今日も僕は手紙を書く。
誰に書くなんて決まってる。里乃に書くの。僕の思ったこと、嬉しかったこと。悲しかったこと、お師匠様に褒められたこと、怒られたこと。たくさんのことを僕は書く。
『今日は空の散歩をしていたらとても面白かったんだよ。里乃も一緒にいて欲しかったなあ』
なんて。
私がニヤニヤとしているとお師匠様が入ってきた。
「あ、いたいた」
「なんでしょうお師匠様?」
「この手紙が放置されていたからな。返しに来た」
ヒラヒラとお師匠様が持つ手紙は僕が書いたものじゃなかった。お師匠様は僕に渡した。それを受け取る。
「……僕宛て?」
『丁礼田舞様へ』
丁寧に便箋に書かれた字は僕の字でもなく。裏を返すと差出人の名前も書かれていなくて。
糊で丁寧に貼られていたので破って開けようとしたところで里乃が部屋に飛び込んできた。
「お師匠様! あの手紙どうしたんですか! あっ!? なんで舞が持ってるの!?」
慌てたような里乃はお師匠様見て叫んでいた。僕の持つ手紙に反応して奪い取った。
「うわっ!? どうしたのさ里乃! それ僕宛ての手紙じゃないのかい?」
「知らない! 知らない!」
そう言って里乃はバタバタと出ていってしまった。えっ、僕宛ての手紙……
「ちょ、ちょっと!? 里乃! 待ってよ!」
僕も里乃を追ってバタバタと出ていく。
扉だらけの空間。里乃が飛んだ後を探す。
「里乃ー! 里乃ー! どこだよー!」
開く扉を探しながら扉の空間を飛び回る。ぐるぐると辺りを見回すとひとつ空きっぱなしの扉があった。たしかあれは……博麗神社!
僕はがむしゃらに飛び出していた。
「うわぁっ!? なにかしら!」
博麗の巫女が驚く声が聞こえる。お茶をしていた所を通り越して空を飛ぶ。
「ごめん、またなんかするよ!」
そう言って里乃を追いかけるために空を早く早く駆けた。
「あんたらふざけるんじゃないわよ!」
巫女の怒る声が響いていた。
里乃を目視で捉えた。逃げていくのは魔法の森方面。なにさ、捕まえてやる!
「おおい、里乃! 待ってろよ!」
「どうして着いてきているのよー!」
里乃の悲鳴が聞こえた。僕は鳥になって空を駆ける。早く飛んで追いつくために。待って、待ってくれ! 里乃!
「里乃!」
必死に駆けた空で僕は里乃に追いついて、腕を掴んだ。
「ひゃっ、何よ舞!」
僕はしっかりと腕を持って里乃と対面する。
「僕宛ての手紙、それを読みたい。里乃が書いたのだろうけれどせっかく書いたのだったら読みたいよ……」
あまり里乃は手紙を書かない。なおさら僕になんて無いわけで。お師匠様から受けとった時もとても嬉しかったのに。
「やだ! 恥ずかしいもん」
「そう言わないでよ。なら僕に直接言ってよ。手紙で言えないこと、全部言ってよ」
そう言ったら里乃は赤くなった。顔を真っ赤にさせて今にも破裂してしまいそうな程だった。
「い、いやよ! なら渡すから! 一人の時に読んで!」
手に無理やり押し込まれるようにして、里乃は逃げていった。勢いに押されて僕は何も言えなかったのだけれど。
「えっと……いいのかな……」
そんな言葉がぽつりと漏れた。
*
部屋に帰って僕は封筒を開く。はさみで丁寧に封を切って、中の手紙を出した。
緊張している。ゆっくりとカサ……と手紙を開けるとそこには一行。
『丁礼田舞様へ
大好きです。いつもありがとう。』
差出人のところは何も書かれていなくて。沢山消された跡を見つけた。
ふふ、ふふふ……里乃、可愛いなあ。
「僕も大好きだよ里乃……里乃が知らないくらいに」
僕は笑っていた。里乃の可愛さに、これを伝えるために逃げたことを。
また沢山手紙を書いてやろう、愛の言葉を添えて。
誰に書くなんて決まってる。里乃に書くの。僕の思ったこと、嬉しかったこと。悲しかったこと、お師匠様に褒められたこと、怒られたこと。たくさんのことを僕は書く。
『今日は空の散歩をしていたらとても面白かったんだよ。里乃も一緒にいて欲しかったなあ』
なんて。
私がニヤニヤとしているとお師匠様が入ってきた。
「あ、いたいた」
「なんでしょうお師匠様?」
「この手紙が放置されていたからな。返しに来た」
ヒラヒラとお師匠様が持つ手紙は僕が書いたものじゃなかった。お師匠様は僕に渡した。それを受け取る。
「……僕宛て?」
『丁礼田舞様へ』
丁寧に便箋に書かれた字は僕の字でもなく。裏を返すと差出人の名前も書かれていなくて。
糊で丁寧に貼られていたので破って開けようとしたところで里乃が部屋に飛び込んできた。
「お師匠様! あの手紙どうしたんですか! あっ!? なんで舞が持ってるの!?」
慌てたような里乃はお師匠様見て叫んでいた。僕の持つ手紙に反応して奪い取った。
「うわっ!? どうしたのさ里乃! それ僕宛ての手紙じゃないのかい?」
「知らない! 知らない!」
そう言って里乃はバタバタと出ていってしまった。えっ、僕宛ての手紙……
「ちょ、ちょっと!? 里乃! 待ってよ!」
僕も里乃を追ってバタバタと出ていく。
扉だらけの空間。里乃が飛んだ後を探す。
「里乃ー! 里乃ー! どこだよー!」
開く扉を探しながら扉の空間を飛び回る。ぐるぐると辺りを見回すとひとつ空きっぱなしの扉があった。たしかあれは……博麗神社!
僕はがむしゃらに飛び出していた。
「うわぁっ!? なにかしら!」
博麗の巫女が驚く声が聞こえる。お茶をしていた所を通り越して空を飛ぶ。
「ごめん、またなんかするよ!」
そう言って里乃を追いかけるために空を早く早く駆けた。
「あんたらふざけるんじゃないわよ!」
巫女の怒る声が響いていた。
里乃を目視で捉えた。逃げていくのは魔法の森方面。なにさ、捕まえてやる!
「おおい、里乃! 待ってろよ!」
「どうして着いてきているのよー!」
里乃の悲鳴が聞こえた。僕は鳥になって空を駆ける。早く飛んで追いつくために。待って、待ってくれ! 里乃!
「里乃!」
必死に駆けた空で僕は里乃に追いついて、腕を掴んだ。
「ひゃっ、何よ舞!」
僕はしっかりと腕を持って里乃と対面する。
「僕宛ての手紙、それを読みたい。里乃が書いたのだろうけれどせっかく書いたのだったら読みたいよ……」
あまり里乃は手紙を書かない。なおさら僕になんて無いわけで。お師匠様から受けとった時もとても嬉しかったのに。
「やだ! 恥ずかしいもん」
「そう言わないでよ。なら僕に直接言ってよ。手紙で言えないこと、全部言ってよ」
そう言ったら里乃は赤くなった。顔を真っ赤にさせて今にも破裂してしまいそうな程だった。
「い、いやよ! なら渡すから! 一人の時に読んで!」
手に無理やり押し込まれるようにして、里乃は逃げていった。勢いに押されて僕は何も言えなかったのだけれど。
「えっと……いいのかな……」
そんな言葉がぽつりと漏れた。
*
部屋に帰って僕は封筒を開く。はさみで丁寧に封を切って、中の手紙を出した。
緊張している。ゆっくりとカサ……と手紙を開けるとそこには一行。
『丁礼田舞様へ
大好きです。いつもありがとう。』
差出人のところは何も書かれていなくて。沢山消された跡を見つけた。
ふふ、ふふふ……里乃、可愛いなあ。
「僕も大好きだよ里乃……里乃が知らないくらいに」
僕は笑っていた。里乃の可愛さに、これを伝えるために逃げたことを。
また沢山手紙を書いてやろう、愛の言葉を添えて。
いつも一緒だからこそ、こういうやり取りが微笑ましくていいですね。
ちょびっと霊夢が不憫だったけれど二童子の惚気具合が存分に伝わってきて良かったです。
さとまいさとまい
やたら体重の乗ったノロケでした
巻き込まれた霊夢がおもしろかったです
最後の一文でニヤニヤしてしまいました