ああ...、もうこんな時間か...
夜10時の研究室。ひもの計算に夢中になってしまった。
さすがにお腹が空いたので、腹ごしらえをして続きをしたいが、食堂はもうとっくに閉まっている。
仕方ない、コンビニにでも行きましょうか。
研究室を出ると、あたりは真っ暗で空気がひんやりと冷たい。
体をすぼめながら百万遍まで来ると、目的地の照明だけが明々と輝いている。
私はそのまま店内へと入っていった。
温かい。そのせいだろうか、疲れがどっと来て急に眠気が襲ってきた。
視界が少しぼやけてくるが、いつもお弁当などが置かれている左の方の棚に向かい、手頃な夜食を探す。
まばらに商品が残った棚。
その中にぽつんとあるおにぎり。白いお米に黒い海苔がちょこんと巻かれたタイプのやつだ。具は、赤い梅干しのようだ。
これでもかじりながら続きをすることにしましょう。
そう思って手を伸ばしておにぎりに触れた瞬間、ガクッと急に視界が真っ暗になった。
******
...眩しい。目が覚めると私は冷たいスチール板の上にいた。
すぐ下手前にはずり落ちないようにアクリル板の返しがあり、右奥には明るい百万遍交差点が見える。
店には頻繁に人が出入りしていて、各々食べ物を買って出ていく。朝飯をさっさと済ませるためだろう。
きっと私も誰かに買われて行くのでしょうね。
この状況を私はなぜか冷静に受け入れてしまっていた。
その時、ひと際目を惹く人が入ってきた。
優雅な紫のワンピースに長いブロンドの髪。肩に大きめのバッグをかけていて、純白の帽子がかわいらしい。
彼女は弾むような足取りでこちらに向かってくる。
「さてっと、今日はお昼を用意しておかないといけないのよねぇ~」
彼女の顔が近づく。人差し指の先を顎に当てて、棚の商品を眺めている。
視線が移る度に、これも良い、これも良いと、満足そうな表情になる。どれを買っていくか迷っているようだ。
この飽食の時代、どれも大量生産品で珍しくないだろうに、どうしてこの人はこうもご機嫌なのだろうか。
「今日は梅のおにぎりにしましょうっ!このタイプ、お米がほろほろでやわらかくておいしいのよね~」
彼女は私を手に取り、レジへと運ぶ。
会計が済むと、私は彼女のバッグに丁寧に入れられ店を出た。
狭まった視界から覗く彼女のブロンドの髪は、朝日に照らされより一層輝いて見える。
弾む足どりで揺れるバッグの中は、なんだか心地よかった。
夜10時の研究室。ひもの計算に夢中になってしまった。
さすがにお腹が空いたので、腹ごしらえをして続きをしたいが、食堂はもうとっくに閉まっている。
仕方ない、コンビニにでも行きましょうか。
研究室を出ると、あたりは真っ暗で空気がひんやりと冷たい。
体をすぼめながら百万遍まで来ると、目的地の照明だけが明々と輝いている。
私はそのまま店内へと入っていった。
温かい。そのせいだろうか、疲れがどっと来て急に眠気が襲ってきた。
視界が少しぼやけてくるが、いつもお弁当などが置かれている左の方の棚に向かい、手頃な夜食を探す。
まばらに商品が残った棚。
その中にぽつんとあるおにぎり。白いお米に黒い海苔がちょこんと巻かれたタイプのやつだ。具は、赤い梅干しのようだ。
これでもかじりながら続きをすることにしましょう。
そう思って手を伸ばしておにぎりに触れた瞬間、ガクッと急に視界が真っ暗になった。
******
...眩しい。目が覚めると私は冷たいスチール板の上にいた。
すぐ下手前にはずり落ちないようにアクリル板の返しがあり、右奥には明るい百万遍交差点が見える。
店には頻繁に人が出入りしていて、各々食べ物を買って出ていく。朝飯をさっさと済ませるためだろう。
きっと私も誰かに買われて行くのでしょうね。
この状況を私はなぜか冷静に受け入れてしまっていた。
その時、ひと際目を惹く人が入ってきた。
優雅な紫のワンピースに長いブロンドの髪。肩に大きめのバッグをかけていて、純白の帽子がかわいらしい。
彼女は弾むような足取りでこちらに向かってくる。
「さてっと、今日はお昼を用意しておかないといけないのよねぇ~」
彼女の顔が近づく。人差し指の先を顎に当てて、棚の商品を眺めている。
視線が移る度に、これも良い、これも良いと、満足そうな表情になる。どれを買っていくか迷っているようだ。
この飽食の時代、どれも大量生産品で珍しくないだろうに、どうしてこの人はこうもご機嫌なのだろうか。
「今日は梅のおにぎりにしましょうっ!このタイプ、お米がほろほろでやわらかくておいしいのよね~」
彼女は私を手に取り、レジへと運ぶ。
会計が済むと、私は彼女のバッグに丁寧に入れられ店を出た。
狭まった視界から覗く彼女のブロンドの髪は、朝日に照らされより一層輝いて見える。
弾む足どりで揺れるバッグの中は、なんだか心地よかった。
不思議な夢でした