「聡明な頭脳を授かった天人の貴方であれば、この問いかけを行う矮小な鴉天狗がさぞかし愚かに見えるでしょう。えぇ、しかしそこは天に住まいを構える者として、寛大であり寛容、天から地に向けて恵みの雨水を降らせるように、知識をお与えください。サイクロイド、ご存知であれば、教えて頂きたいのです」
首を垂れる、その者のは明らかに私の知識量を測り、そして知らないことを察すると、愚弄するためにやや左の口角を上に釣り上げた、この嘲笑を許すべからず。
私、比那名居天子はこの屈辱を晴らすべく、私は寛大にて礼儀作法にも精通しているところがある、俗にいう「武士の情け」で、私をコケにした罪妖怪の名は伏せておくが、限りある紙や墨を無駄に浪費するばかりか、あまつさえ出来上がった粗末な物を押し売りする迷惑極まりない鴉天狗の寝床に普段抜け目なく漬物石として有効活用している要石にやや殺人的な回転を加えて撃ち込んだ。
精々やや酸味の効いた新鮮な要石の悪夢を思う存分味わうが良い。無論返却は不要、寛大ゆえに。
破壊的な衝突音が大気を震わし、忌まわしい天狗の寝床から木々が飛び散り土埃が舞うのを確認したのち、最上級の陰口と氷点下を大幅に下回る冷笑を浮かべてその場を離れた。
しかし、サイクロイドとはなんだ?近頃頭の片隅に洗い残した茶渋のようにこびり付いて離れない。
あの舌先三寸で、いざペンを振るえばデタラメだらけの「悪い例」として有効活用出来るゴシップ記事ばかりをこの世に生み出す愚かな鴉天狗の言うことだ、どうせ造語に決まっていると高を括っていた。しかし事態は急変する。
後日、暇つぶしに少しからかってやろうと少名 針妙丸の所に新しい漬物石として要石を届けたついでに「サイクロイドとはなにか」と言う問いをした。すると「もちろん知っているよ」と返答を得て、やや狼狽する。あの忌々しい鴉天狗の造語ではなかったのだ。
しかし微塵も悟られまいと、いつもの余裕ある天人特有の寛大且つ威厳を思わせる微笑を絶え間なく浮かべていると、あろうことか余計にも心中を察した針妙丸が口を開いた。
「え、もしかして知らないの?サイクロイド」
「何を馬鹿なことを、知っているに決まっているでしょう。我、天人比那名居よ?」
「まぁ天人だから当然よね。弾幕にも応用が効くし」
当然なのか。というか弾幕にも応用が効く?もっと具体的なヒントは得られないものかと、慎重に探りを入れてみたが、抽象的な答えしか引き出せず核心には触れられない。
その後針妙丸は用事があると言って天邪鬼とどこかに行ってしまった。
この世に祝福され、満を持して生を受けてから幾星霜、和歌、俳句、弾幕、学問、様々な学びを受けてきたがサイクロイドなぞ聞いたことがない。
このままだと生まれてこの方、一度も心底負けを認めず、故に誰にどう思われようと敗北を認めず、故に不敗である私は立ちふさがるものを乗り越えてきた。しかし天人生において、初めてサイクロイドだとか言う、手も足も出ない訳の分からないものが忽然と立ちふさがる。しかも何かわからないが、どうやら皆は知っている様子だ。
「このようなことはいずれ明白になる。なにか手を打たなければ」
手っ取り早いのが紅魔館に住む、やや無口で不愛想な図書館の魔女に聞きに行くのが良いだろう。恐らく私が聞きに来たことを安易に他者に漏らすことはないと思う。
しかし万が一がある。
確か針妙丸はこうも言っていた。これは恐らく一番印象に残って居る、それ故に聡明な私は重大なヒントと確信した。
「サイクロイドは、歯ごたえが良いよね」と。
後日、どうにも気になり紅魔館の大図書館で調べた時に意味がわかった。
そして針妙丸が私をからかっていた事も。
当然の報いを与えるべく、針妙丸愛用のお椀に納豆を入れて放置してやった。友人故に、最低限の処罰で勘弁しておく。
首を垂れる、その者のは明らかに私の知識量を測り、そして知らないことを察すると、愚弄するためにやや左の口角を上に釣り上げた、この嘲笑を許すべからず。
私、比那名居天子はこの屈辱を晴らすべく、私は寛大にて礼儀作法にも精通しているところがある、俗にいう「武士の情け」で、私をコケにした罪妖怪の名は伏せておくが、限りある紙や墨を無駄に浪費するばかりか、あまつさえ出来上がった粗末な物を押し売りする迷惑極まりない鴉天狗の寝床に普段抜け目なく漬物石として有効活用している要石にやや殺人的な回転を加えて撃ち込んだ。
精々やや酸味の効いた新鮮な要石の悪夢を思う存分味わうが良い。無論返却は不要、寛大ゆえに。
破壊的な衝突音が大気を震わし、忌まわしい天狗の寝床から木々が飛び散り土埃が舞うのを確認したのち、最上級の陰口と氷点下を大幅に下回る冷笑を浮かべてその場を離れた。
しかし、サイクロイドとはなんだ?近頃頭の片隅に洗い残した茶渋のようにこびり付いて離れない。
あの舌先三寸で、いざペンを振るえばデタラメだらけの「悪い例」として有効活用出来るゴシップ記事ばかりをこの世に生み出す愚かな鴉天狗の言うことだ、どうせ造語に決まっていると高を括っていた。しかし事態は急変する。
後日、暇つぶしに少しからかってやろうと少名 針妙丸の所に新しい漬物石として要石を届けたついでに「サイクロイドとはなにか」と言う問いをした。すると「もちろん知っているよ」と返答を得て、やや狼狽する。あの忌々しい鴉天狗の造語ではなかったのだ。
しかし微塵も悟られまいと、いつもの余裕ある天人特有の寛大且つ威厳を思わせる微笑を絶え間なく浮かべていると、あろうことか余計にも心中を察した針妙丸が口を開いた。
「え、もしかして知らないの?サイクロイド」
「何を馬鹿なことを、知っているに決まっているでしょう。我、天人比那名居よ?」
「まぁ天人だから当然よね。弾幕にも応用が効くし」
当然なのか。というか弾幕にも応用が効く?もっと具体的なヒントは得られないものかと、慎重に探りを入れてみたが、抽象的な答えしか引き出せず核心には触れられない。
その後針妙丸は用事があると言って天邪鬼とどこかに行ってしまった。
この世に祝福され、満を持して生を受けてから幾星霜、和歌、俳句、弾幕、学問、様々な学びを受けてきたがサイクロイドなぞ聞いたことがない。
このままだと生まれてこの方、一度も心底負けを認めず、故に誰にどう思われようと敗北を認めず、故に不敗である私は立ちふさがるものを乗り越えてきた。しかし天人生において、初めてサイクロイドだとか言う、手も足も出ない訳の分からないものが忽然と立ちふさがる。しかも何かわからないが、どうやら皆は知っている様子だ。
「このようなことはいずれ明白になる。なにか手を打たなければ」
手っ取り早いのが紅魔館に住む、やや無口で不愛想な図書館の魔女に聞きに行くのが良いだろう。恐らく私が聞きに来たことを安易に他者に漏らすことはないと思う。
しかし万が一がある。
確か針妙丸はこうも言っていた。これは恐らく一番印象に残って居る、それ故に聡明な私は重大なヒントと確信した。
「サイクロイドは、歯ごたえが良いよね」と。
後日、どうにも気になり紅魔館の大図書館で調べた時に意味がわかった。
そして針妙丸が私をからかっていた事も。
当然の報いを与えるべく、針妙丸愛用のお椀に納豆を入れて放置してやった。友人故に、最低限の処罰で勘弁しておく。
強がっちゃう天子がかわいらしかったです
オチもよかったです
素晴らしかったです。面白い