そうマメに連絡を取り合っているわけではなかった。便りがないのは良い便りだとか考えていた。ある日、気が向いて電話をしてみたら番号が使われておらず、コミュアプリケーションでも更新が途絶えている事に気付き、連絡をすれどレスもなく、そこでやっと「これはどうしたことなのか」と思った。虫の報せなどというものは所詮創作物の中のみにしか存在せぬのか、あるいはただの偶然にバイアスがかかっているだけであると確信した。
なんと蓮子は三ヶ月前にはもう自殺していたのだった。
時たま、そう、年に一、二回程度、仕事三昧で裁量の増える充実と人間関係の恨みつらみを語らうような凡百の社会人の腐れ縁と化していた。お互い浮いた話もないと思っていた。蓮子は男と二人で練炭自殺だった。昔から隠し事がうまい奴だったな。それでいて私の隠し事はすぐに見抜かれる。捨てる捨てられるの仮定はしたことがなかったが、仮定するならば私は間違いなく捨てられる側だった。その通りだった。クソだった。
どんな気持ちで私と話していたんだろう。恨み節よりも純粋に疑問だ。意味がわからない。とても無理だ。嘘があったわけではなく、都合の悪いことだけ上手く隠していたのだろうな。男の素性は判らないが、もしかしたら私と出会うより前にずっと繋がっていたのかな?気持ち悪いな。生理的に。社会人になってからの関係であることを信じよう。
事実を知った時はマジか、そうなのか、と思った。意外に薄情かよ自分は、と思った。一ヶ月くらい経って、なんだか夜寝付けなくて、色んな事を考えてる内に耳鳴りが酷くなってきて、あ、これはこのまま寝たらうなされるやつだなと思って、起きて酒飲んでたら涙が止まらなくなった。おせーわ、と思った。
いつもなんかあったら相談しろよと言っていた。私はいつもしてるだろ、あんたがしろと言っていた。あいつは私もしてるわと言っていた。大嘘つきだった。あいつはいつだって私に何かを相談することはなかった。全てが解決したあとに笑い話として私に提供される。性的にユスられていると知った時はどちらかが死ぬかと思うほどに喧嘩した。その件は次の日に解決した。つまり、私には迷惑をかけられないと蓮子は考えていた。私は迷惑をかけてほしかった。馬鹿みたいだった。
今回もそう。いや、それだけならまだいい。私がそれを受け入れていたのは、奴が誰に対してもそうであると信じていたからなのだ。想像するに、蓮子が男を誘って一緒にというのは、考えづらいとは思っている。でもわからない。遺書が残っていたわけでもない。私には何も残っていない。別れてすらいない。ただ失われた。わからない。だから、わからないのだ。実際の処どうなのか。
蓮子にとって私は迷惑をかけられる存在ではなかった。「選んで、努めて」そうだった。いや、そうではなかったのかもしれない。いずれにせよ、蓮子が一緒に死ぬと思うのは、その男だった。私じゃなかった。私じゃなかった。
私じゃなかったんだ、畜生。
なんと蓮子は三ヶ月前にはもう自殺していたのだった。
時たま、そう、年に一、二回程度、仕事三昧で裁量の増える充実と人間関係の恨みつらみを語らうような凡百の社会人の腐れ縁と化していた。お互い浮いた話もないと思っていた。蓮子は男と二人で練炭自殺だった。昔から隠し事がうまい奴だったな。それでいて私の隠し事はすぐに見抜かれる。捨てる捨てられるの仮定はしたことがなかったが、仮定するならば私は間違いなく捨てられる側だった。その通りだった。クソだった。
どんな気持ちで私と話していたんだろう。恨み節よりも純粋に疑問だ。意味がわからない。とても無理だ。嘘があったわけではなく、都合の悪いことだけ上手く隠していたのだろうな。男の素性は判らないが、もしかしたら私と出会うより前にずっと繋がっていたのかな?気持ち悪いな。生理的に。社会人になってからの関係であることを信じよう。
事実を知った時はマジか、そうなのか、と思った。意外に薄情かよ自分は、と思った。一ヶ月くらい経って、なんだか夜寝付けなくて、色んな事を考えてる内に耳鳴りが酷くなってきて、あ、これはこのまま寝たらうなされるやつだなと思って、起きて酒飲んでたら涙が止まらなくなった。おせーわ、と思った。
いつもなんかあったら相談しろよと言っていた。私はいつもしてるだろ、あんたがしろと言っていた。あいつは私もしてるわと言っていた。大嘘つきだった。あいつはいつだって私に何かを相談することはなかった。全てが解決したあとに笑い話として私に提供される。性的にユスられていると知った時はどちらかが死ぬかと思うほどに喧嘩した。その件は次の日に解決した。つまり、私には迷惑をかけられないと蓮子は考えていた。私は迷惑をかけてほしかった。馬鹿みたいだった。
今回もそう。いや、それだけならまだいい。私がそれを受け入れていたのは、奴が誰に対してもそうであると信じていたからなのだ。想像するに、蓮子が男を誘って一緒にというのは、考えづらいとは思っている。でもわからない。遺書が残っていたわけでもない。私には何も残っていない。別れてすらいない。ただ失われた。わからない。だから、わからないのだ。実際の処どうなのか。
蓮子にとって私は迷惑をかけられる存在ではなかった。「選んで、努めて」そうだった。いや、そうではなかったのかもしれない。いずれにせよ、蓮子が一緒に死ぬと思うのは、その男だった。私じゃなかった。私じゃなかった。
私じゃなかったんだ、畜生。
くそが
やりきれないメリーの嘆きが素晴らしかったです
激情を感じました
一貫した感情とタイトルが合っていて良かったです