ほうらん

　『夏休みの自由研究だからって、ミスティアのタマゴを橙は盗んで来て温めているところを藍に見つかってしまった』

　：なお自由研究のテーマは味、育て太らせ喰う気だ：

　自由研究といっても寺子屋の宿題かは当時の資料に乏しい為、良く分からない。通って居るかどうかも分からない。


　

「……橙。そこでなにやってるの？」
　
　夏だというのに、出しっぱなしの炬燵の中で橙は丸くなって、出てこない。
　心配になった藍は炬燵布団をめくって様子を見るように見せかけて、その容姿を愛でに来たのだった。
　あ、もちろん心配もしている。
　
「藍しゃま、ミスティアのタマゴ温めてます」

　丸まった中央に、タマゴをおいて温めている。高めの温度をキープ！

「ミスティアのタマゴって何で橙が持って居るの？」

「とって来ましたぁ」

「橙そういう事はしないの。いけません」

「はぁぁぁ？　うっせぇ！　うっせぇわぁ！」

　炬燵の中から、シャーと威嚇しながら汚い言葉を投げかけた。

「そ、そんな口の利き方」

　可愛い橙からそんな汚い言葉が出てくるとは想像だにしなかった。想定外の出来事でショックだ。

「藍しゃま。ちょっとぉ。そんなってぇ。最新の流行ですよぉ」

　夏休みってこともあって、橙は外の文化にチルノ辺りと触れて何か適当な機会があったら言って見ようと思ってた。
　その結果がどうなるかなんて未熟なので考えてすら居ない。

「……橙。橙がそんな孤に育つなんて」

　最新の流行なんて紫のそば生活していると分からない。なんでって、幻想郷だぞ！紫はそのbossだぞ！
　藍は淡い残り香を残して、めくって居た炬燵布団を閉じた。

「藍しゃま？　藍しゃま？　えっとぉ」

　だけども温めているタマゴからはなれたらタマゴがどうなるか分からない。
　その後、時間が経って何か今ならタマゴ大丈夫っていう気持ちになった。橙は炬燵から出て藍に話しかけたが思ってた以上に藍がショック受けてそれからしばらく口聞いてくれなかった。

　

３０日後

夜雀のヒヨコ「マーマ。マーマ」
橙「マーマだよぉ！」

　卵から孵ったヒヨコは橙と眼が最初に合って親だと勘違いしてしまう。
　すっごく懐いて擦り寄って来る我が子（炬燵の暑さの中で、３０日耐えた橙にとってはもう我が子も同然）が可愛すぎて一人前になるまで飼うっていう自由研究に変わったのだった。
　なお、数年後、橙の式になるかどうかは成長次第である。