Coolier - 新生・東方創想話

愛さえあればLOVE IS OK!?(後編)

2006/01/08 05:53:02
最終更新
サイズ
16.51KB
ページ数
1
閲覧数
281
評価数
3/50
POINT
2360
Rate
9.35
 フランの出してきた料理は、焦げだらけでいかにもな感じの料理。特にスープがひどく、湯気も立ってないそのスープにはぷかぷか焦げで埋め尽くされている。オムレツは三人がある程度予想したとおり真っ黒焦げの炭状態。これもまた危険度当社比1.5倍!!

「ふふん、わたしなりにおいしい料理になったと思うわよ!!」
(ほんとかよ……?)

 先陣切って、幽々子が黒いオムレツにスプーンを入れる。
 さく。
 オムレツが普通立てないような音を立てて、崩れた。

「い、今、さくって言ったんですけど!?」
「てゆーか、これ、ただの炭じゃないか!?」
「失礼ね、オムレツに決まってるじゃない」
「嘘だー!!オムレツはこんなに真っ黒じゃないし、さく、なんて音も立てないぜ!!」
「食べればおいしいわよ、きっと」
「嘘だー!!」

 絶叫する魔理沙。

「と、とりあえず、いくわよ」

 幽々子がスプーンを口元まで持っていく。覚悟完了。

「どーせなら、もっとがぶっといけばいいのに」
「お、おいしかったらそうするわ。ふ~……えいっ!」
(いったー!!)
(ど、どうだ!?)

 さく、さく。
 普通のオムレツなら絶対にしないはずの音が幽々子の口の中から聞こえてくる。
 幽々子の口が半開きになって、オムレツの残骸が口から零れ落ちる。
 ちょっとだけ見えた幽々子の口の中は真っ黒に染まっていた。

「ただの、炭だわ、これ……」
「えー、嘘だー?そんなはずないのに」
(いや、幽々子は真実を語ってる!)
(つーか、普通見た目でわかりそうなもんじゃん!!)
「ぶー、もういいや、スープの方はきっとおいしいはずだから早く飲んでよ」
「そ、そう?ってこれ、何で湯気が立ってないの?」
「ん、だって何回やってもスープなくなっちゃうから、水を入れて、野菜を入れて作ったの」
(そりゃ単に火力強くて焦がしただけだろうが!)
「これのおいしさは飲まなきゃわからないわよ」
「そ、そうかしら?じゃ、いただくわ……」

 恐る恐るスープを口に含む幽々子。目をぎゅっと閉じる。しかし、それが返って仇となった。

「~~~~~~~~~~~~~~~~!!!」

 声にならない悲鳴を上げる幽々子。あたふたと何かを訴える仕草をして、必死に何かをアピールする。

「ど、どうしたぁぁぁ、幽々子!?」
「ひ、ひはは……」
「なんだって?」
「ひははひひへふ!!」

 突然立ち上がって食堂からダッシュで立ち去る幽々子。普段の鈍足から考えられない速度である。

「ちょっと、どういうことよ~?」

 不満顔のフラン。
 戻ってきた幽々子は咲夜におしぼりを注文する。なんに使うかと思いきや、それでおもむろに舌を拭き始める。

「なによ、その仕草は?わたしの料理が食べられない、って言うの?」
「だってだって、飲んだら焦げの苦味だけじゃない、別の苦味が口の中いっぱいに広がって、舌がぴりぴりしびれて来るんだもん……」
「なんじゃそりゃぁぁ!」
「それ本当に本当?」
「本当本当。あ、お水も頂戴」

 咲夜は言われたとおりに、水を差し出す。ちょっと幽々子に同情の視線を向けてたり。
 水を飲む幽々子の口から、謎の泡がこぼれた。

「うわわわわわ、なんだこりゃぁぁぁぁっ!?」
「し、知らないわよ、なんか、水飲んだらなんだか急にぶくぶくって……」
「あ、まさか……」

 何か咲夜の中で思い当たることがあったようだ。

「妹様、このスープに何を入れたんですか?」
「え、普通に塩を入れたんだけど?」
「嘘だー、塩を入れて何で泡吹くんだー!?」
「そのお塩はどこにあったか、覚えておいでですか?」
「えーと、どこそこの棚の二段目くらいにあったやつを袋全部入れたのよ?」
「……それは塩ではなく、ベーキングパウダーと言うものですよ、妹様」
「え、ベーキングパウダーって、何?」

 きょとんとするフラン。どうやらマジで塩とベーキングパウダーを勘違いしていたようであるが、そのおかげで、このスープが一級品の危険物と判明する。ベーキングパウダー=重曹はとにかく苦い。幽々子が言った、焦げ以外の苦味の正体がこれである。そんなものを袋いっぱいにぶち込んだスープである。しかも野菜は生。焦げもぷかぷか浮いている。幽々子が戻しに行くのも無理はないだろう。

「まあ、なんでもいいか。食べれば同じでしょ?」
(いや、ぜんぜん違うし!!)
(あんた、さっきの幽々子のリアクション見てるでしょうが!!)
「じゃ、魔理沙もよろしくね」
「うわああああ、ご指名かああああああ!!」
「がんばって、死んでもあの世は楽しいところよ!!」
「お前が言うな幽霊!!」

 魔理沙のスプーンを持つ手が震える。まずは件の炭オムレツから。
 さく、さく。
 スナックのような歯ごたえだが、口に広がるのはただの炭の味。苦い。が、先ほどのスープに比べれば、まあ、まだましかな?ぐらいな程度だと思う。確実に身体に悪そうだが。

(わたしが死ぬときは胃ガンかな……?)

 そんな不吉なことが頭をよぎる。
 さあ、次に問題のスープを一口すすって……

「うおおおおおおおっ!!痺れる!痺れる!舌が、舌がああああ!」

 ぴりぴりぴり。
 舌が痺れて、味の感覚がわからなくなってくる。これは危険物と、脳内と身体の警告が一致、立ち上がって、トイレへ猛ダッシュ!

「ぶー……」

 ふくれっ面をするフラン。そろそろ、ぶちきれ寸前である。

「あーーーーー、きっついぜ、これは……」

 戻ってきた魔理沙の第一声。
 おしぼりで口を拭く。

「でしょ、でしょ?」
「舌が馬鹿になっちまうぜ……」
「わかる、わかるわ、これはうまい、まずい以前の話で食べ物じゃないもん」
「むー、もういいわよ!そんなに気に食わないなら、咲夜に食べてもらうもん!」
「え……?」

 想定外のさらに外からの方向からの爆弾発言に、一瞬咲夜は戸惑う。しかし、そこはメイド長、顔色を、すっ、と戻し、平静を装ってにっこり微笑み……

「光栄ですわ。妹様、手料理、ご馳走になりますわ」
(すげー、すげーぜ咲夜、あんたメイドの鑑だよ!!)
(素晴らしい、素晴らしいわ、ぜひ妖夢にも見習ってほしいわ!!)

 魔理沙と幽々子は心の中で感涙し、惜しみない拍手を送る。

「では、いただきますわ」

 内心どきどきもののはずであるが、あくまで普通に、普通にスープをすくう。あくまで、普通の料理を食べるかのごとく、自然に口に運ぶ。そのしぐさ一つ一つが、試食組を感動させる。

「…………!!!」

 口の中であの強烈な味が広がっていくのか、咲夜の顔色が変わる。しかし、それも一瞬のこと、あくまで自然に、自然に口にほおばった物を飲み込む。料理と呼べないその物体を飲み込み、本来なら水を煽って、後味を忘れたいであろうに、咲夜はにっこり微笑んで……

「努力なさいましたね、咲夜はうれしゅうございますわ」
(ブラボー!ブラボー、咲夜!!)
(貴方のその勇姿、わたしは死ぬまで忘れないわ!!)

 幽々子さん、ほめているのはわかりますが、貴方とっくに死んでます。

「後もう少しだけお勉強すれば、もっとおいしいお料理になると思いますわ」
「そ、そう?じゃ、じゃあ、頑張っちゃおうかな?」
「ええ、楽しみにしてますわ」

 咲夜、こっそり魔理沙に向けてサムズアップ。応えて魔理沙も親指を立て、咲夜の英断を大賞賛。

「さ、妹様の試食が終わったから、最後はわたしでいいかしら?」
「ち、ちょっと待った!!」
「??どうしたの?」
「舌の痺れが取れてからでいい?」



 二人の舌の痺れが取れたところで地獄の試食、再会。

「さ、どうぞ好きなだけ召し上がれ」
『おおー……』

 三人が注目したのはオムレツ。三人の中で、唯一まともに見え、おいしそうな感じがする。てゆーか、そういうところで感嘆の声を漏らすということは、三人の感覚がだいぶおかしくなりつつある証拠かもしれない。

「こ、これは期待できるかもしれないわね?」
「そ、そうだな、一番おいしそうに見えるし」
「ふふふ、当然だわ」

 アリスに「どうだ、見たか」という視線を送るパチュリー。ちょっとムカッとするアリスだが、さっきの料理を披露した後なので、何も言い返せない。

「そ、それじゃあ、わたしがいただこうかな?」
「あー、ずるーい」
「って、あんたさっき最初に食べたでしょうが」

 言いながら、妹紅がスプーンをオムレツに突き刺した瞬間。
 どろり。

『うわあああああああああああっ!!』

 突き刺したところから黄色い汁がどろどろと出てくる。実際には固まりきってない卵なのだが、見ていて不気味極まりない。

「いやああああ、これいやあああああっ!!」
「ほ、ほら、最初に食べるのはお前なんだろう?が、がぶっといっちまえ!!」
「やあああああああっ、これだけはいやああああああああああっ!!」
「大丈夫だって、多分見た目だと思うし、おいしい?はずだから!!」
「いやああああああ、ちょっと疑問系なのがいやああああああああっ!!」

 泣いて駄々こねる妹紅をなだめすかして落ち着かせ、何とか試食が出来るような精神状態に持ってこさせられたのはそれから30分後のことである。
 泣きながらオムレツからこぼれた汁をすくい、口元まで持っていく。

「うっうっうっ、い、いくよー……」
「おう、一気に行っちまえー!!」

 ずるる……

 食べると言うより飲む、そんな感覚のオムレツ。無論こんなオムレツは長年生きていても初体験の妹紅。口いっぱいに広がっていくこの不自然すぎる辛さも未体験ゾーン。顔が真っ赤になっていく。水をひったくる。一杯では足りず、二杯、三杯。それでも足りず、咲夜の用意してくれた水差しの水をがぶ飲みする。

「か、辛い辛い辛い辛い辛い~~~~~~~~~~~~~~!!」
「えええええええええっ!?」
「といた生卵そのまま飲んでるみたいで気持ち悪いし、もう嫌、これ~~~~~~~!!もうオムレツは嫌~~~~~~~~~~!!金輪際卵料理は嫌~~~~~~~~~~!!」
(そこまで!?)
「ま、まあ、こういうこともあるわよ」

 とか何とか言いつつも、パチュリーは内心の動揺を抑えきれず、そっぽを向いて、冷や汗をだらだら流している。

「そ、そんなにすごいのかしら?どれ、わたしもちょっと一口……」

 怖いもの見たさで幽々子が口にオムレツを入れる。

「あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」

食堂全体に響く絶叫。口を半開きにし、これ以上は絶対無理と言わんばかりに、首を横に振る。たまらずトイレへ駆け込む幽々子。

「い、痛い……」
「な、何が痛いんだよ、胃袋か?」
「舌……」
「まじ?」
「まじまじ」

 しゃべりながら、幽々子は殺意すらこめられた視線をパチュリーに向けている。彼女はそ知らぬ顔でそれを受け流しているが、目はあわせてない。しかし、このオムレツはそれほど凶暴な味なのだろうか?奇妙な興味が魔理沙の中に渦巻く。

「ど、どれ、ちょっとだけ……」
「あ、馬鹿……」

 止める時間があればこそ。魔理沙は口にオムレツからこぼれた汁をすする。
 一口目はかろうじて卵の甘さがあった。が、次の瞬間、猛烈な辛さが舌を刺す。それはどちらかと言うと、辛さというより痛さ。たとえるなら、見えない針をいきなり口の中にぶち込まれたかのような、そんなどぎつい辛さが、口全体を支配する。思わず口をあけ、空気を取り入れて、口の中を冷やして、少しでも辛さを抑えようとする。しかし、辛さは静まらない。むしろ空気を入れれば入れるほど辛さが舌を刺激して痛い。
 これ以上この物体を口に入れるのは危険、魔理沙の灰色の脳はそう判断した。全神経を口の物体を吐き出すためのプロセスに以降。猛ダッシュ。

「だから言ったのに……」
「く、口がすごい痛いぜ……」
「しくしくしく、卵怖い卵怖い……」
「ま、まあ、過ぎたことは仕方ないわ。でも、そっちのスープはきっと口に合うと思うわよ」
「えぐえぐえぐ、ほんと?」
「ええ、魔理沙の健康を考えて作ったからきっとおいしいと思うわよ」
「ほんと?ほんと?じゃ、じゃあ……」

 妹紅はスープを近くに持ってくる。
 すると、つーん、と鼻に強烈な異臭が突き抜けた。それは他の二人も同じようで、一斉に鼻を抑える。

「く、臭っ、なにこれ!?」
「何って、ただのスープでしょ?」
「違うわあああああ、スープはこんな臭いするもんか!!」
「か、身体の健康を考えたら、このぐらいの臭いはするでしょう。それに、ひどい臭いでも、おいしい果物だってあるじゃない」
「たとえが遠いわああああ!!こんなスープを飲んで健康になるぐらいなら、薬だけで毎日を生き抜いたほうがよっぽど健康的だわ!!」
「し、失礼ね、わたしだって、毎日このスープを飲んで健康に……」
『嘘つけえええええええええええええええ!!!』
「ほ、本当よ。わかったわ、証拠を見せましょう」

 パチュリー、スープを口にまで持っていく。

「あ、ほんとに臭い……」
『おいいいいいいっ、食う前に不安にさせること言うなよおおおおおお!!』
「い、今のは演技よ、見てなさい……」

 パチュリーはスプーンのスープをひとすすり……

「…………まずっ」
『おいいいいいいいいいいっ!!』
「じょ、冗談よ、これならご飯三杯は余裕で食べられるわよ」
(嘘つけ!顔が真っ赤だろうが!!)
(しかも、なんか変な汗かいてるし!!)
「さ、わたしがおいしいと言うんだから、文句はないでしょう?さあ、好きなだけどうぞ」
『嫌じゃあああああああああ!!』

 それでも、パチュリーの食え食えコールは止まらない。三人は泣きながらじゃんけんで決めようと話し合った。

「い、いくぞー、じゃんけん……」
『ぽん!!』

 負けたのは魔理沙。

「うわあああああああああっ!!」
「アデュー、魔理沙、何年先かわからないけど、地獄で会いましょう」
「お前、行く気全くないだろうが!!」
「今なら白玉楼の椿がいいわよ~、死んだらわたしのところにいらっしゃ~い」
「やだああああ、わたしを誘わないでええええ、死ぬと決め付けないでええええ!!」
「そういわないで、三人で食べればいいんじゃない?そうすれば、万事丸く収まるわよ」
「おお、それは名案!!」
「やあああああああああああ!!」
「NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!」
「さ、遠慮せずにがぶっと」
『いやだああああああああああああああああああああああああああ!!』

 パチュリーの親身な(?)説得により、三人仲良くスープをいただくことになり、涙を流しながら、スープをすくう三人。

「うう、しくしく、死にたくないよお……」
「えぐえぐ、こんなくだらないことで泣きたくなかったよお……」
「ぐすん、妖夢、何かのときはお屋敷のことはお願いね……」

 遺言ともとれなくない、縁起でもないことを口走りつつ、三人はスプーンを口にまで持っていく。酢の臭いとも、スパイスの臭いとも判別がつかない異臭が鼻を突き刺す。

「い、いくぞ、1、2、3で一気に行くぞ。せーの、1、2……」
『3!!』

 三人ほぼ同時に口の中にスープをほおばる。

「うげっ……」
「~~~~~~~!!」
「…………………………!!!」

 三人それぞれ声にならない叫びを上げる。酢のきつい酸味、スパイスのきつい辛さ、それらが生み出す口の中にいつまでも残る臭さ。それが三位一体となって口の中で大暴れ。
 3秒を待たず、三人の我慢が臨界点をオーバー。三人仲良くぞろぞろとトイレ行き。

「まあ、当然よね……」

 食堂から出て行く三人を見送りつつ、パチュリーは誰にも聞こえない小さな声でポツリとつぶやいた。



「というわけで、全員の審査が終わったわけだけど……」
「あー?」

 アリスの言葉に、キレ気味(てゆーかキレてる)の口調で答え、にらみつける妹紅。

「聞くまでもないと思うけど……?」
「う……」

 しゅんとなるアリス。それは他の二人も同じだったようで、気まずい雰囲気が食堂を満たしていく。

「…………」

 魔理沙はちょっと考え事をしているのか難しい顔をしている。しばらく眉を寄せ、ふと、眉が緩んだ。

「咲夜、厨房、借りるぜ」
「は?ちょ、ちょっと、何するのよ」
「何をする?厨房ですることといったら料理しかないだろうが」
「……?」

 そう言うと、咲夜の許可も待たずに、勝手に厨房へ入っていく魔理沙。この辺は相変わらずというか、なんと言うか。

「はー……」

 深いため息。今日はため息が多い日だ、なんだか、老けるのが早くなりそうだ。咲夜はそんなことを考えた。



 厨房。

「よし、機材も材料も一通りはそろってるな……」

 満足げに頷く魔理沙。
 ぐっと、袖をまくる。その手には卵が握られている。

「よし!」



「魔理沙は何してるのかしら……?」
「さあ、何してるのか知ったこっちゃないけどね」

 そっけなく答えた妹紅だが、内心興味がないわけではなかった。が、どうせまたくそまずいもの作ってんだろうな、と思うと、興味もわかなかった。そういや、今日はあいつに上手いもの食わせるとか言って騙されたんだよなあ、と思い出して、妹紅はちょっとどころかかなりむかついた。

「すまん、待たせた」

 魔理沙が厨房から出てくる。その手には皿を乗せている。

「やー、さすが紅魔館だ、いい食材がそろってるぜ」
「当然」

 咲夜が自慢げに胸をそらす。

「つーわけで、ちょっとした口直しだ。まあ、それなりに味は保証する」
「あ……」

 魔理沙が作ったのはアリスたちと同じくオムレツだった。
 しかし、皿から、さっきまでの恐怖料理の臭いとは違う、卵のいい匂いが漂う。見た目もラグビーボールのような綺麗な形、つやもいい。横に添えたパセリが、皿全体の彩を添える。

「やばい、おいしそう……」

 妹紅はスプーンでオムレツの端っこをすくい、口に運んでいく。

「ああ……」

 妹紅の顔がだらしなく緩む。恍惚として、心からこの料理を味わっている、そんな幸せそうな顔。

「おいしい……」
「あら、ほんとおいしそう……」

 たまらず、幽々子も一口。卵の甘さを引き立て、そして舌で溶けるほどよいやわらかさ。火加減、食感、味、すべてが完璧。

「ふ……妖夢でも、これ以上のものはそうそう作れないわね……見事だわ」
「恐れ入るぜ」

 ちょっと誇らしげに胸をそらす魔理沙。

「どうだ、最後の最後にいいもん食えただろう?」
「うん、悔しいけど、認めるわ……」
「あの……」

 おずおずとアリスが前に出る。

「そのオムレツ、食べてもいいかしら?」
「ん、別に構わないぜ、どうせ材料はこいつの家から出るんだし」
「こらこら、後で実費取るわよ」
「どれどれ……」

 アリスも口の中に魔理沙のオムレツをほおばる。自分の作ったものとは雲泥の差なのは歴然。何口でも食べていたいと思える、そんな料理だった。

「おいしい……これ以上言葉にならない……」
「そ、そうか?そこまで言われると照れるぜ」
「……うん、そうだわ……そうしよう……」
「???」
「魔理沙」
「お、おう」

 アリスの真剣なまなざしで見つめられ、魔理沙はちょっとたじろぐ。アリスは深呼吸をして真剣そのものの声でこういった。

「わたしに料理の作り方を教えて!!」
「な、なにい!?」
「お願い、こんな料理を作ってみたいの!!自分に料理の腕前がないことはわかるわ。でも、教えて!!お願い!」
「おーおー、熱いねえ」
「せっかくだから、親切に教えてあげればいいんじゃない?手取り足取り」
「お前ら人事と思って煽ってんじゃない!!」
「ちょっと待ちなさい、魔理沙、わたしにも料理を教えて!今日は失敗したけど、次は必ずおいしいものを作るから!!」
「ちょっと待て、なぜパチュリーまで!!」
「あ、仲間はずれはずるいぞ。魔理沙、わたしにも料理教えてよ」
「ふ、フランまで!!おい、咲夜、妹様の教育はお前の仕事じゃないのか!?」
「あら、妹様は今年で495歳よ、わたしが教えてあげられることなんて、何もないわ」
「き、汚ねえ、そんなのありか!?」
「魔理沙!!」
「魔理沙」
「魔理沙~」
『わたしに料理教えて!!』
「勘弁してくれ……」

 三人の懇願に魔理沙は泣きそうな声でつぶやいた。
やっとこ完結です。
料理食ったときのリアクションは割と、とゆーか、まるきり「愛エプ」を参照してます。もうちょっと漫画的な表現でもよかったんですが、あれのリアルなリアクションのほうが面白かったので。
三人の料理のど下手加減は、どうでしょうかね。パチェの料理(オムレツ)は作るのは不可能だと思いますけどね。作られても食う気はしないけど(笑)。ちなみに、三人のイメージは○花、堀○○り、イ○○ンの爆弾料理人のつもりです。誰が誰とは言いませんけど。
さて、これを最後まで読んでくださった皆さんに質問です。三人の料理、誰でもいいから食ってみたいという勇者はいませんか……?
奈々氏の妖怪
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.2070簡易評価
15.100削除
頑張れ魔理沙。一応全員君には素直だから、懇切丁寧に根気よく一から十まで0.1刻みで教えていけば、まぁ食えなくはないものが作れるようになるさ。
たぶん。
24.100所属不明削除
頑張れ魔理沙。
魔理沙頑張れ。
31.90霊万手韻削除
ぅァっァ嗚呼アァァァァあっァあアァ・・・・・・魔理沙・・・
いや、最早語るまい。

>「やだああああ、わたしを誘わないでええええ、死ぬと決め付けないでええええ!!」
の魔理沙に萌えた自分って・・・orz

>三人の料理、誰でもいいから食ってみたい
妹様の炭でよければ・・・・・・、す、スープ付き!?あ待ってやっぱなかtt(ブツ!