Coolier - 新生・東方創想話

終末は貴女と屋上で

2020/09/12 13:56:44
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「ねぇお姉様。」
「なぁにフラン」
「私ねお姉様のこと大好き。姉妹としてじゃなくて一人の吸血鬼としてずっと好きだった。」
「...フラン...私もねずっと貴方のこと...」
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...それは今日の朝のこと。
「7時になりました。あややニュースのお時間です。今日は幻想郷の皆さんにとても大事なお知らせがあります!しっかり聞いててくださいね。」
朝起き出した私はぼんやりとニュースを見る。ニュースはお姉様が食事を持ってくるまでの暇潰しとして流していた。半分は聞き流してたがアナウンサーである烏天狗の次の一言で私はニュースにくぎずけになる。
「今日の午前零時...幻想郷が終わるでしょう。」
え...?どういうこと...幻想郷が終わる?何で?私の頭の中ははてなでいっぱいだった。どうして急に?そう私が混乱していると
「明日幻想郷が滅びれば生き残ることはできません。隙間妖怪の八雲紫さんによると外の世界の人間や生き物たちが全滅してしまったらしく、並行世界である幻想郷も今日一日で終わるだろうという話でした。対策などはないので悔いのないように一日を過ごしてください。いきたい場所ややりたいことがあったら全て行ったりやったりするといいでしょう。死んでも未練が残らないように。...それでは次のニュースです。...」
もう私は聞いてなかった。呆然と座り込むことしかできなかった。
今は4月ではないので冗談ではないということがわかる。
いつの間にか無意識にテレビを切っていたらしい。気づけば一人薄暗い静かな部屋にいた。
その薄暗さと静けさがとても不気味に思えてあわてて光を入れようと窓にかけよりカーテンを引く。
だが...カーテンを引いた私は絶句した。窓の外に見えるのはいつもの憎らしいほどまぶしい青空ではなく、真っ黒な雲におおわれた恐ろしい空だった。よく目をこらすと妖怪の山が崩れかけているのが見えた。私は思わず後ずさる。目の前の光景が信じられなかった。
「うぅ...お姉様...」
私は思わず泣き出してしまった。目の前の光景が怖くて、自分の部屋のはずなのに自分の部屋じゃないような静けさと薄暗さが怖くて。
私は泣きながら部屋を飛び出しお姉様の部屋へ向かう。いつもならちゃんとノックをするけれど今日はノックをしずにお姉様の部屋に飛び込む。そして
「お姉様ぁ‼」
と目の前のお姉様に抱きつく。
「...フラン..」
お姉様もニュースを見たのだろう。青ざめた顔をしていた。それでも優しく私を抱き締め「大丈夫。」と呟いてくれる。私は安心してしまい子供みたいにわんわん泣いた。お姉様はずっと私の頭を撫でてくれていた。



「大丈夫?フラン」
「うん...」
あれから数分泣き止んだ私はお姉様にくっつき抱かれていた。しばらくの沈黙のあとおもむろにお姉様が口を開く。
「信じられないわね...幻想郷が終わってしまって私たちも死んでしまうなんて...」
そういってお姉様はうつむく。こんな状況なのに私はうつむくお姉様をきれいだと思ってしまった。どうせなら。そうどうせなら死ぬ前に本心を伝えておこうか...でもそれは今じゃない。まだ1日あるのだ。私はお姉様の顔を見上げ...
「死ぬまでずっと一緒にいてね。」
そうお願いした。お姉様は悲しそうな顔で微笑むと、
「もちろん。」
といいさらに強く抱き締めてくれた。暖かかった。






それから紅魔館のメンバーを集めお姉様は今日の仕事は全員免除すること、自分の大切な人と一日を過ごすこと。と命令した。咲夜は美鈴と、パチュリーは小悪魔とそして私はお姉様と...







私はお姉様と屋上に来ていた。二人でならび時計塔の上に腰かける。
私は今日一日を思い出していた。
あれから私はお姉様と色々なことをした。お姉様は今日は仕事をせずに私とずっといてくれた。
おままごとにかくれんぼ、人形遊びなどいろいろした。
そして幻想郷が終わるまであと三十分というところで屋上にきた。
朝と違い赤黒くなった空をぼんやりと見つめる。
あちらこちらで崩壊が起こっていた。妖怪の山は半分以上崩れ、人里もさら地同然になっている。
紅魔館も時間の問題だろう。自然は消滅し妖精も消えた。
私は迷った。もう告白してしまうかやっぱり片思いのまま終わらせるか。
悩みながらちらっと隣にいるお姉様を見る。
お姉様はぼんやりとしていたが私の視線に気づくと私を安心させるように優しく微笑んだ。
その優しい笑みを見て私は決意しお姉様に話しかける。

「ねぇお姉様。」
「なぁにフラン」
「私ねお姉様のこと大好き。姉妹としてじゃなくて一人の吸血鬼としてずっと好きだった。」
「...フラン...私も貴方のこと大好きよ。ずっとずっと好きだった。一人の女の子として愛しているわ。」
「お姉様...‼」
もうすぐ幻想郷が終わるというのに私は喜びでいっぱいだった。お姉様が私を受け入れてくれたから。嬉しくなりぎゅっとだきつく。お姉様も抱き返してくれた。
私たちははれて恋人同士になったのだ。
姉妹だろうがなんだろうが関係ない。私はお姉様を愛し、お姉様は私を愛した。ただそれだけ。
私はお姉様のナイトキャップをはずす。そして
「ん...」
優しく唇を重ねた。
触れあうだけの幼いキス。それだけでも私は幸せだった。
少しして唇を離す。
顔を真っ赤にして戸惑いの表情を浮かべるお姉様に笑いかける。
お姉様の顔が緩やかになった。
私はまた唇を重ねる。
「ん...」
さっきよりも長く。
大きな音が聞こえ始めいろいろなものが崩壊する音が聞こえた。
もう幻想郷が終わるまで10分もなかった。
私は唇を離してお姉様に寄り添い、手をぎゅっとにぎる。お姉様も握り返してくれた。
「ねぇお姉様また来世であえるかな?」
「世界が滅びるんだから来世はないんじゃない?」
「そっか...じゃあ天国で私を見つけてね。」
「もちろん絶対に見つける。約束するわ。でも私たちは地獄かもね。」
「...‼じゃあ約束だからね❗」
「ええ。約束ね。」
とそんな会話を交わす。
そして...私たちは顔を見合わせ笑みを浮かべると
「「愛してる」」
と同時にいい静かに目を閉じた。
...???
「フラン‼」
「お姉様‼私を見つけてくれたのね。」
「もちろんよ。約束だもの。」
「そうだね。ねぇお姉様これからもずっと一緒だよ。」
「当たり前じゃない。どこにもいかせないわ。」


こんにちは。最近受験勉強その他もろもろで全然時間がとれないねこふらんです
もし今日で世界が終わるとしたら貴方は誰と過ごしますか?
ねこふらん
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コメント



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2.90奇声を発する程度の能力削除
切ない雰囲気が良かったです
3.100終身削除
幻想郷が色々なものと一緒に崩れているのに目もくれずにお互いに見つめあっていて2人だけの時間があったみたいでよかったと思いました 幻想郷が終わっても例え地獄行きになっても多分この2人はお互いが居てくれれば救われているんでしょうね
4.100ふにゃん削除
切ない感じでよかったです。スカーレット姉妹に幸あれ‼
5.100最終鬼畜妹削除
切ないですが二人が幸せならそれでいいと思います