アポトーシス、とはよく言ったものだ。
幻想郷をひとつの人間の身体に見立てれば、計画的な死は沢山あることだろう。
つまらん。とてもつまらん。
外から迷い込んでくる人間は勝手に死んでいくが、幻想郷の里の人間は計画的に死んでいるところがあるだろう。里の守護者にでも言えば弾幕を放たれそうだが。
八雲紫はやはりつまらん。八雲がつまらんと言うよりも幻想郷の計画的な死がつまらん。それだけである。
幻想郷を人間の身体に見立てているが、異変が病気で、日常茶飯事にある事が消化機関などであり、里の人間が妖怪に襲われるのがアポトーシス。
ふむ、この考えは悪くはないか。
「レミィ、私の隣で何を考えているのかしら?」
パタンと本を閉じたパチェは私に問いかけてくる。
「ん、ああ、すまないパチェ」
「謝るくらいなら説明して欲しいのだけれど。いきなり隣に来てから黙り込むんだもの」
「ああ……そうだな……ふむ。パチェは幻想郷をひとつの身体に例えた時にアポトーシスはあると思うか?」
「アポトーシス? ネクローシスじゃなくて?」
少し驚いた顔なのか、怪訝そうな顔をしている。
ちなみにネクローシスは壊死のことだ。
「ああ、アポトーシスだよ。群生をとても良い状態に保つために管理された自殺の事さ」
ふむ。とパチェは少し考えている。
「まあ。有り得るわね。レミィがどう考えているのかは分からないけども……」
「ありがとう、少し外に出てくるよ」
「まあ、良いけれど。いってらっしゃいな」
その言葉を聞くと私はバサリと飛び去った。
***
今日は上弦の月か。欠けた月というのも良いものだ。
当てもなく飛び回る。散歩だ散歩。
ふと飛んでいると視線を感じた。空中からの視線。どう考えても人間の視線ではないし、周りに妖怪も居ないことを確認済みだ。
視線を感じた方にグングニルを思い切り投げた。
「あらあら。吸血鬼のあいさつはとても野蛮ね?」
声と同時に出てきたスキマによって異次元に飛んだグングニル。本人は身体を半分ほどスキマから出している。
「八雲紫か。何の用だ。私は特に何もしていないのだが?」
そう言うと私の後ろの森にドカーンと大きな音がした。おそらくグングニルが飛ばされたんだろう。
「まあまあ、そんなに斜に構えないでくださいな」
「ハッ、お前の前は斜に構えなければやってられないよ」
「あらあら……」
クスクスと不敵に笑う八雲。
「本題は?」
ろくな事がないのでさっさと終わらせたい。
「特にありませんわ。少し話したいと思っただけですもの」
「面倒くさいな。何故お前は回りくどい」
「それを問われても答える術はありませんわ」
「……面倒くさいぞ」
ガリガリと頭を掻くしか出来ないではないか。特に話すこともないので無言が続く。
ああ、こんなことになるなら外に出るのではなかったな。
「時に。幻想郷に壊死はあると思いで?」
こいつ、絶対に覗き見していたな。まあいい、話に付き合うとするか。
「あるだろうよ。どこかが死ぬのはある事だ。その結論しかお前は持っていないから、被害を減らしたいから、アポトーシスを起こすんだろう?」
ネクローシス、壊死なぞ、多くの細胞を持っていれば起こりうることだろう。
何かに染まり、そして死んでいく。そんなことはよくある事だ。
「あら、見透かしたように言うのですね」
「見透かしたも何も私はこれしか知らん。お前もそうだから私に話を振るんだろう?」
今日のこいつはとにかく面倒くさい。一人で考えとけ。
「まあいいですわ……またお会いしましょう」
半分ほど出していた身体をスキマに落としたのかいなくなった。なんだったんだあいつは。とりあえず、紅魔館に帰ろうか。
***
さっさと帰っては夜明けが近づいて来ていたので寝るに限る。
話したことを忘れてやろう……
そんなことを思いつつ私は就寝するのだ。
アポトーシスはいつでも起こっているだろうよ……
幻想郷をひとつの人間の身体に見立てれば、計画的な死は沢山あることだろう。
つまらん。とてもつまらん。
外から迷い込んでくる人間は勝手に死んでいくが、幻想郷の里の人間は計画的に死んでいるところがあるだろう。里の守護者にでも言えば弾幕を放たれそうだが。
八雲紫はやはりつまらん。八雲がつまらんと言うよりも幻想郷の計画的な死がつまらん。それだけである。
幻想郷を人間の身体に見立てているが、異変が病気で、日常茶飯事にある事が消化機関などであり、里の人間が妖怪に襲われるのがアポトーシス。
ふむ、この考えは悪くはないか。
「レミィ、私の隣で何を考えているのかしら?」
パタンと本を閉じたパチェは私に問いかけてくる。
「ん、ああ、すまないパチェ」
「謝るくらいなら説明して欲しいのだけれど。いきなり隣に来てから黙り込むんだもの」
「ああ……そうだな……ふむ。パチェは幻想郷をひとつの身体に例えた時にアポトーシスはあると思うか?」
「アポトーシス? ネクローシスじゃなくて?」
少し驚いた顔なのか、怪訝そうな顔をしている。
ちなみにネクローシスは壊死のことだ。
「ああ、アポトーシスだよ。群生をとても良い状態に保つために管理された自殺の事さ」
ふむ。とパチェは少し考えている。
「まあ。有り得るわね。レミィがどう考えているのかは分からないけども……」
「ありがとう、少し外に出てくるよ」
「まあ、良いけれど。いってらっしゃいな」
その言葉を聞くと私はバサリと飛び去った。
***
今日は上弦の月か。欠けた月というのも良いものだ。
当てもなく飛び回る。散歩だ散歩。
ふと飛んでいると視線を感じた。空中からの視線。どう考えても人間の視線ではないし、周りに妖怪も居ないことを確認済みだ。
視線を感じた方にグングニルを思い切り投げた。
「あらあら。吸血鬼のあいさつはとても野蛮ね?」
声と同時に出てきたスキマによって異次元に飛んだグングニル。本人は身体を半分ほどスキマから出している。
「八雲紫か。何の用だ。私は特に何もしていないのだが?」
そう言うと私の後ろの森にドカーンと大きな音がした。おそらくグングニルが飛ばされたんだろう。
「まあまあ、そんなに斜に構えないでくださいな」
「ハッ、お前の前は斜に構えなければやってられないよ」
「あらあら……」
クスクスと不敵に笑う八雲。
「本題は?」
ろくな事がないのでさっさと終わらせたい。
「特にありませんわ。少し話したいと思っただけですもの」
「面倒くさいな。何故お前は回りくどい」
「それを問われても答える術はありませんわ」
「……面倒くさいぞ」
ガリガリと頭を掻くしか出来ないではないか。特に話すこともないので無言が続く。
ああ、こんなことになるなら外に出るのではなかったな。
「時に。幻想郷に壊死はあると思いで?」
こいつ、絶対に覗き見していたな。まあいい、話に付き合うとするか。
「あるだろうよ。どこかが死ぬのはある事だ。その結論しかお前は持っていないから、被害を減らしたいから、アポトーシスを起こすんだろう?」
ネクローシス、壊死なぞ、多くの細胞を持っていれば起こりうることだろう。
何かに染まり、そして死んでいく。そんなことはよくある事だ。
「あら、見透かしたように言うのですね」
「見透かしたも何も私はこれしか知らん。お前もそうだから私に話を振るんだろう?」
今日のこいつはとにかく面倒くさい。一人で考えとけ。
「まあいいですわ……またお会いしましょう」
半分ほど出していた身体をスキマに落としたのかいなくなった。なんだったんだあいつは。とりあえず、紅魔館に帰ろうか。
***
さっさと帰っては夜明けが近づいて来ていたので寝るに限る。
話したことを忘れてやろう……
そんなことを思いつつ私は就寝するのだ。
アポトーシスはいつでも起こっているだろうよ……
流れがとても面白い感じでした
この話結構好きです
隠れ里を維持するためには必要なことなのだとおもいました