Coolier - 新生・東方創想話

機械仕掛けの幻想郷

2019/10/26 17:54:06
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裏.
「お待ちどうさまー」

店員がお盆にのせて運んできたのは、ビールと書かれたボトル一本とグラス二つ。二人は中の液体をグラスに並々注いでいく。

「「乾杯!!」」

グラス同士のぶつかる音が辺りに響いた。にとりと魔理沙はグラスを口に近づけて、中の幸福の液体を勢いよく喉に流し込む。

「「ぷはー」」

 今日は日曜日。珍しく、にとりと魔理沙は人里でばったりと会った。そして横には居酒屋が。これはもう飲むしかないと、久しぶりに二人で暖簾を潜った。

「いやあ、久しぶりだね。最近どうしてたんだよ魔理沙。私は寂しかったんだぞー」
「おい、急に抱き着かないでくれよ」

楽しい時間は早く過ぎていく。二人はかなりのハイペースでお酒や運ばれてきたお酒やおつまみを消費していく。店員は行ったり来たり店の中を歩き回る。時計の針がぐるぐる回る。

「うふふ、ねえ、魔理沙。すごい秘密、教えてあげようかぁ」

にとりはとろんとした表情で、きゅうりの漬物を口の中に運びながら魔理沙に尋ねる。

「なんだよ、にとり」

魔理沙は運ばれてきたビールをぐいっと飲んだ。

「実はねえ、幻想郷って河童の祖先が作ったんだよ……」

また、始まったと魔理沙は思った。こいつと飲んでるとおかしなことを突然言い出す。

「そうなのか」

こうなったらにとりはもう止まらない。適当に相槌を打つに限る。

「あ、信じてないだろ魔理沙。幻想郷の住人も河童が作ってるんだよ。その証拠に、首付け根の後ろを親指でぐっと押すと何か固いものがあるだろ……」

「はいはい、そうかよ」

二人の夜は終わらない。時間はどんどん過ぎていく。店員は行ったり来たり店の中を歩き回る。時計の針がぐるぐる回る。

 魔理沙はふと何気なく、手を頭の後ろに回して首の付け根を親指で押してみる。

「アハハハハ、魔理沙引っかかったぁ」
「うるさいなぁ」
「でも住人を作ってるのは本当だよ。だから幻想郷の人々はセックスをしないんだ」
「なんだよ、せっくすって……。今日お前飲み過ぎだぞ」
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コメント



0.290簡易評価
1.90奇声を発する程度の能力削除
面白い発想で良かったです
3.100サク_ウマ削除
お見事でした。妙な話に妙なそれっぽさを持たせてくるのが凄いと思います。面白かったです。
6.80名前が無い程度の能力削除
世にも奇妙な物語だよ
7.100とらねこ削除
もしかしたら幻想郷は河童の箱庭なのか
8.90大豆まめ削除
この短い中で、壮大なSF設定をほんのちょっとだけ覗かせてくるこの感じ、とても好きです。
最後のにとまりの会話も、パンチきいてる。
10.100ヘンプ削除
倫理観無いですね……それ故に強い
作るもののいない幻想郷はどうなるんでしょう
11.90南条削除
面白かったです
本当にこうなんじゃないかと思わせる前振りと、本当にそうだったとわかるオチがマッチ
していてよかったです
12.90名前が無い程度の能力削除
倫理観無いですね
15.100終身削除
最後のにとりが力入れないような感じで話してるのが素で話してる感じがして不気味に感じました 毎回決まった人数が登場するのとか弾幕やってる時に音楽が流れてくるのとかなんだか秘密が分かっt