人里で買い物をしていると、偶然にも咲夜と会った。私と同じように買い物にでも来たのかと尋ねると、彼女は違うと答える。では何の用かと聞くと、どうも紅魔館にやって来た姿見鏡を引き取ってくれる店を探しているとの事だった。
「吸血鬼の館に鏡? お前が使う物じゃないのか?」
「私のはもうあるのよ。ちょっと前にお嬢様が気紛れに拾ってきてね、結局使わないし、今はもう邪魔だから廊下に放置してるのだけど」
咲夜はため息をつきながらこれまでの経緯を話した。珍しく困っている様子を見せていたので、私は見かねてその姿見鏡を引き取る旨を申し出た。彼女はその申し出を訝しんでいたが、何も善意だけの行為では無いと彼女を説得しにかかる。私の家にある姿見鏡も丁度壊れており、今日の買い物もそれ目当てで来たのだと。それを聞いた咲夜は、納得した顔を見せた。
私はそのまま咲夜に連れられて紅魔館に向かい、その姿見鏡を見る事になった。咲夜は仕事があると言って、その鏡がある場所を教えてくれた後にすぐ姿を消した。こんなだだっ広い家を案内無しに目的地まで歩くのは面倒だったが、文句を言う相手はたった今何処かに行ってしまったので仕方無く、教えられた場所に向かった。
数分程して目的の姿見鏡がある場所に辿り着いた。案外迷わずに行けた自分を褒め称えていると、その姿見鏡の目の前にフランドールの姿があった。自分の姿が映らないのに何をしているのかと声を掛けようとしたが、おかしな事に気付いてそれをやめた。
鏡にフランドールの姿が映っていた。見間違いかと思って目を凝らしたが鏡に映る彼女の姿は何も変わらなかった。フランドールがおかしいのかと思ったが、やはり普段の彼女と何ら変わらない様子だった。気味が悪かったので、私はフランドールに声を掛けることも姿見鏡を持ち帰ることもせずに、その場から立ち去った。
その場から逃げて少し経った頃、やはり真相が気になったので地下に行って本人から訳を聞く事にした。地下の部屋に向かうと彼女は部屋に居て、鍵を壊して私を招き入れてくれた。
「此処に来るなんて珍しいわね。どうしたの?」
「いや、さっきお前を鏡の前で見てさ。お前の姿が鏡に映ってたからどういう事かって聞きに来たわけよ」
フランドールは私の話を興味ありげに聞くと思うと、急に立ち上がって部屋から出ようした。明らかに何か知っているような様子だった。私は驚いて、彼女を引き止める。
「おいおい、何か教えてくれてもいいんじゃないか?」
「あーそうね。じゃあ魔理沙さ、鏡に映らない筈の吸血鬼が映っていた場合、どういう理由が考えられると思う?」
「そりゃ吸血鬼本人が何かしたんだろ」
「それもあるね。残りの二つは?」
フランドールの言葉に私は耳を疑った。しかし、よくよく考えると彼女の言葉が正しい事を理解した。
「二つ目に考えられるのは、鏡に何か棲みついている。鏡にいる奴が何かしてるんだろうって訳だな」
「うん、そんな感じね」
「そんで三つ目があれだな。鏡の前にいる奴が吸血鬼じゃないって事だろ」
「正解」
そのやりとりを最後にフランドールは部屋から出て行った。私もそれに続いて部屋を出ようとしたが、フランドールの読みかけと思われる本が目に入り、それがたまたま読みたいと思っていたものだったので、思わずその場で読む事にしてしまった。
どれ程の時間が経ったのか、一時間も経っていないとは思われるがそこそこの時間を経た頃に私はフランドールがまだ戻ってきていないことに気付いた。館を出歩くにしてもそんな長時間に及ぶものなのかと不審に思ったので、本を読むのを中断して部屋から出る事にした。部屋から出ると、妖精メイドが何やら騒がしかった。何事かと思ってその騒ぎを辿っていくと、さっきの姿見鏡がある場所に続いているのが分かった。
私が着いたその場所に、もう姿見鏡は無くなっていた。もう鏡として機能しない程に粉々になって辺りに散っていたのだった。そしてその隣にフランドールの姿があるのを見つけた。
「おい、どうしたんだよこれは」
「あら魔理沙。来るの遅かったわね」
フランドールは私に笑顔を向ける。ふと、彼女の顔に赤い液体、血の様なものが付いているのに気付いた。彼女が怪我をしているようには見えなかったので、不思議に思っていると、妙に足元が濡れている様な感触があるのに気付いた。それに気付いた途端に、鼻腔に鉄の匂いが広がる。驚いて足元を見ると、血塗れのフランドールの死体があった。
フランドールは、困惑した私を見て、どちらが本物か気になるなら鏡でも持ってきなよと言った。私は貰う筈だった鏡を返せと言ってフランドールを殴った。
「吸血鬼の館に鏡? お前が使う物じゃないのか?」
「私のはもうあるのよ。ちょっと前にお嬢様が気紛れに拾ってきてね、結局使わないし、今はもう邪魔だから廊下に放置してるのだけど」
咲夜はため息をつきながらこれまでの経緯を話した。珍しく困っている様子を見せていたので、私は見かねてその姿見鏡を引き取る旨を申し出た。彼女はその申し出を訝しんでいたが、何も善意だけの行為では無いと彼女を説得しにかかる。私の家にある姿見鏡も丁度壊れており、今日の買い物もそれ目当てで来たのだと。それを聞いた咲夜は、納得した顔を見せた。
私はそのまま咲夜に連れられて紅魔館に向かい、その姿見鏡を見る事になった。咲夜は仕事があると言って、その鏡がある場所を教えてくれた後にすぐ姿を消した。こんなだだっ広い家を案内無しに目的地まで歩くのは面倒だったが、文句を言う相手はたった今何処かに行ってしまったので仕方無く、教えられた場所に向かった。
数分程して目的の姿見鏡がある場所に辿り着いた。案外迷わずに行けた自分を褒め称えていると、その姿見鏡の目の前にフランドールの姿があった。自分の姿が映らないのに何をしているのかと声を掛けようとしたが、おかしな事に気付いてそれをやめた。
鏡にフランドールの姿が映っていた。見間違いかと思って目を凝らしたが鏡に映る彼女の姿は何も変わらなかった。フランドールがおかしいのかと思ったが、やはり普段の彼女と何ら変わらない様子だった。気味が悪かったので、私はフランドールに声を掛けることも姿見鏡を持ち帰ることもせずに、その場から立ち去った。
その場から逃げて少し経った頃、やはり真相が気になったので地下に行って本人から訳を聞く事にした。地下の部屋に向かうと彼女は部屋に居て、鍵を壊して私を招き入れてくれた。
「此処に来るなんて珍しいわね。どうしたの?」
「いや、さっきお前を鏡の前で見てさ。お前の姿が鏡に映ってたからどういう事かって聞きに来たわけよ」
フランドールは私の話を興味ありげに聞くと思うと、急に立ち上がって部屋から出ようした。明らかに何か知っているような様子だった。私は驚いて、彼女を引き止める。
「おいおい、何か教えてくれてもいいんじゃないか?」
「あーそうね。じゃあ魔理沙さ、鏡に映らない筈の吸血鬼が映っていた場合、どういう理由が考えられると思う?」
「そりゃ吸血鬼本人が何かしたんだろ」
「それもあるね。残りの二つは?」
フランドールの言葉に私は耳を疑った。しかし、よくよく考えると彼女の言葉が正しい事を理解した。
「二つ目に考えられるのは、鏡に何か棲みついている。鏡にいる奴が何かしてるんだろうって訳だな」
「うん、そんな感じね」
「そんで三つ目があれだな。鏡の前にいる奴が吸血鬼じゃないって事だろ」
「正解」
そのやりとりを最後にフランドールは部屋から出て行った。私もそれに続いて部屋を出ようとしたが、フランドールの読みかけと思われる本が目に入り、それがたまたま読みたいと思っていたものだったので、思わずその場で読む事にしてしまった。
どれ程の時間が経ったのか、一時間も経っていないとは思われるがそこそこの時間を経た頃に私はフランドールがまだ戻ってきていないことに気付いた。館を出歩くにしてもそんな長時間に及ぶものなのかと不審に思ったので、本を読むのを中断して部屋から出る事にした。部屋から出ると、妖精メイドが何やら騒がしかった。何事かと思ってその騒ぎを辿っていくと、さっきの姿見鏡がある場所に続いているのが分かった。
私が着いたその場所に、もう姿見鏡は無くなっていた。もう鏡として機能しない程に粉々になって辺りに散っていたのだった。そしてその隣にフランドールの姿があるのを見つけた。
「おい、どうしたんだよこれは」
「あら魔理沙。来るの遅かったわね」
フランドールは私に笑顔を向ける。ふと、彼女の顔に赤い液体、血の様なものが付いているのに気付いた。彼女が怪我をしているようには見えなかったので、不思議に思っていると、妙に足元が濡れている様な感触があるのに気付いた。それに気付いた途端に、鼻腔に鉄の匂いが広がる。驚いて足元を見ると、血塗れのフランドールの死体があった。
フランドールは、困惑した私を見て、どちらが本物か気になるなら鏡でも持ってきなよと言った。私は貰う筈だった鏡を返せと言ってフランドールを殴った。
姿見に映っていたフランドールが何らかの形で現れた偽物で、本物フランドールが魔理沙に話を聞いてからぶん殴りに行ったのかしら。逆に本物が返り討ちにあってたりして。
そんなのどうでもいいとばかりに殴りに行く魔理沙がとっても魔理沙。
ちょっと不思議な話なのに、魔理沙があんまり気にしていなくて笑いました
特にオチに勢いがあって面白かったです