私は藍様の九つのしっぽが羨ましい。
あのもふもふのしっぽがあんなに沢山あるなんて。触り心地もいい、なんにせよ妖獣としての地位も高くて羨ましい。私のしっぽなんて二本しか無くて、藍様に拾われでもしなかったら野垂れ死にしていたはずのただの猫又だった。
どうして拾ってくれたのか、と前に聞いたことがある。
そしたら藍様は簡単にこう言ったのだ。
「私は目の前にいた橙を助けたかった。他にも沢山そういうのはいたはずなのに、橙の生きようとするひたむきさに惹かれたんだ」
って。なんだそれ。そんなこと私は知らないしどうでもいいことなのである。
本題はしっぽだった。あのしっぽ。もふもふのしっぽ。
羨ましい、私もあのぐらいもふもふしたしっぽが欲しい! 強くなったら生えるのかな? 猫又になった時みたいに分かれてくのかな。
欲しくて欲しくて仕方がなくて、私はしっぽを作ってみることにした。
適当に置いてあったダンボールを使って、私のしっぽと同じぐらいに切って。
それを七本作って。おしりに貼り付けてみた。根元から生える私のしっぽとダンボールのしっぽ。合計九つのしっぽ。
まるで一つ大きくなれたかのような気がして私は嬉しくなった。えへん、と鏡の前で胸を貼ってみる。
そこに映ったのはダンボールを張りつけた、ただの猫又だった。
みっともなくダンボールのしっぽがひらひらと流れていて。少し悲しくなった。
「あーあ、何してるんだろう」
何が悲しくてこんなことしてるんだろう。藍様に憧れただけだったのに。背伸びしたって虚しくなっただけだった。
「橙〜? 橙?」
藍様の声が響く。やばい、私を探している。
バレないようにと急いでダンボールのしっぽを剥がしてゴミ袋に入れる。遊んでいたダンボールも、全て片付けて、藍様が入るのを待つ。
「橙〜ってここにいたのか。少し夜ご飯作るの手伝ってくれないか?」
「分かりました! 先行ってますね!」
私は内心焦りながら台所まで走って行った。
いつか私も藍様のようなしっぽが欲しい。やっぱりそう思うのだ。
「ふふ、橙。お前はしっぽが欲しいのか……」
ゴミ袋を持った藍は一人呟いていた。不敵に笑うのはとても不気味であった。
藍はダンボールのしっぽを持って出ていった。
ああ、私はしっぽが欲しい! 藍様のようなしっぽが!
何回でも言ってやる! しっぽが! 欲しい!
あのもふもふのしっぽがあんなに沢山あるなんて。触り心地もいい、なんにせよ妖獣としての地位も高くて羨ましい。私のしっぽなんて二本しか無くて、藍様に拾われでもしなかったら野垂れ死にしていたはずのただの猫又だった。
どうして拾ってくれたのか、と前に聞いたことがある。
そしたら藍様は簡単にこう言ったのだ。
「私は目の前にいた橙を助けたかった。他にも沢山そういうのはいたはずなのに、橙の生きようとするひたむきさに惹かれたんだ」
って。なんだそれ。そんなこと私は知らないしどうでもいいことなのである。
本題はしっぽだった。あのしっぽ。もふもふのしっぽ。
羨ましい、私もあのぐらいもふもふしたしっぽが欲しい! 強くなったら生えるのかな? 猫又になった時みたいに分かれてくのかな。
欲しくて欲しくて仕方がなくて、私はしっぽを作ってみることにした。
適当に置いてあったダンボールを使って、私のしっぽと同じぐらいに切って。
それを七本作って。おしりに貼り付けてみた。根元から生える私のしっぽとダンボールのしっぽ。合計九つのしっぽ。
まるで一つ大きくなれたかのような気がして私は嬉しくなった。えへん、と鏡の前で胸を貼ってみる。
そこに映ったのはダンボールを張りつけた、ただの猫又だった。
みっともなくダンボールのしっぽがひらひらと流れていて。少し悲しくなった。
「あーあ、何してるんだろう」
何が悲しくてこんなことしてるんだろう。藍様に憧れただけだったのに。背伸びしたって虚しくなっただけだった。
「橙〜? 橙?」
藍様の声が響く。やばい、私を探している。
バレないようにと急いでダンボールのしっぽを剥がしてゴミ袋に入れる。遊んでいたダンボールも、全て片付けて、藍様が入るのを待つ。
「橙〜ってここにいたのか。少し夜ご飯作るの手伝ってくれないか?」
「分かりました! 先行ってますね!」
私は内心焦りながら台所まで走って行った。
いつか私も藍様のようなしっぽが欲しい。やっぱりそう思うのだ。
「ふふ、橙。お前はしっぽが欲しいのか……」
ゴミ袋を持った藍は一人呟いていた。不敵に笑うのはとても不気味であった。
藍はダンボールのしっぽを持って出ていった。
ああ、私はしっぽが欲しい! 藍様のようなしっぽが!
何回でも言ってやる! しっぽが! 欲しい!
橙が可愛らしく奮闘する姿がほほえましく、ほっこりしました。
面白かったです!
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