フランちゃんは私を指して「既に終わった女」と呼ぶ。
たぶんその認識は正しくて、私は亡霊のようなものなのだ。
見てもらわないと消えてしまうような、曖昧な亡霊。
私は古明地こいし。元・サトリ妖怪。
今は……いるかいないかも曖昧な、どこにでもいる/偏在する、無意識の妖怪だ。
「なあ無意識の。お前、昨日の茶会でクッキーを食べて行ったろう」
レミリアさんが発した言葉を聞いて、脳裏に彼女の姿がよぎる。レミリアさんとフランちゃん、紅魔の舘の吸血鬼姉妹の視線を潜ってクッキーを一枚そっと拝借して、その甘さに頬を緩ませたのを思い出す。
それはおかしなことじゃない。二人は私によくしてくれるし、お姉ちゃんとも交流がある。そのこともあってこの館は、放浪するのを宿命付けられた私の、特に繰り返し足を運ぶ場所だから。だけどそれでも、私がそのときそこにいるのは、少しおかしなことでもあって。
「ごめんなさい、迷惑だったかしら?」
「いや、むしろ歓迎だよ。声をかけてくれたならもっと嬉しかったんだがね」
私の言葉に困ったように、レミリアさんが言う。申し訳ないけどそれは私には不可能だと思う。さっきまでは、そこに私はいなかったから。
「おう古明地妹! 昨日は大丈夫だったか? お前しこたま呑んでたもんな! ははは!」
勇儀さんが笑いながらそんなことを言うのを聞いて、想起する。外の酒米は随分と質が上がったと、そんなことを私は思ったはずだ。京都の酒は水質が悪かった。新潟が何処かは知らないけれど、そこのお酒はまた飲んでみたいな、と思った。
……とは言ってみたけどここは地の底の旧都、打ち棄てられた地獄の外れにできた街。外の世界のお酒なんかは、そうそう手に入るようなものでもないのだけれど。
勇儀さんたち、旧都の鬼さんたちというのは、毎日ずっと酒盛りしてる。それはつまりは、旧都に来れば必ずお酒のおこぼれなんかがもらえるってことで、だから行き先が決まらないときの私には、この場所はとても素敵な場所だったりもする。
「残念ながら私は酔えないの。ほら、普段から夢うつつだから」
「つまり常に酔ってるってことだな! 私達と同じだ!」
勇儀さんは優しいなと思う。それはたぶん正しくない理解だけど。勇儀さんはただ細かいことを気にしないだけ。でも私にはそれがとてもありがたくて。
だってそのお酒は本来は、地に零されただけだったから。
「よう、こいし。霊夢の煎餅を掠め取るだなんてなかなか勇気あるじゃないか。昨日のあいつ、かんかんに怒ってたぞ?」
にやにやと笑みを漏らしながら魔理沙さんが言って、だから私は因果を覆してそこにいたということになった。同時に脳裏に怒気を浮かべてお祓い棒を振り回す霊夢さんの姿が浮かぶ。どうやら秘蔵のやつだったらしい。魔理沙さんが高いお茶を紅魔館から取ってきて、それに合わせて押し入れの奥から引っぱり出してきたのだそうだ。
霊夢さんと魔理沙さんは、ここ、幻想郷の調停役。巫女と魔法使い、のんびり屋さんとせっかちさん。いろんな意味で対照的な二人だけど、なんだかんだで結構気が合うらしくって、いつも二人で神社の裏で、のんべんだらりと過ごしてる。
……ちなみに、特に霊夢さんの方は、怒らせちゃうととっても怖い。鬼も神をも叩き潰してるその様は、誰が言ったか「鬼巫女」と呼ばれているぐらい。それを怒らせたことになっちゃった私は、だからあっちゃーと額を抑えて、大げさによろめいてみた。
「じゃあ、そのうち謝りに行かないとね」
「へえ? 案外あっさり認めるじゃないか」
面白そうに魔理沙さんが顔を歪める。嫌な予感がしたのだけど遮ることは叶わなかった。それより前に魔理沙は口を開いたから。
「だがフランに聞いたところだと、お前、丁度同じくらいの時間に紅魔館でのお茶会にも顔を出していたらしいじゃないか」
「あー……」
気付いちゃったかー、と私は苦々しく笑って、だけど多分、ちょうど良かったんだと思う。ずっと隠しておけるようなことでもなかったから。
「うん。本当はね、どっちにも私はいなかったのよ。霊夢さんは単に数え間違えただけだし、フランちゃんのお菓子をつまんだのは従者の咲夜さんだもの」
「へえ、なるほどな」
あいつららしいな、って魔理沙さんはにやりと笑う。たぶん、だいたいお見通しなんだろうなって私はそれを見て思った。霊夢さんが直感派なら、魔理沙さんは理屈派。痕跡から仕組みを解することなら、霊夢さんより一枚上手だ。
「無意識に求められた辻褄合わせを私が押し付けられたから、時間を遡って私がそこにいたってことになっただけ。だからどっちにも私はいたし、どちらにも私はいなかった。これでいいかしら?」
「おう、だいたい分かったぜ。……だが、やった記憶のないことの責任を押し付けられるってのは、いろいろと難儀しそうだな。嫌じゃないのか?」
珍しく魔理沙さんが人間みたいなことを言うものだから、私は思わず笑ってしまった。でもそういえば、魔理沙さんも人間なんだっけ。いつも普通に人間離れしてるから、すっかり忘れていたのだけど。
「だって、妖怪ってそういうものでしょう? あることないこと押し付けられて、挙句の果てには退治されて」
「ああ、言われてみればそうだな。どうも私の認識が甘かったみたいだ」
「そういうこと。それに、誰も押し付けてくれなかったら、私は何処にもいなかったことになっちゃうもの」
「……うん?」
つい漏らしちゃった私の言葉に、魔理沙さんがこてりと首を傾げる。ああ、今のはちょっと失言だったかな、って私は思ったのだけど、それももう既に後の祭り。
「おいおい、そいつは矛盾してないか? その言い方だとまるで、誰かに押し付けてもらわないと存在できないみたいじゃないか」
魔理沙さんは苦笑しながら、それでも嫌疑の眼差しをしっかり私の方へと向けていて。
「それなら、私の目の前に現れた、『おまえは誰だ』って話になっちまう……おい、こいし?」
あーあ、と一つ、苦笑を漏らして。
その「禁句」を耳にしてしまった私は、そのままどろりと溶け落ちた。
「あら、こいし。帰っていたのね」
お姉ちゃんの言葉に引っ張られるように、私の意識が浮上する。原因と結果が引っ繰り返って、そこに私が生成される。そうして不意に現れた私へと、お姉ちゃんは僅かに驚いた顔で振り向いた。
古明地さとり。サトリ妖怪。地の底にある棄てられた地獄、旧都の元締めをしてるひと。旧都の外れにある館、地霊殿の主。ペットを愛でつつ色んな謀略を詳らかにして、邪魔なひとたちを徹底的に排除しながら、のんびりぼんやり暮らしてる。
私の存在理由。そして、自慢のお姉ちゃんだ。
「貴方が一回休みになるなんて、珍しいこともあったものね。一年ぶりぐらいだったかしら?」
「いやー、魔理沙さんに正体見たりされちゃって」
たははと笑うと、お姉ちゃんは溜息を吐いて、面倒なことになったわね、と言った。
私を構成しているものは、お姉ちゃんからの愛が二割、集合無意識の脈動が七割、それに観測者の認識が一割。誰かがそこに居たと言えばそこにいたことになるし、疑いの言葉をかけられたなら簡単に消滅してしまう。私はそういう曖昧な存在で、だからこそお姉ちゃんの言葉でこの世に繋ぎ留めてもらえてるんだけど。
「広められたら困るわね……」
「心配してくれるの?」
「これでも普段から貴方の身を案じているのよ」
「うん、知ってる。お姉ちゃん大好き」
「もう……そういうところよ」
そうして私はお姉ちゃんと言葉を交わす。地上であったこと、地底であったこと、風の噂で聞いたこと。
私の生活の中ででも一番に平穏で幸せなひとときは、けれど半日もせずに終わりを迎える。閉塞と停滞に耐えられなくなった私が、そこから飛び出してしまうから。
「……もう、行くのね」
「うん。地霊殿もお姉ちゃんも大好きだけど、どうしても私はここにずっとはいられないの」
フランちゃんは私を指して「既に終わった女」と呼ぶ。
たぶんその認識は正しくて、私は亡霊のようなものなのだ。
風の行くままに放浪しながら、ひとびとに見てもらわなければ、自身の在り様が揺らいでしまう、そんな儚い亡霊。
停滞のうちに沈んでいると、今度こそ手足すらない人魂になってしまいそうだと。そんなことを案じてしまうぐらいに、私は曖昧な存在なのだ。
「いつか貴方も、ここで暮らせるようになれば良いのですけどね」
「もー、お姉ちゃんったら夢を見すぎよ。どれだけ長いこと今のままだと思ってるの?」
「ええ。でも、叶わなくとも、夢を見るくらいは許されてもいいとは思わないかしら?」
「……まあ、そうだね。素敵だと思うよ」
そうして私はもう一度、気の向くままの放浪を始める。噂によって象られた、私の幻影をばらまきながら。
暖かい私の家から逃げるように。でも一方で、あの停滞した楽園に、弱く後ろ髪を惹かれながら。
たぶんその認識は正しくて、私は亡霊のようなものなのだ。
見てもらわないと消えてしまうような、曖昧な亡霊。
私は古明地こいし。元・サトリ妖怪。
今は……いるかいないかも曖昧な、どこにでもいる/偏在する、無意識の妖怪だ。
「なあ無意識の。お前、昨日の茶会でクッキーを食べて行ったろう」
レミリアさんが発した言葉を聞いて、脳裏に彼女の姿がよぎる。レミリアさんとフランちゃん、紅魔の舘の吸血鬼姉妹の視線を潜ってクッキーを一枚そっと拝借して、その甘さに頬を緩ませたのを思い出す。
それはおかしなことじゃない。二人は私によくしてくれるし、お姉ちゃんとも交流がある。そのこともあってこの館は、放浪するのを宿命付けられた私の、特に繰り返し足を運ぶ場所だから。だけどそれでも、私がそのときそこにいるのは、少しおかしなことでもあって。
「ごめんなさい、迷惑だったかしら?」
「いや、むしろ歓迎だよ。声をかけてくれたならもっと嬉しかったんだがね」
私の言葉に困ったように、レミリアさんが言う。申し訳ないけどそれは私には不可能だと思う。さっきまでは、そこに私はいなかったから。
「おう古明地妹! 昨日は大丈夫だったか? お前しこたま呑んでたもんな! ははは!」
勇儀さんが笑いながらそんなことを言うのを聞いて、想起する。外の酒米は随分と質が上がったと、そんなことを私は思ったはずだ。京都の酒は水質が悪かった。新潟が何処かは知らないけれど、そこのお酒はまた飲んでみたいな、と思った。
……とは言ってみたけどここは地の底の旧都、打ち棄てられた地獄の外れにできた街。外の世界のお酒なんかは、そうそう手に入るようなものでもないのだけれど。
勇儀さんたち、旧都の鬼さんたちというのは、毎日ずっと酒盛りしてる。それはつまりは、旧都に来れば必ずお酒のおこぼれなんかがもらえるってことで、だから行き先が決まらないときの私には、この場所はとても素敵な場所だったりもする。
「残念ながら私は酔えないの。ほら、普段から夢うつつだから」
「つまり常に酔ってるってことだな! 私達と同じだ!」
勇儀さんは優しいなと思う。それはたぶん正しくない理解だけど。勇儀さんはただ細かいことを気にしないだけ。でも私にはそれがとてもありがたくて。
だってそのお酒は本来は、地に零されただけだったから。
「よう、こいし。霊夢の煎餅を掠め取るだなんてなかなか勇気あるじゃないか。昨日のあいつ、かんかんに怒ってたぞ?」
にやにやと笑みを漏らしながら魔理沙さんが言って、だから私は因果を覆してそこにいたということになった。同時に脳裏に怒気を浮かべてお祓い棒を振り回す霊夢さんの姿が浮かぶ。どうやら秘蔵のやつだったらしい。魔理沙さんが高いお茶を紅魔館から取ってきて、それに合わせて押し入れの奥から引っぱり出してきたのだそうだ。
霊夢さんと魔理沙さんは、ここ、幻想郷の調停役。巫女と魔法使い、のんびり屋さんとせっかちさん。いろんな意味で対照的な二人だけど、なんだかんだで結構気が合うらしくって、いつも二人で神社の裏で、のんべんだらりと過ごしてる。
……ちなみに、特に霊夢さんの方は、怒らせちゃうととっても怖い。鬼も神をも叩き潰してるその様は、誰が言ったか「鬼巫女」と呼ばれているぐらい。それを怒らせたことになっちゃった私は、だからあっちゃーと額を抑えて、大げさによろめいてみた。
「じゃあ、そのうち謝りに行かないとね」
「へえ? 案外あっさり認めるじゃないか」
面白そうに魔理沙さんが顔を歪める。嫌な予感がしたのだけど遮ることは叶わなかった。それより前に魔理沙は口を開いたから。
「だがフランに聞いたところだと、お前、丁度同じくらいの時間に紅魔館でのお茶会にも顔を出していたらしいじゃないか」
「あー……」
気付いちゃったかー、と私は苦々しく笑って、だけど多分、ちょうど良かったんだと思う。ずっと隠しておけるようなことでもなかったから。
「うん。本当はね、どっちにも私はいなかったのよ。霊夢さんは単に数え間違えただけだし、フランちゃんのお菓子をつまんだのは従者の咲夜さんだもの」
「へえ、なるほどな」
あいつららしいな、って魔理沙さんはにやりと笑う。たぶん、だいたいお見通しなんだろうなって私はそれを見て思った。霊夢さんが直感派なら、魔理沙さんは理屈派。痕跡から仕組みを解することなら、霊夢さんより一枚上手だ。
「無意識に求められた辻褄合わせを私が押し付けられたから、時間を遡って私がそこにいたってことになっただけ。だからどっちにも私はいたし、どちらにも私はいなかった。これでいいかしら?」
「おう、だいたい分かったぜ。……だが、やった記憶のないことの責任を押し付けられるってのは、いろいろと難儀しそうだな。嫌じゃないのか?」
珍しく魔理沙さんが人間みたいなことを言うものだから、私は思わず笑ってしまった。でもそういえば、魔理沙さんも人間なんだっけ。いつも普通に人間離れしてるから、すっかり忘れていたのだけど。
「だって、妖怪ってそういうものでしょう? あることないこと押し付けられて、挙句の果てには退治されて」
「ああ、言われてみればそうだな。どうも私の認識が甘かったみたいだ」
「そういうこと。それに、誰も押し付けてくれなかったら、私は何処にもいなかったことになっちゃうもの」
「……うん?」
つい漏らしちゃった私の言葉に、魔理沙さんがこてりと首を傾げる。ああ、今のはちょっと失言だったかな、って私は思ったのだけど、それももう既に後の祭り。
「おいおい、そいつは矛盾してないか? その言い方だとまるで、誰かに押し付けてもらわないと存在できないみたいじゃないか」
魔理沙さんは苦笑しながら、それでも嫌疑の眼差しをしっかり私の方へと向けていて。
「それなら、私の目の前に現れた、『おまえは誰だ』って話になっちまう……おい、こいし?」
あーあ、と一つ、苦笑を漏らして。
その「禁句」を耳にしてしまった私は、そのままどろりと溶け落ちた。
「あら、こいし。帰っていたのね」
お姉ちゃんの言葉に引っ張られるように、私の意識が浮上する。原因と結果が引っ繰り返って、そこに私が生成される。そうして不意に現れた私へと、お姉ちゃんは僅かに驚いた顔で振り向いた。
古明地さとり。サトリ妖怪。地の底にある棄てられた地獄、旧都の元締めをしてるひと。旧都の外れにある館、地霊殿の主。ペットを愛でつつ色んな謀略を詳らかにして、邪魔なひとたちを徹底的に排除しながら、のんびりぼんやり暮らしてる。
私の存在理由。そして、自慢のお姉ちゃんだ。
「貴方が一回休みになるなんて、珍しいこともあったものね。一年ぶりぐらいだったかしら?」
「いやー、魔理沙さんに正体見たりされちゃって」
たははと笑うと、お姉ちゃんは溜息を吐いて、面倒なことになったわね、と言った。
私を構成しているものは、お姉ちゃんからの愛が二割、集合無意識の脈動が七割、それに観測者の認識が一割。誰かがそこに居たと言えばそこにいたことになるし、疑いの言葉をかけられたなら簡単に消滅してしまう。私はそういう曖昧な存在で、だからこそお姉ちゃんの言葉でこの世に繋ぎ留めてもらえてるんだけど。
「広められたら困るわね……」
「心配してくれるの?」
「これでも普段から貴方の身を案じているのよ」
「うん、知ってる。お姉ちゃん大好き」
「もう……そういうところよ」
そうして私はお姉ちゃんと言葉を交わす。地上であったこと、地底であったこと、風の噂で聞いたこと。
私の生活の中ででも一番に平穏で幸せなひとときは、けれど半日もせずに終わりを迎える。閉塞と停滞に耐えられなくなった私が、そこから飛び出してしまうから。
「……もう、行くのね」
「うん。地霊殿もお姉ちゃんも大好きだけど、どうしても私はここにずっとはいられないの」
フランちゃんは私を指して「既に終わった女」と呼ぶ。
たぶんその認識は正しくて、私は亡霊のようなものなのだ。
風の行くままに放浪しながら、ひとびとに見てもらわなければ、自身の在り様が揺らいでしまう、そんな儚い亡霊。
停滞のうちに沈んでいると、今度こそ手足すらない人魂になってしまいそうだと。そんなことを案じてしまうぐらいに、私は曖昧な存在なのだ。
「いつか貴方も、ここで暮らせるようになれば良いのですけどね」
「もー、お姉ちゃんったら夢を見すぎよ。どれだけ長いこと今のままだと思ってるの?」
「ええ。でも、叶わなくとも、夢を見るくらいは許されてもいいとは思わないかしら?」
「……まあ、そうだね。素敵だと思うよ」
そうして私はもう一度、気の向くままの放浪を始める。噂によって象られた、私の幻影をばらまきながら。
暖かい私の家から逃げるように。でも一方で、あの停滞した楽園に、弱く後ろ髪を惹かれながら。
こいしちゃんの妖怪としての性質が弱点でありアイデンティティであるように思えました
読んでいて楽しかったです
有難うございました。
こいしの妖怪としての存在の仕方の発想が面白かったです。お姉ちゃんに繋ぎ止められてっていう姉妹愛がとても良い…
こいしちゃん自身、自分の在り方に迷いがあるみたいで、そのやらせなさみたいなものの雰囲気が好きです。
「既に終わった女」は本当に終わってたんだなと。
とても素敵なお話でした。
姉妹は地獄を見ているからこそ、地獄でも尚生きてしまえることを知っているのでしょうね。きっとこのこいしちゃんはこの先も終わってしまったその先を生きていかなくてはならないでしょう。それがどれほど悲しいのかがわからない、悲しいことがわかっていないように感じられたところに、強く哀しみを感じました。
ご馳走様でした。
とてもうまいと思います。