Coolier - 新生・東方創想話

昏い空に、青き雄翔

2020/09/06 22:44:12
最終更新
サイズ
1.72KB
ページ数
1
閲覧数
684
評価数
3/4
POINT
330
Rate
14.20

分類タグ

 冬に空を見上げると、しんしんと降る雪のなか、箒星が見える事がある。
 他の星はみんな命じられたかのように定位置に居るのに、彼ら─または彼女ら─は自らの命を輝かせ、天に白線を描く。それは儚く映るけど、地上の者達からは想像も出来ないスケールの話なのだ。
 澄んだ冬の空には、かつての神話が踊っている。


 私は、空を見上げるのが好きだ。明るい太陽が好きだし、物静かな月が好きだ。
 星は特に好きだ。一つ一つに命があり、それが天に散りばめられている。指を走らせて新しい星座を宙に創って、楽しんだ。今だけ、私は星模様を操っている。
 その内に、星が墜ちはじめる。それらは夜には明るすぎる程の光を放って、私の命はここに、と報せている。あれほど綺麗な命の失い様を、私は他には知らない。また一つ、星が墜ちた。だけどそれは、私が知る少し前に死んでいる。光が真空を越えて降ってくるのに、何百年もの時がかかるのだから。


 流星群が、頭上遥かにある。私は真上を見上げる形になって、木の枝から落ちそうになった。
 何とか体勢を整え、座りなおす。すると、雷のような轟音が辺りに響いた。
──何かしら。
 空は星空一色で、どこにも雷雲など見つけられない。それに、私はずっと空を見ていたのだから、雷の光に気づかない訳がないのだ。
 もしや、攻撃か。だが、もしそうだとしたらお粗末としか言い様がない。なにしろ、私は一切のダメージを負っていないのだから。だから恐らく、攻撃ではない。
 だとすると、あれは聞き間違いという事になるのだろうか。だが、いくら何でも雷を疑うほどの轟音を聞き間違えはしないだろう。
 私は目を凝らして空を見てみた。すると、星空を飛ぶ青龍の姿が見えた。
──ああ、青龍がはしゃいでいたのね。
 多分、墜ちてきた星の子を食べようとしているのだろう。流星群が見えるから、さぞ入れ食いの様相なのかもしれない。


 天には龍がいる。そして、それは天を統べている。
──星が綺麗ね。
 星は、自分達の輝きを見てみたいのかもしれない。人のように儚く、剰りに大きい自分の命を。
#東方版深夜の真剣物書き60分一本勝負

幻想的ですね。まぁ、レティじゃなくていいじゃんと言われたらそこまでですが。
転箸 笑
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.50簡易評価
2.100終身削除
冬の星空の空気と景色が綺麗だったと思います 冬以外だとあまり外に出てこれないレティにとっては冬になって消えていく生き物だったり冬の終わりだったりにも堕ちていく星と同じように思いを馳せることもあるのかなと思いました
3.80名前が無い程度の能力削除
実はぼく、感想書くのめっちゃ嫌いなんですよね。点数だけ置いておきますね。
4.100サク_ウマ削除
綺麗でいいと思います