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(CQ GENSOUKYOU)(CQ GENSOUKYOU)(CQ GENSOUKYOU)
-・・ ・
(DE)「こちらは」
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(JA12YRM)
-・- -・-- --- - --- -・-・ ・・ - -・--
(KYOTO CITY)
蓮子は手元の縦ブレ電鍵を用いながら何度もCW(モールス)を打ち続けたが反応は無い。
使用周波数は3.512 MHz。
末尾が12なのは12で「ひ・ふー」と読め秘封に繋がるからである。
だから必ず毎回周波数末尾二桁を「12(ひふー)」で揃える。
「現在午前2時27分15秒。う~ん,幻想郷からの入感無いねー。」
一面に彼岸花が咲き誇る山奥の墓場にて無線局の移動運用中である。
・--- ・- ・---- ・・--- -・-- ・-・ --
(JA12YRM)
「蓮子。入感来たみたいよ!?」メリーは叫んだ。
・--- ・- ・・・-- -・-- -・・ ・・・
JA3YDS(ジュリエット アルファ スリー ヤンキー デルタ シアラー)
近距離でのQSOの為に強度ばかり強く満足に聞き取れない。RSレポート「191」と言ったところか。
「京大無線部お前は呼んでいないだまりなさい。」と蓮子は無視した。
・--- ・- --・・・ -・-- ・- ・-
JA7YAA(ジュリエット アルファ セブン ヤンキー アルファ アルファ)
宮城県仙台市からの入感。
RSSレポート「599」(ファイブナインナイン)でガンガン来ている。
意図的に無視を決める。
再度別局から入感。
・--- ・- --・・・ -・-- ・- -・・・
JA7YAB(ジュリエット アルファ セブン ヤンキー アルファ ブラボー)
山形県米沢市から入感。同じく「599」ファイブナインナイン。
無視を決め込む。
・--- ・- --・・・ -・-- -・-・ --・-
JA7YCQ(ジュリエット アルファ セブン ヤンキー チャーリー ケベック)
再度宮城県仙台市今度は山側に有る愛子から入感。同じく「599」ファイブナインナイン。
無視を決め込む。
「しかし仙台・米沢と南東北から強度の入感あり。 北東北の岩手とQSOは十分可能な状況ね。」と蓮子。
京都と7地域(東北地方)は電離層反射のおかげで3.5MHz帯の電波が深夜良く伝搬する。
京都から発せられた3.5MHz帯域の電波は夜間電離層まで上がり一回の反射で東北地方まで届く。
幻想郷との無線通信を確立しようと四苦八苦しているが電信だと帯域が狭い為か拾ってくれない。
今では多くが幻想入りしたアマチュア無線機を使い短波や144・430MHzの周波数で電信・SSB・FMなどなど様々な変調を用いて交信しようとするも可能なときと不可能な時がある。
「今夜は波長2m。駄目なら3.5MHzの電話で波出すか。」と蓮子は意気込む。
「2時30分ジャスト!」FM変調145.12MHzにて波を出した。
CQ 幻想郷
CQ 幻想郷
CQ 幻想郷
「こちらJA12YRM(ジュリエット アルファ トゥエルブ ヤンキー ロミオ マイク)
京都府京都市どなたか入感ございますか?」
流石アンカバー(不法)局なので145.00MHzの呼出周波数は使えない。
時にはオフバンド(使用が法的に認められていない周波数帯)を用いて手元のリグ(無線機)で出せる限界の周波数を用いて幻想郷の局を呼び出す。
JA12YRMとは秘封倶楽部の社団局。
局名は「秘封アマチュア無線倶楽部」
コールサインは「JA12YRM」
12は「ひ・ふ」から取ってYは社団局を著しRは「蓮子」のMは「メリー」の頭文字から来ている。
当然こんなコールサインは認められていない違法無線局である。
「ジェイ エー ひふー ヤンキー レンコメリー」と自らは呼んでいる。
3人以上の構成員がいれば法的なクラブ局は認められているのだが我々は二人きりのアンカバー(不法)局。
存在しないコールサインをでっち上げ違法な周波数で波を出す。
合法な周波数でもバンドプランの変調方式も守らない。
不良クラブどころか違法クラブ。
「秘封アマチュア無線倶楽部」というより「秘封違法アマチュア無線倶楽部」
「JA12YRM局 こちら幻想郷…ユカリです。どうぞ。」二人は色めき立った。
FM変調のハッキリとした声で入感が有ったがコールサインは無い。
そもそも幻想郷に局名など無いだろう。
無線局を管理する役所や組織など無いのだから。
恐らく好き勝手に開局し好き勝手な周波数や変調や出力で波出しているのであろう。
「幻想郷ユカリさん
こちらJA12YRM 秘封アマチュア無線倶楽部。
オペレーターはウサミ レンコ 上野のウ 桜のサ 三笠のミ れんげのレ おしまいのン 子供のコです。
59(ファイブナイン)で入感しております。どうぞ。」
信号強度を示す針が振り切れて固まって居る。
異常な強さである。
これだけ強ければ周囲の電子機器に影響を及ぼすはずだが何も異常なことは起きていない。
「JA12YRMさん。こちら幻想郷ヤクモ ユカリ。
大和のヤ クラブのク もみじのモ 弓矢のユ 為替のカ りんごのリ。
こちらも59(ファイブナイン)で来ております。
JA12YRMウサミさん。3.5MHz帯でQSO(交信)可能でしょうか?どうぞ。」
「こちらJA12YRMウサミ。幻想郷ヤクモさん可能です。周波数指定お願いしますどうぞ。」
「こちら幻想郷ヤクモ。JA12YRMウサミさん3.512MHzでお願いします。SSB変調モードはUSBで。どうぞ。」
3.5MHz帯の電話変調方式はSSBと法的には決まっているがUSBかLSBかどちらのモードを使うかは自由である。
しかしこの帯域は通常LSBモードを用いるのが暗黙の了解だ。
わざわざ通常と逆の方式を要求したのである。
しかし無免許局であるからどうでもいい。
手が汗でベタベタだ。
首筋にツーっと汗が流れる。
白いシャツはビッショリに濡れて風が吹く度寒気を感じる。
そう彼岸花が咲いていたのに幻想郷と繋がった途端に周りの桜が咲き誇った。
手元のログシートに交信時刻を記すべく顔を上げた時には既に目に桜の花が入っていた。
メリーは瞬間を目撃したのだか硬直している。
大急ぎで短波用のリグに変更しUSB変調で周波数を3.512MHzに設定する。
しばらくすると「こちら幻想郷ユカリ。JA12YRM聞こえますか?どうぞ。」と来た。
周波数を変えたついでにオペレーターをメリーと変わった。
「こちらJA12YRMオペレーター変わりましてマエリ…失礼。
メリー 明治のメ りんごのリ 長音 です。
59で入感しております。幻想郷ユカリさんどうぞ。」
3.5MHz帯でも信号強度を示す針が振り切れている。
「JA12YRMメリーさん。こちら幻想郷ユカリです。QSLカード(交信証明書)一方的に送っておきます。
144MHzと3.5MHz帯両方の。
おかげさまで別々の場所の境界を経由して同時に幻想郷と交信できるなんて。思ってもみなかった。
そちらJA12YRM局からは出す手段は無いので当然出さなくて結構です。
どうも今回のQSOありがとうございました。
幻想郷ユカリより。JAヒフー ヤンキー レンコメリー局。
オペレーターのメリーさん蓮子さん失礼します。
素敵なYLさん達。33。」(YL:Young Ladyの略で相手が女性の場合代名詞として使う。)
…
「そして夢で逢いましょう。」
…
「どうぞ」とも言わず一方的に終わったQSO。
「幻想郷ユカリさん。こちらJA12YRMオペレーターはメリーです。ありがとうございました。再びお空で逢いましょう」
「33」(女性対女性の交信で最後に言う慣習語。「さよなら。また。」程度の意味)
(「お空で会いましょう。」は電波で交信しましょう的な意味。)
「夢で逢いましょう」か…
通常「空で会いましょう」なのに
「33」チュッチュとも言える。
「夢で逢いましょう。チュッチュか…。そんなことを思うと何かおかしくなった。」
JA12YRMオペレーター蓮子メリーとチュッチュ。
気づいたら先程まで咲き誇っていた桜は無くなり彼岸花が広がる世界に戻っていた。
桜が咲いた時,時空が移動したのか空を見て確認すれば良かったと後悔が残る。
私は私の「目」を使うことを忘れてしまった。
先程まで汗ばんだシャツにより散々寒かったが興奮のあまり気にならずシャツが汗により体にへばり付き下着が透けて見えるほうが気になっていた。
いくら小さい胸とて羞恥心くらいある。
落ち着いて考えると奇妙なものである。
見通し距離内でしか交信が不可能な144MHz帯と夜間の電離層反射を用いた遠距離交信用の3.5MHz帯の両帯域同時で高強度かつ明瞭な交信は通常有り得ない。
幻想郷との電波による交信と距離はこちらの常識は通用しない。
しかし幻想郷へ境界を超えるまでの
幻想郷の入口は京都市内から見通し距離内に存在する。
しかし数百キロ離れた遠距離にも存在する!
これは幻想郷の入口は一箇所だけでないということを示唆しているのではないか!?
先程ヤクモは「おかげさまで別々の場所の境界を経由して同時に幻想郷と交信できるなんて。」と言った。
京都府京都市に蓮台野という場所が有る。
岩手県遠野市にデンデラ野という場所が有る。
そこまで思うと蓮子はツバを飲んだ。
ところで先程ユカリさんはでっち上げたコールサインの12をひふーと読みRを蓮子とMをメリーと読んだ。
適当にでっち上げたコールサインの裏の意味を瞬時に読み取ったのであろうか?
もしかしたら幻想郷からは何もかもお見通しなのか?
そんな事を思いながら帰宅した。
数日後のことであった。
ポストに幻想郷ユカリさんからのQSLカードが届いていた。
切手も消印も住所も書いてない。まるで自ら足を運んで入れたかのごとく。
同様にメリーの家にも届いていた。
そもそも京都府京都市JA12YRMとしか言っていない。
何故住所が分かったのか?
QSLカードを送ると言われた際に何も違和感を持たなかった。
そんな事を二人で話しながら紫色を基調とした洋風の美しいデザインのQSLカードを眺めているのであった。
その達筆で書かれた無味乾燥な違法な交信記録と共に
「秘封アマチュア無線倶楽部さんへ」
「境界を越えて。」
「夢で逢いましょう。」
と一言添えられていた。
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(JA12YRM)
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(KYOTO CITY)
蓮子は手元の縦ブレ電鍵を用いながら何度もCW(モールス)を打ち続けたが反応は無い。
使用周波数は3.512 MHz。
末尾が12なのは12で「ひ・ふー」と読め秘封に繋がるからである。
だから必ず毎回周波数末尾二桁を「12(ひふー)」で揃える。
「現在午前2時27分15秒。う~ん,幻想郷からの入感無いねー。」
一面に彼岸花が咲き誇る山奥の墓場にて無線局の移動運用中である。
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(JA12YRM)
「蓮子。入感来たみたいよ!?」メリーは叫んだ。
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JA3YDS(ジュリエット アルファ スリー ヤンキー デルタ シアラー)
近距離でのQSOの為に強度ばかり強く満足に聞き取れない。RSレポート「191」と言ったところか。
「京大無線部お前は呼んでいないだまりなさい。」と蓮子は無視した。
・--- ・- --・・・ -・-- ・- ・-
JA7YAA(ジュリエット アルファ セブン ヤンキー アルファ アルファ)
宮城県仙台市からの入感。
RSSレポート「599」(ファイブナインナイン)でガンガン来ている。
意図的に無視を決める。
再度別局から入感。
・--- ・- --・・・ -・-- ・- -・・・
JA7YAB(ジュリエット アルファ セブン ヤンキー アルファ ブラボー)
山形県米沢市から入感。同じく「599」ファイブナインナイン。
無視を決め込む。
・--- ・- --・・・ -・-- -・-・ --・-
JA7YCQ(ジュリエット アルファ セブン ヤンキー チャーリー ケベック)
再度宮城県仙台市今度は山側に有る愛子から入感。同じく「599」ファイブナインナイン。
無視を決め込む。
「しかし仙台・米沢と南東北から強度の入感あり。 北東北の岩手とQSOは十分可能な状況ね。」と蓮子。
京都と7地域(東北地方)は電離層反射のおかげで3.5MHz帯の電波が深夜良く伝搬する。
京都から発せられた3.5MHz帯域の電波は夜間電離層まで上がり一回の反射で東北地方まで届く。
幻想郷との無線通信を確立しようと四苦八苦しているが電信だと帯域が狭い為か拾ってくれない。
今では多くが幻想入りしたアマチュア無線機を使い短波や144・430MHzの周波数で電信・SSB・FMなどなど様々な変調を用いて交信しようとするも可能なときと不可能な時がある。
「今夜は波長2m。駄目なら3.5MHzの電話で波出すか。」と蓮子は意気込む。
「2時30分ジャスト!」FM変調145.12MHzにて波を出した。
CQ 幻想郷
CQ 幻想郷
CQ 幻想郷
「こちらJA12YRM(ジュリエット アルファ トゥエルブ ヤンキー ロミオ マイク)
京都府京都市どなたか入感ございますか?」
流石アンカバー(不法)局なので145.00MHzの呼出周波数は使えない。
時にはオフバンド(使用が法的に認められていない周波数帯)を用いて手元のリグ(無線機)で出せる限界の周波数を用いて幻想郷の局を呼び出す。
JA12YRMとは秘封倶楽部の社団局。
局名は「秘封アマチュア無線倶楽部」
コールサインは「JA12YRM」
12は「ひ・ふ」から取ってYは社団局を著しRは「蓮子」のMは「メリー」の頭文字から来ている。
当然こんなコールサインは認められていない違法無線局である。
「ジェイ エー ひふー ヤンキー レンコメリー」と自らは呼んでいる。
3人以上の構成員がいれば法的なクラブ局は認められているのだが我々は二人きりのアンカバー(不法)局。
存在しないコールサインをでっち上げ違法な周波数で波を出す。
合法な周波数でもバンドプランの変調方式も守らない。
不良クラブどころか違法クラブ。
「秘封アマチュア無線倶楽部」というより「秘封違法アマチュア無線倶楽部」
「JA12YRM局 こちら幻想郷…ユカリです。どうぞ。」二人は色めき立った。
FM変調のハッキリとした声で入感が有ったがコールサインは無い。
そもそも幻想郷に局名など無いだろう。
無線局を管理する役所や組織など無いのだから。
恐らく好き勝手に開局し好き勝手な周波数や変調や出力で波出しているのであろう。
「幻想郷ユカリさん
こちらJA12YRM 秘封アマチュア無線倶楽部。
オペレーターはウサミ レンコ 上野のウ 桜のサ 三笠のミ れんげのレ おしまいのン 子供のコです。
59(ファイブナイン)で入感しております。どうぞ。」
信号強度を示す針が振り切れて固まって居る。
異常な強さである。
これだけ強ければ周囲の電子機器に影響を及ぼすはずだが何も異常なことは起きていない。
「JA12YRMさん。こちら幻想郷ヤクモ ユカリ。
大和のヤ クラブのク もみじのモ 弓矢のユ 為替のカ りんごのリ。
こちらも59(ファイブナイン)で来ております。
JA12YRMウサミさん。3.5MHz帯でQSO(交信)可能でしょうか?どうぞ。」
「こちらJA12YRMウサミ。幻想郷ヤクモさん可能です。周波数指定お願いしますどうぞ。」
「こちら幻想郷ヤクモ。JA12YRMウサミさん3.512MHzでお願いします。SSB変調モードはUSBで。どうぞ。」
3.5MHz帯の電話変調方式はSSBと法的には決まっているがUSBかLSBかどちらのモードを使うかは自由である。
しかしこの帯域は通常LSBモードを用いるのが暗黙の了解だ。
わざわざ通常と逆の方式を要求したのである。
しかし無免許局であるからどうでもいい。
手が汗でベタベタだ。
首筋にツーっと汗が流れる。
白いシャツはビッショリに濡れて風が吹く度寒気を感じる。
そう彼岸花が咲いていたのに幻想郷と繋がった途端に周りの桜が咲き誇った。
手元のログシートに交信時刻を記すべく顔を上げた時には既に目に桜の花が入っていた。
メリーは瞬間を目撃したのだか硬直している。
大急ぎで短波用のリグに変更しUSB変調で周波数を3.512MHzに設定する。
しばらくすると「こちら幻想郷ユカリ。JA12YRM聞こえますか?どうぞ。」と来た。
周波数を変えたついでにオペレーターをメリーと変わった。
「こちらJA12YRMオペレーター変わりましてマエリ…失礼。
メリー 明治のメ りんごのリ 長音 です。
59で入感しております。幻想郷ユカリさんどうぞ。」
3.5MHz帯でも信号強度を示す針が振り切れている。
「JA12YRMメリーさん。こちら幻想郷ユカリです。QSLカード(交信証明書)一方的に送っておきます。
144MHzと3.5MHz帯両方の。
おかげさまで別々の場所の境界を経由して同時に幻想郷と交信できるなんて。思ってもみなかった。
そちらJA12YRM局からは出す手段は無いので当然出さなくて結構です。
どうも今回のQSOありがとうございました。
幻想郷ユカリより。JAヒフー ヤンキー レンコメリー局。
オペレーターのメリーさん蓮子さん失礼します。
素敵なYLさん達。33。」(YL:Young Ladyの略で相手が女性の場合代名詞として使う。)
…
「そして夢で逢いましょう。」
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「どうぞ」とも言わず一方的に終わったQSO。
「幻想郷ユカリさん。こちらJA12YRMオペレーターはメリーです。ありがとうございました。再びお空で逢いましょう」
「33」(女性対女性の交信で最後に言う慣習語。「さよなら。また。」程度の意味)
(「お空で会いましょう。」は電波で交信しましょう的な意味。)
「夢で逢いましょう」か…
通常「空で会いましょう」なのに
「33」チュッチュとも言える。
「夢で逢いましょう。チュッチュか…。そんなことを思うと何かおかしくなった。」
JA12YRMオペレーター蓮子メリーとチュッチュ。
気づいたら先程まで咲き誇っていた桜は無くなり彼岸花が広がる世界に戻っていた。
桜が咲いた時,時空が移動したのか空を見て確認すれば良かったと後悔が残る。
私は私の「目」を使うことを忘れてしまった。
先程まで汗ばんだシャツにより散々寒かったが興奮のあまり気にならずシャツが汗により体にへばり付き下着が透けて見えるほうが気になっていた。
いくら小さい胸とて羞恥心くらいある。
落ち着いて考えると奇妙なものである。
見通し距離内でしか交信が不可能な144MHz帯と夜間の電離層反射を用いた遠距離交信用の3.5MHz帯の両帯域同時で高強度かつ明瞭な交信は通常有り得ない。
幻想郷との電波による交信と距離はこちらの常識は通用しない。
しかし幻想郷へ境界を超えるまでの
幻想郷の入口は京都市内から見通し距離内に存在する。
しかし数百キロ離れた遠距離にも存在する!
これは幻想郷の入口は一箇所だけでないということを示唆しているのではないか!?
先程ヤクモは「おかげさまで別々の場所の境界を経由して同時に幻想郷と交信できるなんて。」と言った。
京都府京都市に蓮台野という場所が有る。
岩手県遠野市にデンデラ野という場所が有る。
そこまで思うと蓮子はツバを飲んだ。
ところで先程ユカリさんはでっち上げたコールサインの12をひふーと読みRを蓮子とMをメリーと読んだ。
適当にでっち上げたコールサインの裏の意味を瞬時に読み取ったのであろうか?
もしかしたら幻想郷からは何もかもお見通しなのか?
そんな事を思いながら帰宅した。
数日後のことであった。
ポストに幻想郷ユカリさんからのQSLカードが届いていた。
切手も消印も住所も書いてない。まるで自ら足を運んで入れたかのごとく。
同様にメリーの家にも届いていた。
そもそも京都府京都市JA12YRMとしか言っていない。
何故住所が分かったのか?
QSLカードを送ると言われた際に何も違和感を持たなかった。
そんな事を二人で話しながら紫色を基調とした洋風の美しいデザインのQSLカードを眺めているのであった。
その達筆で書かれた無味乾燥な違法な交信記録と共に
「秘封アマチュア無線倶楽部さんへ」
「境界を越えて。」
「夢で逢いましょう。」
と一言添えられていた。