存在しないものなどない。そんなことをずっと思い続けている。
三途の川の縁を歩きながら私はーー閻魔たる私は考える。
一つ、妥協のお話をしてみよう。
ある時小町話している時に起こったことです。怒っている時に小町はこういったのです。
「し、四季様。お願いです仕事を頑張りますので怒らないでください」
そんなこと泣きながら言うものだから私も話を聞こうと思ったのです。
「どうしましたか。泣きながら言うものじゃないでしょう」
「だ、だって、あたいも頑張ってるんです……できる範囲で頑張るので……」
そんなことを言うものだから懺悔の棒を振り下ろそうとしたら小町は守る体制を取って。それがいつかの子供を見せてきて。振り下ろすのをやめて小町に問う。
「どうしてそう言うのです」
「頑張りたいのです……だけどそれでもずっと出来ないんです」
シクシクと泣く小町はそう言った。
「……ノルマは決めます。キチンとそれを持ってきてくれるのであれば大丈夫です。だから泣くのをやめてください……」
どう足掻いても哀れになってしまって。こんなこと思ってもダメなのに。諦めばかりになってしまって。
私は一体何をしているんでしょうか。
歩く歩く、三途の川を歩いていく。時々石を投げようかと思う時があるけれど、水子たちの商売道具を投げようというのはいけなかった。
「あれ。閻魔様。そんなに暗い顔してどおしたんです」
声の高いものを後ろからかかってそちらを向いた。
「ああ、瓔花。最近はどうですか」
「閻魔様! とても調子がいいですよ。でも最近小町さんが構ってくれないのは悲しいかなあ」
その言葉に私は刺さる。ああ、悪いことをしたのかな。
「小町は仕事が忙しいみたいなのです」
「でも小町さん泣いてたよ」
……私は友情すら壊してしまったのだろうか。どうすればいいのだろう。私ははっきりしなければならないのにぶれている。存在証明すら叶わなくなってきている。
「……そう、ですか。小町とはまたゆっくり話します」
ああ、心がどんどん曇ってしまう。本当にどうすればよかったのでしょう。
「ねえ、閻魔様。一緒に石積みしませんか? 笑顔になれるかもしれませんよ!」
瓔花に手を引かれて私は水子たちの石積み会場に連れていかれた。瓔花は楽しそうにこの石とこの石が合うよ、とかちゃんと積まないと落ちちゃうよ、とか。必死になって積んでみた。たくさん落ちた。たくさん石を拾っていた。
「おお! 閻魔様凄い!もう腰まで詰めたのね!」
そう言われて立ってみると私の腰の下辺りまであった。ああ、ここまでできたのか。
また積もうと一つ石を持って積もうとしたところで後ろから肩をつかまれた。ガラガラと石の塔は落ちる。
「四季様! 何しているんですか」
「……小町……」
泣きそうな顔が印象的で。ああ、私がしたことは……
「小町、許してください。あなたに強要したことを。妥協をして勝手にしたことを」
「なんで四季様は……そんなに優しいんですか! もっと厳しくしてくれて良かったのに! そんなに甘やかせて……」
小町は膝から倒れて、ずっと私の胸を叩く。
「ねえ、閻魔様。小町さん。みんなで石積みしない?」
瓔花は笑って石を渡してきた。何も話さずに積んで、積んで。忘れるほど積んで。落として、落として、落として。気がついたら笑っていた。ひたむきにしてきた小町を馬鹿にしたと言うことは私はダメだったのでしょう。
「ね。石積みで仲直りできたでしょ? 仲直り出来たら勝ちなのよ」
瓔花は私たちを見て笑っていた。
三途の川の縁を歩きながら私はーー閻魔たる私は考える。
一つ、妥協のお話をしてみよう。
ある時小町話している時に起こったことです。怒っている時に小町はこういったのです。
「し、四季様。お願いです仕事を頑張りますので怒らないでください」
そんなこと泣きながら言うものだから私も話を聞こうと思ったのです。
「どうしましたか。泣きながら言うものじゃないでしょう」
「だ、だって、あたいも頑張ってるんです……できる範囲で頑張るので……」
そんなことを言うものだから懺悔の棒を振り下ろそうとしたら小町は守る体制を取って。それがいつかの子供を見せてきて。振り下ろすのをやめて小町に問う。
「どうしてそう言うのです」
「頑張りたいのです……だけどそれでもずっと出来ないんです」
シクシクと泣く小町はそう言った。
「……ノルマは決めます。キチンとそれを持ってきてくれるのであれば大丈夫です。だから泣くのをやめてください……」
どう足掻いても哀れになってしまって。こんなこと思ってもダメなのに。諦めばかりになってしまって。
私は一体何をしているんでしょうか。
歩く歩く、三途の川を歩いていく。時々石を投げようかと思う時があるけれど、水子たちの商売道具を投げようというのはいけなかった。
「あれ。閻魔様。そんなに暗い顔してどおしたんです」
声の高いものを後ろからかかってそちらを向いた。
「ああ、瓔花。最近はどうですか」
「閻魔様! とても調子がいいですよ。でも最近小町さんが構ってくれないのは悲しいかなあ」
その言葉に私は刺さる。ああ、悪いことをしたのかな。
「小町は仕事が忙しいみたいなのです」
「でも小町さん泣いてたよ」
……私は友情すら壊してしまったのだろうか。どうすればいいのだろう。私ははっきりしなければならないのにぶれている。存在証明すら叶わなくなってきている。
「……そう、ですか。小町とはまたゆっくり話します」
ああ、心がどんどん曇ってしまう。本当にどうすればよかったのでしょう。
「ねえ、閻魔様。一緒に石積みしませんか? 笑顔になれるかもしれませんよ!」
瓔花に手を引かれて私は水子たちの石積み会場に連れていかれた。瓔花は楽しそうにこの石とこの石が合うよ、とかちゃんと積まないと落ちちゃうよ、とか。必死になって積んでみた。たくさん落ちた。たくさん石を拾っていた。
「おお! 閻魔様凄い!もう腰まで詰めたのね!」
そう言われて立ってみると私の腰の下辺りまであった。ああ、ここまでできたのか。
また積もうと一つ石を持って積もうとしたところで後ろから肩をつかまれた。ガラガラと石の塔は落ちる。
「四季様! 何しているんですか」
「……小町……」
泣きそうな顔が印象的で。ああ、私がしたことは……
「小町、許してください。あなたに強要したことを。妥協をして勝手にしたことを」
「なんで四季様は……そんなに優しいんですか! もっと厳しくしてくれて良かったのに! そんなに甘やかせて……」
小町は膝から倒れて、ずっと私の胸を叩く。
「ねえ、閻魔様。小町さん。みんなで石積みしない?」
瓔花は笑って石を渡してきた。何も話さずに積んで、積んで。忘れるほど積んで。落として、落として、落として。気がついたら笑っていた。ひたむきにしてきた小町を馬鹿にしたと言うことは私はダメだったのでしょう。
「ね。石積みで仲直りできたでしょ? 仲直り出来たら勝ちなのよ」
瓔花は私たちを見て笑っていた。
救済される側のはずの水子の瓔花が閻魔や死神の仲を取り持つというのはなんかいいですね
人間らしい閻魔様が垣間見れた、素敵な作品でした。