雲がかかった空を見上げ、盃を傾ける。
人々の喧騒から外れ、UFOに乗りながらゆらゆらと揺れていると、まるで自分が世界で一人だけになったかの様な錯覚を受ける。
しかしゆったりとした時に身を任せていると、だんだんと周りの小さな音が聞こえてくる。
鈴虫の鳴く音、葉擦れの音に耳を澄ませて再び盃を傾ける。
......。
「見つけたっ!」
静寂を破る声が響くと同時、緑に輝く弾幕が勢いよく迫り来る。
「っ!?」
ぬえはとっさに自身のUFOを盾にし自分の身を守る。
「あらら。貴女を倒せる最初で最後のチャンスだったのに、失敗しちゃった。」
「...ねぇ。奇襲攻撃はスペルカードルール違反の筈だけど?」
「まぁいいじゃない。弱小妖怪のハンデってやつよ。」
「...で、あんたは誰だよ?人に恨まれるような事は沢山やった覚えはあるが、お前に見覚えはないぜ。不意打ちを掛けられるような理由にもな。」
「私の名前はリグル・ナイトバグ!
私自身は恨みは無いけれど、同族の義によって貴女を倒す! 闇夜の蟲の怖さ、身を以て知るがいい!」
やれやれ、面倒な事に巻き込まれたな。
別に蟲どもに何かした覚えはないんだが。
「スペルカード宣言!
妖雲『平安のダーククラウド』!」
周囲が闇に包まれリグルに閃光が降り注ぐ。
「真っ暗なのも好きだけどうちの子達は明るい方に行きたがるんだよね。
スペルカード宣言!
灯符『ファイヤフライフェノメノン』!」
対したリグルから強い光を放つ光弾が放たれ、闇を払う。
「どうだ明るくなったろう。」
「ちっ。」
先程から妖怪としての地力の差もあり、先程からリグルの弾幕は薄く全く当たる気配はない。
しかし相手も弾幕勝負に慣れているのか、それとも目に灯る執念の光からか、こちらの攻撃も紙一重の展開もあるが躱されている。
「虫の眼は特別製だ!そう簡単にはやられてあげない!」
「鬱陶しいんだよ蚊が!一気に終わらせてやる!」
大妖怪としての妖力を練り上げ、弓を模る。
思い描くはかつての盟友。
「お前も私を蚊呼ばわりか!蛍の本当の力!とくと味わえ!」
リグルも同じく妖力を練り上げる。
最後の一撃 は、対『封獣ぬえ』専用に創り上げた正真正銘の切り札。
「「スペルカード宣言!!」」
「恨弓『源三位頼政の弓』!」
「魂弓『源三位頼政の弓』!」
............................................................何だって?
待ってくれ。
なんだよその名前のスペルカードは......?
その矢の放つ覚えのある光は......?
困惑に封獣ぬえの放つ弾幕が止まる。
「今だっ!!」
「っ!しまっ!??
瞬間呆けてしまった封獣ぬえを弾幕が包み込む......
------------------------------------------------------------------
「へっへー勝ったー勝ったー、伝説の大妖怪に勝ったー!」
「説明しろ!どういうことだあのスペルカードは!どうしてお前があの矢を使っている!」
「痛いよー弱小妖怪にそんな掴みかからないで〜潰れちゃう〜」
「うるせぇどの口が!数百年ぶりに命の危険を感じたわ!」
実際のところ、ぬえには外傷こそないが服がボロボロになっており、少女の格好としてはかなり痛々しい。
「私はただ、身にほとばしる情熱を弾幕にして披露しただけよ。」
「説明しろ。」
「困るわ。そういうのは匂わせる程度にしないと面白くないもの。」
「おい。」
「弾幕勝負で勝ったのは私よ? 敗者は敗者らしくしてなさい。べーっ。」
ぐっ。それを言われると少し弱い。もう一度やったら勝つという自信こそあるが、今日の勝負には負けてしまったのも事実だった。
とても嬉しそうな蛍妖怪を前に少し逡巡して、声をかける。
「おい、夜酒に付き合え。」
「ぼっちなの?」
「一人が好きなだけだよ。」
先ほどまでかかっていた雲は晴れて、憎たらしいほど月が輝いていた。
人々の喧騒から外れ、UFOに乗りながらゆらゆらと揺れていると、まるで自分が世界で一人だけになったかの様な錯覚を受ける。
しかしゆったりとした時に身を任せていると、だんだんと周りの小さな音が聞こえてくる。
鈴虫の鳴く音、葉擦れの音に耳を澄ませて再び盃を傾ける。
......。
「見つけたっ!」
静寂を破る声が響くと同時、緑に輝く弾幕が勢いよく迫り来る。
「っ!?」
ぬえはとっさに自身のUFOを盾にし自分の身を守る。
「あらら。貴女を倒せる最初で最後のチャンスだったのに、失敗しちゃった。」
「...ねぇ。奇襲攻撃はスペルカードルール違反の筈だけど?」
「まぁいいじゃない。弱小妖怪のハンデってやつよ。」
「...で、あんたは誰だよ?人に恨まれるような事は沢山やった覚えはあるが、お前に見覚えはないぜ。不意打ちを掛けられるような理由にもな。」
「私の名前はリグル・ナイトバグ!
私自身は恨みは無いけれど、同族の義によって貴女を倒す! 闇夜の蟲の怖さ、身を以て知るがいい!」
やれやれ、面倒な事に巻き込まれたな。
別に蟲どもに何かした覚えはないんだが。
「スペルカード宣言!
妖雲『平安のダーククラウド』!」
周囲が闇に包まれリグルに閃光が降り注ぐ。
「真っ暗なのも好きだけどうちの子達は明るい方に行きたがるんだよね。
スペルカード宣言!
灯符『ファイヤフライフェノメノン』!」
対したリグルから強い光を放つ光弾が放たれ、闇を払う。
「どうだ明るくなったろう。」
「ちっ。」
先程から妖怪としての地力の差もあり、先程からリグルの弾幕は薄く全く当たる気配はない。
しかし相手も弾幕勝負に慣れているのか、それとも目に灯る執念の光からか、こちらの攻撃も紙一重の展開もあるが躱されている。
「虫の眼は特別製だ!そう簡単にはやられてあげない!」
「鬱陶しいんだよ蚊が!一気に終わらせてやる!」
大妖怪としての妖力を練り上げ、弓を模る。
思い描くはかつての盟友。
「お前も私を蚊呼ばわりか!蛍の本当の力!とくと味わえ!」
リグルも同じく妖力を練り上げる。
「「スペルカード宣言!!」」
「恨弓『源三位頼政の弓』!」
「魂弓『源三位頼政の弓』!」
............................................................何だって?
待ってくれ。
なんだよその名前のスペルカードは......?
その矢の放つ覚えのある光は......?
困惑に封獣ぬえの放つ弾幕が止まる。
「今だっ!!」
「っ!しまっ!??
瞬間呆けてしまった封獣ぬえを弾幕が包み込む......
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「へっへー勝ったー勝ったー、伝説の大妖怪に勝ったー!」
「説明しろ!どういうことだあのスペルカードは!どうしてお前があの矢を使っている!」
「痛いよー弱小妖怪にそんな掴みかからないで〜潰れちゃう〜」
「うるせぇどの口が!数百年ぶりに命の危険を感じたわ!」
実際のところ、ぬえには外傷こそないが服がボロボロになっており、少女の格好としてはかなり痛々しい。
「私はただ、身にほとばしる情熱を弾幕にして披露しただけよ。」
「説明しろ。」
「困るわ。そういうのは匂わせる程度にしないと面白くないもの。」
「おい。」
「弾幕勝負で勝ったのは私よ? 敗者は敗者らしくしてなさい。べーっ。」
ぐっ。それを言われると少し弱い。もう一度やったら勝つという自信こそあるが、今日の勝負には負けてしまったのも事実だった。
とても嬉しそうな蛍妖怪を前に少し逡巡して、声をかける。
「おい、夜酒に付き合え。」
「ぼっちなの?」
「一人が好きなだけだよ。」
先ほどまでかかっていた雲は晴れて、憎たらしいほど月が輝いていた。
面白かったです。もっと膨らませたものを見てみたいとも思いました。
続き見たいのでできれば作ってください。