Coolier - 新生・東方創想話

魁!!東方塾 不敵な新聞記者の巻

2006/01/06 02:39:40
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(最後のほうに文化帖ネタバレちょっとだけ有り。)


ある日の幻想郷。
湖の近くに生えた一本の木の下で、数人(人ではないが)の妖怪が集まって話していた。

「なにーっ!?幻想郷で一番強いのはだれだってーっ!!」

話の中心にいるのは、伝統の幻想ブン屋、射命丸 文。

「それはいい質問ですね。わたしは幻想郷のことならなんでも知ってますからね」
「そーなのかー」
「知らなくていいことまで知ってそうで怖いけど」

文を取り囲むようにして話に参加しているのは、宵闇の妖怪に、湖の氷精、そして…

「それでそれで!?誰が一番強いの?」

先ほどからずっと文の話を興味深げに聞いていた黒猫である。

「そうね、誰か一人が最強って決めるのは難しいけど、思い当たる人妖を挙げていきますかね」
「まあ、一番に名前が挙がるのはあたいよね。そもそも目の前にいるし」
「そーなのかー」
「そーなのかー」
「そーなのかー」
「流すのかー…しかもみんな一様に目をそらしながら…いいもん、どうせあたいはザコ妖精よ…」

氷精は地面にのの字を書き始め、他三人はそらした視線を再び彼女に戻すことなく話を再開する。





「まずはなんたって楽園の素敵な巫女・博麗霊夢よ!!この幻想郷で起こった数々の異変を解決し、
腕はもちろん仲間からの信頼も厚く、この人に並ぶものはいません!!」

大げさに両手を広げながら、熱弁をふるう文。

「そして続くは普通の黒魔術少女・霧雨魔理沙!!魔砲を撃ったら天下無双の腕前だあっ!!」
「昼間は苦手だが、レミリア、フランドールのスカーレット姉妹もそれはそれは強い!!
特に新月の夜のかわいさには敵でも魅せられちゃうって話ですよ!」

文が身振り手振りを交えつつ披露する幻想郷の強者列伝に、ルーミアと橙は目を輝かせて聞き入っている。
この辺り、普段から苦心して人を惹きつける文章を考えている新聞記者の面目躍如といったところか。

「おっと、忘れちゃいけないのが、幽々子・妖夢の冥界組!まだ永夜異変でささった小骨が抜けず
療養中だが、その弾幕と強さはハンパじゃない!!」
「そーなのかー!!」
「ルーミア、さっきからそれしか言ってなくない?」

文の話は続いていく。





「完全で瀟洒なメイド・十六夜咲夜もそりゃすごい!時間をとめて放たれるナイフは百発百中、
この世に仕留められぬ敵無しという凄腕よーっ!」
「そういや保健所に連れて行かれそうになったっけ」
「…保健所って何?」

その後もこの界隈に住むものならば誰でも知っているような強豪の名が挙げられていく。
強力な精霊魔法を使う七曜の魔女。
密と疎を自在に操る鬼。
月の頭脳とうたわれた天才薬師。
境界を弄ぶ最強の妖怪と、その式。

「すごいなあ~、わたしも霊夢みたいに強くなりたい」
「橙は八雲藍の式なんだから、藍を目指しなよ」
「よーし、じゃあ義理で藍さまを目標にがんばるぞー!!」

本人が聞いたらマジ泣きしそうな会話を橙とルーミアが繰り広げる一方で、チルノが地面に書き続けた
「の」の字が二百個を超えていたのは、また別の話。
とにかく射命丸 文プレゼンツ・幻想郷最強少女データファイル(仮)は否が応にも盛り上がっていく。 




そんな三人と一人を、物陰からこっそりと見つめる人影が二つ。

「な、なによ、も、もこたん!い、いつまでたってもわたし達の名前が出て来ないじゃない」
「………」

蓬莱山輝夜と藤原妹紅、いわずと知れた永夜抄ラスボス&エキストラボス。
しかし二人は今、その「いわずと知れた」という点に若干の不安を抱きつつあった。
すなわち、幻想郷一の情報通が「最強は誰か」という話の中で自分達の名前を出さないことに、
焦りと苛立ちを覚えているのである。

(なぜ!?この美貌とカリスマ、そして不死身の肉体を兼ね備える地上最強のヒロイン・蓬莱山輝夜が…)
(話題にすらされない!?鳳凰の翼と過酷な運命を背負い、幾千の時を生きてきた薄幸の美少女!
ポケットに入れた手が一見やさぐれたオーラを醸し出しつつも、そんなクールでスレた表面に隠さ
れた儚い心と悠久の孤独に一旦気付いてしまったらもう放っておけないくらいのいじらしさを感じ
ずにいられないという二面性がとっても素敵!涙の数だけリザレクション、這い上がるたび強くな
るグラスハートはお嬢ちゃんのトラウマになっちゃうぞ(はぁと)なもんぺ美少女・藤原妹紅が!!)
「いや、モノローグ長いから!つーかそんなセールスポイントで売ってるつもりだったのもこたん!
そもそも強さと関係ない気が」
「う、うるさいなあ!!だいたいなんでわたしの思考を読んでるのよあんたは!!」

こうして言い争いをしている間にも文の話は進み、二人の名前は当然のように出てこない。

「とにかくあのブン屋になんとかしてわたし達のことを思いださせるのよ!
このまま埋もれてくなんて蓬莱人の名折れ!」
「永琳は出てきたのになあ。その時点で主のわたしも思い出してくれていいのに…しくしく」

月を見上げるわけでもなく涙にくれるかぐや姫を尻目に、妹紅は木の陰から文に声をかける。

「ちょ、ちょっとおとりこみ中だけどさ」
「あーん!?」

熱弁をふるっていたところに水を差され、いささか機嫌悪そうに応答する文。

「も、もっと強いのを忘れてないかしら……!!」
「ほ、ほら、強くてかわいくてカリスマがあって……」

先ほどまで泣いていた輝夜の声も加わる。

「もっと強い奴……!?ああーっ!!肝心なのを忘れてましたーっ!」

この射命丸一生の不覚!と言わんばかりの表情で頭を抱える。

「や、やった~~っ!!」
「そ、それよーっ!そいつの名はーっ!」

思わず木の陰から飛び出して文に詰め寄る二人。橙とルーミアも期待に目を輝かせる。

「ジャッジメント映姫~っ!この人の説教をくらったら地獄の底までぶっ飛んでいくって話ですよーっ!」
「そーなのかー!!」
「そーなのかー!!」
「そーなのかー!!」
「って輝夜!!なにあんたも一緒に感心してんのよ!!」

妹紅は輝夜の頭をひっぱたくと、文に向き直る。

「ちょっとあんた、ふざけてるの!藤原妹紅、蓬莱山輝夜、この二人の名を知らないってのーっ!」
「妹紅、輝夜…!?あのもこてる~~!?アッハハハ、あれはただの饅頭怖いとひきこもりニート!!
何やっても死なないってだけが取り柄のネタキャラよ!!」
「まっ、饅頭怖い!!」
「ひ、ひきこもりニート………」
「「ネタキャラ!?」」

二人は顔を見合わせながらわなわなと震える。

「キャラ選択次第でわりと簡単に安地つくれちゃうしね」
「どう見たって従者のほうがカリスマも実力もあるし」
「人気もね」

橙とルーミア、そしていつの間にか立ち直っていたチルノの言葉が、二人のハートに深く突き刺さる。

「まあ、二人セットでネタには事欠かないんで、ある意味では最強なんでしょうけど」

肩をすくめる文。と、そこで突然周囲の雰囲気が変わった。





 
BGM 竹取飛翔―Lunatic Princess―
BGM 月まで届け、不死の煙
((同時に流すのかよ!))




「あ…あれ?これは一たぶぃ!!?」

突然変わった空気に疑問を感じる間もなく、文を直撃する虹色の弾幕。
別方向からは間髪いれずに飛んでくる火の鳥。

「ぐえっ!!」

これも直撃。

「この鳥娘、ぶっ殺してやるわーっ!!」
「蓬莱人を馬鹿にした罪、とくと思い知りなさい!!それがあなたにできる善行よ!!」

空中からスペルカードを乱発しながら叫ぶ輝夜と妹紅。ついに堪忍袋の尾が切れたのだ。

「ま、まさかあんた等は~~~っ!!」

瀕死の重傷を負いながらついに自分を攻撃した相手に気付く文。
つーか今まで気付いてなかったんかい。

「む、むきーっ!!な、なんですってーっ!あんただとこのガキゃあーっ!!」
「カラス天狗風情が、あんたなんか新撰組にやられて宇宙に帰れー!!」
「ひいいいいぃぃぃぃぃ!!す、すんません自分ぶっちゃけ調子乗ってました!!
こ、これお詫びのしるしにひよこ饅頭…」
「「いらんわ!!」」

その日、紅魔館近くの湖で大きな火柱がいくつも上がるのを、多数の妖怪が目撃したと言う。





「ねえ、あたい思うんだけど」
「え?」

たすけてえーりんとにゅーくれらっぷが流れてきた時点で湖から逃げだした橙、ルーミア、チルノ。
あの騒動から数日後、マヨヒガに集まった三人は、早朝に届いた新聞を囲んでいた。

「誰が一番強いか、ていう以前に、相性ってあると思うの」
「相性?」
「うん。だからお互いの強さに関係なく、ケンカを売っちゃいけない相手っているんだなあ、って」
「そーなのかー」
「珍しいね、チルノがそんなこと言うなんて」
「だってさあ…あのブン屋がケンカ売った相手って、まさにそんな感じじゃない?」
「…」
「…」

手元にあった新聞を見せながらチルノが発した言葉に、二人は黙らざるを得なかった。






『もこてる。新聞』 第百二十○季 霜月の四

紙面から
②「特集・無敵の蓬莱人の強さに迫る!」
④「藤原妹紅インタビュー・今年度ベストサスペンディスト受賞に寄せて」
⑦「輝夜姫様のカリスマインドアライフ・第2回(全13回)」

「竹林で今年度初の殺し愛」

 ○月○日10時頃、永遠亭近くの竹林で、今年に入って初めての殺し愛が行われた。
 去年と同様に、文字通り互いの死力を尽くして戦うのは容姿端麗にして頭脳明晰、さらに戦闘力抜
群、カリスマ溢れる優美な振る舞いで世の有象無象の上に君臨する我らがスーパーヒロインズ・蓬莱
山輝夜(月人)と藤原妹紅(人間)。
 互いに新作で披露された新スペルカードを披露し合い、観衆の度肝を抜いた。立ち合いの内容はい
つにも増して豪華絢爛・迫力満点、我々凡人妖の遥か上のレベルを行くバトルが繰り広げられ、観戦
していた妖怪の中には感動のあまりばんじゃいしちゃう者も多数見られた。
 結果は2R1分45秒、輝夜のTKO勝利。決まり手は文化帖で多くのシューター及びジョジョフ
ァンに衝撃を与えた「エイジャの赤石」。直撃を食らって跡形もなく消し飛んだ妹紅はカウント8で
リザレクションするも、セコンドのタオル投入によってTKO負けとなった。


(試合後のコメント)
輝夜「竹林のみなさん、こんにちわ!ほんとに今回、去年は死にましたけど、今年
   は絶対死にます!死にます!あ、死にません!でもね、応援してくれた皆さ
   ん本当にありがとうございました。あ、ああ、これから、早く帰りたいので
   、おー、なんだっけ、なんだっけ忘れちゃった(セコンドの八意永琳に何か
   言われて)うるせえよお前、ありがとうございましたー!!」

妹紅(試合終了後すぐに上白沢邸へ搬送されたためコメントなし)


 我がもこてる。新聞では今後も二人の動向を追っていく予定である。幻想郷に強者数あれど、彼女
達ほど優雅で可憐、それでいて勇壮であり、かつ知的で、巨大なカリスマを持ち、もちろん弾幕ごっ
こにおいてもその腕前は超一流という、天が二物も三物も与えた生まれながらのヒロインは存在しな
いであろう。わたしが言うんだから間違いない。
 もうホント、いやというほどその恐怖を味わったわたしが…というか現在進行形で味わっていると
言いますか…そもそもこんな妹紅&輝夜をひたすらマンセーし続けるだけのウソ記事を書き続けるこ
とに意味はあるのでしょうか?ハッ!いけない!つい本音がこぼれてしまった。これでは前回の二の
舞になってしまうわね。はいはいもこてるかわいいよもこてる。
 はぁ…新聞のタイトルまで変えて、こんなことやったって人気もカリスマも上がらないっての…
「これから少なくとも一ヶ月、わたしらの人気と知名度を上げるのに協力しなさい!」だなんて、
無茶苦茶な、ねえ。さて、今回はこんなもんにしときますかね。ま、こんだけ讃えときゃあのバカコ
ンビも文句はないでしょ。ここで陰口叩いたってわかんないだろーし。いや、そんな! あの翼は何
だ! 窓に! 窓に!
                                      
                                      (射命丸 文) 



初投稿です。文字数の調整って難しいですね。
それはそうとまあ、元ネタはタイトル通りのアレです。ほとんど原型ない上に、他作品のネタ色々ですが。
最初「よし!門板の名場面スレに投稿しよう」→長くなった→「う~ん、じゃあ投稿するまでもないSSスレに投稿だ!」→さらに長くなった→「プチ行くか!!」→さらに以下略→今に至ります。
まあ楽しんで読んでいただけたら幸いです。感想などお待ちしております。

P.S.てるよの試合後のコメントは大晦日のボビー・オロゴンです。
ぐい井戸・御簾田
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コメント



0.2540簡易評価
7.80名前が無い程度の能力削除
す、すいません。メチャ面白かったんスけど「にゅーくれらっぷ」てなんですか。
もォ気になって気になって。
10.90名前が無い程度の能力削除
>にゅーくれらっぷ
月まで届け~の出だしがそう聞こえるからかと
「亡き王女の為のセプテット」が「黒飴なめなめ」に聞こえるとかも聞いたような覚えが
13.無評価名前が無い程度の能力削除
↓ありがとうございます。これでやっと眠れる・・・
咲夜さんそろそろ布団敷いt(殺人ドール)
15.90がっでむ削除
よりにもよって富樫と虎丸にー!!

ベストサスペンディストとか、あちこちで笑わせていただきました。GJです!
21.90削除
>永夜異変でささった小骨
ちょwww1.5弾前wwwwww
31.100名前が無い程度の能力削除
やばいw脳内で竹取と不死の煙が凄くマッチしてるwww
デュアルミュージックをありがとう
38.90名前が無い程度の能力削除
ちぇ、橙ー!?義理って!スラダンネタかな?
テンポが良くて面白かったです。
42.80A削除
グローリー・ノーサイド・ゴング…俺の好きな言葉だ。
43.90鋼鉄人削除
最後のラヴクラフトのダゴンねたで倒れましたw