金色の髪なんて 異形の色だ 気持ち悪い どうしてこんな子が 妖の娘なんじゃないのか?
私が生まれて以来言われ続けた言葉だ。
人里ではごく稀に遺伝としてあり得ないはずの金色の髪の子が生まれてくる事がある。
そうやって生まれた子は辿る道は殺されるか、捨てられるか。
いずれにせよ悲惨な運命にある。
私は幸運にも後者だった。
いや、不運だったのかもしれない。
この生きづらい世界で生き延びてしまったのだから。
とはいえ、生きているからには生き続けるべきだとも思う。
外の世界には「神から授かった命を無駄にしてはならない」という教えもあるらしい。
そういうものか。私が生きているのは半ば意地のようなものだが。
そうしてこの忌々しい金色の髪を隠しながら、異物の私を受け入れてくれる人を頼り、そこに居られなくなって住処を転々とする。
そんなのを繰り返し、行くあても無くなった頃に“彼女”は現れた。
“彼女”は私と同じ、いや、はるかに美しい金色の髪をふわりとさせて。
「ねえ、貴女。“博麗”になるつもりはないかしら?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あの夜、八雲様は私を誘い、私は応えた。
もちろん最初は反発するものもいた。
一番声の大きかった男はいつのまにか居なくなっていた。
一度、どうして私を博麗に指名したのか賢者に尋ねてみたことがある。
曰く、
「幻想郷は全てを受け入れてくれないと困るもの」
ということらしい。
確かに、私という“博麗”が生まれてからは人里での金髪への忌避感は減っているようだった。
いくら妖怪によって管理された社会とはいえ、彼らは恐怖の対象でもある。
そんな世界では唯一とも言える完全な人側の強者が“博麗の巫女”。
その庇護下から外れた者たちが生き延びる術はない。
だから私はこの自慢の金色に輝く髪を見せびらかすように、巫女としての仕事をこなす。
出来れば“彼女”の望み通りになるように祈りを込めて。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ていう事があって、今となっては金髪も普通に受け入れられてるって訳だ。」
「へぇ、数代前の博麗の巫女が金髪だったのですか...。金色の髪は最悪染めなければならないと思っていましたが、ホッとしました。」
「そういう事だ。今のようにスペルカードルールもないはずだから相当大変な仕事だったはずだぜ。私たちは彼女らに感謝しないとな」
私が生まれて以来言われ続けた言葉だ。
人里ではごく稀に遺伝としてあり得ないはずの金色の髪の子が生まれてくる事がある。
そうやって生まれた子は辿る道は殺されるか、捨てられるか。
いずれにせよ悲惨な運命にある。
私は幸運にも後者だった。
いや、不運だったのかもしれない。
この生きづらい世界で生き延びてしまったのだから。
とはいえ、生きているからには生き続けるべきだとも思う。
外の世界には「神から授かった命を無駄にしてはならない」という教えもあるらしい。
そういうものか。私が生きているのは半ば意地のようなものだが。
そうしてこの忌々しい金色の髪を隠しながら、異物の私を受け入れてくれる人を頼り、そこに居られなくなって住処を転々とする。
そんなのを繰り返し、行くあても無くなった頃に“彼女”は現れた。
“彼女”は私と同じ、いや、はるかに美しい金色の髪をふわりとさせて。
「ねえ、貴女。“博麗”になるつもりはないかしら?」
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あの夜、八雲様は私を誘い、私は応えた。
もちろん最初は反発するものもいた。
一番声の大きかった男はいつのまにか居なくなっていた。
一度、どうして私を博麗に指名したのか賢者に尋ねてみたことがある。
曰く、
「幻想郷は全てを受け入れてくれないと困るもの」
ということらしい。
確かに、私という“博麗”が生まれてからは人里での金髪への忌避感は減っているようだった。
いくら妖怪によって管理された社会とはいえ、彼らは恐怖の対象でもある。
そんな世界では唯一とも言える完全な人側の強者が“博麗の巫女”。
その庇護下から外れた者たちが生き延びる術はない。
だから私はこの自慢の金色に輝く髪を見せびらかすように、巫女としての仕事をこなす。
出来れば“彼女”の望み通りになるように祈りを込めて。
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「ていう事があって、今となっては金髪も普通に受け入れられてるって訳だ。」
「へぇ、数代前の博麗の巫女が金髪だったのですか...。金色の髪は最悪染めなければならないと思っていましたが、ホッとしました。」
「そういう事だ。今のようにスペルカードルールもないはずだから相当大変な仕事だったはずだぜ。私たちは彼女らに感謝しないとな」
金髪で博麗をするって言うのが面白い発想だと思いました。幻想郷は全てを受け入れていくんですかね。
紫の思想がすごく紫っぽくてよかったです
まさに賢者
こういうのあるんだなあと頷き。脱色のくだり好きです