ある日の昼ごろ。
ペット達のお世話も終わりそうで、ちょっと安心していたとき。
「…あら。来客なんて、珍しい。誰かしら。」
無表情で、お面をつけた少女が、こちらに歩いてくる。
見た感じ、人間ではなさそうだけど…
「私は、面霊気の秦こころだ。古明地こいしの姉で間違いないか?」
「ええ。なんの用かしら。」
…聞かなくても、それくらい、心から聞こえてくるのだけど…
「うむ。クイズをさせて貰いたいのだが」
「あなたが…出題側、かしら。」
「ああ。私が出題する。題して『クイズ!幻想郷姉誰!?』だ」
無表情でテンションの高いことを言うこころ。
アンバランスというか…、面霊気である限り仕方ないのかもしれないけど。
しかし…向こうが出題者だと、私の能力上何もしなくても向こうから答えが聞こえてきてしまうのだけど…
まあ、最後に「実は能力で…」とか言おうかな。
こいしにクイズを出してあげたいし、クイズ自体に興味がある。
「…いいわ。受けて立ちましょう。」
「感謝する。それでは早速第一問。画面の前のあなたもぜひやってみてくれ」
「やめなさい、そういうこと言いすぎた作品が前作からの短い間にどれだけ生まれては消されたと思っているの。」
「そちらもなかなかだが…仕切り直そう。第一問」
Q1.フランドール・スカーレットの姉は誰?
「…レミリア・スカーレット。」
流石に有名すぎて心の声を聞くまでもなかった。
そもそもこいしが何回か話していた気がする。
「正解だ。まだまだ序の口だぞ。第二問だ」
Q2.リリカ・プリズムリバー及びメルラン・プリズムリバーの姉は?
「ルナサ・プリズムリバー、ね。」
昔宴会かなにかで会ったから、これも分かる。
ルナサがリーダーだったはずだ。印象としてはメルランだけど。
「正解だ。さあ、次から答えられるかな。第三問だ」
Q3.秋穣子の姉は?
『秋静葉』
心から、声が聞こえる。
こころから、声が聞こえる。
「…秋静葉…かしら。」
確かなんらかの神様だったような気がする。
でもこの辺から私の知識では厳しそうだ。
「む…な、なかなかやるな…しかし次は答えられないだろう。第四問だぞ」
Q4.依神女苑の姉は?
『依神紫苑』
心から、声が聞こえる。
こころから、声が聞こえる。
「確か…依神紫苑、だったかしらね。」
もうほとんどわからない。
こいしが何かの異変のときにあったと言っていたような…どうだっけ?
「ぐ、ぐむう…もう後がない、最終問題だ!」
Q5.秦こころのおねーちゃんは?
…なんか問題文が微妙に違うような気がするけど、とりあえず心の声を…
『古明地さとり』
心から、声が…ストップ。
古明地さとり?
私?
が、こころの姉?
…私に生き別れの妹とかいたっけ…?
いや、一回出題者の意に沿ってみよう。
とにもかくにも、慌てず冷静に。
状況把握は大事。
「こ、古明地さとり…?」
「正解だ」
特になんの説明もない。
状況がわからずひとり困惑する私。
しかし、次の一言で私は、心から声が聞こえた瞬間より驚くことになる。
「古明地こいしと結婚することになったから、私の義姉になってもらいたい」
「…………………………は?」
「古明地こいしと結婚することにな…」
「いや聞こえなかったわけじゃないけど、文章の意味がよく…いや、そんなのどうでもいいわ。駄目よ。」
あまりの展開に熱くなってしまう私。
駄目、冷静にならなくちゃ…!
「っ、ど、どうしてだ。私とこいしは愛し合っているのに、それを妨げるなんて、姉といえども許さないぞ!」
「少なくとも私はあなたのことをよく知らないと言うのが大きいけど…」
「じゃあ、私のことを知ってくれたら、許してくれるのか!」
「だとしても、駄目よ。誰でもない私が許さないわ!」
冷静になろうとしてもつい口論になってしまう。
「な、なんでだ!私、そしてこいしが納得できる理由を提示してくれ!」
「だって、私だってこいしのことが好----------!」
「じゃっじゃじゃーん!ドッキリ〜?だーいせーこー!」
急に柱のうしろから飛び出す、『よく見た』影。
私の妹。
古明地、こいし。
彼女は、拙い字で『ドッキリ大成功!』と書かれたふざけた板を掲げていた。
「いぇーい。ハイタッチしよー」
こいしとこころは悪戯が成功した仲間同士のように無邪気にハイタッチする。
だけど、まだひとつ問題がある。
「…え、なに?どういうこと?」
私が全く理解できていなかった。
「…つまり、2人は私を驚かせようと示し合わした上でこんなことをしたってこと?」
「はい。すみませんでした」「でした」
2人揃えて謝ってくる。そんなに素直に謝られるともう何も言えないけど…
「…まあ、いいけど。たまには。こころちゃんもうちのこいしが迷惑をかけてごめんなさい。お詫びにお菓子でも…」
「あ、いや結構だ。私も楽しかったぞ」
「え?う、うーん…でも、申し訳ないし…」
遠慮するこころちゃんに、私も迷う。
いや、貴重な時間を使ってもらったんだし、やっぱりなにか…
「ねぇねぇそれよりお姉ちゃん、さっきなんて言ってたの?す、なんだって?」
「な、なによ。そんなこと言ってないわ。」
やばいどうしよう。
このパターンはまずい。
「えー絶対言ったー。ねぇねぇなんて言ったのー?」
「い、言ってないってば!」
「わー赤くなってるー。おねーちゃんかわいい!大好きー!ぎゅーっ!」
「ちょっ、や、やめなさいこいし!」
必死にこころちゃんに助けを求める。
「こ、こころちゃん、どうにかこいしを説得…」
「…じゃ、私はこれで。あとは姉妹水入らずで」
「うん。バイバイこころちゃーん」
「ちょ、ちょっと?なんで平然と帰るのよ!」
「これが空気を読むってことだね。私にはできないこと!」
「いや空気は読みなさい…と言うか今すぐ私から離れなさい。」
「お菓子」
「分かったわ。それで手を打つからとりあえず離れてちょうだい。」
腕からするっと離れるこいし。
妹ながら単純、こんなんで本当に大丈夫だろうか。
とりあえず約束してしまったものはしょうがないのでお菓子を用意していると、こいしがちょっとうつむきがちに声をかけてきた。
「…おねーちゃん怒ってる?」
「…まあ、ちょっとは。でもいいわよ。」
たった1人の、私の妹で。
たった1人の、あなたの姉だから。
ペット達のお世話も終わりそうで、ちょっと安心していたとき。
「…あら。来客なんて、珍しい。誰かしら。」
無表情で、お面をつけた少女が、こちらに歩いてくる。
見た感じ、人間ではなさそうだけど…
「私は、面霊気の秦こころだ。古明地こいしの姉で間違いないか?」
「ええ。なんの用かしら。」
…聞かなくても、それくらい、心から聞こえてくるのだけど…
「うむ。クイズをさせて貰いたいのだが」
「あなたが…出題側、かしら。」
「ああ。私が出題する。題して『クイズ!幻想郷姉誰!?』だ」
無表情でテンションの高いことを言うこころ。
アンバランスというか…、面霊気である限り仕方ないのかもしれないけど。
しかし…向こうが出題者だと、私の能力上何もしなくても向こうから答えが聞こえてきてしまうのだけど…
まあ、最後に「実は能力で…」とか言おうかな。
こいしにクイズを出してあげたいし、クイズ自体に興味がある。
「…いいわ。受けて立ちましょう。」
「感謝する。それでは早速第一問。画面の前のあなたもぜひやってみてくれ」
「やめなさい、そういうこと言いすぎた作品が前作からの短い間にどれだけ生まれては消されたと思っているの。」
「そちらもなかなかだが…仕切り直そう。第一問」
Q1.フランドール・スカーレットの姉は誰?
「…レミリア・スカーレット。」
流石に有名すぎて心の声を聞くまでもなかった。
そもそもこいしが何回か話していた気がする。
「正解だ。まだまだ序の口だぞ。第二問だ」
Q2.リリカ・プリズムリバー及びメルラン・プリズムリバーの姉は?
「ルナサ・プリズムリバー、ね。」
昔宴会かなにかで会ったから、これも分かる。
ルナサがリーダーだったはずだ。印象としてはメルランだけど。
「正解だ。さあ、次から答えられるかな。第三問だ」
Q3.秋穣子の姉は?
『秋静葉』
心から、声が聞こえる。
こころから、声が聞こえる。
「…秋静葉…かしら。」
確かなんらかの神様だったような気がする。
でもこの辺から私の知識では厳しそうだ。
「む…な、なかなかやるな…しかし次は答えられないだろう。第四問だぞ」
Q4.依神女苑の姉は?
『依神紫苑』
心から、声が聞こえる。
こころから、声が聞こえる。
「確か…依神紫苑、だったかしらね。」
もうほとんどわからない。
こいしが何かの異変のときにあったと言っていたような…どうだっけ?
「ぐ、ぐむう…もう後がない、最終問題だ!」
Q5.秦こころのおねーちゃんは?
…なんか問題文が微妙に違うような気がするけど、とりあえず心の声を…
『古明地さとり』
心から、声が…ストップ。
古明地さとり?
私?
が、こころの姉?
…私に生き別れの妹とかいたっけ…?
いや、一回出題者の意に沿ってみよう。
とにもかくにも、慌てず冷静に。
状況把握は大事。
「こ、古明地さとり…?」
「正解だ」
特になんの説明もない。
状況がわからずひとり困惑する私。
しかし、次の一言で私は、心から声が聞こえた瞬間より驚くことになる。
「古明地こいしと結婚することになったから、私の義姉になってもらいたい」
「…………………………は?」
「古明地こいしと結婚することにな…」
「いや聞こえなかったわけじゃないけど、文章の意味がよく…いや、そんなのどうでもいいわ。駄目よ。」
あまりの展開に熱くなってしまう私。
駄目、冷静にならなくちゃ…!
「っ、ど、どうしてだ。私とこいしは愛し合っているのに、それを妨げるなんて、姉といえども許さないぞ!」
「少なくとも私はあなたのことをよく知らないと言うのが大きいけど…」
「じゃあ、私のことを知ってくれたら、許してくれるのか!」
「だとしても、駄目よ。誰でもない私が許さないわ!」
冷静になろうとしてもつい口論になってしまう。
「な、なんでだ!私、そしてこいしが納得できる理由を提示してくれ!」
「だって、私だってこいしのことが好----------!」
「じゃっじゃじゃーん!ドッキリ〜?だーいせーこー!」
急に柱のうしろから飛び出す、『よく見た』影。
私の妹。
古明地、こいし。
彼女は、拙い字で『ドッキリ大成功!』と書かれたふざけた板を掲げていた。
「いぇーい。ハイタッチしよー」
こいしとこころは悪戯が成功した仲間同士のように無邪気にハイタッチする。
だけど、まだひとつ問題がある。
「…え、なに?どういうこと?」
私が全く理解できていなかった。
「…つまり、2人は私を驚かせようと示し合わした上でこんなことをしたってこと?」
「はい。すみませんでした」「でした」
2人揃えて謝ってくる。そんなに素直に謝られるともう何も言えないけど…
「…まあ、いいけど。たまには。こころちゃんもうちのこいしが迷惑をかけてごめんなさい。お詫びにお菓子でも…」
「あ、いや結構だ。私も楽しかったぞ」
「え?う、うーん…でも、申し訳ないし…」
遠慮するこころちゃんに、私も迷う。
いや、貴重な時間を使ってもらったんだし、やっぱりなにか…
「ねぇねぇそれよりお姉ちゃん、さっきなんて言ってたの?す、なんだって?」
「な、なによ。そんなこと言ってないわ。」
やばいどうしよう。
このパターンはまずい。
「えー絶対言ったー。ねぇねぇなんて言ったのー?」
「い、言ってないってば!」
「わー赤くなってるー。おねーちゃんかわいい!大好きー!ぎゅーっ!」
「ちょっ、や、やめなさいこいし!」
必死にこころちゃんに助けを求める。
「こ、こころちゃん、どうにかこいしを説得…」
「…じゃ、私はこれで。あとは姉妹水入らずで」
「うん。バイバイこころちゃーん」
「ちょ、ちょっと?なんで平然と帰るのよ!」
「これが空気を読むってことだね。私にはできないこと!」
「いや空気は読みなさい…と言うか今すぐ私から離れなさい。」
「お菓子」
「分かったわ。それで手を打つからとりあえず離れてちょうだい。」
腕からするっと離れるこいし。
妹ながら単純、こんなんで本当に大丈夫だろうか。
とりあえず約束してしまったものはしょうがないのでお菓子を用意していると、こいしがちょっとうつむきがちに声をかけてきた。
「…おねーちゃん怒ってる?」
「…まあ、ちょっとは。でもいいわよ。」
たった1人の、私の妹で。
たった1人の、あなたの姉だから。
ずるい
良かった
結婚したから義姉になるというありそうでなかった発想が素晴らしかったです
困惑しつつも相手をしてあげるさとりに包容力を感じるとともに、その後のどんでん返しにとても驚かされました
さとりのあっけにとられた姿が目に浮かぶようでした
ところでちょっと珍しい組み合わせなんですが、ちょこれーとさんの書く橙と正邪の絡みを読んでみたいです
こいここはさいこうだ。
リクエストはネムノさんとかどうですか?難しければ大丈夫ですが……!