Coolier - 新生・東方創想話

秘封倶楽部の飲み会

2022/05/01 03:56:26
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「メリー、貴方お酒好きだっけ?」
 お茶を取りに行った蓮子が冷蔵庫を漁りつつ、聞いてくる。
「あまり飲まないの、前に旧型酒で酔い潰れてからは一回も」
 お酒は嫌いではないが、オールドアダムでベロベロになって、翌朝蓮子の部屋で目覚めた時に禁酒を誓った。
「あらメリー。学生たる者、酔い潰れて介抱されるぐらいがいいのよ」
「いつの時代の話よ」
 蓮子は無視して冗談を飛ばす。
「新歓の季節のうちに飲んでおかないと」
「新歓なんてやったことないでしょ」
「いいから、私はメリーと飲みたいの」
 そう言うと、余所行きの支度を始めた。裏表ルートがどうとか、在庫がどうとかブツブツ呟いている。
「どこ行くの?」
「秘密よ」
「遅くなる?」
「すぐ帰るわ、貴方はいい感じのつまみでも用意してて」
 そう言って彼女は外に飛び出していった。


 私が買い出しを終えて家に帰ってくると、蓮子は既に飲みの準備を進めていた。
「遅いじゃない」
「貴方が早すぎるの」
「まあまあメリーさん、愚痴は飲みながら聞きますから」
「なにがまあまあよ」
 軽口を叩きつつも、蓮子はテキパキと用意を済ませる。テーブルには、見たことのない缶が並んでいる。
「なに飲むのかわからないから、いろいろ買ってきたけど」
 蓮子が待っていましたと言わんばかりに、袋を覗きこむ。
「餃子に唐揚げに枝豆……いいじゃない」
「お眼鏡に適ったようで」
「でもローストビーフとチーズは高すぎるね、ワインの時まで取っておきましょう」
 それらを冷蔵庫に入れに行くついでに、疑問をぶつける。
「それで今日のお酒は?」
 缶を指さす蓮子。その自信ありげな顔は普段以上だ。
「これよ」
「缶にお酒をねぇ」
「それもただの旧型酒じゃないの、かつての若者の必需品よ!」
 手渡されて確認してみるが、ラベルは剥がされて、アルミが剥き出しになっているだけだ。
「どう見ても怪しいのだけれど」
「裏表ルートのだからね、でも安全は保証するわ」
「本当に?」
「本当に。さっさと乾杯しちゃいましょう」


「乾杯!」
「乾杯……」
 恐る恐る口に運ぶ。

 それはとてもじゃないが、上品なお酒とは言えない味だった。
「これが半世紀前の若者のソーマよ」
 蓮子は自慢げだ。
「ソーマねぇ、これで安らかになれるかは疑問だわ」
「これに頼るしかない時もあるの」
 彼女にこの酒が必要になる時などあるのか、そんな疑問に四分の一だけ満足の回答が与えられる。
「一年中お世話になった時もあったのよ」
「へぇ、どうして?」
「色々あったの」
 何か思いついたかのような表情を見せて続ける。
「もっと酔ったら教えてあげる」
 そう言われてしまえば酔うしかないだろう。
「おっ、良い飲みっぷりね」
 アルミ缶は空になった。
「貴方の秘密を知りたいの」
「簡単じゃないわよ」
 彼女も一気に飲み干す。顔はちっとも赤くなっていない。
 そうして二本目が開いた。


 目が覚める。頭がズキズキと痛む。久し振りに夢を見なかった。顔を上げてみると、空になった皿の上に缶が転がっている。
 その向こうでは蓮子が机に突っ伏していた。結局蓮子の話は分からなかった。飲み比べに負けたのかもしれないし、勝ったがそのまま忘れてしまったのかもしれない。

「聞かなきゃいけないこと、また増えたわね」
よろしくお願いします。
夢魂
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コメント



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1.80名前が無い程度の能力削除
ダメだ。こののんべえども
2.90奇声を発する程度の能力削除
良かったです
4.100名前が無い程度の能力削除
酔ってべろべろになる秘封はかわいいですね
7.100南条削除
面白かったです
ストロングゼロかな?