Coolier - 新生・東方創想話

居酒屋ミスチー 【第5話】

2020/01/06 10:48:20
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今は新しい年の冬、まだまだ寒さもこれからだ
新しい年ということはとてもめでたいことである
そんなめでたい年明けに珍しく営業お休み中…

「女将さん、ちょっと人里の祭りに行かないか?」

その一言の誘いだった、正月も終わり営業1日目で大繁盛
あのレミリアスカーレットが認めた居酒屋というのがどこかで
漏れたのかいつも以上に忙しく、閉店ギリギリまで
仕事していた、こんなことは創業以来初めてだった
女将は店をた閉め、帰ろうとするときに不老不死に一言
かけられたのが始まりだった。

そして今日、その誘いにのり店を休み人里の祭りに行って
見ることにした、いつもは買い物に来るだけの人里
民家や店が建ち並ぶ殺風景な里であると思っていたが
今日は違う、その建物に沿うように出店が並び
いつもよりも活気のある賑わいを見せていた

「妹紅さん、お誘いいただきありがとうございます」

「いやいや、たまたま慧音が仕事の用事で行けなくなった
って言っていたから誘っただけだよ」

「おかげさまで今日は思いっきり羽を伸ばせそうです」

二人は話をしながら出店をまわっていった、すでに
不老不死はビール一缶を開け飲み歩いている、女将は
色々ある料理に目移りしてしまい何を食べるか迷っていた
祭りであるからか様々な香りが入り混じっている
この香りが食の高揚心を煽っているのだろう
その中でも一段に主張してくる香りが女将を誘っている
このワイルドにあふれるソースの香りが食欲をそそる
これにしよう。

「はい、お待ちどう『ソース焼きそば』ね!」

なんだか焼きそばを貰っただけでも嬉しくなってくる
焼きそばなんて作ろうと思えれば作れるし
食べようと思えばいつでも食べれる身近な料理
しかしその焼きそばにお祭りというワードをつけてみると
ただそれだけで魅惑の料理に変身してしまうのだ
だがしかし、一つここで迷いが生まれる
このプラスチックの容器に入って焼きそばに合うビールは
どれなのか、サーバーからプラスチックコップに注がれたもの
この冬の中氷水につけられたキンキンに冷えた缶ビール
近くになにやら賞を獲得したと書かれている暖簾が
吊りさがったビールの出店もある、これは悩みどころだ

「どうした?女将さん、ビール買わないのか?」

「この焼きそばと飲むビールはどれが一番合うのか
迷ってまして」

「そうか、それなら私が思うにこれじゃないか?」

そう言い指をさしたのはキンキンに冷えた缶ビール
確かに冷えてるビールはうまいがサーバーから注がれる
ビールも賞を受賞しているビールも気にはなるところ

「このチープな焼きそばには変に飾ったビールじゃなくて
チープなビールが合うってものよ」

なるほど、食べ慣れてるからこそ飲み慣れてる
他のビールに比べれば安いのも手にしやすい
人気なのもわかる、冬なのに、寒いのにこんなにも
冷えに冷え切ったビールを飲みたくなるのは
飲兵衛の定めだろう。

二人は近くのベンチに座りそれぞれ買ったものを
開けて食べ始めた、不老不死はビニール袋の中に
唐揚げや豚串、お好み焼きなどなどたくさんのご飯に
500mlの缶ビール四缶入っていた
豪快に飲み食いする不老不死を横に女将は目を光らせていた
容器の蓋を開けるとフワッとソースの香りが香った
その香りに誘われて箸を進める、美味しい
一度にたくさん作るためか味が濃くまさにB級グルメ
なぜ祭りで食べる焼きそばは一段と美味しく感じるのだろう
私はなんとなくその答えを知っていた
祭りという中で、共に足を運ぶ友達と、ただ仲良く
食事を囲む、これが祭りの魅力というものだろう。

「女将さんの居酒屋も人里に店を出せばいいんじゃないか?」

「人里にですか?」

「あぁ、そうすればもっと人が来るし儲かるしさ」

「そうかもしれないですね…ですけど私は元の場所で十分です
儲けることが目的ではないので」

「なら女将さんは何を目的に働いてるんだ?」

「私は居酒屋を使って人と人の交流をしていただきたく
店を開きました、もちろん人だけではなく妖怪や妖精など
お酒を交わせば友は増えると思ってますから」

「なるほどな…女将さんらしい答えだな」

プシュ、不老不死はまた一缶開け飲み出した、そうだ
そういえばまだビールを飲んでいない、そう思い
缶ビールを開けた、冷えすぎていて素手で持つと手が
凍えてしまいそうだがそのままぐいっと一口飲んだ
口の中でも喉の中でも冷たさを主張している
さらに喉越しも爽快、キンキンに冷えたビールは
暑い日に飲むのもうまいが寒い日に飲むのもまたいい
これも全て祭りが引き立てているのだろう

そうして二人は夕方近くまで祭りを楽しんだ
不老不死は女将を家まで送ってくれると言っていた
祭りは夏のものだと思っていたが冬の祭りもまたいいのだろう

「今日はありがとな、一緒に来てくれて」

「私もお祭りで色々勉強させていただきました」

「それなら誘ったかいがあって良かった」

「はい、明日早速新メニューで試してみたいものが見つかって
新メニュー食べていただけます?」

「もちろん、女将さんが作るならなんでも食べるぜ」

気づけばもう夕日が沈んでいる、たわいもない会話で終わった
しかしなんでもない1日にちょっとしたイベントがあると
輝いた1日に変わるんだとしみじみと感じた不老不死
明日も居酒屋に酒を飲みに行こう、ちょっとしたイベントを
探しに。

「ちょっと今日は飲みすぎたな…楽しかったしいいか」
新年明けましておめでとうございます!
年越しはハイボールにサラミで年越した火油です
新年一発目はもこみすで始まりました!
今年も作品共々よろしくお願いしますれ
火油
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コメント



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2.80ヘンプ削除
やきそばとビールを美味しそうに食べたりするのがよいですね。
4.100南条削除
面白かったです
新年早々暖かいもこみすでした
5.100電柱.削除
良かったです。
6.90奇声を発する程度の能力削除
良い雰囲気でした
7.100終身削除
お祭りの時はお祭りに合わせた飾らないお酒と料理の楽しみ方があるみたいで一味違った一服を謳歌している2人のやり取りが素敵だったと思います 今度は逆にミスティアが料理の新しい魅力に気付かされるのも良いなと思いました