天界の空を裂きながら飛ぶ何かがいる。それはよく分からない中国風の見た目で、長い金髪で、とても憎そうな顔をしていて。
「……なんだあれ」
よく分からないものすぎて私はそんなマヌケな声が出た。
そいつを見たのは、私が天界で散歩している時だった。要石を出して、トントンと歩いていたら下から飛んできていたのだ。なんだあれ、と思いつつ飛んでいく姿を見ただけだった。よくもまあ天界に突っ込んできたな、とそんな関係の無いことを思う。下の方に叫びながら追いかけてついていけなかった竜宮の遣いが置いてけぼりになっていた。侵入者を捕らえたいのだろうけれど無理だったんだろう。そもそもあんなやつを捕えない方がいい。余程変な……というか、強者のオーラがあったのだから。
そして違う日についに鉢合わせる。
またまた散歩していた時だった。いつもの様に要石を出して歩こうとしていた時に出した要石が何かとぶつかって吹っ飛んでいくのを見た。私はそのままバランスを崩して落ちそうになる所を空を飛んで回避する。
「ちょっと!何よあんた!人にぶつかりそうになって何も無いの!」
「……あら。私は何をしていたのかしら」
急停止した後、私の方向を見てそんなとぼけたような口調で言うものだから顔をしかめた。その女は何も分かっていないかのようにフラフラとしている。なんかとても危なかっかしいような気がした。
「あんた、なにしてんのよ。最近ずっと空ばっか飛んで」
「何って……何してたんでしょうね。分からないわ」
ここ最近ずっと見ているのに。なんだこいつ。
「何って……あんた空飛んでるじゃない」
「はて……私は……」
そんな所を言ってそいつは頭を抱え始めた。苦しそうに顔を歪めて、何かわからないことを叫んで。はぁ、本当になんだ。
「私は私は私は私は……ああ***!!ああ嫦娥ああああ!!」
「あーもー、うるっさいわね!さっさとどっかいきなさいよ!」
何も脈拍もない場所で叫ぶな。私が声をかけたからと言ってなにかした訳じゃない。こいつが勝手に叫んだだけ。
傍観のように叫ぶのを見ていたらいきなりこいつは私の肩を掴む。まるで何かに縋るかのように、もしくは八つ当たりのように。
「お前はお前はお前は、***か?」
「誰のことよ。そもそもその名前なんて知らないわ。いきなり来て喚き散らさないでよ」
「お前はお前はお前はお前はお前はお前はお前は……」
時間が狂った時計みたいにこいつは話さない。何よ本当に。
「離して。あんたに構ってる暇なんてないのよ」
「あ、あ、あ……」
剛力の力を無理やり解いて私は離れる。さっきまで叫んでいたくせにいきなり静かになる。
「……あんたはどこに行くのよ」
「月に。殺しに」
なんだよ本当に。いきなり話すな。というかいきなり戻るな。まともになるな。こっちが驚く。
「月に、憎しみを殺しに行く。月を壊す、殺す、嫦娥を殺す……そうだ、殺すんだ、殺すことが……」
とりあえずムカついたので蹴りを入れた。無防備なところに突っ込んだのですっ飛んで行った。その隙に私は逃げた。
そうか、壊すのか……それもそれで楽しそうだと、そんなことを思っていた。
「……なんだあれ」
よく分からないものすぎて私はそんなマヌケな声が出た。
そいつを見たのは、私が天界で散歩している時だった。要石を出して、トントンと歩いていたら下から飛んできていたのだ。なんだあれ、と思いつつ飛んでいく姿を見ただけだった。よくもまあ天界に突っ込んできたな、とそんな関係の無いことを思う。下の方に叫びながら追いかけてついていけなかった竜宮の遣いが置いてけぼりになっていた。侵入者を捕らえたいのだろうけれど無理だったんだろう。そもそもあんなやつを捕えない方がいい。余程変な……というか、強者のオーラがあったのだから。
そして違う日についに鉢合わせる。
またまた散歩していた時だった。いつもの様に要石を出して歩こうとしていた時に出した要石が何かとぶつかって吹っ飛んでいくのを見た。私はそのままバランスを崩して落ちそうになる所を空を飛んで回避する。
「ちょっと!何よあんた!人にぶつかりそうになって何も無いの!」
「……あら。私は何をしていたのかしら」
急停止した後、私の方向を見てそんなとぼけたような口調で言うものだから顔をしかめた。その女は何も分かっていないかのようにフラフラとしている。なんかとても危なかっかしいような気がした。
「あんた、なにしてんのよ。最近ずっと空ばっか飛んで」
「何って……何してたんでしょうね。分からないわ」
ここ最近ずっと見ているのに。なんだこいつ。
「何って……あんた空飛んでるじゃない」
「はて……私は……」
そんな所を言ってそいつは頭を抱え始めた。苦しそうに顔を歪めて、何かわからないことを叫んで。はぁ、本当になんだ。
「私は私は私は私は……ああ***!!ああ嫦娥ああああ!!」
「あーもー、うるっさいわね!さっさとどっかいきなさいよ!」
何も脈拍もない場所で叫ぶな。私が声をかけたからと言ってなにかした訳じゃない。こいつが勝手に叫んだだけ。
傍観のように叫ぶのを見ていたらいきなりこいつは私の肩を掴む。まるで何かに縋るかのように、もしくは八つ当たりのように。
「お前はお前はお前は、***か?」
「誰のことよ。そもそもその名前なんて知らないわ。いきなり来て喚き散らさないでよ」
「お前はお前はお前はお前はお前はお前はお前は……」
時間が狂った時計みたいにこいつは話さない。何よ本当に。
「離して。あんたに構ってる暇なんてないのよ」
「あ、あ、あ……」
剛力の力を無理やり解いて私は離れる。さっきまで叫んでいたくせにいきなり静かになる。
「……あんたはどこに行くのよ」
「月に。殺しに」
なんだよ本当に。いきなり話すな。というかいきなり戻るな。まともになるな。こっちが驚く。
「月に、憎しみを殺しに行く。月を壊す、殺す、嫦娥を殺す……そうだ、殺すんだ、殺すことが……」
とりあえずムカついたので蹴りを入れた。無防備なところに突っ込んだのですっ飛んで行った。その隙に私は逃げた。
そうか、壊すのか……それもそれで楽しそうだと、そんなことを思っていた。