Coolier - 新生・東方創想話

地底に響く烏を呼ぶ笛

2020/08/30 23:01:24
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 霊烏路空は、あまり聡明ではない。
 より正確には、頭は悪くはない。ただ、使い方を知らないだけだ。そして、興味が無い事を覚えないだけなのだ。
 よって、飼い主である古明地さとりは教育を施す事を決心した。しかし、誰だってお勉強は嫌なのだ。
「あれ?お空、今日は勉強の日じゃないのかい?」
「...あ!そうだった!」
 興味が無い事を覚えない彼女が、お勉強のスケジュールを覚えておける筈もなく。結局、何を教える事も出来なかったのである。
 だが、古明地さとりは諦めなかった。
 覚えさせる必要はない、その日がお勉強の日だと教えてやればいい、と彼女は考えた。
「いい?お空。このホイッスルの音を、しっかりと覚えて頂戴」
「了解です!」
 さとりがホイッスルを吹いたその瞬間、地底はその音に震えた。
 とはいえ、その程度の轟音は何時でも鳴り響いているのだが。
「聴いてもらったから解ると思うけど、このホイッスルの音は大きいわ。地底の何処でも聴こえるはずよ」
「そして、これが聴こえたらお勉強の日だという事ですね」
「そういう事」




 さとりの試みがうまくいき、空がお勉強の日に確かにお勉強をするようになった頃。
 さとりが胸一杯に空気を吸い込み、鳴らせるだけの音量でホイッスルを吹く。
 しかし、どれだけホイッスルを響かせても、お空が帰って来ないのである。
「お燐、探しに行ってくれるかしら?私は町の方に行くから」
「...大丈夫ですか、さとり様?」
「大丈夫よ。私を襲う者がいると思って?」
 そして、町にさとりが到着した。まずは目を凝らし、目当ての者を探す。
 それは果たして呆気なく見つかった。
「すみません、勇儀さん」
「さとりかい。あの音、いい加減止めて欲しいんだがねぇ」
「轟音など貴女からしたら慣れたものでしょう。それよりも」
 お空の行方を知らないか、と。だが当ては外れた。
 彼女が知らないのなら、町の外れ、または町を出た場所に居るのか。既に炉は確かめたし。
 なんにせよ、地底中を探し回る羽目になりそうだと。さとりは本腰を入れて調査する事にした。




 それからというもの、お空を探すためにさとりは東奔西走した。ホイッスルを吹き鳴らしながら。
 そして、遂に見つかったのだ。意外な形で。
「さとり様ーーッ!!」
「おっ、お空!?」
 上空から迫り来る、空の突進。
 甘んじて受けるさとりだが、その衝撃は凄まじいものであった。しかしお空はお構い無しに、さとりに話しかける。
「さとり様、一体何処に行ってたんですか?あんな場所で吹くなんて」
「あんな場所?」
 ホイッスルの音源は地霊殿だ。少なくとも、さとりは地霊殿でホイッスルを吹いた。
 そして、さとりは思い出した。いつも同じ所に置いていた筈のホイッスルが、今日は別の場所にあったことを。
「間違いなく、こいしね」
「え?」
 恐らく、こいしがホイッスルを持ち出して、何処か適当な場所で吹いたのだろう。いや音で気づけよ、私。
「とりあえず帰りたいですよー、さとり様ー」
「...そうね。もうお勉強はいいわ、疲れたでしょう?」
「やったー!」
 大はしゃぎするお空。勉強を嫌々していたことは知っていたけど。
 後でお燐を呼び戻そう。ホイッスルでも使って。
どっちかというと、さとりが主人公みたいになっちゃってる。反省点。
転箸 笑
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コメント



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1.100終身削除
勇儀との会話と塩対応が何だからしくて面白かったです お空に対してホイッスルなんかも使ってペットをしつけるみたいに接してる中にも色々考えて用意してあげたり勉強をお休みにしてあげたりもするさとりなりの愛情が伝わってくるようで良かったです 
2.90奇声を発する程度の能力削除
面白かったです