Coolier - 新生・東方創想話

もしもメリーがあまりニホンゴが得意でなかったら

2022/01/03 11:03:24
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 私たちは秘封倶楽部。
 世界の裏側に潜む秘密を暴くものたち。
 そして私の名前は宇佐見蓮子。星空を見るだけで時刻と居場所が分かる能力を持つ。
 そしてたった二人きりのこの秘封倶楽部で、最高のパートナーであるマエリベリー・ハーンことメリー。結界の境目が見える能力を持つ。
 そう、この二人ならどの世界の果てまでもっ!

「今日も行くわよ、メリーっ!!」

「キョウモイクワヨ?」

「Today, I go go!」

 ちなみに私は英語があまり得意ではない。

「ワカリマシタ、キヲツケテ」

「いやメリーも行くのよ?」

「メリーモイクノヨ?」

「With youーーーー!!!!」

 なぜかメリーは、日本語はまあ多少喋れるのに、聞くとなると全く理解していない。

「今日はもう使われてない廃病院に行くわ」

「イイエ」

「あ、廃ってそっちの『はい』じゃなくてね?」

「??」

「I go クサッテル hospital」

「hospital?」

「イエス、イエス!!」

「カゼデモヒイタカ?」

「違うっ!!!!」

「??」

「Different!!!!」

「チガウノカ」

「イエス、イエス!! 私たちは、えっと……research mystery!!」

「ナゾヲシラベル?」

「やった! 通じた!!」

「two guitar?」

「通じた、よメリー。何よ急にギター二本も持ち出して路上ライブでもするつもり?」

「長渕スキ」

「意外すぎる……」

 こんな感じに、コミニュケーションできてるのかできてないのか分からないまま、秘封倶楽部は活動を続けている。
 しかし、メリー自体はとても賢くて、頭の回る人間だ。私を理解してくれるのはきっと周りに彼女しかいない。だから、コミニュケーションを今日も頑張るのだ。

「着いたわよ、メリー」

「……」

「メリー?」

「ココ、コワイ」

「メリーがそう言うってことは、やっぱり理からズレてる存在がいるってことね」

「レンコン、カエロウ」

「せっかくここまで来たのに帰らないわよ。それと私は蓮根ではなく蓮子だ」

「デモ、ココオソロシイ」

「We are 秘封倶楽部。We go to find world mysteries!!」
(私たちは秘封倶楽部よ。世界の謎を探しに行くの!!)

 そう言ってメリーの手を無理矢理掴んで、私たちは廃病院に入った。もし危なかったらすぐ逃げれば良い。自慢じゃないけど、悪運だけは昔から強いんだ。

「境界は見える?」

「??」

「えっと、you can see horizon?」

「イエス。アノヘヤニアル」

「あの部屋……見たところ手術室みたいだけど……いるのは怨念か、妖怪か、はたまたUMA? 一応あらゆる存在と戦えるようなアイテムは用意してるけど」

「アイテム?」

「まずはお札、strong paper!」

「ツヨイカミ? オリガミカ?」

「ノー、ノー。折り紙はむしろ弱い」

「??」

「オリガミ is weak」

「オッケー。ナラソレナニ?」

「This is magic paper」

「オオッ、マホウノカミ?」

「イエス、イエス。そしてこちらがある筋からもらった『怪異対処法まとめ』よ」

「??」

「つまり、えっと……英語じゃ説明できないわね……どうしよう」

「You are stupid?」

「スチューピッド? まずい、聞き覚えがあるのにド忘れした……どんな意味だったっけ? スチュワードと語感が似てるわね……スチュワードは人をもてなす仕事だから、あなたは親切って言ってくれてるのかしら?」

「Stupid?」
(あなたは、バカなの?)

「Yes, yes, very much!!」
(はい、それはとても!!)

「Okay」
(分かったわ。考えても無駄ね)

「分かってくれたなら何より」

「レンコン、キョウカイ、ツヨクナッテイル……!」

「ということはついに敵が登場ってこと……? あと蓮根ではない。天ぷらにすると美味いね、じゃないわ」

「テンプラ??」

 ブーン。

「って羽音? もう、ハエなんて邪魔よ、今話してるとこなのに!」

「テンプラッテナニ??」

「天ぷらはね……えっと……」

 宇佐美蓮子は考えるとき人差し指を立ててぐるぐる回しながら考える癖がある。
 その回る指が偶然指差していたのが、さっき飛んでいたハエだった。

「Fry is delicious!」
(揚げ物は美味しい!)

「Fly is delicious? Really?」
(えっ、ハエが美味いって? 本当に?)

「Yes!」
(美味いったらありゃしないわ)

「レンコン Crazy……!」
(蓮根の頭はおかしいわ)

「クレイジー……? えっ、急に悪口? いやそんなわけは……ならあれよ、よくハリウッド映画とかで『イカしてるぜ』って褒めるときに使うクレイジーってことよね、きっと」

 蓮子は大きな声で返事した。

「I am Crazyーーーー!! フゥーーーー!!」
(私はおかしいぜ。ほら見たか、うぇーーーい!)

「Goodbye my friend……」
(さようなら……元友達……)

 ガタン、ガタン。

「ってなんの音?」

「レンコンっ!! Look at!!」

「あれは!?」

 手術室の前に立つのは、真っ白な服に顔が見えないほど髪が長い謎の女。
 瞬時にこの世のものではないと感じた蓮子は、好奇心もあったが、いち早く逃げることを選択した。

「逃げるわよ。メリーっ!!」

「Okay!!」

 二人で思いっきり駆ける。
 やはり暴きたい蓮子としては、あの手術室にも入りたかったし、あの幽霊らしきものともコンタクトを取りたかったが、メリーを危険に晒すことの方が怖かった。

「あっ、まずい」

 蓮子は足を引っ掛けて派手に転んだ。
 後ろではあの幽霊が近づいてくる。蓮子はすぐさま立とうとするが、間に合いそうにない。

「レンコンっ!!」

 メリーが泣きそうな声でこちらに叫ぶ。

「Leave me!!」
(私を置いて行って、メリー!!)

「I can’t!!」
(そんなのできない!!)

「……please, メリー。I want you to live」
(お願い、メリー。私、あなたには生きていてほしい)

「レ、レンコン……」

 もうダメだと思った蓮子はせめて、メリーだけでも助かってほしいと願いながら、目を瞑った。しかし。

「……」

 十秒ほど経っても自分には何もなかった。

「えっと、どうかしたのかしら?」

 目を開けると、目の前にはあたふたした幽霊が。どうやら何かに困惑して、私を襲うことを中断したらしい。

「一体何に困惑してるというの……?」

 ここで蓮子、あることに気付く。
 なぜかその困惑の仕方には見覚えがあったのである。私はいったいこの困惑の仕方をどこで見たというのだろう……?

「メ、メ、メ」

「えっ、喋った?」

 その幽霊は焦ってる様子で『メ』という言葉を何回も繰り返す。

「メ?」

「……May I help you?」
(いらっしゃいませ)

 突然、いらっしゃいませと言われても意味が分からない。蓮子も呆然としてしまった。さらに幽霊は続ける。

「How are you? I’m fine thank you」
(あなたはどう? 私は元気よありがとう)

「……これって」

 そう、英語弱者である蓮子ゆえに気付いた。
 これは、教科書で学んだフレーズをとりあえず使い回してしまう、日本人あるある。

「メリー!! 英語を話し続けて!! Keep speaking English!!」

「Okay!」

 蓮子は幽霊の不可思議な行動の理由を把握した。そう、これは、『突然外国人に英語で話しかけられて、あたふたする日本人特有の反応』である!

「幽霊といえども私と同じ日本人! つまり、メリーの突然の英語に慌ててしまったというわけね!!」

「Are you ghost?」
(あなたは幽霊なの?)

「オオッー、nice to meet you……?」
(はじめまして?)

「Well, you aren’t good at English」
(うーん、どうやらあなた英語が得意じゃないみたいね)

「Yes, we can!」
(はい、私たちはできる!)

 幽霊はどうやら蓮子よりも英語が苦手みたいだ。意思疎通が全くできていない。
 しかし、幽霊が英語に慌ててる間に、蓮子は立ち上がり、準備ができていた。

「メリー!! どいて、今勝負を決めるわ!!」

 お札を手に持ち、一旦距離を置き幽霊のもとへ思いっきり駆けるっ!

「成仏しなさい、幽霊っ!!」

 その幽霊は蓮子に気付いたようだが、そのときには既に遅し。頭にお札を食らってしまった幽霊は、光を放ち綺麗に消えてしまった。
 きっと、成仏したのだろう。

「ふぅ、助かったぁ」

「レンコン……! ダイジョウブ?」

「Of course, all right」
(もちろん、問題なしよ)

 二人はすぐ廃病院から抜け出した。

 翌日。

「おはよう、元気?」

「あ、おはようメリー」

「今度のレポートのことなんだけど」

「私にレポートのこと聞いたって無駄よ……って、えっ!?」

 蓮子は驚いた。
 今普通にメリーとやりとりをしていることに。

「どう? 驚いた? 最新の翻訳マシンを買ってみたの。ペンダントとしてかけるだけで、こうして会話してくれるのよ?」

「すごい!! メリーと会話できるなんて!! すごく嬉しい!!」

「ふふ、私も嬉しいわ」

 言葉が通じなくても大好きだったメリー。そのメリーとようやく通じ合えたようで、蓮子は嬉しくてたまらなかったのだ。

「英語覚えなくちゃなぁ……って思ってたけど、これだったら覚えずに済むわね」

「でも私はやっぱり直接喋りたいから、ここから何年かけても絶対に日本語をマスターしてみせるわ」

「楽しみにしてるわ」

「ところで一つ聞きたいのだけど」

「なに?」

「ハエって美味しいの?」

「はい? なんかのなぞなぞだったりする?」

「教えてよ蓮根」

「蓮根じゃないってば」

 こうして最初はコミニュケーションすら難しかった秘封倶楽部が、いずれは強い絆で怪異を乗り越える最強の二人組になってるのは、また別の話である。

 おわり
お後がよろしいようで。
新年明けましておめでとうございます。今年も頑張りますのでよろしくお願いします。
また、感想コメントはいつも読ませてもらっています。すごく元気が出ます。本当にありがとうございます。
Ryu
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コメント



0.100簡易評価
1.100柏屋削除
英語めっちゃ喋れる系の幽霊で仲良くなるパターンかなと思ったけど違ったw
ところで外人さんって日本語喋れないフリしますよねあれってなんなんでしょうね
2.100サク_ウマ削除
めちゃくちゃ笑っちゃった。おとぼけコメディの精度が高い。
良かったです
3.90奇声を発する程度の能力削除
面白かったです
4.70名前が無い程度の能力削除
漫才チックなやりとりが面白かったです!ただ、ちょっと読みにくかったのが気になりました。次の作品も楽しみにしてます!
7.90名前が無い程度の能力削除
笑いました
8.80めそふ削除
ちょい短くしてほしいがあほ過ぎておもしろかったです
9.100南条削除
面白かったです
英語が苦手な幽霊が非常に面白かったです