Coolier - 新生・東方創想話

亡き睡眠時間のためのセプテット

2020/04/23 18:57:02
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 地獄という言葉すらも生温いと思った。これが終わったら当分コーヒーは、どころか紅茶ですらも飲みたくないものだと思った。今からでもいいから元凶どもの元へ飛んで行って殴り倒してやりたいものだと思った。

 紅魔館当主、レミリア・スカーレット。
 現在、三徹目。

 夢と現の境界を既に能力で御しきった郷の賢者のクソ野郎には決して分からないことであろうと目されるが、本来ならば睡眠時間というものは妖怪にとっても畏れの次に重要なものだ。それこそ竹林住まいのスペース藪医者が発表し地底の古明地の畜生と夢の管理者とかいう馬の骨とが太鼓判を押した論文にすら書かれている程の有名にして重要な事実である。睡眠を摂らねば新たな記憶が整理されぬ。整理されねば力にならぬ。記憶の多さはそのまま妖怪の格に直結する。だから古明地の災害系当主はあの若さでああも強いのだ。閑話休題。それに睡眠の欠如は精神の健康を実に著しく汚染する。精神の不養生は妖怪の場合、そのまま身体の不調となる。私とて名門吸血鬼の看板を背負える程度に強くあるという自負ならあるが、今の精神状態であればパチェにも片手間であしらわれてしまうことだろう。ははは。うけるな。うけねえよ死ね。

 それもこれも八雲のクソ賢者が悪い。確かに私もここ暫くは特に目立った案件もなく異変に巻き込まれることもなくのんびりまったりスローライフを満喫していたわけではあるが、突然現れて「働かざるもの食うべからず、と西洋では言うそうですけれど」などと当てつけ始めるそのクソ根性は早急に矯正を受けるべきだろう。とか言う以前にあのクソ女、私を監視でもしていたのか。流石にプライバシーの概念ぐらいは幻想入りしつつあると思うのだが。そして流れで頷いてしまった結果がこのクソ資料ダンボールの山である。山であると言っておいてここには一箱しかないが、これが当初は二十はあった。クソである。地獄である。この世の終わりである。そもそも当主とはオフィスワーカーの隠語ではないのだがあのスキマ女は分かっているのだろうか。恐らく分かっていないに違いない。きっとこういう数値弄りが楽しいんだろうなあいつは。全部自分でやれよ。

だがこの終末的な作業もこれでようやく終わりである。今ダンボールに投げ入れたこの一枚が最後の書類である。長かった。実に、本当に長かった。咲夜を呼んで箱を収納してもらう。心の底から意味不明なのだが咲夜は二抱え程もある箱をスカートのポケットに収納できる。それも優に二十以上。おかげで送り付けられたダンボールは全て現在咲夜のポケットの中である。魔法でも使ってんのか?と思わず訊いたら手品ですと言う。種がないやつです、とも言う。正気か? ちなみにパチェ曰くあそこまでの空間圧縮は魔法では理論上でしか無理らしい。意味が分からん。とりあえず八雲に渡しておくようにとは言ったが未来視によればこのまま行くとおよそ二週間は届けられることがないらしい。よくやった。上出来だ咲夜。

 ともあれ今はもう眠りたい。ふかふかの棺桶が恋しい。正直に言えば腹も空いている。ここ丸一日程はカフェインと水しか摂取していない。だが睡眠欲の前にはそんなもの些事である。何を差し置いても今はベッドが最優先だ。うんと背伸びするとぼきぼきと大きな音が鳴る。長らく動いていなかったからか全身が凝り固まっているらしい。ぐいと立ち上がったところで不意に視界が暗くなった。立ち眩みのようだ。吸血鬼なのに血の巡りが悪くなっているなど冗談にしては風刺が過ぎる。身体を支えようと机に手を伸ばした。空をきった。次いで一瞬の浮遊感。うん。相当身体に来ていたらしい。参ったな。あまりこういう形で皆に心配をかけるのは本意ではないn
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コメント



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1.90奇声を発する程度の能力削除
痛そう…
2.100終身削除
軽快でフランクな語りが気持ちよかったです 急に押しつけられた資料も出来るだけ速く片付けようとする真面目さのせいで追い詰められてるのが本当に闇が深くて印象的でした もうゆっくり休んで…
3.100ヘンプ削除
レミリアァ……痛そ……
紫はちゃんと仕事して
4.90名前が無い程度の能力削除
勢力間の仲悪そう
5.90名前が無い程度の能力削除
頑張りすぎず寝てくださいまし
6.無評価夏後冬前削除
おやすみなさいませ
7.90名前が無い程度の能力削除
消耗してる感がいいね