#1重い雨
人気の少ない森。暗くジメジメとした重い夜。土砂降りの雨の音と香り。そして、心に深く染みる雨粒も。何もかもが最悪だ。私はそう考えるごとに、ぬかるんだ地面を強く擦らせながら進んでいた。その姿は、目的地のない旅のようにトボトボと彷徨っていた。
家もなく
家族もいない
仲間もいない
自分の性格も良くない
ましてや、自分の能力でさえもうまく扱えない。
だから私は誰かから好かれたり、拾われたりしない。
だって、私とつながりを持ったその時はいいのかもしれないけれど、その後に「破滅的な結果が待ち受けている」ということが知れ渡っているから。
だから、私の周りは誰も人がいなかった。
「――ッ!」
足元にあった石につまずき、体制が雪崩のように崩れた。
泥が飛び散り、土の味と匂いが口の中に広がる。
自分がまとっている服にも泥が染み込んでくる。
私の身体は冷たい感触と倒れた時の衝撃に襲われ、自由に動けなくなった。
目の前に広がるのは、水しぶきをあげる土砂降りの雨と、暗く重い森が広がっている。
なぜだろう。
とても懐かしく感じてくる。
だけれど、そんな景色もだんだん、と、ぼやけてきた。
重い瞼に抵抗できるはずもなく、私は私の舞台に幕を下ろした
……はずだったのだが。
急に身体が持ち上がり、一瞬のうちに私は空に飛ばされた。
何があったのか分からない。
何が起きたのかが分からない。
ただ、一つだけ分かったことがあるとすれば、
星のように輝く人に抱えられていたこと……。
#2思い星
「飯綱丸さまー……龍さまー……」
トトトッと小走りで家の中を駆け回る。今日は月虹市場の日だ。あれほど準備をしていたというのに、なぜ今日に限って出てこないのだろうか。
私は毛を逆立たせながら飯綱丸様の寝室に入った。
「もうっ、飯綱丸さ……ま?」
そこには、乱雑した部屋が広がっており、その中に飯綱丸様が埋もれていた。
あわてて近づいてみると、寝息の音が聞こえた。
今日のことを忘れて寝ているその顔は、とても笑顔で温かいように見えた。
私は顔を近づけ、ゆっくりと身体を横にした。
人気の少ない森。暗くジメジメとした重い夜。土砂降りの雨の音と香り。そして、心に深く染みる雨粒も。何もかもが最悪だ。私はそう考えるごとに、ぬかるんだ地面を強く擦らせながら進んでいた。その姿は、目的地のない旅のようにトボトボと彷徨っていた。
家もなく
家族もいない
仲間もいない
自分の性格も良くない
ましてや、自分の能力でさえもうまく扱えない。
だから私は誰かから好かれたり、拾われたりしない。
だって、私とつながりを持ったその時はいいのかもしれないけれど、その後に「破滅的な結果が待ち受けている」ということが知れ渡っているから。
だから、私の周りは誰も人がいなかった。
「――ッ!」
足元にあった石につまずき、体制が雪崩のように崩れた。
泥が飛び散り、土の味と匂いが口の中に広がる。
自分がまとっている服にも泥が染み込んでくる。
私の身体は冷たい感触と倒れた時の衝撃に襲われ、自由に動けなくなった。
目の前に広がるのは、水しぶきをあげる土砂降りの雨と、暗く重い森が広がっている。
なぜだろう。
とても懐かしく感じてくる。
だけれど、そんな景色もだんだん、と、ぼやけてきた。
重い瞼に抵抗できるはずもなく、私は私の舞台に幕を下ろした
……はずだったのだが。
急に身体が持ち上がり、一瞬のうちに私は空に飛ばされた。
何があったのか分からない。
何が起きたのかが分からない。
ただ、一つだけ分かったことがあるとすれば、
星のように輝く人に抱えられていたこと……。
#2思い星
「飯綱丸さまー……龍さまー……」
トトトッと小走りで家の中を駆け回る。今日は月虹市場の日だ。あれほど準備をしていたというのに、なぜ今日に限って出てこないのだろうか。
私は毛を逆立たせながら飯綱丸様の寝室に入った。
「もうっ、飯綱丸さ……ま?」
そこには、乱雑した部屋が広がっており、その中に飯綱丸様が埋もれていた。
あわてて近づいてみると、寝息の音が聞こえた。
今日のことを忘れて寝ているその顔は、とても笑顔で温かいように見えた。
私は顔を近づけ、ゆっくりと身体を横にした。
自分のことをよくわかったいる典がよかったです
ご馳走様でした。
こちらとしてはシーンの切り抜きのみでは、おそらく、典が報われた話なのでしょうけど、彼女の感情の動きや変化が伝わりにくいんですよね。過程がないからこそ、その話のネタバレだけを見させられたように、読者側が得る感情が薄くなってしまうと言うか。だからこそ、短くてもいいので起承転結、まあ最低でも起承くらいまでは欲しいところです。雰囲気の出し方はとても良かったと感じたので、展開の出し方など頑張ってほしいと感じました。