冬も少しずつ厳しくなってきた幻想卿
そこでは今・・・・・・
風邪が流行っていた
何かが広まるのは常に突然である。目に見えないものであれば尚更である
まず神社の縁側でお茶を飲んでいた博麗の巫女が寒気を覚えてダウン
原因は腋が丸出しの服ではない・・・と思いたい。完全にヘバっていた
それをたまたま遊びに来た普通の魔法使いがその日は看病をしていたが、次の日に魔法使いもダウン
どうやら博麗の巫女の風邪がうつったらしい。起き上がる気力も無く、まさにマグロ状態である
おそらく自身の奪い癖が無かったら更に辛い事になっていただろう
とりあえず七色の人形遣いが魔導書回収のついでと理由をつけて看病に当たっているようだ
紅魔館と永遠亭はその影響を特に受けていた
まず紅魔館はメイド達が人妖関わらず大量にダウン
それにより看病と仕事量の増加による過労、そして免疫力の低下を引き起こし、風邪に倒れるものが増える悪循環
更に先頭に立って一日中休む暇もなく看護と仕事に当たっていたメイド長が高熱に倒れる
それとほぼ同時に風邪薬の製薬に動いていたヴワル図書館の主も過労がたたり、喘息が悪化して床に
これにより紅魔館の機能は完全に停止し、あり得ないほどの静けさである
引継ぎの看護は唯一元気な門番を中心に比較的元気な者達がしていたが、その人数は日に日に減っていった
今では主である紅い悪魔やその妹すら看護に回らざるを得ない状態である
永遠亭は大量に居るイナバが狙ったかのように一斉に発病
そしてあまり時を置かずして永遠を生きる姫の我侭と製薬、及び看護の疲労により月の頭脳が過労で倒れる
更にその激務を一斉に背負う事になった弟子の月の兎も間を置かないで倒れた
現在の永遠亭は紅魔館と違って全く動かない主の変わりに、いたずら兎の双肩にかかっていた
被害としては紅魔館より酷いかもしれない
この様な主だった場所でもこれだけ流行しているのだから、人間の里もまたひどかった
「おそらく性質の悪い風邪だろう。一応薬を処方しておくが、兎に角大人しく寝ていることだ」
ありがとうございますと感謝の言葉を貰いながら民家を出て行く
外に出た少女 ─ 上白沢 慧音 ─ は溜め息を吐くと頭を抱えた
ズキッ ズキッ
(どうやら私もうつったようだな・・・今日は早めに切り上げておこうか・・・)
頭の痛みをどこかへ飛ばすように頭を振る、次の瞬間
グワァン グワァン
「ぬぐっ!」
(・・・阿呆か私は・・・)
結局ぶり返してしまった頭の痛みを堪えながら次の民家へと歩いていく
あくまで医者の真似事ではあるが、医者が居ても足りない今の現状では慧音の様に多少の心得がある者は必要であった
先程出た民家から数えて4つの民家を回り、そろそろ帰宅しようとした時だった
急激に慧音の体から力が抜ける
(あれ・・・、何故地面が正面に・・・?)
それを最後に、彼女の意識は完全に途絶えた
ぼぅっとした意識の中、目を開ける
最初に目に入ったのは木の木目だった
ゆっくりと思考を巡らせる
(そうか、確か行き倒れたのだったな)
体を起こそうとする。言う事を利かない
顔を横に向けてみればそこは勝手知ったる自分の住処だった
「あ、慧音。やっと起きたみたいだね」
そこに居たのは里の近くに住む蟲姫 ─ リグル・ナイトバグ ─
どうやら彼女がここまで運んでくれたらしい
同じく近くに住む夜雀の少女と天敵関係にはあるものの、共に人間と共生をしている珍しい妖怪の一人である
彼女の話によると何となく里を見て回っていると青い物体が転がっており、近づいてみると慧音が苦しそうに倒れていたらしい
「そうか。すまなかったな、手間をかけさせてしまって」
「気にしなくていいよ。困った時はお互い様ってね。はい、生姜湯」
「む、すまないな・・・」
リグルから湯飲みを受け取り、冷ましながら少しずつ啜っていく
体の中からじんわりと温まっていく感覚が気分をいくらか楽にしてくれた
「・・・ふぅ。ところでリグル、私はどれくらい寝ていたんだ?」
「えーと、大体二日と三刻ってとこかな」
「そうか、二日と三刻・・・って、何だとぉ・・・」
意外に時間が経っていた事に驚き思わず起き上がる・・・何てできたら苦労はしていないので寝たまま驚く
「多分過労がたたったんだろうね。起こすのが可哀相なくらい寝入ってたよ」
「否定できない所がつらいな」
「あんま無理はしないでね。慧音って溜め込むタイプだし」
そう言いながらリグルは片方の手を慧音の額に
もう片方の手を自分の額に当てて熱を測る
「よし、何一つ分からない」
「・・・意味はあるのか、これ」
「気分の問題」
「・・・」
「・・・」
「ネコ型のアレがどうとかは言わないぞ」
「ちぇっ」
そんなやり取りをしながら時間は過ぎていった
「あ、そろそろミスティアのとこに行かなきゃ」
先程まで切ったリンゴが置かれていた皿を片付けるために台所まで向かう
「何だ、あいつも風邪を拗らせたのか」
「うん。何か慧音より症状が悪いみたいだしね。見に行ってあげないと」
「病名が解ればある程度の助言はできるが。どんな病気かわかるか?」
「んーとね、確かインフルエンザみたいな症状だったかな。私は蟲だから病気とかしないし良く分からないけど」
「うーむ、残念だが薬を飲んで安静にとしか言えないな」
「ま、何だかんだ言ってミスティアなら大丈夫でしょ。それじゃあちゃんと安静にしてなよー」
そう言い残してリグルは飛んでいった
「やれやれ何時もは言っている側なんだが・・・」
ぽつりと呟く
言われなくたって安静にしているさ。動けないのは不便だからな
ああ、ちょっと喋り疲れたんだろうか。何だか相当眠い
そうだ、お礼代わりに今度甘い砂糖水でも出してやろうか
そんなささやかな事を考えながら、慧音は眠りについた
~ 一方、少し時間が経過して ~
「ミスティアー、だいじょう・・・ぶ・・・?」
ぷかぁー・・・
以前に見た剣士の近くに浮いていた白い物体に似た感じのする
しかし、それとは違い確実にミスティアの形をした物が
何処かへと続く階段の前で拳を握り、力強く叫んだ
「・・・・・・逝けるっ!!!(キュピーン)」
「逝くなぁぁぁぁぁぁっ!ミスティア!目を覚まして!顔が土気色だよ!?ミスティアっ!」
慌ててリグルは本体の方に声をかける
「あぁ・・・りぐるぅ・・・私の屍を超えて行けぇー・・・ガクリ」
「わぁぁ!そっちに行っちゃ駄目!むしろ逝っちゃ駄目だってば!!!」
やや手遅れだった
─ 無縁塚 ─
「・・・えーと、何か見覚えのある場所のような」
「あ、あんた確かいつぞやの雀」
「あ、あの時の死神さん。じゃあここは無縁塚かぁ・・・って、何だか心なしかボロボロじゃない?」
「んー、ちょっと今四季様が発作を起こしててねぇ。大分ダメージを受けたから有名な大都督の霊に頼んで休憩中なんだ」
ゼンコー! ゼンコータノシーヨタノシィィィィ!
山田ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!せいやっ!せいっ!せいっ!でりゃぁぁっ!
「死神さんも大変だね・・・」
「ハハハ、まぁいい加減慣れたよ。ところであんたは何しに来たんだい?」
「実は風邪引いちゃって、意識が戻ったり無くなったりしてたら何時の間にかここに・・・」
「あー、鳥インフルエンザだなそれは。まぁでもあんたがここに来るにゃまだ早いよ
ほら、あんたを呼ぶ声が聞こえるだろ?」
ミスティアー!逝っちゃ駄目ー!
「この声はリグルだなぁ」
「な?この声が聞こえるって事は現世とまだ魂が繋がってるしょうこさ
見なかったことにしといたげるからさ、戻ってやんな」
「うん、分かったよ。それじゃあ頑張ってね、死神さん」
「達者で暮らしなよー」
言うが早いかミスティアの姿は消えていた
どうやら現世に魂が戻ったらしい
「さて、と。それじゃああたいは・・・」
死神がヨッコイショと重い腰を上げる
アア、ラストジャッジメントタノシィー!ゼンコォォォオーッ!
くっ、援軍はまだかぁっ!
「アレでも鎮めてくるとしますか」
一振りの巨大な鎌を持った少女が、死地へと飛翔して行った
一部ボイスが入ってたように思えるんですが、無双2ですよね。違った。気のせいですよね。
4でも微妙に山田だった気もしますが、やっぱ2ですよね。山田。
ってことは実は最初はみすちー…とか言ったらやばいか。
だって鳥インフルっしょ?
紅魔、永遠を機能停止まで追い込むとは……さすがバイオハザード(違
……そうか、えーき様、そないにゼンコー楽しいか…w
けどこのリグルきゅんは山田じゃないんですね
永遠亭のこの後が気になる今日この頃。
そうきましたかw
慧音も省エネモードにしないといけませんね。
なぜ、リグルがZAP○Aの台紙を・・・キャラ的にはブリがお似合いですが・・・