ヘルメット

　幻想郷のある場所に豊聡耳神子は手にあるヘルメットをジーと見ていた。
　頭がすっぽり入るヘルメット。
　数日前にこうりん堂で買った物である。

「なんでこんなモン買ったんだろう」

　　神子は、はぁとため息をついた。
　　周りはまだ朝霧がただよっている。神子は目線をずらす。
　地面には大きな箱がある。中身は弁当箱があり、二人分。

「……」
　
　私ともう一人
　
　神子の頭に浮かぶ白蓮聖の顔。

「なんであいつなんだ」
　
　　神子は宙に浮いてる聖の顔にヘルメットを投げる。
　聖の顔はヘルメットと当たるとヘルメットも朝霧の中に消え地面に落ちた音が聞こえる。
　
「あー　スッキリした」
　
　神子は手を腰に当てハハハと笑いながら、弁当箱を見る。
　
「ハハ...」
　
　笑いを止めて、トコトコとヘルメットを取りに行く。
　
「なんで、なんで」
　　
　神子はブツブツと言いながらトボトボと足取りになる。

「なんで聖徳王の私が聖の為に弁当を」
　
　なぜか夜中の2時に起きて台所で弁当を作っていた。
　
「タコさんウインナーとかたくさん作ってしまったしな」
　　
　そしてタコさんウィンナーだけしかおかずを作ってないことを気づき、猫背になりため息をいついた。
　
　少し前である。聖がバイクいじりに走り、妙蓮寺のメンバーと微妙な関係となり、曇山一輪の前で「お経よりバイクの整備のほうが修行になる」と言ってしまい妙蓮寺からバイクごと放り出された。
　聖はほとぼりが冷めるまで人の里で妙蓮というバイク修理屋を始めた。
　
「あの怪力魔法少女（笑）の聖が追い出されたｗｗｗ」
　
　最初にこの話を聞いたときに腹を抱えて笑った。
　そのままその足でからかいに行った。
　そしてバイクを修理してる油まみれの黒いツナギ服を着た聖をぼーと見ていた。
　そして聖に気づかれて声をかけられたときに逃げだした。
　次の日は見つからないように隠れて見ていた。見つかりまた逃げる。それを繰り返していつの間にか聖がバイクの修理をしているのをしゃがんで見ていた。
　そんな状態が数日続いたあと、

「ねえ、今度、ツーリングしない？」
　
　と、誘われて、自然にうんと頷いていた。
　
　朝霧の中に地面に落ちているヘルメットを見つける。
　
「えーと、やっぱりこれって聖に恋してるんだよね」
　
　断じて違う。神子はブンブンと頭を振るう。
　そして朝霧を切り裂くようにバイクの音が響いた。
　
　あ、来た
　
　心の中で思い。胸が弾む。そして違う違うと、頭の中の神子が子供が駄々をこねるように暴れる。
　混乱しながら神子はヘルメットを取り、頭にかぶり始めていた。　　　
　　　　　　

　ありがとうございました。
　バイクに乗ってる聖と後ろで赤面しながら聖に抱きついている神子の二人のツーリングを想像していいなと思い勢いで書きました