空が落ちてきそうだなんて、どれほど陳腐な言葉だろうか。
瓦礫に積まれた山の上で私はそんなことを思う。無縁塚の奥の奥、誰にも見つけられずに積まれた使えないとされた山。明かりもなく空を見続けている。
散りばめられた星たちは私を包む天蓋で。
暗く覆う夜は私の窓掛けで。
山積みにされた瓦礫は私の椅子で。
そんな空想を私は描く。
星空は私を狂わせる。私の原点、全ての始まり。あの天蓋から落ちてきた星たちが私を狂わせた。
星をつかう魔法使いになるだなんて。可愛い可愛い原点の夢。私はそれを今も追いかけている。
星と共に出てくるのは紅白。隣にいたあいつがあまり見せない表情で天蓋を見ていたことを思い出す。
ああ、なんでだろう、私はその時に使おうと決めたのだ。
魔法使いは少女だ。魔法少女。永遠の幻想に身を包んだ少女。
アリスとパチュリーを見ているとそう思う。永遠の時間を持ったものたちは違う。本当に永遠の少女なのだと、そう思わされた。
星を見たから狂わされた。私は瓦礫の上に立ち上がった。ガラガラと崩れていく音がしたのでそのまま浮いた。箒は家に忘れた。意識が現実に戻っていく。
雪崩のように瓦礫の山は崩れて無縁塚に大きな音を響かせる。あー、こりゃナズーリンが起きてきそうだ。さっさと逃げるか。箒に乗っている時ほどスピードは出ないが、ふわりと浮いて家まで帰る。魔法の森の途中でアリスの家が明るかったけれどそれを通り過ぎて帰った。
相も変わらず空は落ちてきそうだった。
***
昼の空は高い。青い空に白い雲。どこまでも飛んでいけそうな空。
青空は落ちてきそうだとは思うけれど、夜ほどでは無い。
ふと、どこかへと散歩をしようと思って家から出ると、ザアッと大きな風が吹いた。帽子が飛ばされないように掴んで風が通り過ぎるのを待つ。暗い暗い服を見て、青い青い空を見上げた。
空は高かった。
ああ、空が落ちてくれればいいのに。
そんなことを思って、玄関に立てかけていた箒を掴んで当てもなく空を駆けた。
***
博麗神社の上空に、妖怪の山の上空に、迷いの竹林の上空。沢山の空を飛んだ。
空は落ちてきそうなのに、落ちてこなかった。
***
夕焼け空。橙の空は私を包む。星よりも低くて雲よりも高いもの。太陽の死。または再起の始まり。
橙の空は私を哀愁を呼び寄せる。母の、いつかの記憶が呼び起こされてしまう。クソっ、こんなこと思い出したくもないのにさ。
空を見ずに私は家に駆け込んだ。
いつかの空が私のことを落としていたのを……あー、もういい、私は知らない。
そんなことを思いつつ私はふて寝した。
***
夜中。私はまた目が覚める。早く寝すぎた?いいや分からない。
ベッドから降りて窓を開け放つ。星の輝く夜空を眺める。色々な感情が沸きあがる。何も変わらないのにさ。
ああ、また今日も空は落ちてこなかった。
空は私のものにはならない。
空よ、いつか落ちて来い……
窓際に肘をかけて私は夜空を睨み付けた。
瓦礫に積まれた山の上で私はそんなことを思う。無縁塚の奥の奥、誰にも見つけられずに積まれた使えないとされた山。明かりもなく空を見続けている。
散りばめられた星たちは私を包む天蓋で。
暗く覆う夜は私の窓掛けで。
山積みにされた瓦礫は私の椅子で。
そんな空想を私は描く。
星空は私を狂わせる。私の原点、全ての始まり。あの天蓋から落ちてきた星たちが私を狂わせた。
星をつかう魔法使いになるだなんて。可愛い可愛い原点の夢。私はそれを今も追いかけている。
星と共に出てくるのは紅白。隣にいたあいつがあまり見せない表情で天蓋を見ていたことを思い出す。
ああ、なんでだろう、私はその時に使おうと決めたのだ。
魔法使いは少女だ。魔法少女。永遠の幻想に身を包んだ少女。
アリスとパチュリーを見ているとそう思う。永遠の時間を持ったものたちは違う。本当に永遠の少女なのだと、そう思わされた。
星を見たから狂わされた。私は瓦礫の上に立ち上がった。ガラガラと崩れていく音がしたのでそのまま浮いた。箒は家に忘れた。意識が現実に戻っていく。
雪崩のように瓦礫の山は崩れて無縁塚に大きな音を響かせる。あー、こりゃナズーリンが起きてきそうだ。さっさと逃げるか。箒に乗っている時ほどスピードは出ないが、ふわりと浮いて家まで帰る。魔法の森の途中でアリスの家が明るかったけれどそれを通り過ぎて帰った。
相も変わらず空は落ちてきそうだった。
***
昼の空は高い。青い空に白い雲。どこまでも飛んでいけそうな空。
青空は落ちてきそうだとは思うけれど、夜ほどでは無い。
ふと、どこかへと散歩をしようと思って家から出ると、ザアッと大きな風が吹いた。帽子が飛ばされないように掴んで風が通り過ぎるのを待つ。暗い暗い服を見て、青い青い空を見上げた。
空は高かった。
ああ、空が落ちてくれればいいのに。
そんなことを思って、玄関に立てかけていた箒を掴んで当てもなく空を駆けた。
***
博麗神社の上空に、妖怪の山の上空に、迷いの竹林の上空。沢山の空を飛んだ。
空は落ちてきそうなのに、落ちてこなかった。
***
夕焼け空。橙の空は私を包む。星よりも低くて雲よりも高いもの。太陽の死。または再起の始まり。
橙の空は私を哀愁を呼び寄せる。母の、いつかの記憶が呼び起こされてしまう。クソっ、こんなこと思い出したくもないのにさ。
空を見ずに私は家に駆け込んだ。
いつかの空が私のことを落としていたのを……あー、もういい、私は知らない。
そんなことを思いつつ私はふて寝した。
***
夜中。私はまた目が覚める。早く寝すぎた?いいや分からない。
ベッドから降りて窓を開け放つ。星の輝く夜空を眺める。色々な感情が沸きあがる。何も変わらないのにさ。
ああ、また今日も空は落ちてこなかった。
空は私のものにはならない。
空よ、いつか落ちて来い……
窓際に肘をかけて私は夜空を睨み付けた。
欲しいから落ちてほしいって素敵ですねえ
大変綺麗な話でした
空まで届けと手を伸ばし続けるような魔理沙をたくましく感じました
憧れや夢や対抗心を空に映しこんでいて、とても綺麗な作品だったと思います。素敵でした。