Coolier - 新生・東方創想話

恋と餅は冷める前に

2022/03/01 18:22:12
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「か、か、か、カチコミじゃーあ!」
 新年早々、仙界の冷たく澄んだ空気にひんやりしたキョンシーの叫びが響き渡る。今日も幻想郷は平常運転であった。
 もち、モチ、餅。
 見るだけで満腹になりそうな紅白餅の大群が神霊廟を襲ったのである。

『明けましておめでとうござァす! 新年のご挨拶に伺いやしたッ!』
 餅が一斉に喋った。いや、正確には紅白の紅い方のみがである。それが神霊廟の正門を占拠していたのだ。
「おめでとぅ! だが皆は……大事な儀礼の最中だ! 知らん奴を通すなと青娥に言われている。いや……知ってる奴も駄目だった気がする。だから終わるまで待てぇい!」
 宮古芳香は死後硬直して千年以上の腕を振り回し、歌舞伎のような大見得を切った。
 しかし、わざわざカチコミに来たモチが門の前で大人しく待つはずもない。そもそも食い意地の張っている芳香だから餅に見ただけで、実は半数が餅でも何でもなかったのである。
 そんな餅もどきで見えなかった最後尾から人影が姿を表した。打ち鳴らしたブーツの音を合図に紅白がざっと引くと、その道から堂々と最前列へと歩み出る。

「頸牙の組長、驪駒早鬼である。甲斐の黒駒として旧主へお会いしたく、遠路遥々地の底より参った。どうか豊聡耳殿に取り次いでいただきたい!」
 それは畜生界で覇を競う傑物の一人であった。オオカミ等の肉食獣が組の大部分を占め、力による支配を是とする頸牙組。その頂点に立つ畜生こそが黒天馬の早鬼だ。
 つまり、芳香が餅だと思っていた赤くフワフワした球体は全て、血の気が多い頸牙組の畜生霊達だったのだ。
 聖徳太子の愛馬だったという伝承の元に、早鬼は旧き飼い主の所へと還って来たのである。

「だめー」
「えっ?」
 しかし芳香は死体なのでお堅かった。
「毛ガニグミだか貝のマグロ胡麻だか知らんが、青娥が通すなと言ったら絶対なのだ! 大人しく待っててください」
「……いや、甲斐の黒駒だって伝えたらきっと通してくれるはずだ。とりあえず聞いてみてもらえません?」
「ならん。泣いて三個の馬鈴薯を切るという言葉を知っておるか? 賢人に会う為なら待つのも大事ですよ」
「む、むう。そういうものなの?」
『驪駒様、いろいろと間違ってますから』
 分厚いメガネをかけた犬霊が早鬼の横から声をかける。知性はサバンナに置いてきたと陰口を叩かれる頸牙組にも、一応インテリ系は居る。が、この様子では苦労も多そうである。
 さりとて待てと言われて素直に待っては畜生の沽券に関わるのだ。ましてや他ならぬ早鬼の旧主ではなく、その関係者に使役されている死体相手では尚更。彼らは何しろ暴力団中の暴力団であるので殺気立ち易く、組の若手からは早くも獣の唸り声が上がり始めていた。
「分かった分かった。ではここに居れば良いのだな?」
 いわゆる脳筋とは言え、早鬼も流石に組長である。組員から広がる不穏な空気を抑え込まんと直ちに動いた。
「うむ。それまでは私の詩でも聞いて待つといい。最近はヒップホップにハマっていて……」

「太・子・様ァ~~~~!!」

 その声はさながら大砲のような衝撃波を放った。
「私です! 甲斐の黒駒がここに居りますよォ~~~!!」
「バカモン! 近所迷惑じゃ!」
「一軒家だから問題無い! 太子様ァ~~!!」
 最初の武士のようなお硬い台詞はどこへやら。威厳を出すために練習した台本が通用しなければ、もう本人そのものの性質で勝負するしかない。今の彼女は組長ではなくアイドルのおっかけと呼ぶのが相応しかった。
『あの、驪駒様……流石にそれはどうかと』
「お前達も声を出せ! 一番声がデカかった奴には特別ボーナスだ!」
『太・子・様ァ~~~~!!!』
 幸いな事に彼らは単純であった。組員達の汚い野獣の咆哮までもが仙界を埋め尽くす。止めに入っていた先のメガネ犬霊は呆然とその惨状を眺めていた。

「せーがぁ~~~~~!!!! 不審者がいるぞお!!!!」
 芳香も負けじと主の召喚を試みた。一説にはピンク色の悪魔も一目置くと言われる大食い自慢のキョンシーはその肺活量も尋常ではなかった。畜生界一の声量を誇る早鬼ともタメを張れるレベルである。
「太子様ァ!!!」
「せーがぁ!!!」
 馬と芳香。馬鹿二匹。声の大きさで目的の相手が先に来た方の勝ち。誰もそんな事は言っていないが二人の間にそのような共通認識が芽生えていたのだった。不毛である。

「じゃかあしいわボケェ!!」

 力任せにぶっ叩かれたドラムのような衝撃が正門に轟いた。それは文字通り青天の霹靂。雷のような怒声と共に門をすっと通り抜けてきたのは、千と四百年を数える古の怨霊・蘇我屠自古であった。
「馬鹿みたいにでけぇ声出しやがって! おかげで負けただろうが馬鹿!」
 彼女の右頬には塗りたての『大』の字が墨汁で描かれていた。おそらく次の敗北で左に『根』が完成する予定だったのだろう。現に細い『木』が左頬に茂っている。
「……蘇我殿だ! 挨拶!」
『蘇我姐サン、あけましておめでとうございますッ!』
 組長の号令一下、荒くれ揃いのヤクザ衆が一斉に頭を垂れた。恐れ知らずの彼らにだって怖いものはある。例えばそれは畜生以下の存在に輪廻転生させられる事、それと蘇我の雷だ。怒った屠自古の恐ろしさは組長を通して頸牙組にも広まっているのだった。
「あ、ああ。おめでとう。新年の挨拶に来たのか? それにしてもこんなに大勢が勝手にどうやって……」
 屠自古の疑問は仙界という場所が理由だ。仙人の居住空間に何も知らない者が容易く入れては困る。迷路の解法を知っているか、あるいは中から招いて貰わねば入れないのに、仙人でもない下賎な畜生が大勢やってきては結界の綻びも心配である。

「何じゃ何じゃ、こんなにも霊魂がぞろぞろと!」
「私の予想ですとこれは只事ではございませんわ」
「うむ、この私でなくとも誰でもそう思うだろうね」

 こちらはこちらで残りのメンバーもぞろぞろと集まってきた。『あ』『ほ』の二文字が両の頬に揃った物部布都、『肉』の字が額で輝く豊聡耳神子、そして一人だけ無字のままな霍青娥の三人だ。
「太子さ……! もとい、豊聡耳殿! 頸牙組の驪駒早鬼、新年の御挨拶に参ったッ!」
『あけましておめでとうございますッッ!』
 再び放たれた割れんばかりの大声が神霊廟の主を圧倒する。
 本当なら我を忘れて抱きつきたい。そんな衝動を必死に抑え、早鬼は頸牙組の組長としての姿を全うした。
「ああ、おめでとう。足止めをさせたようですまないね。見ての通り取り込み中だったのだよ」
「はっ、しかしその御顔はいったい何が……」
「鍛練を積み重ねた己の体のみで戦う超人と同じ紋様だ。私もそうありたいという願掛けでね」
「な、なるほど……!」
 無論、神子の嘘である。青娥が用意した一つだけ分厚さの違うお年玉を巡って羽を突き合った結果が三人の現在だ。
 一回のミスで一筆、そして『大木』と『あほ』と『肉』の三者。結果は神子のリードで終わった。
「芳香も見張りご苦労様。急にこんなのが来て怖かったでしょう?」
「なんのなんの。あんまり煩いから踊り食いしようかと思ったわ!」
 青娥が肌も切れそうな空っ風で冷えた芳香の頬を両掌でこねくり回す。
 一応、部外者に神子の痴態は見せられないと配置された芳香であったが、畜生界相手なら問題ないだろう。変な曲解で言い広めないかは少々心配だが。
「……それより、この餅はいったいどうしたんだい。いや、勿論私への贈り物なのだろうが」
「おかげ様で此度の霊長園は豊作を迎えましてね。その出来を知っていただきたく餅にして参りました。ぜひ御堪能していただきたい!」
 大勢の畜生霊がそれぞれ餅を乗せて浮いている。霊の数だけ鏡餅だ。気が遠くなる量であった。
「そういえば、大結界の外では若者がご老人にお餅を贈る風習があるのですが、まさにそれでしょうか」
「老人に餅を、ですか? はあ、それはまた何と言うか、畜生の所業ですなあ」
 布都とて餅がどのような食べ物かは当然知っている。一説にはどこぞの疫病も裸足で逃げるほど日本人の命を奪ってきた恐怖の固形物だ。肉体的にはここに居る全員が少女そのものだが、生まれた年代から数えれば生きた化石と呼ぶのが相応しい面々である。
「地獄育ちの米で作った餅か……うむ、まあ、有り難くいただくよ。それにしてもどうやって此処まで来れたんだい」
「そう、私もそれが聞きたかったんだよ」
 先ほど遮られた屠自古の疑問を神子がそのまま復唱した。繰り返すがはっきり言って悪霊の部類に入る早鬼達が知らぬ間に入れるようでは大問題なのだ。
「ああ、剛欲同盟に饕餮って奴がいましてね。そいつと繋がりがある椅子の神にここへの扉を作れと迫ったらあっさりと。私と豊聡耳殿なら特別、との事だ」
「あーはいはい、摩多羅様ですか。なるほど、納得ですわ」
 青娥にしては珍しくストレートな呆れの表情を作った。後戸の能力であらゆる空間を支配できる秘神・摩多羅隠岐奈。千年以上眠っていた本人には知る由もないが、彼女も神子達とは並々ならぬ縁がある。そのおかげで大祀廟だってすんなりと幻想入り出来たのだから、隠岐奈の力なら確かに納得は出来る。それを神霊廟に無断でやってしまう事まで含めて、だが。
「摩多羅神か……うむ、それはまた後で話を付けるとしよう。とにかくよく来てくれた。少々手狭かもしれないが上がっていきなさい」
「……かたじけない! お前ら、整列ッ!」
『ハッ!』
 組員は慣れた動作で五列の縦隊を作り上げた。極道と言うより敵対している偶像の軍隊仕草そのものである。何度も相対している内に伝染ってしまったのだろうか。
 しかし神霊廟の内政を取り仕切る屠自古にとっては足を踏み入れる畜生達よりも一緒に搬入されていく餅が大問題だった。
「……あの餅は早めに処理していかんとな。それこそ要らん分は老人にでも押し付けとくか? 差し当たっては命蓮寺の若作りにでも」
「いやいや、八雲の隙間妖怪も捨てがたい。幻想郷に何かあったら大方奴が関わっているのじゃろう?」
「守矢神社も良いんじゃないかしら。地底で核実験を繰り返していると聞くし、万が一が起きる前に……」
 怨霊、放火魔、邪仙の三人が、自分を棚に上げまくって不穏な会話で盛り上がる。そしてこの異常事態に最初から付き合わされていた芳香は、ワープ出来るんだったら最初から神霊廟の中に飛べばいいのにと、ごもっともな感想を抱いて紅白の群れをぼんやり眺めるのであった。

 ◇

「──明けまして御目出度う御座います。今後は頸牙組共々宜しくお願いする」
「うむ。千年前の愛馬が一組織の長にまで上り詰めていたとは、たとえ地獄の話と言えど私の誇りである。よく頑張ったね、黒駒。おめでとう」
「……正月となると、私は御身を乗せて富士を越えたかつてを毎年思い出すのだ。畜生界でこのような姿に身を窶しても、貴方が私を見る目はあの頃と同じように暖かい。永い時を経て再会できた奇跡に感謝しよう」
 極道らしく、まるで切腹でも始まりそうな物々しい雰囲気での挨拶であった。そして早鬼を見つめる神子の目は暖かい──いや『生暖かい』と呼ぶのが相応しいだろうか。むしろそこで耐えているくらいである。
 何故かと言うと、普段は信者達の修行場として使う道場に牧場のような臭いが充満しているからだ。霊魂でも畜生界で切磋琢磨した強い者は実体まで得る。まして幻想郷という特異点からの影響も受けているのだ。つまり獣臭はするし毛は散るしノミも付く。
「……それはそうと早鬼ちゃん。貴方ってそんな堅苦しい喋り方だったかしら?」
「えっ?」
 青娥は臭気を追い払うように鼻の前で手をパタつかせた。こんな事なら昨今の流行りに倣ってマスク着用と消毒を徹底させるべきだったと思うが後悔先に立たずである。
「やめろ青娥。黒駒だって本当はヒンヒン鳴きたいのを堪えて組長らしく頑張ってんだぞ」
「いや蘇我殿、私は別に、そのようなアレでは」
 どのようなドレなのかは本人のみぞ知るところだが、少なくとも図星なのは間違いない。早鬼が最も尊敬する人物は聖徳太子、そして最も記憶する人間の声も聖徳太子だ。彼女にとって威厳のある立ち振る舞いとはすなわち神子そのものなのである。

『……驪駒様。今日ぐらい、羽目を外しても宜しいかと。そういえば畜生界を発つ前に酒樽もいくつか空にしてきたところでしょう?』
 メガネ犬がメガネの位置をくいと直しながらニヒルに笑む。
『ご心配なさらずともどんな驪駒様だってリスペクトですぜー!』
『変な事しても見なかったことにしますからー!』
『早鬼ちゃん素直になれよー!』
「お、お前達……」
 元々野良も多い頸牙組で死んでも飼い主の事を気にしているのは早鬼ぐらいである。本人が取り繕っていても早鬼が聖徳太子の夢女だなんて頸牙組では周知の事実。それでも組長のカリスマを維持できているのは早鬼がべらぼうに強いからだ。あるいは恋する乙女のパワーあればこそ最強の称号も得られたのかもしれない。
「あの、た、太子様……」
 早鬼は正座の状態から手を付いて前進した。つまり、生前のような四足歩行のハイハイ歩きで神子に近寄った。
「撫でて、くださいッ。あの頃のッ、ようにッ……!」
 早鬼はあっさりと誇りを捨てた。
 これが本当に馬なら良かったのだが、四つん這いの女がふんすふんすと鼻息荒げて撫でろと迫る、あまりにもあんまりな光景。されど神子は、厩戸王の誇りを持ってこれを迎え撃つのである。
「よ、よしよし。お前はいい子だね」
 手を頭の上へ、そこからポニーテールの垂れ下がる首筋へゆっくりと這わせていく。
「う、へへ。うぇっひひ、へ……」
 早鬼の顔から組長の威厳が消えた。さしずめウーパールーパーのように表情がゆるゆるだ。

──ウォッホオオオオオオオオオン!!

 なぜかオオカミ霊達が歓喜の遠吠えを上げる。彼らにはこれが感動の名場面に見えているのだろうか。
「あ、ああ。太子様はいかなる時でもなんと神々しい事か……屠自古もそう思うであろう?」
「布都……気持ちは理解できるがな、現実を見ろ」
 神霊廟のマッドドッグ、もとい忠犬に位置する布都も畜生達と同感になりたかったが、今の神子は気持ち悪いファンにも笑顔で対応するアイドルのそれである。かろうじて絵面が保たれているのは双方が美少女に分類できる顔だからに他ならない。
「……もう、良いか? 青娥ぁ、私は腹が減った!」
「あらあらはいはい。じゃあいただいたお餅でも焼いてもらおうかしら。ねえ屠自古さん」
「まあ焼くけどさ、言ったからにはお前も手伝えよな」
 花より団子、馬より餅だ。自分たちの世界で陶酔している畜生など芳香にはどうでもよかった。それよりも寒空の下で燃やしたエネルギーを補充しなければならない。
 早鬼はあろうことか神子の膝に頭を乗せる暴挙にまで及んでいたが、お前の馬なんだからお前が責任持てよと言わんばかりに見ないふりをして道場を後にする三人であった。
 一方、いくら元飼い馬とはいってもその特権をあまりに活用し過ぎな早鬼に、布都は一つだけどうしても言わなければならなかった。
「……黒駒、私と代わって」
「駄目だ! いくら物部殿と言えどこの座は渡せぬ!」
 ウーパールーパーが猛犬に変貌した。ここはもう私の臭いが染み付いているから絶対に明け渡さん。早鬼の顔がそう訴えている。
「ならば、我が畑のニンジンを三本やる。それでどうじゃ」
「そんな物でこの驪駒早鬼が釣られるとお思いか! だが、ううむ。五本なら……」
 しかし早鬼はやっぱり馬であった。
「私の膝枕はニンジン五本分か……」
 本人などお構いなしで太ももに頬をぐりぐり押し付ける早鬼を見下ろしつつ、神子は自分の価値を心に問いかけるのだった。
 ちなみに、ニンジン五本は馬基準でA5ランクのステーキに相当するとは早鬼の弁。人間基準しか持っていない神子には『だから何だ』である。

 ◇

 もち、モチ、餅。
 芳香と早鬼の目前に大量の焼き餅が積まれていた。
 横には一仕事やり終えてくたびれ顔の神霊廟一同。騒げれば何だって良い畜生霊は酒樽と共に転がって道場を惨状へと変えている。

「さあやって参りました、第一回焼き餅早食いコンテスト~。豊聡耳様からのご褒美を懸けた、負けられない戦いが、ここにはあるぅ~……で、宜しいですのよね?」
 青娥は床上でみかんを剥きながら投げやりな言葉を早鬼に向けた。
「宜しい。生意気な死体よ、門では付けられなかった勝敗を今ここで決しよう。良いな!?」
「何でも良し!」
 芳香は早鬼に目もくれず餅を睨みつけていた。基本の砂糖醤油か、あんこか、きな粉か。彼女の脳は餅をどのように美味く食べるかで処理能力を使い切っているのだ。

 それは神子の不用意な一言から始まった。
「我々も青娥から頂いたからね、芳香にも私からお年玉をあげよう」
──私には何も無いのに、こんな外様のキョンシーが太子様から直々にご褒美を?
 あまりにも聞き捨てならない言葉であった。早鬼の嫉妬心が獄炎のように燃え盛ってしまった。
「いや、前もって来ると知っていたら勿論準備したよ。黒駒の分もこの後用意するから待っていて……」
 しかし神子の言葉も馬の耳に念仏だった。いや、聞き逃すはずもないがあえて聞こえないフリをした。
 貰えるか貰えないかが重要ではない。今、目の前で、自分よりも先に神子の寵愛を受けるペットが居る。最強の称号を冠する彼女にはそれが許せなかった。二番では駄目なのだ。一番目が良いのである。なお、芳香は神子どころか青娥のペットでもないとの指摘は無駄である。

『本っ当に、驪駒様の為このような場を設けていただき恐縮で御座います……』
 メガネの白犬が神子の隣にお座りし、深々と一礼した。
「ああ、これはどうもご丁寧に……」
 あまりにも極道らしからぬ振る舞いに、神子ら豪族一同も思わず正座して礼を返す。
『改めまして、眼鏡だから実況解説をやれと仰せつかりました、白戸雪生丸です。お気軽にセツとお呼びください』
「うむ、改めて宜しくお願いする。実況解説と言っても、我々はただ餅を食べる様を眺めているだけなのだがね……」
 神子と、メガネ犬改めセツは揃って苦笑を浮かべた。
 太子様から一番にお年玉を貰う権利を懸けて勝負しろと芳香に凄む早鬼。対して芳香の回答は『は?』の一言。火に油、いやもっと、業火に石油であった。
 私は餅を食いたいから後でと塩対応の芳香に、ならば餅を食う勝負で文句はあるまいなとゴリ押して今回の対決が実現した。
「ではセツさん。お餅三十個の早食い勝負というわけですが、ここでは何が重要とお考えでしょうか?」
 モットーは世の中何でも楽しんだ者勝ちの青娥がそれっぽい雰囲気を出しつつ問いかける。
『そうですね……宮古様は大変な健啖家と聞き及んでおりますが、驪駒様も体に見合わぬ大食漢で通っております。ですので胃袋のキャパシティは問題ないでしょう。やはり如何にして餅をスムーズに食べていくかが課題かと』
 メガネキャラの期待を裏切らず、彼のトークは流暢であった。
「うむ。早食いで最も怖いのは窒息だろうが、幸い今回の勝負はどちらも死んでおるから安心じゃな」
「死んでても喉に詰まれば死にそうになるのは変わらんがな。そうなったら大幅なロスで負けは確定だろう」
 喉が詰まっても死なない怨霊を生み出した張本人と、その怨霊も呑気にコメントする。今日も神霊廟は平和であった。
「なるほど。まさに死者の二人だから許されるエキストリームデスマッチとも言えますね。さて、芳香に早鬼ちゃん、準備はいいかしら?」
「太子様、驪駒はいつでも行けます! さあ!」
「早くしないと餅が固くなるぞー」
 二人も別ベクトルでやる気満々である。この分では今年も荒れた一年になりそうだと再度苦笑しつつ、神子は右腕をゆっくりと上げる。
「始め!」
 新年早々、今年最大確定の茶番劇が幕を開けた。


 開幕から勝負をかけてきたのは驪駒である。甘辛く味付けされた大根おろしを山積みの餅へ豪快にぶち撒け、いわゆるからみ餅にしてから一個を一口で頬張った。
『これは素晴らしい。大根おろしのおかげで喉に詰まりづらく、おまけに大根は消化を助ける効果もあります。一石二鳥の策ですね』
『驪駒様ー! ナイスバイト!』
『ここまで腹を空かすのに眠れない日もあっただろう!』
 酔いどれる畜生霊も驪駒の勇姿に大盛りあがりである。言っている事を深く考えてはいけない。
「あの大根を摩り下ろしたのは屠自古さんでしたよね。同族として今のお気持ちはいかがですか?」
「誰が同族だチュロス頭。まあいっぱい使われる事は予想してたから多めに作っといて良かったよ」
 二人が勝負を繰り広げる卓上には餅の他に味変用の各種調味料や具材が並んでいる。早鬼が使った大根おろしの他、醤油、砂糖、海苔、味噌、七味唐辛子、きな粉にずんだにこし餡つぶ餡。何を使っても自由だが、それだけ余計に腹が膨れることは注意すべきだ。
 一方、芳香は芳香で驚くべき策に出た。両手に持った餅の右をきな粉、左をずんだでまぶし、大豆と枝豆のダブルソイビーンズ餅をまとめて口に放り込んだのである。
「禁断の二個喰いですわ! あの子がいきなりそれを解禁するだなんて!」
 よく分からないが邪仙が驚くほどの事態らしい。餅を一気に二つ頬張るのは確かに自殺行為としか言いようがないのだが、死体なのに禁忌とされる何かがあったのだろうか。
「口が大きいのは結構だが、あの子だって特別喉が拡がっているわけでもないだろう。あの行為に何か意味があるのかい?」
「いえ、特には。ただ一度にいっぱい食べたいだけ。みっともないから止めなさいって言ったんですけど……」
 神子と青娥は揃ってハムスターのように頬が膨らんだ芳香を生暖かい目で見つめた。本当にハムスター同様素早く咀嚼できればいいのだが、もむ、もむ、もむ、もむと、一度噛む度に休符が挟まっている。これなら一個ずつ食べる方が早かったのではないか。
「……フッ!」
 早鬼は間抜け面のキョンシーを鼻で笑い、次々と餅を胃に収めていく。確かに単純な大食い勝負なら芳香の方が強いかもしれないが、しかし早食いには計画性も必要なのだ。組長である自分が脳の腐っている奴にプランニングで負けるはずがない。早鬼はそう確信していた。
 なお、組長はいつも行きあたりばったり運営だの、そもそも馬鹿な勝負だろだのと突っ込みを入れようものなら経理担当のセツから減給に処されるので注意だ。
『驪駒様は先行逃げ切り気質ですので良い展開と言えるでしょう。このペースを維持できれば勝利は確実です』
「いえいえ、まだ分かりませんよ。今の芳香は楽しんで餅を食べているだけですから」
 不敵な笑顔を浮かべる青娥に、セツが眼鏡の焦点を当てる。
『それはつまり、宮古様はまだ本気を出していない、と?』
「もちろん。あの子だって戦うのは大好きなのですから。ねえ、芳香」
「おう!」
 青娥の言葉が聞こえてか、そこから芳香の回転が一気に上がった。
 流石に二個食いは止めたものの相変わらず一口で頬張ってしまうが、それをほとんど噛まずに飲み込んでいるのだ。老人だったら最低でも十人は死んでいるであろう。
『よく詰まらせずに飲み込めるものですね……』
「芳香の消化器官は特別製です。意図的に胃酸を逆流させる事で喉の通りを良くしているのですわ」
「凄いのかよく分からんし、全く羨ましくもない能力だな……」
 慢性的に逆流性食道炎を患う程度の能力なんて欲しがる者はどこにも居ないであろう。キョンシーの芳香だから許される邪道喰いだ。ともかくひたすらからみ餅を食べ続ける早鬼に凄まじい勢いで追いつきつつあった。
「……なんのッ!」
 逃げ馬気質の早鬼は相手が自分の前に出るなど許せない。彼女にはこんな時のためにさらなる秘策の準備があった。
 一本のニンジンである。
「む、我がさっき黒駒にあげた物じゃな」
 それは先ほど膝枕を交代してもらう為に布都があげた内の一本で間違いなかった。そうだとして、今それを口直しにするだなんてタイムロスでしかない。一体何が始まるのかと思えば、早鬼はただ皿の奥にニンジンを置いたのである。それだけで、彼女のペースは加速したのだ。

『ウォーッ! キレてるよ、キレてるよ!』
『驪駒火力発電所!』
『腹にディーゼルエンジン積んでんのかい!』
 畜生達のエールも勢いを増し、流れは完全に早鬼の物になりつつあった。
「これは……別腹効果ですね」
『仙人様の仰るとおり。驪駒様にとってのニンジンとはメインディッシュでありデザートです。それを目の前に置くことで食欲を増進させたわけですね』
「だがなあセツよ。何かちょっとズルくないか?」
 用意された物以外でブーストをかけるのは如何なものか。屠自古だって頑張って餅を焼き、豆をすり潰し、大根をおろしたのである。せっかくなのでそっちで食い気を出して欲しかった。
「待て、屠自古。あれが反則だと与えた我にも責任が生じてくるので見逃すのじゃ」
「うむ……自作の人参おろしをかけたりは問題だが、ただ人参を眺めているだけならば認めよう」
「流石! 太子様は話が分かるッ!」
 神子のお墨付きにより、意図せず早鬼の士気がさらに上がってしまった。餅の残りは9、8、7──満腹など全く感じさせず。芳香のペースも驚異だが早鬼がそれ以上に速い。
 決着は、間近。

『ワン!』

 だが、待った。ここに来て一匹の畜生が波乱を呼ぶことになる。それも頸牙組のではない、神霊廟の畜生がだ。
「ああお前か。すまんすまん、置いてけぼりは寂しかったよなあ。よしよし」
 騒ぎに引き付けられたのか、一匹の黒い子犬が尻尾をふりふり布都に駆け寄ってきた。
『……物部様、その犬は?』
「我が愛犬の墨丸じゃ。庭に居たから紹介できなかったのう」
 腰の横にぴったりとくっついてきた小さな背中を、布都はくすぐるように愛撫した。
 それは毎日のおやつを我慢するからどうしてもとお願いしてまで飼っている布都のペットだ。墨のように黒い体毛から付けられた名は、かつて聖徳太子が溺愛していたとされる愛犬への敬意も含まれている。
 そして、問題はここからだ。飼い主こそ布都だが、この犬は神霊廟全員の癒しとなっていた。布都にすり寄っていた墨丸が次に選んだじゃれつく相手は、間が悪い事に神子だったのである。
「これこれ、くすぐったいぞ。よしよし愛い奴め」
 あろうことか、墨丸は神子の顔を舐めだしたのだ。

『ナニ晒しとンじゃおんどりゃぁああァン!?』
「うひっ!?」
 同じ犬として何かが許せなかったのか、真っ先に叫んだのはメガネを落とす程に激昂したセツであった。そしてやっぱり彼もヤクザだった。
『セツ兄ィ!?』
『メガネ! セツさん、メガネ!!』
 メガネキャラがメガネを捨てる非常事態、畜生達が大慌てで止めに入る。
「ああ、その、セツ君……?」
『……し、失礼しました。その、太子様への戯れは順番を守るべきでありまして、つまり驪駒様が……驪駒様!?』
 セツに気を取られていた皆の視線が、そのセツの一声で一瞬にして早鬼へ集まった。
 早鬼は、死んでいた。

「太子様……私……犬……わたし……いぬ……わ、わた……」
『驪駒様、お気を確かに!』
『肩にちっちゃい重機乗せてんのかい!?』
 早鬼は蜘蛛の糸が切れたような絶望を纏って沈み込んでいた。
 飼い主との絆が深いペットを簡単に傷付ける方法は何か。それは目の前で余所のペットを贔屓する事である。もっとも、今の神霊廟においては早鬼の方が余所のペットなのだが、それを指摘すれば小指の一本では済まないだろう。
 とにかく、神子が子犬を可愛がった事で早鬼の心は死んだのだ。箸を置き、虚ろな顔で、視線はただ神子と子犬の間を行き来するのみ。本来ならセツのようになりふり構わず拳銃で犬の眉間を打ち抜いただろうが、今は勝負中でそんな隙は見せられない。まして神子に向けて発砲なんて出来るものか。
 太子様、犬、勝負、餅。たいしさま、いぬ、しょうぶ、もち。
 複数の最重要タスクを処理しきれず早鬼は崩壊した。組長のベールで武装していたかつての繊細な心が剥き出しになったのだ。もはや早鬼の喉は何も通らなかった。

「あんぐ……んぐっ。げふっ」
 そこへ畳み掛けるように無情なゴングの鐘が鳴った。ただ一人、今の騒動なんて放ったらかしで食べ続けていた芳香の、完食を知らせるご満悦のゲップ音だった。
 嫉妬、敗北、急激な糖分の接種による高血糖。そういったものが重なって、早鬼は、目の前が真っ暗になった。

 ◇

「…………もちッ!?」
 早鬼の意識を引き戻したのは郷愁を誘う高貴な香りだった。その発生源は彼女が顔を埋めていた背中だ。
「お目覚めかい。馬だった頃より軽くて助かったよ」
 神子が柔和な声を早鬼にかける。浮気(ではない)現場を目の当たりにした挙げ句負けたショックで寝込んだ早鬼を運ぼうとなって、いの一番に行動したのが他でもない神子だった。現在は寝室へ向かっておんぶで廊下を移動中だ。
「た、太子様……駄目です! 太子様が私を乗せるのは、その、解釈違いで……!」
「ふふ、あの黒駒が面白い事を言うようになったものだ。だがあまり興奮しないでくれよ。今吐かれたら悲惨な事になるから」
 途端に早鬼は口を抑えた。食べ損ねた数個を除く、二十以上の餅が腹に詰まっているのを思い出したからだ。
「すみません、太子様……」
「構わんよ。正月早々面白い余興だった。謝るくらいなら準備をしてくれた他の皆に感謝をしなさい」
「感謝を……そうですね。私、どうしてあんな勝負をしたんだろうな……負けたし……」
「私を敬愛するが故だろう? その気持ちは十分伝わっているから焦ることはないんだ。お前も寿命など気にしなくていい体で、これから時間はいくらでもあるのだから」
 早鬼は何も言わずに頬を神子の後ろ髪にすり寄せた。千年余り焦がれていた存在が復活していた奇跡、人に近い体を得たことでさらに心を通じ合わせられる奇跡。それを無言で噛み締める。

「おー、もう目覚めたか! 心配して損したかー?」
 ムードをぶち壊す脳天気な大声が廊下に響く。言うまでもなく芳香と、その後ろに畜生霊達がぞろぞろと付き従っていた。
「む……お前か。事故さえ無ければ私の勝ちだったろうが、負けは負けだ。だから……ええと、なぜ戦っていたんだっけ?」
「さあ? どうでも良くないか? 私は餅をいっぱい食って満足したし、お前も見たところ満足そうだ」
「……ハハッ、確かにな!」
 神子から大事にされたかった。そんな早鬼の願いは始めから叶っていたのである。ただちょっと嫉妬心が強すぎただけで、神子と想いが通い合った今後は彼女も落ち着いていくだろう。
「そんな事よりほれ、お前の犬達がニンジンで良い物を作ったぞ!」
 芳香の後ろからセツがすっと前に出た。お盆で運んでいたのは一杯の野菜ジュースである。
『各種消化に良い野菜果実を絞りました。寝室でゆっくりとお飲み下さい』
『しっかり休んでくだせェ!』
『次は勝ったるぞ半生ァ!』
「お前達……すまん、ありがとう」
 誰が何と言おうが畜生界最強で理想のリーダーは驪駒早鬼。少なくとも剄牙組は全員そう信じている。
 神子というアイドルにちょっと(かなり)(病的に)夢中になったところで、まあそういう趣味もあるよね程度にしか思っていないのだ。むしろ残念な所があった方が親しみやすい。そこは神子とそっくりだったりする。
「宮古芳香、だったな? お前も度胸があって気に入った。もし畜生界に堕ちたらウチに来い」
「あー? お断りじゃ。私は幽霊になっても青娥の下を離れる気は微塵も無い!」
「その気持ちはよく分かる! だが考えておけ!」
 雨降って地固まる、だろうか。脳が腐ってるキョンシーと脳筋ペガサス、頓珍漢なやり取りも多かろうが、飼い主大好き同士で案外上手くやっていけるのかもしれない。互いの領域を食い合わなければだが。
「善き哉善き哉。ところで疲れてきたのだが、黒駒も思ったより元気そうだし降ろして良いか?」
「駄目です。飼い主の責任を最後まで全うなさいませ」
 早鬼自慢の強靭な脚が神子の身体をぎゅっと締め付ける。その力があれば歩けないはずはないのだが、拒む理由を聞くなど野暮である。
「そんな抱き締めなくても落とさんよ。まったく、お前も一気に現金になったねえ」
「何たって神子の馬だからなー!」
 一同は愉快な笑い声をあげた。

「おーい、頸牙組ー! 悪いがお前たちも手伝ってくれー!」
『へーい!』
『姐さん今行きまーす!』
 扉が開き、屠自古の声が畜生達を呼び寄せる。勝負の後片付けやら宴会の準備やら、急に大群が来たものだから猫の手も借りたいのである。客人に手を煩わせるのも致し方なしだ。何より屠自古の機嫌を損ねれば飯抜きという最悪の事態が待っているのだから是非も無し。
『……む、この刺激的な匂いは、もしや』
「肉、ニラ、ニンニク……餃子だな!」
 犬と魔改造キョンシー、嗅覚に優れた二体は宴会メニューの一つを瞬時に嗅ぎ取った。本来は犬に刺激物を与えるのはご法度だが、何しろ死んでいるので面倒な部分は都合良く無視できる。霊体万歳だ。
「食べて飲んで食べてと、そればっかりだな。まあ正月であるし、たまには良し、と……黒駒?」
 神子は背中に微振動を感じていた。
 馬も犬ほどではないが嗅覚に優れた動物であり、一説には人間の千倍と言われている。腹に三十近い餅を詰め込んだ早鬼が、おんぶで揺らされ、とどめにニラとニンニクの臭いを嗅がされたら果たしてどうなるだろうか。

「うっ……プッ!」
 臨界、暴発五秒前。
「いやっ!!」
 神子が女の子らしい悲鳴を上げるのは非常にレアである。新年早々頭を吐瀉物まみれにされては堪らぬと、早鬼は強引に後ろへ投げ飛ばされた。そして、さっきまで餅だったものが辺り一面に広がった。
 かつて、聖徳太子を落馬させてしまった際の黒駒は絶食するほどショックを受けたという。皮肉にも、今度の驪駒は聖徳太子から落馬したショックでご飯が喉を通らなくなったのであった。


「ほらほら豊聡耳様、傷心の早鬼ちゃんにあーんしてあげて」
「あのね青娥、黒駒にだって組長の誇りというものが……」
「あーん!!」
 ところがどっこい。幸か不幸か、早鬼は飼い主に似て現金なのであった。
良い子は絶対に真似しないでください。
石転
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コメント



0.50簡易評価
1.100竹者削除
おもしろい
2.90奇声を発する程度の能力削除
面白かったです
3.100名前が無い程度の能力削除
ひっでぇオチがついてしまった、と思ったら直後に復活する早鬼ちゃんの図太さよ。
神子にデレッデレな早鬼ちゃん可愛すぎる。そして頸牙組一同の早鬼への忠誠心の高さよ。忠誠心かこれ? まあ何でもいいか。
ワイワイと騒がしくも楽しいお正月のお話、とても面白かったです。
4.100サク_ウマ削除
5.100watage削除
ボディビルの掛け声が唐突に出てきて笑いましたw
6.100名前が無い程度の能力削除
ほのぼのしていてはちゃめちゃしていて面白かったです。
7.90夏後冬前削除
どんどん卑しいメス馬になっていく様を俺に見せてくれ黒駒ぁ!!
8.100南条削除
面白かったです
太子様の前でデレデレになっちゃう早鬼ちゃんがかわいかったです
邪道喰いはよせーっ!! 宮古さんっ!!
9.90めそふ削除
やっぱ嘔吐姿は最高かもしれない。ひどいオチが好きでした。
10.80名前が無い程度の能力削除
気軽に濃く読める面白ギャグ作品でした。面白かったです。
11.100名前が無い程度の能力削除
とても良い馬だァ…………
12.70福哭傀のクロ削除
面白かったです。