百鬼夜行とクラクラ
頭が痛い。なんだかクラクラする。
「んんッ」
寝返りを打とうとした。が、寝返りが打てない。
眠い目を擦りながら見てみると紫のやつが私のお腹を枕にしているようだ。
この紅き月を枕代わりとは良い度胸だ。ひっぺがしてやる。そう思ったが腕もおかしい。痺れる。
そう思い左腕の方を見ると
「やぁ、女史。それはそれは美しい寝顔だったよ」
「神子、どきなさい。」
「あ、ごめんね。腕枕はされる方がお好きかな?」
「そういう意味で言ってんじゃないわよ‥」
左に目を移すと神子。右に目を移すと紫。ハーレムか。いや、要らんが
「腕が痺れるのよ、どいて頂戴。」
「私の足の方が痺れてるんだけど」
びっくりして頭上を見ると花の妖怪がこっちを見下ろしている。膝枕されているようだ。
「幽香、目つき悪すぎて睨んでるように見えるわよ」
「膝が限界に近いせいよ
決して私の目つきじゃないわ」
左右だけでなく上方向までとは。
いかん、カリスマを抑えねば。
いずれ私をめぐって戦争になってしまう。
そう思い退こうとしたが押さえつけられた。何だこいつ。結局膝枕したいのか。
「やっと起きたみたいだね〜」
萃香の声がする。
「悪いね、もう一杯やらせてもらってるよ」
勇儀の声まで聞こえる。
そうだ、酒だ。昨日幻想郷中の酒屋を回りまくったんだった。
こんな寂れた雰囲気の店にまで来たということは制覇したのだろうか。
記憶が飛んでいる。曖昧なところしか覚えていない。
霊夢と萃香の2人で回り出したのは覚えてる。
私が奢ると言ったのも覚えてる。
それでせっかくだからといって人をかき集めたのも覚えてる。
なんかすごい人数になったところも覚えてるけど勇儀と飲み比べしてから記憶が曖昧だ。
というか、今何人残っているのか。
部屋を見渡すとまだ何人か寝ている。
眠りながら浮いてる幽々子。
抱き合うようにして眠る輝夜と妹紅。
私を腕枕にした神子にさらに腕枕してもらっている聖。いや、こいつは寝たふりだわ。
壮々たるメンツだ。もっともここまで残っているのだからそれ相応に力を持った妖怪が残りやすいというのは理解できるが。
なんともまぁ極端だ。
「あ、永琳と神奈子は今さっき帰ったよ
『楽しかった、ひさびさにこんな笑ったわ、ありがとうレミリア。』
『今度うちの神社に来な。最高級のおもてなしをくらわせてやる。』 だってさ〜」
小鬼の力の抜けた声が聞こえる。
「それは何よりね」
主催者にとってそれほど嬉しい言葉はない。
「さて、これからどうしようか?
もう回る店も無いよね?
私としてはこれから女史を家に招いて色々洒落込みたいところなんだがッて痛いよ聖!」
すごい勢いで神子の腕を掴む聖。やっぱ起きてた
潰れるんじゃなかろうか。
「また、女の子口説いてますね!
ちょっと美人だったらすぐ口説きますね貴方は!」
「いやいや、レミリアはちょっとどころじゃないレベル‥ッッて痛い!」
「ほら、また口説いてる!」
「ふふ、ありがと神子」
普段から褒められ慣れてはいるがやはりこういうのは何度言われても嬉しいものだ。
「で、結局どうするのよ」
私のお腹を枕にしてるやつがなんか不機嫌そうな目で言ってきた。
「おはよう紫、幽香より目つき悪いわよ。」
「おはようレミリア、酒が抜けてないのよ
ほっといて」
「私よりも目つき悪いって相当よ貴方」
「自覚あるんだね幽香さん」
さて、確かにどうしようか。もう特に回る店も無さそうだし。これ以上遅くなると
紅魔の過保護なやつらが心配してしまう。あの子達を不安にはさせたくない。
「うん、もういいでしょ
みんな疲れてそうだし、ここのお金払ったらもう解散しましょ」
「私が払いますよ?レミリアさん」
「私も手持ちあるわよ?」
「こっちも問題ないよ」
立て続けに聖、幽香、勇儀が喋る。
こうは言ってくれるがここは断ろう。
私はいついかなる時でも私と同席した者達には
絶対に奢ると決めている。たとえそれが何人であっても揺るがない。
これは勝手に私が決めたルールだ。私はワガママなんだよ。誰であろうとこれは譲らん。
「いいわ、私が払う」
「流石女史。絶対言うと思ったよ
能力なしでも分かってた。」
「私と仲良くなった証拠かしらね
光栄に思いなさい?」
「ああ、勿論。光栄だよ
光栄という言葉じゃ足らないくらいさ‥ッと危ない。」
今度は聖に腕を掴まれる前に回避。
こいつこの数分で成長してるな?
「さてと、そうと決まれば起こすとするかね、
スゥゥゥゥウウウ」
勇儀が息を吸い込む。ヤバい気がするいや、確信した。絶対ヤバい
起きているやつらは急いで耳を塞ぐ。あ、紫のやつ気付いてない。
「起きろオォォォォオオオオオォォオ」
地面が揺れるレベルの咆哮。
クラクラする。
「「ぐわぁぁああああ」」
寝てる奴らもこれには飛び起きる。
「き、気分が悪い‥ちょっと死んでくる」
「ま、待ってついでに私も殺して‥」
普通なら驚愕の台詞だが、慣れてしまうくらいには付き合いが長い。
幽々子に至ってはダメージを追いすぎたせいか体が透けてるようにみえる。なんというか
「成仏しそうだよね」
「言わないようにしたのに」
「聞こえちゃった」
便利だこと。運命操作とかいう世界がつまらなくなる程度の能力は使う気すら起きないがこの能力なら使ってもいいかもしれない。
「勇儀。やりすぎよ、紫が死んだわ」
「え、そんなにびっくりした?
抑えたほうなんだけどなぁ‥」
「幽香が花以外の心配するなんて
よっぽどだねー」
なんか、紫がビクビクしてるけど
大丈夫なんだろうか。
「ふぅ酷い目にあった」
妹紅が帰ってきた。死んでリセットしたからだろうか。顔色が良くなっている。
「死んだ方がマシって本当ね」
死んだ方がマシってそういう意味で使うの珍しいと思う。
「貴方達だけですよ、命が軽すぎますまったくもう」
宗教を重んじる者として何か思うことがあるのだろうが不死者には無駄である。
「いい感じにみんな起きたところ
だし出よーよ」
「そうね、じゃあお金払うから先に出てて」
「え、私払うわよ」
「私もあるよ、割り勘ならギリ」
「さっき貴方達が寝てる時に似たくだりやったわよ」
こういう気遣いができるやつらと飲むお酒は
本当に美味しい。その上で遠慮なく楽しそうに
飲むところもさらに好きだ。
「今度もこのくらい呑みたいねェ」
「今度はここまでになるほど飲むつもりはないかな」
「酒は飲んでも呑まれるなってやつね」
「もう二度と酒は飲まないわ」
「同感だわ紫」
「死ねないやつらは難儀だね」
「幽々子はもう死んでるようなもんよ」
「亡霊に効く薬今度永琳さんから
貰ってきたらどうです?」
こんな会話をよそに支払いを済ませた。
外が明るい。けど、傘どっかに置いてきちゃったみたい。まだ、太陽は克服しきれてないんだが。と思っていたら傘は幽香がかしてくれた。
「お金払ってきたわ。さてと、じゃあこれで解散!また今度ね、次に会う時を楽しみにしているわ」
こうして名残惜しさを感じつつ解散した。
ひたすらにありがとうと言われまくった日だったな。それでいて申し訳なさそうなのが全然いないところが良いんだよ。その分本気で楽しめるし
感謝もビリビリ伝わってくる。
今度それぞれの家で私のためのパーティーを開いてくれるそうだ。楽しみにしていよう。
その後幽香の傘で紅魔館まで飛んで行った。
紅魔館の門の前で
なんかニコニコしている番犬が見える。
「お嬢様ぁ!おかえりなさい!」
尻尾が見える気すらしてくる
咲夜も忠犬だが、美鈴も大概だ。
「ただいま、メイ」
この呼び名は2人きりの時にしか使わない。それも偶に。
死ぬほど嬉しそうな美鈴と軽く会話し中へと入る。
「お嬢様!!おかえりなさい!」
忠犬二号だ。
「ただいま咲夜」
「新聞にのってます!お嬢様」
脈絡もなく突然に言われて驚いた。
よっぽど見せたいのだろう。
文々。新聞と書かれたその記事の最も大きな写真を咲夜が指差す
文のカメラは妖力をこめると
幽霊も吸血鬼もちゃんとうつる優れものだ。私も欲しいくらいだが、
きっと貰えやしないだろう。
百鬼夜行!?レミリア・スカーレット率いる最強軍団!!
という見出しのもと確かに百鬼夜行ぽい感じで私が先頭に立ち70ほどの妖怪と十数人ほど人里の変わった人間達、それと神数名で構成された
強大な勢力が出来上がっていた。
実際は私が誘いまくって出来た
ただの飲んだくれどもなんだが。
「へぇ、壮観だね中々良い写真じゃないか。これがどうしたの?」
「お嬢様。私が気になっているのは
ただ一つです。お優しいお嬢様の事です。予想はつきます。ですがあえて聞かせてください」
「うん」
「まさか全部奢ってませんよね?」
「多分奢ったよ」
咲夜の顔が驚きと呆れに包まれる。
「これとんでもない規模ですよ!
それを奢るだなんて豪気にもほどがあります!」
「いいじゃないか、紅魔館の金は使ってない。全て私自身の金だ。紅魔館には傷一つ
つかないようにしている」
「だからこそですお嬢様。
私達に頼ってくださってもよいのです。お嬢様のためとあらばこの館の者は皆死んでも良いというほど」
「咲夜」
「は、はい」
「私のために死ぬつもりで居るんじゃない。私達のために生きるんだ。
そうして死ぬときゃ自分のためだ。いいな?」
「はい..肝に命じておきます。」
しまった。ついムキになった。
だって死ぬとかいうんだもん。
まぁ、いいとりあえず空気を緩めなければ。
「あのね、さくや。
さくやは気にしなくていいんだよ。
私はこれでお金を失いはしたが
それ以上に大きな思い出を手に入れたんだ。
それにお金なんて儲けるのは私にとって造作もない。お前の主人は誰だ?一代でスカーレットの名をここまで轟かせたレミリア様だぞ。な?」
うざったいくらい自信に溢れた顔で咲夜を見る。
「‥ふふっ。そうですねお嬢様。
お嬢様を想う気持ちが強すぎる故です。
お許しください」
笑ってくれた。
心配顔より君は笑顔がよく似合う。
「許さないわけないだろ?
どちらかというと私が許しをこう側だよ。だから咲夜。気にせずいつも通りを過ごしてくれ」
笑顔をつくる。いや、自然と笑顔になったの方が正しいか。
「はい!かしこまりました」
ふぅ。
心配してくれるのは嬉しいがこれは私だけの責任
で無くちゃならないんだよ咲夜。
まぁ、あれこそ私が彼女を愛おしく思う理由の一つなんだが。
しかし、結局昨日いくら使ったのかは気になるな。
あれだけのメンツだし高い酒をいくつも飲んだ。
1本数百万とかあったな。
珍しいだけで美味しいと思えないのもあったが
楽しかったので良しとしよう。
んー。
3千万ほどは固いな。
予想は果たして当たるだろうか
さてと、いくら費ったか見てみるか ーー。
「ッッ!」
流石にこれは驚いた。
まだ自分の金は多くあるとはいえ一晩の酒代だけでこれは。
なるほどね‥‥
「2億か‥」
これは流石にクラクラするね。
ー百鬼夜行とクラクラー
頭が痛い。なんだかクラクラする。
「んんッ」
寝返りを打とうとした。が、寝返りが打てない。
眠い目を擦りながら見てみると紫のやつが私のお腹を枕にしているようだ。
この紅き月を枕代わりとは良い度胸だ。ひっぺがしてやる。そう思ったが腕もおかしい。痺れる。
そう思い左腕の方を見ると
「やぁ、女史。それはそれは美しい寝顔だったよ」
「神子、どきなさい。」
「あ、ごめんね。腕枕はされる方がお好きかな?」
「そういう意味で言ってんじゃないわよ‥」
左に目を移すと神子。右に目を移すと紫。ハーレムか。いや、要らんが
「腕が痺れるのよ、どいて頂戴。」
「私の足の方が痺れてるんだけど」
びっくりして頭上を見ると花の妖怪がこっちを見下ろしている。膝枕されているようだ。
「幽香、目つき悪すぎて睨んでるように見えるわよ」
「膝が限界に近いせいよ
決して私の目つきじゃないわ」
左右だけでなく上方向までとは。
いかん、カリスマを抑えねば。
いずれ私をめぐって戦争になってしまう。
そう思い退こうとしたが押さえつけられた。何だこいつ。結局膝枕したいのか。
「やっと起きたみたいだね〜」
萃香の声がする。
「悪いね、もう一杯やらせてもらってるよ」
勇儀の声まで聞こえる。
そうだ、酒だ。昨日幻想郷中の酒屋を回りまくったんだった。
こんな寂れた雰囲気の店にまで来たということは制覇したのだろうか。
記憶が飛んでいる。曖昧なところしか覚えていない。
霊夢と萃香の2人で回り出したのは覚えてる。
私が奢ると言ったのも覚えてる。
それでせっかくだからといって人をかき集めたのも覚えてる。
なんかすごい人数になったところも覚えてるけど勇儀と飲み比べしてから記憶が曖昧だ。
というか、今何人残っているのか。
部屋を見渡すとまだ何人か寝ている。
眠りながら浮いてる幽々子。
抱き合うようにして眠る輝夜と妹紅。
私を腕枕にした神子にさらに腕枕してもらっている聖。いや、こいつは寝たふりだわ。
壮々たるメンツだ。もっともここまで残っているのだからそれ相応に力を持った妖怪が残りやすいというのは理解できるが。
なんともまぁ極端だ。
「あ、永琳と神奈子は今さっき帰ったよ
『楽しかった、ひさびさにこんな笑ったわ、ありがとうレミリア。』
『今度うちの神社に来な。最高級のおもてなしをくらわせてやる。』 だってさ〜」
小鬼の力の抜けた声が聞こえる。
「それは何よりね」
主催者にとってそれほど嬉しい言葉はない。
「さて、これからどうしようか?
もう回る店も無いよね?
私としてはこれから女史を家に招いて色々洒落込みたいところなんだがッて痛いよ聖!」
すごい勢いで神子の腕を掴む聖。やっぱ起きてた
潰れるんじゃなかろうか。
「また、女の子口説いてますね!
ちょっと美人だったらすぐ口説きますね貴方は!」
「いやいや、レミリアはちょっとどころじゃないレベル‥ッッて痛い!」
「ほら、また口説いてる!」
「ふふ、ありがと神子」
普段から褒められ慣れてはいるがやはりこういうのは何度言われても嬉しいものだ。
「で、結局どうするのよ」
私のお腹を枕にしてるやつがなんか不機嫌そうな目で言ってきた。
「おはよう紫、幽香より目つき悪いわよ。」
「おはようレミリア、酒が抜けてないのよ
ほっといて」
「私よりも目つき悪いって相当よ貴方」
「自覚あるんだね幽香さん」
さて、確かにどうしようか。もう特に回る店も無さそうだし。これ以上遅くなると
紅魔の過保護なやつらが心配してしまう。あの子達を不安にはさせたくない。
「うん、もういいでしょ
みんな疲れてそうだし、ここのお金払ったらもう解散しましょ」
「私が払いますよ?レミリアさん」
「私も手持ちあるわよ?」
「こっちも問題ないよ」
立て続けに聖、幽香、勇儀が喋る。
こうは言ってくれるがここは断ろう。
私はいついかなる時でも私と同席した者達には
絶対に奢ると決めている。たとえそれが何人であっても揺るがない。
これは勝手に私が決めたルールだ。私はワガママなんだよ。誰であろうとこれは譲らん。
「いいわ、私が払う」
「流石女史。絶対言うと思ったよ
能力なしでも分かってた。」
「私と仲良くなった証拠かしらね
光栄に思いなさい?」
「ああ、勿論。光栄だよ
光栄という言葉じゃ足らないくらいさ‥ッと危ない。」
今度は聖に腕を掴まれる前に回避。
こいつこの数分で成長してるな?
「さてと、そうと決まれば起こすとするかね、
スゥゥゥゥウウウ」
勇儀が息を吸い込む。ヤバい気がするいや、確信した。絶対ヤバい
起きているやつらは急いで耳を塞ぐ。あ、紫のやつ気付いてない。
「起きろオォォォォオオオオオォォオ」
地面が揺れるレベルの咆哮。
クラクラする。
「「ぐわぁぁああああ」」
寝てる奴らもこれには飛び起きる。
「き、気分が悪い‥ちょっと死んでくる」
「ま、待ってついでに私も殺して‥」
普通なら驚愕の台詞だが、慣れてしまうくらいには付き合いが長い。
幽々子に至ってはダメージを追いすぎたせいか体が透けてるようにみえる。なんというか
「成仏しそうだよね」
「言わないようにしたのに」
「聞こえちゃった」
便利だこと。運命操作とかいう世界がつまらなくなる程度の能力は使う気すら起きないがこの能力なら使ってもいいかもしれない。
「勇儀。やりすぎよ、紫が死んだわ」
「え、そんなにびっくりした?
抑えたほうなんだけどなぁ‥」
「幽香が花以外の心配するなんて
よっぽどだねー」
なんか、紫がビクビクしてるけど
大丈夫なんだろうか。
「ふぅ酷い目にあった」
妹紅が帰ってきた。死んでリセットしたからだろうか。顔色が良くなっている。
「死んだ方がマシって本当ね」
死んだ方がマシってそういう意味で使うの珍しいと思う。
「貴方達だけですよ、命が軽すぎますまったくもう」
宗教を重んじる者として何か思うことがあるのだろうが不死者には無駄である。
「いい感じにみんな起きたところ
だし出よーよ」
「そうね、じゃあお金払うから先に出てて」
「え、私払うわよ」
「私もあるよ、割り勘ならギリ」
「さっき貴方達が寝てる時に似たくだりやったわよ」
こういう気遣いができるやつらと飲むお酒は
本当に美味しい。その上で遠慮なく楽しそうに
飲むところもさらに好きだ。
「今度もこのくらい呑みたいねェ」
「今度はここまでになるほど飲むつもりはないかな」
「酒は飲んでも呑まれるなってやつね」
「もう二度と酒は飲まないわ」
「同感だわ紫」
「死ねないやつらは難儀だね」
「幽々子はもう死んでるようなもんよ」
「亡霊に効く薬今度永琳さんから
貰ってきたらどうです?」
こんな会話をよそに支払いを済ませた。
外が明るい。けど、傘どっかに置いてきちゃったみたい。まだ、太陽は克服しきれてないんだが。と思っていたら傘は幽香がかしてくれた。
「お金払ってきたわ。さてと、じゃあこれで解散!また今度ね、次に会う時を楽しみにしているわ」
こうして名残惜しさを感じつつ解散した。
ひたすらにありがとうと言われまくった日だったな。それでいて申し訳なさそうなのが全然いないところが良いんだよ。その分本気で楽しめるし
感謝もビリビリ伝わってくる。
今度それぞれの家で私のためのパーティーを開いてくれるそうだ。楽しみにしていよう。
その後幽香の傘で紅魔館まで飛んで行った。
紅魔館の門の前で
なんかニコニコしている番犬が見える。
「お嬢様ぁ!おかえりなさい!」
尻尾が見える気すらしてくる
咲夜も忠犬だが、美鈴も大概だ。
「ただいま、メイ」
この呼び名は2人きりの時にしか使わない。それも偶に。
死ぬほど嬉しそうな美鈴と軽く会話し中へと入る。
「お嬢様!!おかえりなさい!」
忠犬二号だ。
「ただいま咲夜」
「新聞にのってます!お嬢様」
脈絡もなく突然に言われて驚いた。
よっぽど見せたいのだろう。
文々。新聞と書かれたその記事の最も大きな写真を咲夜が指差す
文のカメラは妖力をこめると
幽霊も吸血鬼もちゃんとうつる優れものだ。私も欲しいくらいだが、
きっと貰えやしないだろう。
百鬼夜行!?レミリア・スカーレット率いる最強軍団!!
という見出しのもと確かに百鬼夜行ぽい感じで私が先頭に立ち70ほどの妖怪と十数人ほど人里の変わった人間達、それと神数名で構成された
強大な勢力が出来上がっていた。
実際は私が誘いまくって出来た
ただの飲んだくれどもなんだが。
「へぇ、壮観だね中々良い写真じゃないか。これがどうしたの?」
「お嬢様。私が気になっているのは
ただ一つです。お優しいお嬢様の事です。予想はつきます。ですがあえて聞かせてください」
「うん」
「まさか全部奢ってませんよね?」
「多分奢ったよ」
咲夜の顔が驚きと呆れに包まれる。
「これとんでもない規模ですよ!
それを奢るだなんて豪気にもほどがあります!」
「いいじゃないか、紅魔館の金は使ってない。全て私自身の金だ。紅魔館には傷一つ
つかないようにしている」
「だからこそですお嬢様。
私達に頼ってくださってもよいのです。お嬢様のためとあらばこの館の者は皆死んでも良いというほど」
「咲夜」
「は、はい」
「私のために死ぬつもりで居るんじゃない。私達のために生きるんだ。
そうして死ぬときゃ自分のためだ。いいな?」
「はい..肝に命じておきます。」
しまった。ついムキになった。
だって死ぬとかいうんだもん。
まぁ、いいとりあえず空気を緩めなければ。
「あのね、さくや。
さくやは気にしなくていいんだよ。
私はこれでお金を失いはしたが
それ以上に大きな思い出を手に入れたんだ。
それにお金なんて儲けるのは私にとって造作もない。お前の主人は誰だ?一代でスカーレットの名をここまで轟かせたレミリア様だぞ。な?」
うざったいくらい自信に溢れた顔で咲夜を見る。
「‥ふふっ。そうですねお嬢様。
お嬢様を想う気持ちが強すぎる故です。
お許しください」
笑ってくれた。
心配顔より君は笑顔がよく似合う。
「許さないわけないだろ?
どちらかというと私が許しをこう側だよ。だから咲夜。気にせずいつも通りを過ごしてくれ」
笑顔をつくる。いや、自然と笑顔になったの方が正しいか。
「はい!かしこまりました」
ふぅ。
心配してくれるのは嬉しいがこれは私だけの責任
で無くちゃならないんだよ咲夜。
まぁ、あれこそ私が彼女を愛おしく思う理由の一つなんだが。
しかし、結局昨日いくら使ったのかは気になるな。
あれだけのメンツだし高い酒をいくつも飲んだ。
1本数百万とかあったな。
珍しいだけで美味しいと思えないのもあったが
楽しかったので良しとしよう。
んー。
3千万ほどは固いな。
予想は果たして当たるだろうか
さてと、いくら費ったか見てみるか ーー。
「ッッ!」
流石にこれは驚いた。
まだ自分の金は多くあるとはいえ一晩の酒代だけでこれは。
なるほどね‥‥
「2億か‥」
これは流石にクラクラするね。
ー百鬼夜行とクラクラー
飲み会明けの空気が見事でした
そうそうこんな感じ、と思わずうなりました