ねえ椛、海に行こうよ。海ってさ、広いんだよ。生命の源なんだ、どこまでも続く水平線なんだ!
「もう、またそんなこと言って! 幻想郷に海はないんですよ、わかってるくせに」
馬鹿だなあ椛は! 知らない? いつかなんて時間はなくて、遠くなんて場所はないんだよ! どういう意味かわかる?
「くらーいやつでしょ、どうせ! もう、やめてくださいよう」
いいじゃんべつに! 甘えさせてよ、だって、椛はただの捌け口なんだもん。わかってるでしょ? ほんとは雛と行きたいんだって、知っててくれてるじゃん。ああでもね、ほんとは雛と一緒には行きたくないんだ。なんでかわかる? 雛にそんなこと言ったら、雛は悲しむし、それに、本当のところ、私は一人で水平線になりたいんだ! ずるいかな、ずるいよねぇ。どう思う?
「わたしに言われても、困っちゃいますよう」
ねえ椛、私ね。それでも椛のこと大好きだよ。結婚したい。手をつなぎたい。幸せになりたい。セックスしたい! 椛となら、どうしても幸せになれる気がするんだ。でもね、わかってると思うけど、私は椛より雛のほうがずっと、ずっとずっとずっと大好きなんだ。秤の上に乗せれば、椛なんて軽すぎて、天国まで吹き飛んで行っちゃうくらいだよ。なんてさ! ねえ、椛。そんなのってさ、どう思う? 薄情かな。薄情だよね、きっと。でもいいや! 椛! 私は椛のことだいすき! だからさ、椛は私のそんな醜悪でキュートな心のこと、どういうふうに思ってる? 聞かせてみてくれないかなあ。
「うええ。ひどいひとです。わたし、文さんと付き合ってるんですよ。真剣に。手も繋げないくらいに、臆病にああいや、真剣に大事に思ってるんですから」
そっか、ありがとう。ありがとね! 私、椛のこと大好きだよ。雛よりずっと大好き。雛のことが大好きだから、椛のこと、もっと好きなの。なんてさ! えへへ。
「……雛さんとまた会えるといいですね。一緒に笑えればいいですね。手をつないだり、セックスしたり。なんでもないとりとめのない話に幸せを感じたり。できたらいいですね」
うん! できるよ、心配しないで、気を使ってもらわなくてもいいよ! だって、絶対に雛とまた会って、椛の言う通りのことができるから、ぜったいね! そういうふうにできてるんだ。システムなんだ。だから、ぜったい! 私は雛と幸せになれるよ。雛はずっと同じところにいるのはわかってるし、私もね! ぜったいに雛と同じところに行けるんだ。私と雛にとって、一番しあわせな場所で、また笑えるから。ぜんぜん、寂しくないよ。だって、会おうと思えばいつでも会えるんだもん!
「仏教ですか?」
えー? なんのはなしさ。わかんないよ、難しいこと言わないでくれよなー、急にさ。
ところでさ、椛。いまからセックスしようよ。椛は嫌かもしれないけど、それは嘘だよ、方便だよ。椛は気持ちいこと大好きっていうの、私知ってるし。なにより、椛は私のこと、大好きでしょ? きっと、文以上にさ!
「うー……うむむむむ! ……本当のことばっかり言ったら、嫌いになっちゃいますよ。にとりさんのこと、嫌いになっちゃうんですからね」
うん、わかってるよ。じゃあほら、ちゅーするね。目は瞑る? それとも開けたままにする? いいや! ちゅーする、椛の言うことなんて、ひとつも聞いてあげないんだ、私!
「そんな急に! ……う、うう。あーあ! されちゃった。されちゃいました! ひどいひと!」
うん。ごめんね。本当にごめんなさい。
「もう、またそんなこと言って! 幻想郷に海はないんですよ、わかってるくせに」
馬鹿だなあ椛は! 知らない? いつかなんて時間はなくて、遠くなんて場所はないんだよ! どういう意味かわかる?
「くらーいやつでしょ、どうせ! もう、やめてくださいよう」
いいじゃんべつに! 甘えさせてよ、だって、椛はただの捌け口なんだもん。わかってるでしょ? ほんとは雛と行きたいんだって、知っててくれてるじゃん。ああでもね、ほんとは雛と一緒には行きたくないんだ。なんでかわかる? 雛にそんなこと言ったら、雛は悲しむし、それに、本当のところ、私は一人で水平線になりたいんだ! ずるいかな、ずるいよねぇ。どう思う?
「わたしに言われても、困っちゃいますよう」
ねえ椛、私ね。それでも椛のこと大好きだよ。結婚したい。手をつなぎたい。幸せになりたい。セックスしたい! 椛となら、どうしても幸せになれる気がするんだ。でもね、わかってると思うけど、私は椛より雛のほうがずっと、ずっとずっとずっと大好きなんだ。秤の上に乗せれば、椛なんて軽すぎて、天国まで吹き飛んで行っちゃうくらいだよ。なんてさ! ねえ、椛。そんなのってさ、どう思う? 薄情かな。薄情だよね、きっと。でもいいや! 椛! 私は椛のことだいすき! だからさ、椛は私のそんな醜悪でキュートな心のこと、どういうふうに思ってる? 聞かせてみてくれないかなあ。
「うええ。ひどいひとです。わたし、文さんと付き合ってるんですよ。真剣に。手も繋げないくらいに、臆病にああいや、真剣に大事に思ってるんですから」
そっか、ありがとう。ありがとね! 私、椛のこと大好きだよ。雛よりずっと大好き。雛のことが大好きだから、椛のこと、もっと好きなの。なんてさ! えへへ。
「……雛さんとまた会えるといいですね。一緒に笑えればいいですね。手をつないだり、セックスしたり。なんでもないとりとめのない話に幸せを感じたり。できたらいいですね」
うん! できるよ、心配しないで、気を使ってもらわなくてもいいよ! だって、絶対に雛とまた会って、椛の言う通りのことができるから、ぜったいね! そういうふうにできてるんだ。システムなんだ。だから、ぜったい! 私は雛と幸せになれるよ。雛はずっと同じところにいるのはわかってるし、私もね! ぜったいに雛と同じところに行けるんだ。私と雛にとって、一番しあわせな場所で、また笑えるから。ぜんぜん、寂しくないよ。だって、会おうと思えばいつでも会えるんだもん!
「仏教ですか?」
えー? なんのはなしさ。わかんないよ、難しいこと言わないでくれよなー、急にさ。
ところでさ、椛。いまからセックスしようよ。椛は嫌かもしれないけど、それは嘘だよ、方便だよ。椛は気持ちいこと大好きっていうの、私知ってるし。なにより、椛は私のこと、大好きでしょ? きっと、文以上にさ!
「うー……うむむむむ! ……本当のことばっかり言ったら、嫌いになっちゃいますよ。にとりさんのこと、嫌いになっちゃうんですからね」
うん、わかってるよ。じゃあほら、ちゅーするね。目は瞑る? それとも開けたままにする? いいや! ちゅーする、椛の言うことなんて、ひとつも聞いてあげないんだ、私!
「そんな急に! ……う、うう。あーあ! されちゃった。されちゃいました! ひどいひと!」
うん。ごめんね。本当にごめんなさい。
あまりにもポップな狂気でした