真夜中の紅魔館の廊下では、十六夜咲夜が戸締まり等の点検を行っていた。本来吸血鬼は夜行性だが、レミリアとフランドールは夜眠り朝に起きる人間に似た生活になった。そのため、真夜中の夜は毎晩点検を行っている。
(幻想郷に来て、毎日が充実したのよね。あの白黒の襲撃は勘弁だけど…)
点検作業を終えると、門の方で気配を感じたので、外に出てみる。紅美鈴が立ち寝していたのだ。こんな真夜中まで門番の仕事をしていたようだ。
(寝てるわね。起こそうかしら…幾ら妖怪でも、風邪は引かないかしら…)
少し考えて、美鈴を起こすことにした。
「美鈴。起きなさい…風邪引くわよ。」
「ん…?咲夜さん?どうしてここに?」
美鈴は起きて、咲夜が門にいるので、疑問に思っている。聞かれたので、咲夜は懐中時計の蓋を開けて、今現在の時刻を美鈴に見せる。
「こんな時間でしたか…そろそろ、寝ないとダメですね。」
大きな欠伸をすると、体を動かして音が鳴った。少し肩凝りが酷いらしい。
「私の部屋に来なさい。眠れるように、ハーブティーを持ってくるわ。」
「ありがとうございます。」
咲夜は厨房でハーブティーの準備をしてから、美鈴が待つ自室に持っていくと、妖精メイドの1人が満月を眺めていた。
「貴女。こんな真夜中にどうしたの?」
「咲夜さん…眠れなくて…」
「私の部屋に来なさい。美鈴と一緒にハーブティーを飲むわよ。」
「良いんですか?」
「私が誘ってるんだから、言いも悪いもないわ。」
咲夜と妖精メイドは美鈴が待つ部屋に向かった。中に入ると美鈴が待ちくたびれたのか、ベットで寝転んでいた。
「持ってきたから、起きなさい。」
「……あ、咲夜さん。すみません。」
「謝ることでもないわ。ハーブティー持ってきたから。ほら、貴女も来なさい。」
咲夜、美鈴、妖精メイドの3人のお茶会が始まった。
「このハーブティー美味しいです。」
「パチュリー様が栽培してるハーブよ。少し分けてもらったのよ。魔法薬の材料に使う予定だったけど、いらないからって。」
「パチュリー様の!?大丈夫なのでしょうか?」
「大丈夫。私が最初に飲んで確かめたから。」
「そうですか?」
メイド妖精と咲夜が毒味したと聞いて、心配したが問題ないようなので、安心した。
「問題なかったわよ。その後、1週間くらい記憶が消えたけどね。」
「それは大丈夫じゃないですよ!?」
「飲み干しちゃいましたよ!?」
「大丈夫。人間以外には効かないそうだから。」
「それは絶対大丈夫じゃありませんから!」
美鈴が咲夜を瞬時に気絶させて、気を失わせる。そのまま、咲夜を抱えると妖精メイドと一緒に部屋から出ていった。