咲夜は私に忠実な従者だ。
私のどんなわがままにも付き合ってくれる。
私が命令すれば、彼女はきっと魂すら差し出してくれると信じている。
だからこそ、言えない。
咲夜に、今死んで欲しいと思っていることを。
長い命。身近な人が死んでゆく瞬間など、嫌と言うほど見てきた。
生の輝きなどとうに無く、萎びた手で私の名を呼びながら絶命する——そういった瞬間。
とっくに気づいている。最も輝く瞬間の星こそが美しいのだと。
老いたる者の死ほど無様なものはない。
幸せの残滓、醜悪な骨と皮の塊。
なるほど、土に埋めたくもなるわけだと思う。
そしてその遺影は、亡骸のものではない。幸せそうな、輝きに満ち溢れた顔。
彼女を灰にしてしまいたい。
髪の毛一本も残さぬように、この手で消し去ってしまいたい。
そうすれば、彼女は永遠に私を手に入れられる。
私の中でのみ、彼女は生きる。
とっくに気づいている。私が彼女のことを思い続けるには、それが1番なのだと。
彼女が醜くなる前に、その輝きに満ち溢れた姿のままで、私の頭の中だけに居て欲しい。
——そういった、歪んだ独占欲だ。
とぽとぽと子気味の良い音を立てて、ポットから紅茶が注がれる。
咲夜が、いつも通りの時間にお茶の準備を始めてくれていた。
「咲夜」
私はふと呼びかける。
御用ですかと答え、彼女がこちらに向き直る。
「死んでちょうだい」
その言葉が胃袋を伝って舌の付け根までせりあがる。
もし私が、本当にそう言ったなら?妄想が渦巻き、出てくるのは取り繕うような言葉だけ。
「……今日のお茶菓子は?」
「今日は人里の甘味処のお団子です」
そう言って咲夜が出したのは香ばしい匂いのするみたらし団子。
「紅茶に団子って……流石咲夜ね」
「恐縮です」
「褒めてないわ!」
全く、この子はどこか抜けていると思いながら、私はみたらし団子の串を手に取ってぱくぱくと食べ始める。
私のために死んでくれと言えば、彼女は……?
最後の団子が食べ辛く、頬にべったりとタレが付く。ウフフと笑いながら咲夜が無理やりそれを拭き取ろうとする。
「ちょ!やめなさい咲夜!それくらい一人でできるわよ!」
「これも従者の務めですので」
この子は私の身長より大きくなった時から、ずっと私のことを子供扱いしている。私は何十倍か年上なのに……
私が命令すれば、平気で「わかりました」と言いそうなその唇に、そんなことを言えるはずがない。
ずるいとすら思う。
日が山の端に入る。
黄昏に、窓から見渡せる庭の木々から落ちていた影が薄く朧になっていく。私は思わず、窓を開けてベランダへと躍り出る。
鉄の細工で作られたテーブルは冷たく、花柄を床に散らしていた。
一人のベランダにコトリ、と物音が鳴る。
顔を上げて見れば、目の前には彼女がポットを抱えて立っている。
「紅茶はいかがですか?」
「いらないわ。さっき飲んだばかりじゃない」
「そうでしたね、申し訳ありません。時間を止めて作業していたので、時間の感覚がズレていました」
雲が残っていたかすかな光を奪ってしまうと、彼女の顔はすっぽりと闇に包まれてしまって、表情が見えなくなった。
「……お嬢様。何かお悩みになっていることがおありですか?」
しまったと思った。
咲夜は嘘が嫌いな子だから、さっき私が途中で何かを胡麻化したことに気づいてしまったのかもしれない。
「お嬢様、何か困られているのでしたらどうか教えてください」
「別に。何もないわよ」
私の下手な作り笑いではぐらかすことは出来なかった。
私は焦る。この気持ちが、もしかしたら彼女には知られてしまっているのではないかと思うと、ただ怖かった。
「お嬢様。本当に大丈夫ですか?先ほどから暗いお顔をされているので——」
「いいってば!下がりなさい咲夜!」
私はぴしゃりと言う。
ああ、こんな時なのに暗さに目が慣れてしまった——
彼女の顔が、急に明確になる。
「……かしこまりました」
ふわりと紅茶の香りを残して、彼女は消えた。
私はそのまま頬杖をついて、もやもやとした気分で一番星が出てくるのを待っていた。
今彼女が死んでしまったなら、彼女は私を永遠に独り占めにすることができる。
彼女はこれから生きていく中で、沢山の人と出会う運命にある。そしてそれは、同時に私という存在から彼女が離れていくきっかけになるだろう。
彼女は約束した——「大丈夫、生きている間は一緒にいますから」
馬鹿な娘だ。一緒にいてあげるのは私の方だというのに。
だから、私が彼女に死んでほしいというのは筋の通った話のように思える。
彼女がさらに多くの友と出会う前に、大切な人を見つけてしまう前に、連れ去っていってしまえばそれでいい。
私から彼女の心が遠ざかっていく、その足音なんて聞きたくない。
私はついに、夕食の時間にも顔を出さないままでベランダにいた。
気を使って私と会うのを避けたのか、咲夜は部屋に食べ物だけを残しておいてくれていた。
冷めてしまったスープを飲みながら考える。
私は500年の中で、何度「愛している」などと言っただろうか。
それこそ今までに食べたパンの数——まではいかないだろうが、大分な数になっているはずだ。
心を込めずに、そんな言葉を贈るようなことはしない。だがあまりにも多く言ってしまったがために、その言葉は限りなく希釈されてしまう。
何千回目のおさがりなんかで、私が満足できる言葉を贈れるだろうか。
私は食べ終わった皿を持って、キッチンへと運ぼうと思った。
こんなことで何も変わりはしないと思うが、咲夜にあんな顔をさせてしまったことがどうも気がかりで、なんとなくの罪滅ぼしのつもりだった。
「お嬢様!私がお持ちしますわ。呼んでくださればよかったのですよ」
コツコツと彼女が駆け寄ってきて、私の手元から食器を取り上げる。
細く白い指先が、私の手と触れ合う。
彼女はふと微笑んで、その澄んだ一番星みたいな瞳もつられて笑う。
「私の仕事ですので、お休みになっていて下さい」
「咲夜」
私はまたも、ほとんど無意識に彼女を呼び止めた。
「いかがなさいましたか?」
「今夜、日付の変わる少し前に、私の部屋に来なさい」
彼女は少し不思議そうにそれを承諾した。
決めた。
私はあの手を、唇を、瞳を、心を、彼女を、今度こそ独り占めにしたくなった。
束の紅いナイフを握りしめる。
永遠に彼女が私の事だけを思っていられる運命に辿り着く。
永遠に彼女が私の事だけを思っていられるような呪いを作る。
愛なんてものはいつだって苦しみだ。
愛してしまうのも、愛したものを失うのも苦しみだ。
だから愛は『苦い』のだ。
『甘い』のは、いつだって愛が見せるその輝きだけであって——
「お嬢様。お呼び出しに応じて参上しました」
彼女が慣れないようなかしこまり方で私の目の前に出た。
「咲夜。そんなに固くならないでいいのよ。敬語もいらないわ。レミリアって呼んで」
私は歌うように言う。
彼女が驚いた顔でこちらを見つめる。
「れ、レミリア……様?」
私は彼女のかわいらしさにくすくすと笑う。
私のスカートと彼女の足が触れ合うほどに近づいて、私は彼女を見上げる。
「ねぇ、お願いがあるの」
縋るように、彼女の胸元に耳を当てる。
隠したナイフの背を撫ぜる。
「私のために、死んで頂戴」
「わかりました」
新月の夜には、ナイフの輝ける光も散っていない。
刃が首に触れて血が滲む。
そして、それを引き切ったのならば。
「おやすみなさい——
「ふふ、うふふふふ」
手に落ちる、生暖かい雫。
その雫の色は、ただ、ただ青かった。
「だめね、私って」
ポイとナイフを投げ捨てる。
じんわりと紅が逃げていく彼女の首元を優しく抑える。
「……お嬢様?」
鼻の奥がグッと熱くなってしまって敵わない。
怯えの一つもない、彼女の美しい瞳に突き刺されて敵わない。
「う、うわああああああん!さくやぁぁぁぁ!!」
「え!?何ですか急に!どこか痛いところでも?」
ぺたりと尻をつく。
本当に馬鹿みたい。でも止められない。
彼女が言うだけで壊れてしまうような感情も、何もかも。
結局私はチキンだったのだ。
どちらが運命を操れる方だか、これじゃあ分かったもんじゃない。
「お嬢様。本当に今日はおかしいですよ?」
咲夜が私の肩を抱いて、心配そうに言う。
「困っているなら、教えてください」
私は吐き出すように全部を話した。
今すぐにでも咲夜が死ねば、輝いた姿のままの咲夜と一生生きていけると思ったこと。
そしてそれは、本当は彼女の中で私が最後まで生きていたいという欲望を捻じ曲げていただけだと気づいていたこと。
結局、どんなに『苦く』ても消せなかったこと。
「なあんだ、そんなことですか」
私の前髪を優しく分けて、彼女は言う。
「言ったじゃないですか。生きている間は一緒にいますからって」
そうだ、結局私は彼女の事を信じていられなかっただけだったんだ。
最初から全部独り占めだったくせに、私はずっと疑い続けてしまったんだ。
「だから、ずっと愛してますよ?お嬢様」
こんな私の言葉じゃ、何千万回でも彼女には釣り合わない気がした。
本当はごめんなさいと言うべきなのに。
それでも彼女が私を覚えていてくれるなら、大切にしてくれるなら。私はわがままに彼女をただ抱きしめた。
「私も愛してるわ、咲夜」
私のどんなわがままにも付き合ってくれる。
私が命令すれば、彼女はきっと魂すら差し出してくれると信じている。
だからこそ、言えない。
咲夜に、今死んで欲しいと思っていることを。
長い命。身近な人が死んでゆく瞬間など、嫌と言うほど見てきた。
生の輝きなどとうに無く、萎びた手で私の名を呼びながら絶命する——そういった瞬間。
とっくに気づいている。最も輝く瞬間の星こそが美しいのだと。
老いたる者の死ほど無様なものはない。
幸せの残滓、醜悪な骨と皮の塊。
なるほど、土に埋めたくもなるわけだと思う。
そしてその遺影は、亡骸のものではない。幸せそうな、輝きに満ち溢れた顔。
彼女を灰にしてしまいたい。
髪の毛一本も残さぬように、この手で消し去ってしまいたい。
そうすれば、彼女は永遠に私を手に入れられる。
私の中でのみ、彼女は生きる。
とっくに気づいている。私が彼女のことを思い続けるには、それが1番なのだと。
彼女が醜くなる前に、その輝きに満ち溢れた姿のままで、私の頭の中だけに居て欲しい。
——そういった、歪んだ独占欲だ。
とぽとぽと子気味の良い音を立てて、ポットから紅茶が注がれる。
咲夜が、いつも通りの時間にお茶の準備を始めてくれていた。
「咲夜」
私はふと呼びかける。
御用ですかと答え、彼女がこちらに向き直る。
「死んでちょうだい」
その言葉が胃袋を伝って舌の付け根までせりあがる。
もし私が、本当にそう言ったなら?妄想が渦巻き、出てくるのは取り繕うような言葉だけ。
「……今日のお茶菓子は?」
「今日は人里の甘味処のお団子です」
そう言って咲夜が出したのは香ばしい匂いのするみたらし団子。
「紅茶に団子って……流石咲夜ね」
「恐縮です」
「褒めてないわ!」
全く、この子はどこか抜けていると思いながら、私はみたらし団子の串を手に取ってぱくぱくと食べ始める。
私のために死んでくれと言えば、彼女は……?
最後の団子が食べ辛く、頬にべったりとタレが付く。ウフフと笑いながら咲夜が無理やりそれを拭き取ろうとする。
「ちょ!やめなさい咲夜!それくらい一人でできるわよ!」
「これも従者の務めですので」
この子は私の身長より大きくなった時から、ずっと私のことを子供扱いしている。私は何十倍か年上なのに……
私が命令すれば、平気で「わかりました」と言いそうなその唇に、そんなことを言えるはずがない。
ずるいとすら思う。
日が山の端に入る。
黄昏に、窓から見渡せる庭の木々から落ちていた影が薄く朧になっていく。私は思わず、窓を開けてベランダへと躍り出る。
鉄の細工で作られたテーブルは冷たく、花柄を床に散らしていた。
一人のベランダにコトリ、と物音が鳴る。
顔を上げて見れば、目の前には彼女がポットを抱えて立っている。
「紅茶はいかがですか?」
「いらないわ。さっき飲んだばかりじゃない」
「そうでしたね、申し訳ありません。時間を止めて作業していたので、時間の感覚がズレていました」
雲が残っていたかすかな光を奪ってしまうと、彼女の顔はすっぽりと闇に包まれてしまって、表情が見えなくなった。
「……お嬢様。何かお悩みになっていることがおありですか?」
しまったと思った。
咲夜は嘘が嫌いな子だから、さっき私が途中で何かを胡麻化したことに気づいてしまったのかもしれない。
「お嬢様、何か困られているのでしたらどうか教えてください」
「別に。何もないわよ」
私の下手な作り笑いではぐらかすことは出来なかった。
私は焦る。この気持ちが、もしかしたら彼女には知られてしまっているのではないかと思うと、ただ怖かった。
「お嬢様。本当に大丈夫ですか?先ほどから暗いお顔をされているので——」
「いいってば!下がりなさい咲夜!」
私はぴしゃりと言う。
ああ、こんな時なのに暗さに目が慣れてしまった——
彼女の顔が、急に明確になる。
「……かしこまりました」
ふわりと紅茶の香りを残して、彼女は消えた。
私はそのまま頬杖をついて、もやもやとした気分で一番星が出てくるのを待っていた。
今彼女が死んでしまったなら、彼女は私を永遠に独り占めにすることができる。
彼女はこれから生きていく中で、沢山の人と出会う運命にある。そしてそれは、同時に私という存在から彼女が離れていくきっかけになるだろう。
彼女は約束した——「大丈夫、生きている間は一緒にいますから」
馬鹿な娘だ。一緒にいてあげるのは私の方だというのに。
だから、私が彼女に死んでほしいというのは筋の通った話のように思える。
彼女がさらに多くの友と出会う前に、大切な人を見つけてしまう前に、連れ去っていってしまえばそれでいい。
私から彼女の心が遠ざかっていく、その足音なんて聞きたくない。
私はついに、夕食の時間にも顔を出さないままでベランダにいた。
気を使って私と会うのを避けたのか、咲夜は部屋に食べ物だけを残しておいてくれていた。
冷めてしまったスープを飲みながら考える。
私は500年の中で、何度「愛している」などと言っただろうか。
それこそ今までに食べたパンの数——まではいかないだろうが、大分な数になっているはずだ。
心を込めずに、そんな言葉を贈るようなことはしない。だがあまりにも多く言ってしまったがために、その言葉は限りなく希釈されてしまう。
何千回目のおさがりなんかで、私が満足できる言葉を贈れるだろうか。
私は食べ終わった皿を持って、キッチンへと運ぼうと思った。
こんなことで何も変わりはしないと思うが、咲夜にあんな顔をさせてしまったことがどうも気がかりで、なんとなくの罪滅ぼしのつもりだった。
「お嬢様!私がお持ちしますわ。呼んでくださればよかったのですよ」
コツコツと彼女が駆け寄ってきて、私の手元から食器を取り上げる。
細く白い指先が、私の手と触れ合う。
彼女はふと微笑んで、その澄んだ一番星みたいな瞳もつられて笑う。
「私の仕事ですので、お休みになっていて下さい」
「咲夜」
私はまたも、ほとんど無意識に彼女を呼び止めた。
「いかがなさいましたか?」
「今夜、日付の変わる少し前に、私の部屋に来なさい」
彼女は少し不思議そうにそれを承諾した。
決めた。
私はあの手を、唇を、瞳を、心を、彼女を、今度こそ独り占めにしたくなった。
束の紅いナイフを握りしめる。
永遠に彼女が私の事だけを思っていられる運命に辿り着く。
永遠に彼女が私の事だけを思っていられるような呪いを作る。
愛なんてものはいつだって苦しみだ。
愛してしまうのも、愛したものを失うのも苦しみだ。
だから愛は『苦い』のだ。
『甘い』のは、いつだって愛が見せるその輝きだけであって——
「お嬢様。お呼び出しに応じて参上しました」
彼女が慣れないようなかしこまり方で私の目の前に出た。
「咲夜。そんなに固くならないでいいのよ。敬語もいらないわ。レミリアって呼んで」
私は歌うように言う。
彼女が驚いた顔でこちらを見つめる。
「れ、レミリア……様?」
私は彼女のかわいらしさにくすくすと笑う。
私のスカートと彼女の足が触れ合うほどに近づいて、私は彼女を見上げる。
「ねぇ、お願いがあるの」
縋るように、彼女の胸元に耳を当てる。
隠したナイフの背を撫ぜる。
「私のために、死んで頂戴」
「わかりました」
新月の夜には、ナイフの輝ける光も散っていない。
刃が首に触れて血が滲む。
そして、それを引き切ったのならば。
「おやすみなさい——
「ふふ、うふふふふ」
手に落ちる、生暖かい雫。
その雫の色は、ただ、ただ青かった。
「だめね、私って」
ポイとナイフを投げ捨てる。
じんわりと紅が逃げていく彼女の首元を優しく抑える。
「……お嬢様?」
鼻の奥がグッと熱くなってしまって敵わない。
怯えの一つもない、彼女の美しい瞳に突き刺されて敵わない。
「う、うわああああああん!さくやぁぁぁぁ!!」
「え!?何ですか急に!どこか痛いところでも?」
ぺたりと尻をつく。
本当に馬鹿みたい。でも止められない。
彼女が言うだけで壊れてしまうような感情も、何もかも。
結局私はチキンだったのだ。
どちらが運命を操れる方だか、これじゃあ分かったもんじゃない。
「お嬢様。本当に今日はおかしいですよ?」
咲夜が私の肩を抱いて、心配そうに言う。
「困っているなら、教えてください」
私は吐き出すように全部を話した。
今すぐにでも咲夜が死ねば、輝いた姿のままの咲夜と一生生きていけると思ったこと。
そしてそれは、本当は彼女の中で私が最後まで生きていたいという欲望を捻じ曲げていただけだと気づいていたこと。
結局、どんなに『苦く』ても消せなかったこと。
「なあんだ、そんなことですか」
私の前髪を優しく分けて、彼女は言う。
「言ったじゃないですか。生きている間は一緒にいますからって」
そうだ、結局私は彼女の事を信じていられなかっただけだったんだ。
最初から全部独り占めだったくせに、私はずっと疑い続けてしまったんだ。
「だから、ずっと愛してますよ?お嬢様」
こんな私の言葉じゃ、何千万回でも彼女には釣り合わない気がした。
本当はごめんなさいと言うべきなのに。
それでも彼女が私を覚えていてくれるなら、大切にしてくれるなら。私はわがままに彼女をただ抱きしめた。
「私も愛してるわ、咲夜」
歪な愛情を抱えて生きているレミリアが切なく、触れれば壊れてしまいそうな儚いものに感じました
咲夜の命がかかったとたんチキンになるところも素敵でした
優柔不断なレミリアが可愛くて良かったです。