじゃない。私みたいな一面ボスが他で出れる機会なんて滅多に無いんだから、悔いを残さないように全力でいかなきゃ。」
蛍の主張にそうだそうだと首を立てに振る宵闇の妖怪と冬の妖怪と門番。うわ、目がマジですよ。
「まあ、あれね。文には悪かったけど、久しぶりに避ける側から撃つ側になったから、つい張り切っちゃったのよね。」
「そうですね、久しぶりに血が騒ぎましたね。前回は中途半端に撃つ側もありましたけど、やっぱり避ける必要なくガンガン弾幕を撃てるのって気持ちがいいですからね。ついつい熱が入っちゃいましたよ。」
あはは、と軽く笑いあうメイドと庭師。でも、私には笑い事じゃないんです。貴方達が張り切れば張り切るほど私が非常に辛くなるんですから・・・
「まあ、いいじゃない。主役だったんだから。それも単独でだし。もっとあたいみたいに前向きに生きていこうよ。」
「前向きと考えなしは違うと思いますが、そう言うチルノさんだって変に張り切ってたじゃないですか。新しい弾幕なんか用意しちゃって。そもそもアイシクルフォールはどうしたんですか?」
「ふふん、いつまでも同じ弾幕に固執するあたいじゃないのさね。あたいは日々進化し続けるの。どうせなら新しいスペルカードを出してやろうと思って、毎晩寝ながら考えたんだから。」
ううう、だから変に張り切らなくても良かったんですってば。フィルムを平均百枚も無駄にしちゃったじゃないですか。あんな避けにくい弾幕を張らなくても、従来のアイシクルフォールでも撃ってくださいよ。あれだったら避けれますから。
「チルノは相変らず暇そうでいいな。妹紅の世話に里での仕事。好きでやっているとは言え、少し暇を分けて欲しいよ。そもそも妹紅がもっとしっかりしてくれればなあ。」
「慧音さん、嘆いている所を申し訳ありませんが慧音さんだって何だかんだ言って張り切ってたじゃないですか。全部新しい弾幕でしたし。それに回転レーザーを撃ちながら動くなんて反則です。殺意すら感じましたよ。」
ははは、とあさっての方向を向いて笑う堅苦しい歴史家。絶対に日頃の鬱憤を晴らしていたでしょう、慧音さん?
「みんな無駄に元気ね。私はすぐ疲れるから消極的に弾幕を撃ってたくらいなのに。その余りある元気を少し分けて欲しいわ。」
「ははは、あれで消極的ですか。シャッター切らなきゃ確実にレーザーで押し潰されるような弾幕が消極的ですか。パチュリーさん、あなた私を確実に殺す気だったでしょう。少なくとも私には明確な殺意を感じましたよ、あれには!?」
「まあまあ、パチュリーさんだってあの後少しやりすぎたって反省していたんですから良いじゃないですか。それに後半なんてあんな感じの弾幕は結構ありますから、予行練習だと思いましょうよ。」
「五月蝿いですね、出会い頭に飛び蹴りかまして来る人に言われたくありません。あれにやられたのは、なんか後一枚ってところで失敗したよりも屈辱的でしたよ。ええ、そりゃもう。真の幻想郷最速の私があんな飛び蹴り食らって秒殺されたんですから!!」
あーもう思い出すだけで腹が立つ。開始早々いきなり飛び蹴りが飛んでくるなんて誰が予想できますか。まったく、これだからガサツな妖怪は!!
「あーあ、なんだか楽しそうよね。私も一応出れたと言っても出番はあれだけだし、もっと楽しみたかったわ。歴代ボスキャラで主役になれてもいないし、なんか物足りないのよね。いっそうの事私も主役で出たかったわ。」
消化不良といった感じで、月のお姫様(自称)が嘆く。そりゃあ、一時家から出してもらえなかったり、その後エンディングにも出させてもらえなかったりした輝夜さんにしてみればそうなのかもしれませんけど、金閣寺を撃つ張本人がそれを言いますか。あれはどう考えてもハッチャケすぎだと思います。って言いますか、無理です。やり直しを要求します。
「こう聞いてると、あたい達は運が良かったのかねえ。何だかんだと言ってもちゃんと出してもらえているんだし。出演に時間を取られすぎて本来の仕事が出来ないなんてぼやいていたら罰が当たるってもんだねえ。」
「何を言っているのですか、小町。どんなに忙しくても私の裁きを待つ者がいるのですから、寝る暇を削ってでも仕事をするのが当たり前でしょう。少なくとも、私は殆ど寝ていません。貴方はもう少し仕事に対する・・・」
うわ、薄々は予想していたけど、やっぱり映姫さん寝てなかったんですね。始終目の下に大きなクマを作って肌荒れを気にしていたのは、そのせいなんですね。
「なんとも涙ぐましい話ですね、紫様も少しは見習ったらどうですか。家でも寝てばかりですし、出番が来てもちっとも起きませんでしたし。なんだったら映姫殿のアカを貰って来ましょうか、毎晩煎じて飲めるように。」
あー、藍さんは多分本気ですね。当の本人はちっとも聞いていませんけど。応援していますよ。もっと楽な弾幕を撃ってくれるなら更にがんばって応援しちゃいますし。って言いますか、応援しますからもっと手を抜いてください。
「あーあ、もっと暴れたかったな。せっかく久しぶりに出番が回ってきて楽しかったのに、これから暇になると思うと憂鬱だなあ。もっといろんなもの壊したかったなあ。」
「あんたはまだいいわよ~。別の変なシューティング講座にあんたぽい人がゲスト出演してるんだから。私なんか格闘でデビューしたせいかその後は影も形も出してもらえなかったんだからさ~。ほんと、自棄酒ざんまいだったねぇ~。あ~今までの分を含めてもっと暴れたい~。」
「まったく、どうして同じEXボスでもこうも扱いが違うのかしら。紫だけ主役キャラになれたのよ。そりゃあ私はデビューが遅かったってのもあるけど、なんか納得いかないわ。不公平よ。よりによって輝夜とキャラが少し被るし、強盗であまつさえ何となくなんちゃって蓬莱人的な設定だし。ちくしょう、私も暴れ足り無いわ!!」
あー、頼みますから勘弁してください。境遇は分かりますけど、基本的に貴方達の弾幕は無理ですので。いやもう、本当に・・・
「ところで、プリズムリバー三姉妹はどうしたんですか。確か来る様なこと言っていと思いましたけど。」
私はふと思いついた疑問を口にしてみた。会が始まってからもう随分と経って今更と言えば今更な疑問だが、部屋の中がかなり賑やかなので騒幽達の事に気づかなかったのだ。更に言えば酔った勢いでミニ八卦炉を取り出して振り回しだす黒白が出現したり、同じ料理に箸を伸ばしてしまい一触即発の状態になった無職二人組みが現れたり、酒の勢いで吸血鬼(姉)などの危険人物数名相手に説教をしだす閻魔、酒が足りないと巨大化してアピールしだす鬼の娘、酔って様々な虫を大量に呼び出す蛍、コレクション化をもくろむ人形使いとそれを拒む毒人形の大とりもの劇、どういう話の流れでか部屋の隅で持てる知識と技術をもってして協力し合って怪しげな薬(非常に危険な匂いが一時部屋に充満するくらいの)を調合しだす日陰者と薬師などでそれどころではなかったのだ。
「ああ、彼女たち?なんか五月蝿そうだったから庭に追い出したわよ。」
「ええっと、それはまた何故ですか。今更五月蝿いも何も無いと思いますけど。」
「だって彼女達、今回出てないじゃん。」
「まあ仕方ないよな、今回は文花帖の打ち上げだし。前回出張りすぎていたのが仇になったぜ。」
あー、なにやら庭から音楽が聞こえてくると思ったら彼女達だったんですね。心なしか悲しそうな曲ばかりですけど、確かに前回は出すぎていましたから。せめて代表して一人にしておけば今回も出れたかもしれないのに。
「じゃあ、ミスティアさんは?」
「彼女には厨房を任せてあるわ。屋台をやっていて料理の腕前は確かそうだし。私がここで飲み食いしていても料理やお酒が出てくるのはミスティアのお陰ね。」
「ま、ミスティアも文花帖に出てないからな。香霖も出たがってたけど、そんな訳で一人寂しく年越しさ。一応最後の足掻きとしてあそこにかかっている張り紙を香霖が書いたんだけどな。」
あ、本当だ。弾幕禁止の文字の横に小さく『森近霖之助』と名前が書いてありますね。なんか、本当に小さな抵抗ってな感じの自己主張ですね。どことなく哀愁が漂ってますし。本の文花帖には出てたんですけどね・・・
「じゃあ、今回出ていない貴方達が何故ここにいるんですか。まあ、一応家主と言う事で霊夢さんは分かりますけど、魔理沙さんはちょっと。」
「ははは、そんなもの主人公だからに決まってるぜ。」
ビシッと親指を立てて白い歯を見せながら言う黒白。色々と納得がいかないものがあるが主人公だからと言われればそれまでである。恐るべし、主人公特権。今なら少しだけ外に追い出された騒霊達や問答無用で台所に連れてかれた猛禽類の無念さが分かる気がする。
「不条理な世の中ですね。ミスティアさんなんて前回で記憶力が低いっていうお馬鹿設定を付け加えられて落ち込んでいたところでしたのに。雪辱戦だってようやく元気を取り戻していたところなのに。またしばらく串揚げが塩辛いのが続きますね。」
まあ私もこれ以上は無理だったので人の事は言えないんですけどね。あれ以上増えてもらっても困りますし。いっぱいいっぱいだったんですよ、本当に・・・
「あー、もう食えない。私の腹の中は100%中の120%だぜ。体重計なんて物は知るもんか~」
夜もだいぶ更け、部屋の中も酔い潰れる者、満腹で動けなくなる者、説教封じに猿轡をされて転がされてる者など死屍累々としてきた。それでも未だに昔話に花を咲かせながら酒を重ねる集団もいるのだが、話が古すぎてついていけない。って言いますか、何百年前の話をしているんですか?
「そろそろ新年ね。除夜の鐘は今年も鳴るかしら。」
障子を少し開けて月の位置を確認していた巫女が呟く。幻想郷にはお寺は無いので、除夜の鐘は鳴りようが無い。しかし、毎年何処からとも無く鐘の音が聞こえてくるのだから不思議な物である。私も何度か調査に乗り出したが、未だに良い結果は得られていない。
「もうすぐお正月ね。私は一日にお餅を十個食べたいわ、おせち料理は別として。ああ、正月そうそう龍鍋っていうのも魅力的ね。三途の川で取ってきてちょうだい。」
「幽々子様、無茶言わないでくださいよ。正月には紫様一家も遊びに来られるんですから、せめて普通の料理を出しましょうよ。お餅も頼みますから勘弁してください。」
正月から妖夢さんは大変そうですね。妖夢さんがヒイヒイ言ってお餅をついている姿が目に浮かびますよ。
「正月、か。まあ私には関係の無い話ね。正月だからと言って洗濯や掃除が待ってくれる訳ないんだし。それに加えておせち料理の手配やら正月のイベントやらで逆に忙しいくらいよ。」
そうですか、咲夜さんには正月なんてないんですね。同情します、挫けないでください。横で暢気に腹を押さえている美鈴さんなんか放っときましょう。
ゴーン、ゴーンっという鐘の音が聞こえてきた。部屋の中も一瞬静かになり、皆が鐘の音に聞き入っていた。
「これで年が明けたわね。実質年が明けたところで何かが変わると言う物でもないんだけどね。誰も初詣には来ないし、賽銭箱は潤わないし。」
「まあまあ、そうふて腐れないでくださいよ、霊夢さん。ひょっとしたら今回は誰かが入れに来てくれるかも知れませんよ。諦めたらそこでお終いですよ。」
でも、言っているそばから虚しくなるのは何故でしょうか・・・?
「ありがと、文。気休めにでも受け取っておくわ。さて、そろそろ片付けてお開きに」
「よっしゃあ、食うぞ!!」
「「はあ!?」」
ガバッと黒白が勢いよく起き上がり、残っていた料理を手当たり次第に食べだす。その横で食べすぎで唸っていた氷の妖精や門番や達も起き出し、黒白に負けじと料理を食べだした。
「ち、ちょっと、魔理沙、あんたさっきまで食べすぎで倒れてたはずでしょう。なにやってるのよ!?」
「ははは、甘いぜ、甘すぎて虫歯になりそうだぜ霊夢。満腹で死に掛けていたのは去年の私。しかし、今年の私はまた何も食べていない。そういう訳だから料理をじゃんじゃん頼むぜ。さあチルノ、美鈴、誰が一番多く食べれるか勝負だ!!」
ガガガ、と貪るように食べだす三人とその他数名。もはや別腹うんぬんの次元を通り越している。その向こう側では同じ原理なのか、酔い潰れていた者達が起き上がりだして酒を飲みだしてもいる。
まあ、あれですね。こんな人知を超えた連中相手に弾幕撃ち合うんですから、苦戦するのも当たりまえですね。私の認識が甘かったと言う事でしょうか。でも、やっぱり無理なものは無理ですけど・・・
今年もスクープに困らない一年でありますように
* ヘタレプレイヤーからの視点です。
「「乾杯!!」」
皆の号令の下、次々と杯が交わされる。ある者は笑顔で、ある者はもう既に出来上がった顔で、またある者は喘息で苦しそうな顔で互いに杯を交わしていく。一部のお子様には保護者の強い意向が取り入れられ、例外的にお酒が振るわれていないが。
「いや、今回もご苦労様。私は正式に出るのは二回目だけど、貴女はこれで六回目だからな。毎回毎回さぞかし大変だったろう?」
と狐がメイドを労っていれば、
「ふふん、今回であたいの出番は四回目。もうこれでレギュラーの座は確定したと言っても間違い無し。いいでしょう?」
と蛍に自慢する氷の妖精、
「いやー、感激しましたよ。エンディングにも出させてもらえない日々が続きましたからね。こりゃあ本格的に私の事を忘れてしまったのかと嘆いてましたよ。二回目があったといっても中途半端な出番でしたし。いやほんと、正式にオファーが来て良かったですよ。」
と同じく出番が殆ど無かった宵闇の妖怪や冬の妖怪と一緒に喜び合う門番。しかしその姿は本当に嬉しそうである。涙が出そうなくらいに。
「それにしても、今回は参ったわ。夏の出演が決まってからようやく一段落着いたと思ったら、いきなりの出演要請だから。正直もうちょっと休みが欲しかったです。」
と嘆く庭師。いつも休み無しで働いている彼女にとっては辛かったのだろう。まあ、主人があれじゃあ彼女が休む訳にもいかないのだろうが、それでも同情を禁じえない。無給だし。
「貴方はまだいいわ。今回も得意の刀を振り回していたんだから。私なんか酷い時は格闘をさせられたのよ。私に格闘よ。まったく、何を考えているのかしら。あんなにバタバタと動いたのは始めてよ。お陰であの後喘息が酷くなって大変だったんだから。」
と過去の事を何時までも根に持つ日陰者が苦情を漏らす。確かに彼女に殴ったり殴られたりは辛そうだが、それでも久しぶりに回ってきた出番が嬉しくない訳では無いようだ。
「やれやれ、まさか私にまで出番が回ってくるとはな。私はこれでも人里で忙しい身なのだが。」
「いいじゃない、たまには。それに今回も姫と貴方の所の妹紅が競演するんだから、目を離したら何しでかすか分からないでしょう。姫は前回で影も形も出られなかった鬱憤が溜まっていたみたいだし。」
そうですか、一応永琳さんはエンディングには出ていましたからね。永遠亭でただ一人出番が回ってこなかった輝夜さんがふてくされるのも道理。二人の保護者がいなかったら暴れて今回の話は台無しになっていた所ですね。それにしても、ここぞと言わんばかりに張り切られなくてよかったな。いや、ほんと、あれ以上の弾幕が来てもらっても困りますので。
「あー、それ私が食べようと思っていたのに!!」
「ふん、この幻想郷最速の私を相手にぼやぼやしている奴が悪いんだ。いくら子供だからと言って容赦はしないぜ。」
大人気ないですよ、魔理沙さん。いくら出演依頼が来なかったからと言って、橙さんに当たるのはどうかと思います。ほら、保護者がお怒りですよ?
あー、それにしても皆さん元気ですね。私なんかもう疲れて動けませんよ。そう言えば大掃除もまだやってませんし。ここのところ忙しかったので家の中は散らかし放題ですけど、もうどうでも良いって感じですね、は、は、は。
「あー、どうしたんだ、文。そんなゲッソリとした顔で机に伏せたりして?」
「いつに無く包帯や絆創膏だらけだけでボロボロね。カメラ片手に飛び回っていた元気はどうしたの?」
「せっかくの打ち上げなんだ。主役がそんなんでどうするんだい。ほら、もっと飲んだ飲んだ。それとも、お前さんには酒よりも弾のほうが喜ばれるのかねえ?」
ううう、私だってもっと楽しみたいですよ。でも、もう動けません、避けれません、シャッター切れません。勘弁してください・・・
年も暮れた大晦日の日、誰が言い出したのか皆で博麗神社に集って宴会を開こうと言う事になった。ちょうど東方文花帖への出演も終わった事もあって、忘年会と打ち上げを同時に行おうという事なのだ。
皆が思い思いの食材やお酒を持ち合わせ、料理とお酒の準備を整えた。常時貧困に喘いでいるこの神社の巫女に宴会の食材を期待できる訳も無く、皆何の申し合わせも無いのに食材を持参したのは言うまでもない。約一名、自分の家の周りに生えている怪しげな茸を大量に持ってきて総スカンをくらい、焼却処分を言い渡された者もいたが。
部屋に大小様々な皿が次々と並べられ、香ばしい匂いを漂わせた。気の早い者が数名つまみ食いに走ったが、速攻で取り押さえられ閻魔様がじきじきに説教地獄に叩き落とした。それ以後乾杯の合図があるまでつまみ食いを行う勇者が現れなかったのは言うまでもない。
料理が全て並べ終わり、各人に酒が渡され、部屋の壁に大きく『弾幕禁止』の張り紙が張られた。そして乾杯の合図と共に宴会が開かれたのである。が、当然グロッキー状態で倒れている私には楽しむ余裕など無いのである。
「軟弱ね、あの程度で音を上げるなんて。昔なんかもっと酷い時があったのよ。そうね、あれは確か輝夜達が出た時の出演だったかしら。あれはまさに地獄だったわね。ただ時間が経つまでひたすら避け続けるっていう事をやらされたわ。それも大量に。」
「本当にあれは地獄だったわね。来る日も来る日も弾を避け続ける日々。成功するまで同じ弾幕を何十何百回と避けさせられた。当時は弾幕を避ける方もだけど、放つ方も疲れきっていたわね。」
当時の事を思い出したのか、あからさまにうんざりした顔をするスキマ妖怪と吸血鬼。この幻想郷きっての二大妖怪がこうも言うとは、よほどの事なのだろう。私も何となく分かる気がするし。
「ですが、もう少しお手柔らかにしてもらえてもよかったのではないでしょうか。いくらなんでも序盤から飛ばしすぎですよ。」
「何言ってるの、せっかくの出番なの。張り切っていくに決まってるじゃない。私みたいな一面ボスが他で出れる機会なんて滅多に無いんだから、悔いを残さないように全力でいかなきゃ。」
蛍の主張にそうだそうだと首を立てに振る宵闇の妖怪と冬の妖怪と門番。うわ、目がマジですよ。
「まあ、あれね。文には悪かったけど、久しぶりに避ける側から撃つ側になったから、つい張り切っちゃったのよね。」
「そうですね、久しぶりに血が騒ぎましたね。前回は中途半端に撃つ側もありましたけど、やっぱり避ける必要なくガンガン弾幕を撃てるのって気持ちがいいですからね。ついつい熱が入っちゃいましたよ。」
あはは、と軽く笑いあうメイドと庭師。でも、私には笑い事じゃないんです。貴方達が張り切れば張り切るほど私が非常に辛くなるんですから・・・
「まあ、いいじゃない。主役だったんだから。それも単独でだし。もっとあたいみたいに前向きに生きていこうよ。」
「前向きと考えなしは違うと思いますが、そう言うチルノさんだって変に張り切ってたじゃないですか。新しい弾幕なんか用意しちゃって。そもそもアイシクルフォールはどうしたんですか?」
「ふふん、いつまでも同じ弾幕に固執するあたいじゃないのさね。あたいは日々進化し続けるの。どうせなら新しいスペルカードを出してやろうと思って、毎晩寝ながら考えたんだから。」
ううう、だから変に張り切らなくても良かったんですってば。フィルムを平均百枚も無駄にしちゃったじゃないですか。あんな避けにくい弾幕を張らなくても、従来のアイシクルフォールでも撃ってくださいよ。あれだったら避けれますから。
「チルノは相変らず暇そうでいいな。妹紅の世話に里での仕事。好きでやっているとは言え、少し暇を分けて欲しいよ。そもそも妹紅がもっとしっかりしてくれればなあ。」
「慧音さん、嘆いている所を申し訳ありませんが慧音さんだって何だかんだ言って張り切ってたじゃないですか。全部新しい弾幕でしたし。それに回転レーザーを撃ちながら動くなんて反則です。殺意すら感じましたよ。」
ははは、とあさっての方向を向いて笑う堅苦しい歴史家。絶対に日頃の鬱憤を晴らしていたでしょう、慧音さん?
「みんな無駄に元気ね。私はすぐ疲れるから消極的に弾幕を撃ってたくらいなのに。その余りある元気を少し分けて欲しいわ。」
「ははは、あれで消極的ですか。シャッター切らなきゃ確実にレーザーで押し潰されるような弾幕が消極的ですか。パチュリーさん、あなた私を確実に殺す気だったでしょう。少なくとも私には明確な殺意を感じましたよ、あれには!?」
「まあまあ、パチュリーさんだってあの後少しやりすぎたって反省していたんですから良いじゃないですか。それに後半なんてあんな感じの弾幕は結構ありますから、予行練習だと思いましょうよ。」
「五月蝿いですね、出会い頭に飛び蹴りかまして来る人に言われたくありません。あれにやられたのは、なんか後一枚ってところで失敗したよりも屈辱的でしたよ。ええ、そりゃもう。真の幻想郷最速の私があんな飛び蹴り食らって秒殺されたんですから!!」
あーもう思い出すだけで腹が立つ。開始早々いきなり飛び蹴りが飛んでくるなんて誰が予想できますか。まったく、これだからガサツな妖怪は!!
「あーあ、なんだか楽しそうよね。私も一応出れたと言っても出番はあれだけだし、もっと楽しみたかったわ。歴代ボスキャラで主役になれてもいないし、なんか物足りないのよね。いっそうの事私も主役で出たかったわ。」
消化不良といった感じで、月のお姫様(自称)が嘆く。そりゃあ、一時家から出してもらえなかったり、その後エンディングにも出させてもらえなかったりした輝夜さんにしてみればそうなのかもしれませんけど、金閣寺を撃つ張本人がそれを言いますか。あれはどう考えてもハッチャケすぎだと思います。って言いますか、無理です。やり直しを要求します。
「こう聞いてると、あたい達は運が良かったのかねえ。何だかんだと言ってもちゃんと出してもらえているんだし。出演に時間を取られすぎて本来の仕事が出来ないなんてぼやいていたら罰が当たるってもんだねえ。」
「何を言っているのですか、小町。どんなに忙しくても私の裁きを待つ者がいるのですから、寝る暇を削ってでも仕事をするのが当たり前でしょう。少なくとも、私は殆ど寝ていません。貴方はもう少し仕事に対する・・・」
うわ、薄々は予想していたけど、やっぱり映姫さん寝てなかったんですね。始終目の下に大きなクマを作って肌荒れを気にしていたのは、そのせいなんですね。
「なんとも涙ぐましい話ですね、紫様も少しは見習ったらどうですか。家でも寝てばかりですし、出番が来てもちっとも起きませんでしたし。なんだったら映姫殿のアカを貰って来ましょうか、毎晩煎じて飲めるように。」
あー、藍さんは多分本気ですね。当の本人はちっとも聞いていませんけど。応援していますよ。もっと楽な弾幕を撃ってくれるなら更にがんばって応援しちゃいますし。って言いますか、応援しますからもっと手を抜いてください。
「あーあ、もっと暴れたかったな。せっかく久しぶりに出番が回ってきて楽しかったのに、これから暇になると思うと憂鬱だなあ。もっといろんなもの壊したかったなあ。」
「あんたはまだいいわよ~。別の変なシューティング講座にあんたぽい人がゲスト出演してるんだから。私なんか格闘でデビューしたせいかその後は影も形も出してもらえなかったんだからさ~。ほんと、自棄酒ざんまいだったねぇ~。あ~今までの分を含めてもっと暴れたい~。」
「まったく、どうして同じEXボスでもこうも扱いが違うのかしら。紫だけ主役キャラになれたのよ。そりゃあ私はデビューが遅かったってのもあるけど、なんか納得いかないわ。不公平よ。よりによって輝夜とキャラが少し被るし、強盗であまつさえ何となくなんちゃって蓬莱人的な設定だし。ちくしょう、私も暴れ足り無いわ!!」
あー、頼みますから勘弁してください。境遇は分かりますけど、基本的に貴方達の弾幕は無理ですので。いやもう、本当に・・・
「ところで、プリズムリバー三姉妹はどうしたんですか。確か来る様なこと言っていと思いましたけど。」
私はふと思いついた疑問を口にしてみた。会が始まってからもう随分と経って今更と言えば今更な疑問だが、部屋の中がかなり賑やかなので騒幽達の事に気づかなかったのだ。更に言えば酔った勢いでミニ八卦炉を取り出して振り回しだす黒白が出現したり、同じ料理に箸を伸ばしてしまい一触即発の状態になった無職二人組みが現れたり、酒の勢いで吸血鬼(姉)などの危険人物数名相手に説教をしだす閻魔、酒が足りないと巨大化してアピールしだす鬼の娘、酔って様々な虫を大量に呼び出す蛍、コレクション化をもくろむ人形使いとそれを拒む毒人形の大とりもの劇、どういう話の流れでか部屋の隅で持てる知識と技術をもってして協力し合って怪しげな薬(非常に危険な匂いが一時部屋に充満するくらいの)を調合しだす日陰者と薬師などでそれどころではなかったのだ。
「ああ、彼女たち?なんか五月蝿そうだったから庭に追い出したわよ。」
「ええっと、それはまた何故ですか。今更五月蝿いも何も無いと思いますけど。」
「だって彼女達、今回出てないじゃん。」
「まあ仕方ないよな、今回は文花帖の打ち上げだし。前回出張りすぎていたのが仇になったぜ。」
あー、なにやら庭から音楽が聞こえてくると思ったら彼女達だったんですね。心なしか悲しそうな曲ばかりですけど、確かに前回は出すぎていましたから。せめて代表して一人にしておけば今回も出れたかもしれないのに。
「じゃあ、ミスティアさんは?」
「彼女には厨房を任せてあるわ。屋台をやっていて料理の腕前は確かそうだし。私がここで飲み食いしていても料理やお酒が出てくるのはミスティアのお陰ね。」
「ま、ミスティアも文花帖に出てないからな。香霖も出たがってたけど、そんな訳で一人寂しく年越しさ。一応最後の足掻きとしてあそこにかかっている張り紙を香霖が書いたんだけどな。」
あ、本当だ。弾幕禁止の文字の横に小さく『森近霖之助』と名前が書いてありますね。なんか、本当に小さな抵抗ってな感じの自己主張ですね。どことなく哀愁が漂ってますし。本の文花帖には出てたんですけどね・・・
「じゃあ、今回出ていない貴方達が何故ここにいるんですか。まあ、一応家主と言う事で霊夢さんは分かりますけど、魔理沙さんはちょっと。」
「ははは、そんなもの主人公だからに決まってるぜ。」
ビシッと親指を立てて白い歯を見せながら言う黒白。色々と納得がいかないものがあるが主人公だからと言われればそれまでである。恐るべし、主人公特権。今なら少しだけ外に追い出された騒霊達や問答無用で台所に連れてかれた猛禽類の無念さが分かる気がする。
「不条理な世の中ですね。ミスティアさんなんて前回で記憶力が低いっていうお馬鹿設定を付け加えられて落ち込んでいたところでしたのに。雪辱戦だってようやく元気を取り戻していたところなのに。またしばらく串揚げが塩辛いのが続きますね。」
まあ私もこれ以上は無理だったので人の事は言えないんですけどね。あれ以上増えてもらっても困りますし。いっぱいいっぱいだったんですよ、本当に・・・
「あー、もう食えない。私の腹の中は100%中の120%だぜ。体重計なんて物は知るもんか~」
夜もだいぶ更け、部屋の中も酔い潰れる者、満腹で動けなくなる者、説教封じに猿轡をされて転がされてる者など死屍累々としてきた。それでも未だに昔話に花を咲かせながら酒を重ねる集団もいるのだが、話が古すぎてついていけない。って言いますか、何百年前の話をしているんですか?
「そろそろ新年ね。除夜の鐘は今年も鳴るかしら。」
障子を少し開けて月の位置を確認していた巫女が呟く。幻想郷にはお寺は無いので、除夜の鐘は鳴りようが無い。しかし、毎年何処からとも無く鐘の音が聞こえてくるのだから不思議な物である。私も何度か調査に乗り出したが、未だに良い結果は得られていない。
「もうすぐお正月ね。私は一日にお餅を十個食べたいわ、おせち料理は別として。ああ、正月そうそう龍鍋っていうのも魅力的ね。三途の川で取ってきてちょうだい。」
「幽々子様、無茶言わないでくださいよ。正月には紫様一家も遊びに来られるんですから、せめて普通の料理を出しましょうよ。お餅も頼みますから勘弁してください。」
正月から妖夢さんは大変そうですね。妖夢さんがヒイヒイ言ってお餅をついている姿が目に浮かびますよ。
「正月、か。まあ私には関係の無い話ね。正月だからと言って洗濯や掃除が待ってくれる訳ないんだし。それに加えておせち料理の手配やら正月のイベントやらで逆に忙しいくらいよ。」
そうですか、咲夜さんには正月なんてないんですね。同情します、挫けないでください。横で暢気に腹を押さえている美鈴さんなんか放っときましょう。
ゴーン、ゴーンっという鐘の音が聞こえてきた。部屋の中も一瞬静かになり、皆が鐘の音に聞き入っていた。
「これで年が明けたわね。実質年が明けたところで何かが変わると言う物でもないんだけどね。誰も初詣には来ないし、賽銭箱は潤わないし。」
「まあまあ、そうふて腐れないでくださいよ、霊夢さん。ひょっとしたら今回は誰かが入れに来てくれるかも知れませんよ。諦めたらそこでお終いですよ。」
でも、言っているそばから虚しくなるのは何故でしょうか・・・?
「ありがと、文。気休めにでも受け取っておくわ。さて、そろそろ片付けてお開きに」
「よっしゃあ、食うぞ!!」
「「はあ!?」」
ガバッと黒白が勢いよく起き上がり、残っていた料理を手当たり次第に食べだす。その横で食べすぎで唸っていた氷の妖精や門番や達も起き出し、黒白に負けじと料理を食べだした。
「ち、ちょっと、魔理沙、あんたさっきまで食べすぎで倒れてたはずでしょう。なにやってるのよ!?」
「ははは、甘いぜ、甘すぎて虫歯になりそうだぜ霊夢。満腹で死に掛けていたのは去年の私。しかし、今年の私はまた何も食べていない。そういう訳だから料理をじゃんじゃん頼むぜ。さあチルノ、美鈴、誰が一番多く食べれるか勝負だ!!」
ガガガ、と貪るように食べだす三人とその他数名。もはや別腹うんぬんの次元を通り越している。その向こう側では同じ原理なのか、酔い潰れていた者達が起き上がりだして酒を飲みだしてもいる。
まあ、あれですね。こんな人知を超えた連中相手に弾幕撃ち合うんですから、苦戦するのも当たりまえですね。私の認識が甘かったと言う事でしょうか。でも、やっぱり無理なものは無理ですけど・・・
今年もスクープに困らない一年でありますように
楽屋裏ものとしては雰囲気が出てて結構楽しめました。
特に映姫様の扱いが良いですね。キャリアウーマンの悲哀というか何というか。
……では改めて、話題にも上らない大妖精と小悪魔とリリーに合掌。
最初あたりにある「参っわ」→「参ったわ」
内容自体はとても面白かったです。
はてさて、号外に誰が出るか気になる所存です。
さて、猿轡かまされたえーき様は私がお持ち帰りするとしますか。
ご馳走様でしたw
一応誤字指摘。
中盤の、ミスティアが、ミス「チ」ィア
になってます。細かいですが