素晴らしいぐらい暇な昼下がりだと縁側に座りつつ私は思う。周りの景色は竹で覆われている。神かとかなんとかの異変が博麗の巫女に解決した頃から安定な平和な時間が流れ始めている。
特にこれといった異変はここ最近なく実に暇であった。平和こそいいのかもしれないが刺激がある方が生き甲斐というか生きていると感じやすのだろう。今の私はそこらへんにいるかとほぼ同等な時間を過ごしているような気がする。
「弾幕ごっこ」を仕掛けるものもいなければ、人里でも面白そうなことをやっていない。私がここ数日でやっていることといえば変わらない景色を眺め縁側でゴロゴロしているだけだ。
そう、全く何も変わっていない。異変などもここ最近全くない。梅雨ぐらい数十日程度ずっとこの調子だ。雪らしきものがチラチラ振り太陽が少し歪み太陽の横に小さな光が見える。ほら「幻日」からずっと変わっていない。
「そろそろこの異常気象について考えた方がいいのかねえ」
誰も反応するわけではないが少しばかり呟いてみる。
そう梅雨頃からこの現象が起こっていた。今が梅雨明けから何日経ったかは忘れたが雨も、霧も、晴天も、霧雨も、曇天も、花曇も、天気雨も、夏に差し掛かっているというのに晴天さえもなくずっとこの「幻日」が続いていた。害がないのでほっといていたが一向に治る気配はない。
初めは珍しい程度に思っていたのだが次の日も変わらず一週間が経ったあたりからおかしいと思い始めていた。だがあいにく解決方法もこれが本当に異常気象なのかもわからない。
自分一人では無理だなと思う。またこの竹林のせいで周りが確認できず「幻日」がどこまでの範囲で見られているのかもわからない。
飛ぶか、私はそう考え飛んだ。そこにはいつもとは異例な幻想郷全体の姿があった。
常に『魔』を発している魔法の森は霧雨やヒョウなどの悪天候に見舞われ、博麗神社は気持ちいほどの快晴。紅魔館は霧に見舞われているがかつての異変とは違い白い霧であり、上にはいかにも曇天の言葉が似合う雲が浮かんでいる。あまり異変を感じられなかったのは人里や丘、向日葵畑程度だろうか。
誰もがみても異常気象だが誰も行動していないことから幻想郷に住むほぼ全員がこの状況を把握していないのは明らかだった。
誰が犯人か、この現象の黒幕かはこの状況だと確かめようもないということは明らかであり、考察程度しかできないことがわかった。
違和感を感じるのは今までの異変と違い幻想郷全体でまとまった異変が起きていないことだった。共通点としては異常気象に見舞われているという一点だけであり赤い霧や来ない春の時とは違い起きている異変が違う。
「天候を操る能力か……?」
そんな能力があったか? 記憶には無いしそんなスペル系も無いは……いや一人居たな。約一年前、湖と神社を幻想郷に持ってくるという荒技をやった名前は……早苗だったか? やつは奇跡を操るなどと言っていたが天候を操っていたのを見た事がある。
いや違うな。まずやつがこの現象を起こすメリットがない。あの少女は他の妖怪と違って変に『面白そうだから』『興味あるから』などの理由でこの現象を起こすとは思えない。
「妖怪……有名どころは河童とか鬼か」
河童は独自の文明などを持っているはずだ。だが天気を操るのは聞いたことはない。雨乞いなどはまだしも快晴や曇天は説明できない。鬼にかんんしては心当たりは一人いる伊吹萃香だ。確かいつかの異変の原因であったはずだ。だが確証はないな。あの宴会はなんで気づかなかったんだろうか。
「他には魔法使いとかか?」
有名どころは普通の魔法使い、霧雨魔理沙や紅魔館にいるはずのパチュリー・ノーレッジ。あとはアリスとかいう人形遣いもいたか?
多分違うな。まず一人ではこの量をやることは出来ないだろう。だが霧雨魔理沙とアリスは犬猿の中だと噂で聞いたことがある。また魔法の森も被害にあってるし実験だとしてもせめて告知はするだろう。またこんな数十日間やるとは思えない。
あとは妖精か?そんな能力は妖精には無いな。人里の人間にもこんなことできるやつはいないだろう。
「もしくはて……うん?」
何かを感じた。何かは表現できない。表現出来ないが異変だ。ついに何かが動き出した。
「どこだ? 天狗のように千里眼でもあればいいのだがなぁ」
もう何も感じられないがとりあえず動く必要がありそうだ。いや動かなければならない。
誰も来ないだろうが誰かが来たとき用に、置き手紙を書いておくことにした。
『今とあるものを調査中、数日後には戻る』
相変わらず字は下手で丁寧に書いたはずなのに一見すると殴り書きしたようになってしまう。一応園は置き手紙を縁側に置いておく。
そろそろ全員動き始めている可能性がある。博麗の巫女や普通の魔法使いは確実に来るだろうな。まあ犯人の目星はついていないがどうにかなるだろう。そんなことを考えながら飛行を始める。
私とは誰だったんでしょう