Coolier - 新生・東方創想話

自由なもの、感情

2020/09/10 23:00:07
最終更新
サイズ
1.95KB
ページ数
1
閲覧数
846
評価数
5/6
POINT
460
Rate
13.86

分類タグ

 池の水は澄んでいて、底まで見通せそうだ。少し前に雨が降ったのでその時は水が濁っていたが、今はもう汚れなど消えてしまっていた。
 じっ、と覗きこんでいると、水面に映った私が私を覗きこんでいた。いったい、こいつは何を考えているんだ。やはり、こいつも私と同じ事を考えているのだろうか。それとも、鏡像といえども全く違う事を考えているのか。
 私はこいつの目の奥深くを見ようとして、水面に顔を近づけすぎて鼻先が濡れた。すこし離して、改めて見つめてみる。
 どこまで行っても、何も無かった。私だから何も無いのか、鏡像だから何も無いのか。
「やい、お前よ。私はお前に無いものを持っているぞ」
 私は思いっきり笑ってやった。口角を上げ、目を細めた。すると、こいつは思いっきり笑った。奇しくも、快活ないい笑顔だ。
 次に、思いっきり怒ってやった。頬を膨らませ、眉を眉間に寄せた。そしたら、こいつも思いっきり怒った。見ている此方が吃驚するほど、そして怖くなるほどの憤怒の表情だった。
 次は、思いっきり寂しい表情をした。目尻に涙を浮かべ、口をへの字に曲げた。こいつは寂しそうな表情をした。思わず慰めたくなるような、なんとも物悲しそうな表情だった。
「アーハッハッハ...」
 私は思いっきり笑った。なんだか可笑しくて、心の底から笑い転げた。お腹が痛くなるほど笑いながら、なんとか水面を見ると、こいつは私と同じくらいに笑っていた。




 笑いが落ち着いてきたので、もう一度水面を覗く。何食わぬ顔の私がいた。
「こころちゃん、何してるの?」
「こいしか。これを見てみろ」
 私はこいつを指さした。全く同じ動きで、こいつも私を指さした。
「こころちゃんが映ってるね。それで?」
「表情の練習をしてたんだが、中々いいパートナーなんだ」
「...それなら、別に水が相手じゃなくてよくない?」
「ふむ。そうかもしれない」
「じゃあさ、私にその練習してた表情を見せてみて」
「いいぞ」
 にかっ、と見せつけるように笑顔を浮かべた。すると、こいしは私と同じように笑顔を浮かべた。
「こいしが鏡になってくれるのか?」
「笑顔だけ、ね」
 それならあいつでも良かった。だが、この方が自然に表情を出せる気がする。
「仕方ない。今日は笑顔の練習だけをしよう」
「うんうん、その方がいいよ」
 そして、こいしが笑った。私もつられて笑った。
#東方版深夜の真剣物書き60分一本勝負

頑張って書いたけど、相変わらず訳が解らない文章だなぁ。
転箸 笑
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.50簡易評価
1.100終身削除
自分にも素直そうだけど他にもっと素直になれそうなこころとこいしの心を許せて肩の力を抜いているようなやり取りや関係がなんだか素直に見えました 友愛の感情でしょうか
2.90サク_ウマ削除
可愛かったです
3.100名前が無い程度の能力削除
かわいい
4.30名前が無い程度の能力削除
いくらなんでも短すぎ。正直もったいないと思いました。
5.90大豆まめ削除
短いけど、短い中にこいここの心温まるやり取りが込められていて、とてもよかったです
笑顔の練習なら、鏡面とにらめっこするよりも、気の合う友人と過ごす方がずっとよいでしょうね