Coolier - 新生・東方創想話

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2019/09/28 00:06:54
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「たとえばね。私がバナナの皮で滑って転んだら、笑う? 笑わないわ。にとりちゃんは。絶対。そうでしょ?」

「ねえ、わたしたち特別だった。雛だって、わかってたくせに。私にとって雛は特別だったし、雛にとってわたしは特別だった。わかってたんだよ、わたしだって」

「私、ずっと待ってたのに」

「わたしだって」

「でも、あの人は私のこと、普通の女の子みたいにするの。かわいいとか、似合うとか、そんなことばっかり言うの」

「わたしだって、そうだよ。あいつは、わたしが特別だって、雛にとっての特別だったってこと、知らないんだ」

「ねえ、にとりちゃん。私ね、あれから、あの日から。なんだか気持ち悪いの。人肌が、気持ち悪く感じるの。スープだって、中途半端に冷めたんじゃ、飲めなくなっちゃった」

「ごめんね。悪かったよ。一回だけなんて、誘わなければよかったんだ。でも、わたしだっておんなじだよ。飲み物なんて、ちゃんと冷やさなきゃ飲めないし、あいつにだって、もう触られたくもない」

「私があげた帽子、まだ持ってる?」

「うん。似合うね、だってさ。わたしのあげたリボンはどう?」

「捨てちゃったの。ごめんなさい」

「ねえ、よく言ってたじゃん。一緒になったら不幸になるって」

「きっと、にとりちゃんがいちばん不幸よ」

「わたしが? 違うね。でも、雛じゃないよ。とにかく、わたしは不幸じゃないし、雛だって、幸せなんだよ」

「そうかしら」

「なんか、あれみたいだね。わたしたち」

「いやよ。私、織姫も彦星も、どっちだって、やりたくないもの」

「違うよ。そうじゃないよ」

「じゃあ、なに?」

「なんだろうね。わかんないや。じゃあさ、雛は、わたしがバナナの皮で滑って転んだなら、笑ってくれた?」

「ええ。きっと笑った。たぶん、それだけが私の幸せになってた」

「でもね、わたしはきっと、そんなこと出来なかったと思うんだ」

「そうでしょうね」

「じゃあ、終わりかな?」

「にとりちゃんは、どう思うの?」

「えへへ。終わりだと思う」

「ねえ、あの人にさわれなくなったなら、にとりちゃんはどうするの?」

「どうもしないよ。雛だってそうでしょ? 帰ってさ、普段通り。普通の女の子になるんだ。いつか、本当にそうなっちゃうときまでね」

「そう。でも、そうね。にとりちゃんの言う通り。いっつも、にとりちゃんの言うことは間違ってたらよかったのに。やっぱり、本当なのよね」

「そう言われちゃうと、自信なくなるけど」

「ごめんね。いいの。それじゃあね」

「うん。それじゃ」
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コメント



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1.60ルミ海苔削除
懐かしさを覚えました。
2.30名前が無い程度の能力削除
読者に伝えようとする努力・工夫は多かれ少なかれ重要ではないでしょうか
心になんとなく浮かんだことを書き連ねて、それを理解させる努力を読者に求められても。
3.100終身削除
会話がすれ違っているところがあるようにも感じるけど大事なところでは気が合っているような2人の関係がぼんやりと見えてくるようでした