霊烏路空は、あまり聡明ではない。
より正確には、頭は悪くはない。ただ、使い方を知らないだけだ。そして、興味が無い事を覚えないだけなのだ。
よって、飼い主である古明地さとりは教育を施す事を決心した。しかし、誰だってお勉強は嫌なのだ。
「あれ?お空、今日は勉強の日じゃないのかい?」
「...あ!そうだった!」
興味が無い事を覚えない彼女が、お勉強のスケジュールを覚えておける筈もなく。結局、何を教える事も出来なかったのである。
だが、古明地さとりは諦めなかった。
覚えさせる必要はない、その日がお勉強の日だと教えてやればいい、と彼女は考えた。
「いい?お空。このホイッスルの音を、しっかりと覚えて頂戴」
「了解です!」
さとりがホイッスルを吹いたその瞬間、地底はその音に震えた。
とはいえ、その程度の轟音は何時でも鳴り響いているのだが。
「聴いてもらったから解ると思うけど、このホイッスルの音は大きいわ。地底の何処でも聴こえるはずよ」
「そして、これが聴こえたらお勉強の日だという事ですね」
「そういう事」
さとりの試みがうまくいき、空がお勉強の日に確かにお勉強をするようになった頃。
さとりが胸一杯に空気を吸い込み、鳴らせるだけの音量でホイッスルを吹く。
しかし、どれだけホイッスルを響かせても、お空が帰って来ないのである。
「お燐、探しに行ってくれるかしら?私は町の方に行くから」
「...大丈夫ですか、さとり様?」
「大丈夫よ。私を襲う者がいると思って?」
そして、町にさとりが到着した。まずは目を凝らし、目当ての者を探す。
それは果たして呆気なく見つかった。
「すみません、勇儀さん」
「さとりかい。あの音、いい加減止めて欲しいんだがねぇ」
「轟音など貴女からしたら慣れたものでしょう。それよりも」
お空の行方を知らないか、と。だが当ては外れた。
彼女が知らないのなら、町の外れ、または町を出た場所に居るのか。既に炉は確かめたし。
なんにせよ、地底中を探し回る羽目になりそうだと。さとりは本腰を入れて調査する事にした。
それからというもの、お空を探すためにさとりは東奔西走した。ホイッスルを吹き鳴らしながら。
そして、遂に見つかったのだ。意外な形で。
「さとり様ーーッ!!」
「おっ、お空!?」
上空から迫り来る、空の突進。
甘んじて受けるさとりだが、その衝撃は凄まじいものであった。しかしお空はお構い無しに、さとりに話しかける。
「さとり様、一体何処に行ってたんですか?あんな場所で吹くなんて」
「あんな場所?」
ホイッスルの音源は地霊殿だ。少なくとも、さとりは地霊殿でホイッスルを吹いた。
そして、さとりは思い出した。いつも同じ所に置いていた筈のホイッスルが、今日は別の場所にあったことを。
「間違いなく、こいしね」
「え?」
恐らく、こいしがホイッスルを持ち出して、何処か適当な場所で吹いたのだろう。いや音で気づけよ、私。
「とりあえず帰りたいですよー、さとり様ー」
「...そうね。もうお勉強はいいわ、疲れたでしょう?」
「やったー!」
大はしゃぎするお空。勉強を嫌々していたことは知っていたけど。
後でお燐を呼び戻そう。ホイッスルでも使って。
より正確には、頭は悪くはない。ただ、使い方を知らないだけだ。そして、興味が無い事を覚えないだけなのだ。
よって、飼い主である古明地さとりは教育を施す事を決心した。しかし、誰だってお勉強は嫌なのだ。
「あれ?お空、今日は勉強の日じゃないのかい?」
「...あ!そうだった!」
興味が無い事を覚えない彼女が、お勉強のスケジュールを覚えておける筈もなく。結局、何を教える事も出来なかったのである。
だが、古明地さとりは諦めなかった。
覚えさせる必要はない、その日がお勉強の日だと教えてやればいい、と彼女は考えた。
「いい?お空。このホイッスルの音を、しっかりと覚えて頂戴」
「了解です!」
さとりがホイッスルを吹いたその瞬間、地底はその音に震えた。
とはいえ、その程度の轟音は何時でも鳴り響いているのだが。
「聴いてもらったから解ると思うけど、このホイッスルの音は大きいわ。地底の何処でも聴こえるはずよ」
「そして、これが聴こえたらお勉強の日だという事ですね」
「そういう事」
さとりの試みがうまくいき、空がお勉強の日に確かにお勉強をするようになった頃。
さとりが胸一杯に空気を吸い込み、鳴らせるだけの音量でホイッスルを吹く。
しかし、どれだけホイッスルを響かせても、お空が帰って来ないのである。
「お燐、探しに行ってくれるかしら?私は町の方に行くから」
「...大丈夫ですか、さとり様?」
「大丈夫よ。私を襲う者がいると思って?」
そして、町にさとりが到着した。まずは目を凝らし、目当ての者を探す。
それは果たして呆気なく見つかった。
「すみません、勇儀さん」
「さとりかい。あの音、いい加減止めて欲しいんだがねぇ」
「轟音など貴女からしたら慣れたものでしょう。それよりも」
お空の行方を知らないか、と。だが当ては外れた。
彼女が知らないのなら、町の外れ、または町を出た場所に居るのか。既に炉は確かめたし。
なんにせよ、地底中を探し回る羽目になりそうだと。さとりは本腰を入れて調査する事にした。
それからというもの、お空を探すためにさとりは東奔西走した。ホイッスルを吹き鳴らしながら。
そして、遂に見つかったのだ。意外な形で。
「さとり様ーーッ!!」
「おっ、お空!?」
上空から迫り来る、空の突進。
甘んじて受けるさとりだが、その衝撃は凄まじいものであった。しかしお空はお構い無しに、さとりに話しかける。
「さとり様、一体何処に行ってたんですか?あんな場所で吹くなんて」
「あんな場所?」
ホイッスルの音源は地霊殿だ。少なくとも、さとりは地霊殿でホイッスルを吹いた。
そして、さとりは思い出した。いつも同じ所に置いていた筈のホイッスルが、今日は別の場所にあったことを。
「間違いなく、こいしね」
「え?」
恐らく、こいしがホイッスルを持ち出して、何処か適当な場所で吹いたのだろう。いや音で気づけよ、私。
「とりあえず帰りたいですよー、さとり様ー」
「...そうね。もうお勉強はいいわ、疲れたでしょう?」
「やったー!」
大はしゃぎするお空。勉強を嫌々していたことは知っていたけど。
後でお燐を呼び戻そう。ホイッスルでも使って。