地獄のひな祭りにはこの舞台が相応しいね。
ニトロさん。……ニトロさん。こんなの間違って。
駄目駄目、このニトロの瞳が蒼い間は流させないよ!
ニトロさん!
『雛は日本刀でニトロに打ち勝ち流れるためだけに、打ち込んだ』
ずっと、河童のニトロは雛にとって友達。いや、親友だと思っていたのだった。
だが、桃の節句、3月3日という、ひな祭りが2人を引き裂いたのだった。
「ここから先は、運命の流し雛、行っちゃ駄目だよ」
「ニトロさん。ひなまつりは私にとっての唯一の光」
人の厄を吸い続けて黒く染まったその形代を流さなくては救えない。
だがそれは、雛が流れまた新しい雛になるという事である。
果たしてそれは、ニトロと親友だった雛なのであろうか?
ニトロにとっても、雛は親友だった。
失いたくない。
「って、いう。ドラマティックひな祭りを考えてみたけどどうかな?」
「あの、にとりさんちょっと」
ドラマティック厄流し東方ジャパンを、にとりは協賛していた。
協賛するだけならタダだしね。
「なんだい? ニトロの設定に文句があるの?」
ニトロは夢に出てきそうな爆裂少女、幼少時のトラウマっぽい不遇を乗り越えて東方一の剣客である。
そして、この話に出てくる雛もなんか強い剣士であった。剣客と剣士が安定しないのはそれがゾウサンだからよ。
「その、ニトロってにとりさんですよね?」
「ち、違うよ。ニトロはニトロだよ。私じゃないよ」
でも、絶対、にとりは自分とニトロを重ねてる。ミトリじゃないよニトロだよ。
ペドロでもヒドロでもない。
「ペドロ? ヒドロ?」
「それは、地文だよ。厄じゃないよ。集めなくてもいいよ」
「チブン?」
「あれ、ジブンだっけ?」
にとりは混乱している。ニトロがにとりでペドロがヒドロでチブンがジブンだ。
「どういうことですか?」
「えっとね」
これをあと何回繰り合えしたら、にとりはニトロングになってグリセリンがニトロがどうにかなってダイナマイトだ。
「……上記の地文は厄ですか?」
「そうだよ。もうそれで良いよ」
そういうと。にとりは素敵な発明品なのか分からないが、地文に厄が配合されている成分をまき散らした。
厄厄厄厄厄厄
范増厄厄厄厄
「すごい厄!」
「今だ関を切れ! 流し雛を1片たりとも下流に流すな!」
厄という餌につられて鍵山支隊は突出してしまっていたのだった。
上流からためられていた水の流れに乗って、河童の、ニトロ、ペドロ、ヘドロ、チブン、ジブンといった面々がその流に乗りながら、桃の花弁を持てるだけ持って持って流れて来た。
「どういうことですか? えっと、これ、どういうことですか? その、これ」
先ほどまで、混乱していると設定されていた、にとりが仕掛けて来たこの罠。
計略に嵌ったのは雛だった。
「雛、流れなくってもいいんだよ」
その光景に、雛は涙を浮かべていた。
流れることだけを毎年生きて来た日々に一点の光が差した。
にとりは本気だった。流れなくても良いんだって本気だった。
「……ですが流れます」
「雛ー! そんなぁ。ながれないでぇ!」
ガガーん、ところが雛は流れることを普通に宣言した。にとりも含めて、全員涙して雛が下流に流れるのを手助けしてしまったのだった。
雛は厄を運んで流れていくのだった。
一分後、この河童達は下流に設けた第二の関に雛を捕まえる罠が仕掛けてある事に気取られることが無かった事をほくそ笑んだ。
実はこの行動に意味は無い。普通に毎年雛は戻って来る事は承知の上だ。
ニトロさん。……ニトロさん。こんなの間違って。
駄目駄目、このニトロの瞳が蒼い間は流させないよ!
ニトロさん!
『雛は日本刀でニトロに打ち勝ち流れるためだけに、打ち込んだ』
ずっと、河童のニトロは雛にとって友達。いや、親友だと思っていたのだった。
だが、桃の節句、3月3日という、ひな祭りが2人を引き裂いたのだった。
「ここから先は、運命の流し雛、行っちゃ駄目だよ」
「ニトロさん。ひなまつりは私にとっての唯一の光」
人の厄を吸い続けて黒く染まったその形代を流さなくては救えない。
だがそれは、雛が流れまた新しい雛になるという事である。
果たしてそれは、ニトロと親友だった雛なのであろうか?
ニトロにとっても、雛は親友だった。
失いたくない。
「って、いう。ドラマティックひな祭りを考えてみたけどどうかな?」
「あの、にとりさんちょっと」
ドラマティック厄流し東方ジャパンを、にとりは協賛していた。
協賛するだけならタダだしね。
「なんだい? ニトロの設定に文句があるの?」
ニトロは夢に出てきそうな爆裂少女、幼少時のトラウマっぽい不遇を乗り越えて東方一の剣客である。
そして、この話に出てくる雛もなんか強い剣士であった。剣客と剣士が安定しないのはそれがゾウサンだからよ。
「その、ニトロってにとりさんですよね?」
「ち、違うよ。ニトロはニトロだよ。私じゃないよ」
でも、絶対、にとりは自分とニトロを重ねてる。ミトリじゃないよニトロだよ。
ペドロでもヒドロでもない。
「ペドロ? ヒドロ?」
「それは、地文だよ。厄じゃないよ。集めなくてもいいよ」
「チブン?」
「あれ、ジブンだっけ?」
にとりは混乱している。ニトロがにとりでペドロがヒドロでチブンがジブンだ。
「どういうことですか?」
「えっとね」
これをあと何回繰り合えしたら、にとりはニトロングになってグリセリンがニトロがどうにかなってダイナマイトだ。
「……上記の地文は厄ですか?」
「そうだよ。もうそれで良いよ」
そういうと。にとりは素敵な発明品なのか分からないが、地文に厄が配合されている成分をまき散らした。
厄厄厄厄厄厄
范増厄厄厄厄
「すごい厄!」
「今だ関を切れ! 流し雛を1片たりとも下流に流すな!」
厄という餌につられて鍵山支隊は突出してしまっていたのだった。
上流からためられていた水の流れに乗って、河童の、ニトロ、ペドロ、ヘドロ、チブン、ジブンといった面々がその流に乗りながら、桃の花弁を持てるだけ持って持って流れて来た。
「どういうことですか? えっと、これ、どういうことですか? その、これ」
先ほどまで、混乱していると設定されていた、にとりが仕掛けて来たこの罠。
計略に嵌ったのは雛だった。
「雛、流れなくってもいいんだよ」
その光景に、雛は涙を浮かべていた。
流れることだけを毎年生きて来た日々に一点の光が差した。
にとりは本気だった。流れなくても良いんだって本気だった。
「……ですが流れます」
「雛ー! そんなぁ。ながれないでぇ!」
ガガーん、ところが雛は流れることを普通に宣言した。にとりも含めて、全員涙して雛が下流に流れるのを手助けしてしまったのだった。
雛は厄を運んで流れていくのだった。
一分後、この河童達は下流に設けた第二の関に雛を捕まえる罠が仕掛けてある事に気取られることが無かった事をほくそ笑んだ。
実はこの行動に意味は無い。普通に毎年雛は戻って来る事は承知の上だ。