【八雲紫のプロジェクト(仮)】の続きです。
あの企画発表から一か月後。企画実現のために、交渉先に向かう準備をする藍。手土産を持って、最初の交渉先に向かった。
最初の交渉先は、河童だ。とある洞窟に到着した藍は、河童が出てくるのを待つ。数分後。河童の集団が洞窟から出てきた。
「疲れた…!?妖怪賢者様の式がどうしてここに!?」
藍の姿を見て、河城にとりに怯えられている。他の河童達からも藍を危険視している。
「待ってくれ!?私は紫様の代理できた。河城にとりに依頼しに来た。」
「代理?私に依頼しに来たの?」
藍は手土産の胡瓜の詰め合わせをにとりに見せる。すると、目を輝かせながら胡瓜を見ている。
「胡瓜!」
「この胡瓜の詰め合わせを手土産に持ってきた。他の河童の分もあるからな。」
「依頼の話だったね。」
すっかり上機嫌になったにとりは、仕事モードに入る。藍は紫の企画の説明をして、依頼を受けてくれるかどうか交渉する。
「予算は大丈夫?開発とか人件費…その他諸々。」
「予算はこのくらいだ。」
企画予算案の書類をにとりに見せる。書類を見て、電卓で計算する。
「……この部品は…機械は…うん。大丈夫かな。」
「依頼は?」
「今の現状なら依頼を受けれるよ。だけど…建設場所が問題だね。人里なのか…」
「この企画に人里は、外せないらしい。紫様も人里が無理の場合は、別の場所を考えるらしいが…」
にとりは他の河童と話し合いを始める。土地の広さ、建設期間を話し合っている。
「依頼を受けよう。但し、これは仮契約だよ。全てが決まるまでは保留させてもらう。」
「感謝する。」
河城にとりへの依頼は成功したが、建設場所が決まるまでは、保留となった。
マヨヒガ
「河城にとりからは、依頼は受けるが、場所が決まるまでは保留とのことです。」
「やっぱり、人里は無理があったかしら?別の候補も考えておくから、鬼に交渉お願いね。」
「畏まりました…紫様。」
鬼の伊吹萃香に交渉するために、探しているが中々見つからない。萃香は幻想郷の各地を行ったり来たりしているので、見つけるのは容易ではない。
「何処にもいないな。」
「藍じゃないか!久し振りだね~」
目の前に、伊吹萃香が現れた。藍は今も酒を飲んでいる萃香を止めて、依頼を頼むことに。
「萃香殿。紫様の代理で依頼をお願いしたい。」
「紫の?何の依頼なんだい?」
「紫様が企画で、人里に妖怪屋敷を建設したいと…」
「人里に妖怪屋敷。鬼に建設をやらせようと企んでいるのか?今の鬼の事情を知っている上でか!」
萃香は酔いを覚まし、藍を睨みながら近付いていく。
「勿論だ。この企画を通じて妖怪が、人里で生活出来るようにしたい。紫様はその考えの上で、無理を承知でこの企画を考えたんだ!」
「その発言に嘘は無いんだろうね…九尾の狐。」
「嘘は言わないさ。幻想郷は紫様の創造した楽園だ。
その未来のためにやってることなんだ!」
「……良いよ。藍のその発言に信用して協力するよ。だが、人里の問題を解決するのが先なんじゃないのか?霊夢が許可するとは思えないけどね。」
「そうなったら、博麗神社で開催するしかない。決まり次第、話させてもらうよ。」
萃香は藍をまた一瞬睨んだが、何かを考えてそのまま姿を消した。藍は博麗神社に行く前に、人里に交渉に向かうため、上白沢慧音の家に向かった。
「八雲の式じゃないか。」
「紫様の代理で交渉に来た。」
「交渉…人里に関係あることか?」
「紫様が人里に妖怪屋敷を建設したいと…」
「…………黙れ!人里に妖怪屋敷だと!?認めれるわけが無いだろう!」
慧音は凄い剣幕で、藍を睨み付ける。更には、満月も出ていないのに角が出てきた。怒るのも無理はない。人里に妖怪屋敷を建設したいと言われれば、人里に住んでいる者ならば怒るだろう。
「博麗神社に妖怪屋敷を建設して、人里の人間をお客としてなら考える。たがな…人里に妖怪屋敷を建設するのは、大問題だとわからんのか!?」
「妖怪達が人里で生活出来るように…」
「私のような半獣が、人里の人間に信頼を得るのに…どのくらい年数が必要だったのか…八雲の式…わかってるだろ!?」
「だが…」
「それ以前に、人里内で堂々と妖怪屋敷を建設するつもりだったのか!?妖怪が人里の出入りするのは文句は言わない。問題を起こさなければな。建設は大問題だ!頭を冷やせ!」
藍は出ていく。交渉は失敗した。
「紫様…申し訳ありません。」
「大丈夫よ。建設候補は博麗神社にするわよ。霊夢に交渉してきなさい。人里内に建設は失敗する可能性があったからね。」
「よろしいのですか?」
「妖怪屋敷の企画が失敗したわけじゃない。シャキッとしなさい…八雲藍!」
「畏まりました!紫様。」
「スキマ妖怪と狐妖怪。何を企んでいるのか説明してもらうわよ…」
博麗霊夢が紫と藍の目の前に現れた。
「霊夢!?どうしてここに!?」
「慧音と萃香に教えてもらったのよ。人里に妖怪屋敷建設計画をしている妖怪がいると。」
「人里では建設しないわ。博麗神社に建設させてほしいのよ。」
霊夢に企画と建設理由を詳しく説明する。
「妖怪神社と言われてるのに、妖怪屋敷?でも、紫がこの計画をする理由は、理解できない訳じゃないわ。」
「なら…」
「人里の人間を客として呼ぶためよね。妖怪の候補は誰なの?」
藍が候補者リストを霊夢に見せる。
「橙、あうん、お燐の方はわかるけど…藍とマミゾウね。」
「どうかしら?」
「難しくない?」
「そうだな霊夢。紫様…やっぱり狸とコンビは…」
藍はやはりマミゾウとは、組みたくないようだ。
「仕方ないわね。霊夢。博麗神社にダメかしら?」
「わかったわ。その代わり、場所代は払ってよ。売上金の一割は貰うわ。」
「え?良いのか霊夢!?」
藍は霊夢の取り分が少ないことに驚く。
「妖怪の藍が驚かないでよ!紫の企画した計画であって、私が考えたんじゃないんだから…取り分としては妥当でしょ。」
「………わかった。建設場所は博麗神社に決まった。残りの交渉に…」
「その交渉なら私がしておいたわよ。紅美鈴、お燐の二人には。参加を許可されたわ。」
「そうなんですか!」
「次は建設計画を進めましょう。今すぐは無理だから…一ヶ月後に。」
交渉は完了した。建設計画を進めることに…
難しい交渉に四苦八苦しながらも少しずつ計画を進めていく藍が素晴らしかったです
次の建設編が楽しみです