世間はバレンタインだとかなんだとか言って浮かれてやがる。
そんなのは無視してレジスタンスの私、鬼人正邪はフードを被って里を大股でのしのしと歩く。私はビクビクしてる訳じゃない。そんなはずは無いのである。
特にやることも無く里を徘徊していると何かを人間が集まっているのを見つけた。
なんだあ、なんだあ、そんなに浮かれた人間共は何をするってんだい?
そんな好奇心で人の輪を見るととても気持ち悪いものをしていた。女子供が好きな男子供にチョコレートを渡していた。ああ、気持ち悪いでは無いか。何故好きだということをそんなバレンタインだとかに乗せなければ伝えられないのか。ばーか知るかよ。好きだということは嫌いなんだよ。嫌いなら好きなんだよ。それでいい。天邪鬼だからとかじゃあない。そんなことなんぞ知るか。
見たくもないもんを見て不機嫌でフードを深く被って里をまた歩く。浮かれた人間共は気持ちが悪い。そんな空気がクソったれ過ぎて私は里を出てから空を飛んだ。
ボーッと飛んでいると出会いたくない奴らに出会う。こういう日は何故かツイてないもんだ。
青い髪と虹色の服のやつ。青い髪とボロボロの服やつ。
しかもそれ以上に出会いたくないやつが居る。あのチビ──針妙丸がいるじゃあないか。気が付かれる前に逃げようとしたら、余計なやつが気がついた。
「おっ、あそこにちょうど天邪鬼がいるじゃないか」
天人……! 余計なことしやがって!
逃げようとしたところを天人が私の腕を掴んだ。
「せいじゃああああ!!!」
チビがうるせぇ。なんで大泣きしてこっちに来るんだ。なんで貧乏神は暗そうなんだ。
「んだよ……うっさいな」
目を逸らして耳を塞ごうとして、天人に腕を掴まれていることを思い出した。
「正邪、お前さんに渡したい物があるんだ!」
なんかでっかいピンクの袋紙なんて持ってよぉ。似合わねえことしてよぉ。
「バレンタインか? 受け取らんぞ」
渡される前に言ってやった。みるみるうちに目に涙を溜めるチビ。あっははと笑おうとしたら頭が割れそうになった。バチィと天人に頭をぶっ叩かれたらしい。頭んなかが揺れるからやめてくれ。立場逆転で逃げてやろうかと思ったがせっかくだし、チビの話だけ聞いてから逃げようと思った。
「ぜいじゃのためにづぐっだのに!」
泣き喚きながら話すな。鼻水が付く。ピンクの袋を私に押し付けてくる。めんどくさいが受け取る。
「なんだよ……受け取って食えばいいのかよ」
ぶんぶんと頭を振りまくる針妙丸。なんだよ……
天人の腕を振り払おうとするとガチガチに固めてくる。ふざけんな、私が何したってんだよ……
「天子、離してあげて」
それ聞くとふっと離した。くそったれ痛いわ。逆襲ノートにメモして置いていつか仕返ししてやろうと誓った。
ビリビリと袋を開けて出てきたのは十センチほどのでかいハートのチョコレート。何書いてるのかわからん。というか読むのはやめた。
「……これ食えばいいんだな?」
「うん!」
「ならこうだな」
ハートを半分に折って投げ捨てて、半分は食う。これならいいだろ。
「ああああああ!!??」
ばちぃん!!!
ぶん投げたチョコレートと一緒に私は頭を殴られて地面が見えたところで意識が消えた。
チョコレートはちゃんと食えばよかった。後からそんなことを思った。それで死にかけるのなんて嫌だからな。うん!
そんなのは無視してレジスタンスの私、鬼人正邪はフードを被って里を大股でのしのしと歩く。私はビクビクしてる訳じゃない。そんなはずは無いのである。
特にやることも無く里を徘徊していると何かを人間が集まっているのを見つけた。
なんだあ、なんだあ、そんなに浮かれた人間共は何をするってんだい?
そんな好奇心で人の輪を見るととても気持ち悪いものをしていた。女子供が好きな男子供にチョコレートを渡していた。ああ、気持ち悪いでは無いか。何故好きだということをそんなバレンタインだとかに乗せなければ伝えられないのか。ばーか知るかよ。好きだということは嫌いなんだよ。嫌いなら好きなんだよ。それでいい。天邪鬼だからとかじゃあない。そんなことなんぞ知るか。
見たくもないもんを見て不機嫌でフードを深く被って里をまた歩く。浮かれた人間共は気持ちが悪い。そんな空気がクソったれ過ぎて私は里を出てから空を飛んだ。
ボーッと飛んでいると出会いたくない奴らに出会う。こういう日は何故かツイてないもんだ。
青い髪と虹色の服のやつ。青い髪とボロボロの服やつ。
しかもそれ以上に出会いたくないやつが居る。あのチビ──針妙丸がいるじゃあないか。気が付かれる前に逃げようとしたら、余計なやつが気がついた。
「おっ、あそこにちょうど天邪鬼がいるじゃないか」
天人……! 余計なことしやがって!
逃げようとしたところを天人が私の腕を掴んだ。
「せいじゃああああ!!!」
チビがうるせぇ。なんで大泣きしてこっちに来るんだ。なんで貧乏神は暗そうなんだ。
「んだよ……うっさいな」
目を逸らして耳を塞ごうとして、天人に腕を掴まれていることを思い出した。
「正邪、お前さんに渡したい物があるんだ!」
なんかでっかいピンクの袋紙なんて持ってよぉ。似合わねえことしてよぉ。
「バレンタインか? 受け取らんぞ」
渡される前に言ってやった。みるみるうちに目に涙を溜めるチビ。あっははと笑おうとしたら頭が割れそうになった。バチィと天人に頭をぶっ叩かれたらしい。頭んなかが揺れるからやめてくれ。立場逆転で逃げてやろうかと思ったがせっかくだし、チビの話だけ聞いてから逃げようと思った。
「ぜいじゃのためにづぐっだのに!」
泣き喚きながら話すな。鼻水が付く。ピンクの袋を私に押し付けてくる。めんどくさいが受け取る。
「なんだよ……受け取って食えばいいのかよ」
ぶんぶんと頭を振りまくる針妙丸。なんだよ……
天人の腕を振り払おうとするとガチガチに固めてくる。ふざけんな、私が何したってんだよ……
「天子、離してあげて」
それ聞くとふっと離した。くそったれ痛いわ。逆襲ノートにメモして置いていつか仕返ししてやろうと誓った。
ビリビリと袋を開けて出てきたのは十センチほどのでかいハートのチョコレート。何書いてるのかわからん。というか読むのはやめた。
「……これ食えばいいんだな?」
「うん!」
「ならこうだな」
ハートを半分に折って投げ捨てて、半分は食う。これならいいだろ。
「ああああああ!!??」
ばちぃん!!!
ぶん投げたチョコレートと一緒に私は頭を殴られて地面が見えたところで意識が消えた。
チョコレートはちゃんと食えばよかった。後からそんなことを思った。それで死にかけるのなんて嫌だからな。うん!
最悪かよ。
めっちゃ好きです。
ツンデレかな? とも思いましたが、やっぱり普通に嫌ってるだけじゃないかとなりました。
しかし嫌いなら好きなんだよって言っていたことに気付きました。そういうことなんですね?
針妙丸けなげでかわいい