「あっははははは!!!」
輝夜が、私の目の前で笑い転げている。早撃ちは私の負け。不老不死の私達は先に死ぬとリザレクションするのが早かった方が負けが確定するのだ。笑いまくっているのは私の顔面がどこかに飛んだのを見たからだろう。
「くそ……笑うな!」
「あっははは!!! なんなのあの頭! 飛んでいって……プッ、あっははははは……」
ダメだこりゃ。何かのスイッチが入ったようだ。永琳でもなければなだめることは出来ないだろう。
私たちがしていたのは最近里で映画がされた早撃ち。二人の決闘を描いた物語だったような気がする。幻想郷の住人達はこぞって早撃ちをしている。そりゃあ、私たちみたいに死なない程度にだが。早撃ちの決闘としては私たちが実際にしているようなもんか。
「おい、もう一回するぞ」
「はははは……! 嫌よ、こんなに面白いのに出来るわけないじゃない!」
チッと舌打ちが出てしまう。こいつの前なら別にいいか。
舌打ちしたらいつもは直ぐに殺すくせに笑い声でこいつは聞いていない。まあいい。私は帰るか。
倒れたところから立ち上がって笑いまくっている輝夜は無視して帰り始める。どうせ誰か迎えに来るだろうしな。
ガサガサと家に帰ろうとすると後ろから、撃たれた。
……あ?
ドシャと私は身体が倒れ込む。撃った奴タチ悪いな。即死を狙わずに半殺しで生きることが出来る所を狙うなんて。
腹に突き刺さった矢を見る。……矢?
「あら、やっぱりそこの部位は死なないわね」
この声、そしてこの矢。撃ったのは永琳か。理由は知らんが勝手に殺すな。しかも実験台にするな。
「ごほっ、なんだよ……いきなり撃ってくるなんて、な」
グギギと身体を無理やり後ろに向ける。永琳が輝夜の隣に立っていた。
「姫様に対して舌打ちしたからですよ」
「ハッ、なんだそれは……」
知るかそんなこと。
「永琳やっぱり凄いわね。腕は良いわ」
「ありがとうございます姫様。光栄ですわ」
なんなんだあいつら。殺すだけ殺して放置かよ……
「永琳、永琳、早撃ちしましょう?」
「嫌ですよ。姫様に撃つなんて無理です」
なんかいきなり主従でなんか始めているし。
「別に殺そうが変わらないわよー」
「私が嫌なのですよ……姫様分かってください」
「えー、嫌よ」
ドカン。
ウッソだろあいつ、従者を容赦なく殺しやがった。
流石に私もドン引きだぞ。
リザレクションし終わった永琳の一言。
「姫様、遺言はありますか?」
私も顔が引きつくほどの笑顔で言ったのだ。
「えっと、永琳──」
バシュン。
こいつもこいつじゃねえか!遺言聞く前に撃ちやがった!
永琳は輝夜が死んだのを見てさっさと帰って行った。いや、怖すぎだろう……
とりあえず私は腹の矢を引き抜いてから、輝夜を引きずって永遠亭の前に放っておいた。まあ、どうにかなるだろう。
私が家に帰ると慧音がいて、しこたま怒られた。
ああ、なんか早撃ちはもういいや……
仲良く殺しあえ。
永琳がすごくよかったです
この永琳は慧音には見せられないと思いました
退屈が極まるとこうなってくるのか