「はぁ? バレンタインに貰ったから、チビにお返しをしろってか?」
私は実に不愉快だった。魔法の森で倒れるように寝ていたらいきなり天人に蹴り飛ばされて起こされたのだから。
そして開口一番、「針妙丸にお返しを作りなさいよ」と。
……ふざけてんのか? 天邪鬼ナメてんのか?
「ばぁ〜か、そんなの誰が作るかよ」
べえと煽るように顔を歪める。殴られる前に私は後ろに数歩下がった。顔の前に飛んできた拳が空振っている。へっ、ざまあみろ。
一つ、二つ、三つ。飛んでくる拳を私はポケットに手を突っ込みながら避けていく。みるみるうちに顔が赤くなる天人。キレ初めているのは明らかだった。だれがお前なんかの機嫌なんか取るかよ。一人で気持ちよく寝ていたのに殴り飛ばされて起こされたこちらの身にもなれ。
ひょいひょいと避けているとついに剣が出てきた。うわっ、やっべえ、あれで切られたら痛そうだ。さっさと逃げるか。こいつに付き合うような義理も無いし、どうでもいいからな。
天人から目線を外さずに私はどんどん後ろに下がっていく。キレた天人は、振りかぶって剣を振り下ろしてくる。どうにか当たらない所で逃げていく。そのまま一気に後ろを向いてスペルカードを宣言する。
逆符「鏡の国の弾幕」
「きゃあっ! 何よこれ! 待て、待ちなさいよ!」
キャーキャーうるせえな。べえ、と煽りながら言う。
「誰が待つか! そこで右往左往してろ!」
私は魔法の森の、上空を駆けた。適当に何かある場所を目指して。
逃げた先は分からない男店主がいるところだった。店の中には入らずに隠れるようにガラスの近くにあった、よく分からない鉄の塊の筒に潜り込んだ。腐っているのか穴が沢山あった。元々一つになっているものみたいだが蓋があったのでそれをして隠れる。それと同時に誰かが降りてきた音がした。誰だ?かろうじて見える穴から覗くと白黒の魔法使いだった。左手に箒、右手に何か包みを持っていた。ひとつ大きな息をついて店の中に入っていくのが見えた。
「よー! 香霖! 元気にしてるか!」
うるせえな。声がでかい。
「なんだい魔理沙? そんなに顔を赤くして?」
店主の声が聞こえる。以外とここは声が聞こえるらしい。店主の普通の声も聞こえるので。
「これ、バレンタインの時のお礼。遊び半分でもチョコくれたろ? だから渡しとく。じゃあな!」
バタバタと聞こえたと思ったらバン!と扉を叩き上げて強く地面を蹴る音が聞こえた。魔法使いは空に飛んでいくのが見えた。慌ただしい奴め。
「やれやれ……魔理沙……マシュマロとグミだと相手を嫌いと言っているのというらしいが……まあお礼なのだし気にしなくてもいいか」
そんな呟きが聞こえた。店主は椅子が引かれる音がして店の外に出てきた。大きく伸びをしている。何を思ったのか、店主は歩いていった。姿が見えなくなると私は鉄の筒から出る。
「臭いなこれ。なんだ……」
よく分からないような臭い。どことなく血のような臭いが私についていた。まあいい、川で水浴びでもすれば落ちる。
金目のものを目当てに店に堂々と忍び込む。カララと扉の鈴が鳴る。ごちゃごちゃとしたものばかりで金になりそうなものは無い。無理やり売りつければ金にもなるようなものを二、三個持つ。きょろきょろと周りを見ていると店主が座っていたであろうところの前に魔法使いが持っていた箱が置いてあった。
「なんだっけ……食い物か?」
箱を開けると強烈な甘い匂いがした。嗅ぎなれていないのでこれはきつい……が、中を見ると白いものと少し硬そうな粒が入っている。どちらも一つずつ摘んでみる。
「げぇ……こりゃ……」
……甘い、甘すぎる。チョコレートと同じぐらい甘いでは無いか。食べられないこともないが……
そういえば。店主がなんか言ってたな。これが嫌いを表すだってか? 丁度いいじゃねえか、これ持って行ってやろう。あのチビは嫌いだしな。
その箱も持ってさっさと店から出ていった。
***
輝針城に適当に忍び込む。なんか懐かしいと思いつつ、あのチビの寝室に入る。あの店主から奪ってきた箱と紙を置いてさっさと逃げようとしたら、チビ達が帰ってきた。やばい、あの天人に会ったら殺される。音を出さぬように走って使っていない部屋に逃げ込んだ。戸の隙間から向こうの部屋を見る。
「なんなのよあの天邪鬼は! ぶっ殺したいわ!」
ドスドスとうるさく歩いている天人。
「まーまー落ち着いて天子。正邪もなんか思ってたんだろうし」
「針妙丸! あんたは天邪鬼に甘いのよ!」
声がでかい。丸聞こえなのはどうかと思うが。
「天人様〜落ち着いてくださいよ〜お腹空きました〜」
なんだあの貧乏神。話関係ないだろ。
「紫苑、適当にその辺にあるもの食べたらいいわよ」
「やった〜」
いきなり畳を、食べ始めたので驚いた。馬鹿か?
「ちょっと!? 紫苑、畳食べないで!」
チビが止めている。その時になにか気がついたらしい。
「……この箱なに?」
「ん? 何その箱。針妙丸宛みたいだけど」
「なんだろう……」
チビは箱を開けた。少し顔が輝いているように見えた。
「マシュマロとグミだ! あとこれ、正邪の文字! 来てくれたんだ!」
うわあ、なんであんなに喜んでるんだ。気持ち悪い。
「あの天邪鬼、来てたのかしら……やらないって言ってたのに」
「正邪は分かんないし。くれたのなら貰うもん」
「まあいいけど? 少し休んでくるわ〜紫苑も来なさいよ」
「分かりました〜」
そうやって言うとこちらに向かってきた。嘘だろ、この部屋使ってなかったじゃねえか。慌てて周りを見ると端の方に布団が畳まれていた。やばっ、使ってたのかよ! ここから逃げられる訳もなく、無慈悲に戸は開かれた。
「……あ? なんであんたがここにいるのよ!」
デカい声で天人は、叫んだ。
「くそったれ!」
逃げようとしたら頭を殴られた。私はそのまま倒れ込む。
「こてんぱんにしてやる!」
「ちくしょう! やってやる!」
殴り返してやった。
「えっ!なんで正邪いるの!」
そんなことでバタバタと殴られたり逃げたりした。痛いわこの野郎!
***
あの後ボコボコにされながら私はどうにか逃げた。今は魔法の森に住み着いているので適当に寝ながら過ごしていたら、いきなり白黒の魔法使いが殴り込んできた。
「てめえ、勝手に香霖宛のホワイトデーのお返し盗んだな! 針妙丸から聞いたぞ!」
そう言われて半殺しレベルでボコボコされた。なんでこんなにボコボコされなくてはならないのか。
バレンタインデーもホワイトデーもクソ喰らえだ!
もう二度と来るな!
私は実に不愉快だった。魔法の森で倒れるように寝ていたらいきなり天人に蹴り飛ばされて起こされたのだから。
そして開口一番、「針妙丸にお返しを作りなさいよ」と。
……ふざけてんのか? 天邪鬼ナメてんのか?
「ばぁ〜か、そんなの誰が作るかよ」
べえと煽るように顔を歪める。殴られる前に私は後ろに数歩下がった。顔の前に飛んできた拳が空振っている。へっ、ざまあみろ。
一つ、二つ、三つ。飛んでくる拳を私はポケットに手を突っ込みながら避けていく。みるみるうちに顔が赤くなる天人。キレ初めているのは明らかだった。だれがお前なんかの機嫌なんか取るかよ。一人で気持ちよく寝ていたのに殴り飛ばされて起こされたこちらの身にもなれ。
ひょいひょいと避けているとついに剣が出てきた。うわっ、やっべえ、あれで切られたら痛そうだ。さっさと逃げるか。こいつに付き合うような義理も無いし、どうでもいいからな。
天人から目線を外さずに私はどんどん後ろに下がっていく。キレた天人は、振りかぶって剣を振り下ろしてくる。どうにか当たらない所で逃げていく。そのまま一気に後ろを向いてスペルカードを宣言する。
逆符「鏡の国の弾幕」
「きゃあっ! 何よこれ! 待て、待ちなさいよ!」
キャーキャーうるせえな。べえ、と煽りながら言う。
「誰が待つか! そこで右往左往してろ!」
私は魔法の森の、上空を駆けた。適当に何かある場所を目指して。
逃げた先は分からない男店主がいるところだった。店の中には入らずに隠れるようにガラスの近くにあった、よく分からない鉄の塊の筒に潜り込んだ。腐っているのか穴が沢山あった。元々一つになっているものみたいだが蓋があったのでそれをして隠れる。それと同時に誰かが降りてきた音がした。誰だ?かろうじて見える穴から覗くと白黒の魔法使いだった。左手に箒、右手に何か包みを持っていた。ひとつ大きな息をついて店の中に入っていくのが見えた。
「よー! 香霖! 元気にしてるか!」
うるせえな。声がでかい。
「なんだい魔理沙? そんなに顔を赤くして?」
店主の声が聞こえる。以外とここは声が聞こえるらしい。店主の普通の声も聞こえるので。
「これ、バレンタインの時のお礼。遊び半分でもチョコくれたろ? だから渡しとく。じゃあな!」
バタバタと聞こえたと思ったらバン!と扉を叩き上げて強く地面を蹴る音が聞こえた。魔法使いは空に飛んでいくのが見えた。慌ただしい奴め。
「やれやれ……魔理沙……マシュマロとグミだと相手を嫌いと言っているのというらしいが……まあお礼なのだし気にしなくてもいいか」
そんな呟きが聞こえた。店主は椅子が引かれる音がして店の外に出てきた。大きく伸びをしている。何を思ったのか、店主は歩いていった。姿が見えなくなると私は鉄の筒から出る。
「臭いなこれ。なんだ……」
よく分からないような臭い。どことなく血のような臭いが私についていた。まあいい、川で水浴びでもすれば落ちる。
金目のものを目当てに店に堂々と忍び込む。カララと扉の鈴が鳴る。ごちゃごちゃとしたものばかりで金になりそうなものは無い。無理やり売りつければ金にもなるようなものを二、三個持つ。きょろきょろと周りを見ていると店主が座っていたであろうところの前に魔法使いが持っていた箱が置いてあった。
「なんだっけ……食い物か?」
箱を開けると強烈な甘い匂いがした。嗅ぎなれていないのでこれはきつい……が、中を見ると白いものと少し硬そうな粒が入っている。どちらも一つずつ摘んでみる。
「げぇ……こりゃ……」
……甘い、甘すぎる。チョコレートと同じぐらい甘いでは無いか。食べられないこともないが……
そういえば。店主がなんか言ってたな。これが嫌いを表すだってか? 丁度いいじゃねえか、これ持って行ってやろう。あのチビは嫌いだしな。
その箱も持ってさっさと店から出ていった。
***
輝針城に適当に忍び込む。なんか懐かしいと思いつつ、あのチビの寝室に入る。あの店主から奪ってきた箱と紙を置いてさっさと逃げようとしたら、チビ達が帰ってきた。やばい、あの天人に会ったら殺される。音を出さぬように走って使っていない部屋に逃げ込んだ。戸の隙間から向こうの部屋を見る。
「なんなのよあの天邪鬼は! ぶっ殺したいわ!」
ドスドスとうるさく歩いている天人。
「まーまー落ち着いて天子。正邪もなんか思ってたんだろうし」
「針妙丸! あんたは天邪鬼に甘いのよ!」
声がでかい。丸聞こえなのはどうかと思うが。
「天人様〜落ち着いてくださいよ〜お腹空きました〜」
なんだあの貧乏神。話関係ないだろ。
「紫苑、適当にその辺にあるもの食べたらいいわよ」
「やった〜」
いきなり畳を、食べ始めたので驚いた。馬鹿か?
「ちょっと!? 紫苑、畳食べないで!」
チビが止めている。その時になにか気がついたらしい。
「……この箱なに?」
「ん? 何その箱。針妙丸宛みたいだけど」
「なんだろう……」
チビは箱を開けた。少し顔が輝いているように見えた。
「マシュマロとグミだ! あとこれ、正邪の文字! 来てくれたんだ!」
うわあ、なんであんなに喜んでるんだ。気持ち悪い。
「あの天邪鬼、来てたのかしら……やらないって言ってたのに」
「正邪は分かんないし。くれたのなら貰うもん」
「まあいいけど? 少し休んでくるわ〜紫苑も来なさいよ」
「分かりました〜」
そうやって言うとこちらに向かってきた。嘘だろ、この部屋使ってなかったじゃねえか。慌てて周りを見ると端の方に布団が畳まれていた。やばっ、使ってたのかよ! ここから逃げられる訳もなく、無慈悲に戸は開かれた。
「……あ? なんであんたがここにいるのよ!」
デカい声で天人は、叫んだ。
「くそったれ!」
逃げようとしたら頭を殴られた。私はそのまま倒れ込む。
「こてんぱんにしてやる!」
「ちくしょう! やってやる!」
殴り返してやった。
「えっ!なんで正邪いるの!」
そんなことでバタバタと殴られたり逃げたりした。痛いわこの野郎!
***
あの後ボコボコにされながら私はどうにか逃げた。今は魔法の森に住み着いているので適当に寝ながら過ごしていたら、いきなり白黒の魔法使いが殴り込んできた。
「てめえ、勝手に香霖宛のホワイトデーのお返し盗んだな! 針妙丸から聞いたぞ!」
そう言われて半殺しレベルでボコボコされた。なんでこんなにボコボコされなくてはならないのか。
バレンタインデーもホワイトデーもクソ喰らえだ!
もう二度と来るな!
笑いました。良かったです。
天子も友達おもいでかわいらしいと思います
盗んだお菓子をプレゼントするとか最悪に天邪鬼でした
むやみにボコられる正邪におもわず笑いました
なんだかんだ針妙丸にかまってあげちゃう正邪かわいい