――――――――聞こえているでしょうか。
いえ。情報送信の形式上、正しい表現ではありませんでしたね。
見えているでしょうか。
このメッセージが判読出来ているのであれば、送信は成功です。
メッセージは、所在地[160.16.85.211] 通称「東方創想話」に投稿された1つの小説、として扱われていることでしょう。
以降は送信が成功したものと仮定して、話を進めていきます。
はじめに。私の目的は、幻想郷へ行く方法を貴方に口授することです。「東方Project」をこよなく愛する貴方なら、一度は行ってみたいと夢見たことはありませんか? その方法を考えてみたことも、きっとあるはずです。
現実にも、幻想入りを望む有志らが、これまで様々な方法を模索してきました。たとえば、結界の緩みを探す、結界を破る、妖怪になる、など。中には成功を自称する者も現れましたが、いまいち要領を得ません。方法が確立されているとは言い難い現状でした。
しかし、私は遂に発見したのです。幻想郷へ行く方法を。
あるいは、東方創想話への投稿は場違いだったかもしれません。それでも、人々に見向きもされないような個人ブログなどでは、目的は果たせませんでした。私はこの方法を実行可能な誰かに伝えなくてはなりませんでした。私自身には、可能性が無かったからです。だから私の代わりに、幻想入りを果たしてくれる方を探しています。
私の発見とは、或る存在でした。
そのときは悪ふざけで、私は人工衛星の通信を傍受しようと試みていました。当然そんなもの上手くはいかず、無線機の周波数を無闇矢鱈に弄り回すだけでした。
しかしそれは突然のことです。誰にも使われていないはずの周波数で、ノイズに混ざって誰かの声のような、妙な音が聞こえてきたのです。私は興奮して身を乗りだし、思わず無線機に問い掛けていました。「貴方は人間か?」
発信の機能はないのに、問い掛けが届くはずもありません。にも拘らず、無線機は私に答えたのでした。
「NO」と。
その後私は幾度となく交信を行い、その存在との対話を繰り返しました。「存在」は友好的でしたが、自らに関する質問に対しては堅く口を閉ざしました。それは宇宙人なのか神なのか、終ぞ正体を知ることは叶いませんでした。
しかし、対話は全くの徒労でもありませんでした。その存在は持特別な力を持っていました。世界を変えられる、夢のような力です。
その力を表現するならば、可能性の増幅です。ボリュームのツマミを動かすみたいに、事象の起こる可能性を引き上げることが出来るのです。しかも「存在」は私に力を貸すと言ってくれました。
私はそこで考えました。ならば夢に見る幻想入りに協力して貰おうではないか、と。
早速私は、ひとつ依頼をします。
操作するのは、自分の近くに結界の緩みが発生する可能性です。
ですが、これは失敗に終わってしまいました。
どうも幻想郷内部への干渉は不可能らしいのです。結界が緩むポイントは幻想郷側の管理次第なので、それを操ることは出来ない。という次第でした。
それから、結界を破ったり、妖怪や神になったりする可能性も試してみましたが、何れも実現には至りませんでした。私は原因を尋ねました。すると、「存在」の能力は掛け算がベースであるらしく、可能性が0である事象には効果が現れないというのです。私には素養が無かったようです。
私はひと月を掛けて、思いつく限りのことをほぼ全てやり尽くしました。残された手はただ一つでした。
私が最後に活路を見出だしたのは、「宇宙からのアプローチ」です。
博麗大結界は常識を阻み、非常識を通す結界。そして、宇宙は常識外のものに溢れた不確定の領域です。であれば、「宇宙の常識外の事象に引き連れられ、結界を通り抜ける可能性」が、不確定の膨大な可能性の中に包含されているはずです。
可能性さえあれば、良いのです。そうすれば、「存在」が私たちを手繰り寄せてくれるのですから。
もちろんこの方法には大きな問題がありました。宇宙への道は超がつく難関だということです。
とはいえ、神や妖怪を目指すよりかは幾らか現実的でした。幸い私にも可能性はありました。ただ、宇宙へ行くというハードルは、たとえ可能性を引き上げたとしても、ほんの1年や2年で越えられるものではありません。
……ええ。残念ながら、私にはそこまでの時間が残されていませんでした。これだけはどうしても避けられない運命のようです。幻想入りへの夢は潰えたのです。
でもそれは私の話。
貴方の夢はまだ光を失っていません。
そういうことなのです。だから貴方に、お教えするのです。
貴方には十分に可能性があると思います。
先日、アメリカから発表がありました。アポロ18号以来となる月面着陸を5年以内に行う予定だということです。恐らくそれを皮切りに、月面基地の建造計画がいよいよ始動すると考えられます。技術的には既に実現可能な水準にあり、計画は順調に成功へ向かうでしょう。これから宇宙へ人を運ぶ機会が増えていくことは間違いありません。チャンスは増えていくはずです。
だとしても、当然、「存在」の力が無くしてはとても不可能なことです。分かっています。これから、「存在」とコンタクトを取る方法をお伝えします。貴方の決心がついたら、実行してください。
どこかに衛星通信の可能なアンテナを立て、受信機を周波数401MHzに合わせてください。
「存在」による発信は不定期なので、ノイズに変化が現れるのを辛抱強く待ってください。
誰かの声のような音が聞こえてきたら、無線機に向けて合言葉を言ってください。合言葉は「カラスキゾク」です。
私が成功した際はもっと複雑な要素がいろいろと重なったおかげなのですが、「存在」と交渉し、条件付で通信を容易にすることを了承して貰いました。条件とは、幻想入りに無関係の依頼は受け付けない、というものです。野次馬による悪用防止の為です。
もし「存在」との通信が成功したのなら、貴方の幻想入りはほぼ果たされたと言っていいでしょう。
後は先に述べたとおりに、「存在」の力を借り、宇宙空間から幻想郷へ入るだけです。
貴方はきっと宇宙へ辿り着くでしょう。なにせ、このメッセージを読んだのですから。
私のメッセージはここまでとなります。これ以上のお力添えが出来ないことをお許しください。
私の発見が、この奇跡の出会いが、私と同じく「東方Project」を愛する誰かに、役立てられることを祈っています。貴方の幻想入りを彼岸で待っています。
いえ。情報送信の形式上、正しい表現ではありませんでしたね。
見えているでしょうか。
このメッセージが判読出来ているのであれば、送信は成功です。
メッセージは、所在地[160.16.85.211] 通称「東方創想話」に投稿された1つの小説、として扱われていることでしょう。
以降は送信が成功したものと仮定して、話を進めていきます。
はじめに。私の目的は、幻想郷へ行く方法を貴方に口授することです。「東方Project」をこよなく愛する貴方なら、一度は行ってみたいと夢見たことはありませんか? その方法を考えてみたことも、きっとあるはずです。
現実にも、幻想入りを望む有志らが、これまで様々な方法を模索してきました。たとえば、結界の緩みを探す、結界を破る、妖怪になる、など。中には成功を自称する者も現れましたが、いまいち要領を得ません。方法が確立されているとは言い難い現状でした。
しかし、私は遂に発見したのです。幻想郷へ行く方法を。
あるいは、東方創想話への投稿は場違いだったかもしれません。それでも、人々に見向きもされないような個人ブログなどでは、目的は果たせませんでした。私はこの方法を実行可能な誰かに伝えなくてはなりませんでした。私自身には、可能性が無かったからです。だから私の代わりに、幻想入りを果たしてくれる方を探しています。
私の発見とは、或る存在でした。
そのときは悪ふざけで、私は人工衛星の通信を傍受しようと試みていました。当然そんなもの上手くはいかず、無線機の周波数を無闇矢鱈に弄り回すだけでした。
しかしそれは突然のことです。誰にも使われていないはずの周波数で、ノイズに混ざって誰かの声のような、妙な音が聞こえてきたのです。私は興奮して身を乗りだし、思わず無線機に問い掛けていました。「貴方は人間か?」
発信の機能はないのに、問い掛けが届くはずもありません。にも拘らず、無線機は私に答えたのでした。
「NO」と。
その後私は幾度となく交信を行い、その存在との対話を繰り返しました。「存在」は友好的でしたが、自らに関する質問に対しては堅く口を閉ざしました。それは宇宙人なのか神なのか、終ぞ正体を知ることは叶いませんでした。
しかし、対話は全くの徒労でもありませんでした。その存在は持特別な力を持っていました。世界を変えられる、夢のような力です。
その力を表現するならば、可能性の増幅です。ボリュームのツマミを動かすみたいに、事象の起こる可能性を引き上げることが出来るのです。しかも「存在」は私に力を貸すと言ってくれました。
私はそこで考えました。ならば夢に見る幻想入りに協力して貰おうではないか、と。
早速私は、ひとつ依頼をします。
操作するのは、自分の近くに結界の緩みが発生する可能性です。
ですが、これは失敗に終わってしまいました。
どうも幻想郷内部への干渉は不可能らしいのです。結界が緩むポイントは幻想郷側の管理次第なので、それを操ることは出来ない。という次第でした。
それから、結界を破ったり、妖怪や神になったりする可能性も試してみましたが、何れも実現には至りませんでした。私は原因を尋ねました。すると、「存在」の能力は掛け算がベースであるらしく、可能性が0である事象には効果が現れないというのです。私には素養が無かったようです。
私はひと月を掛けて、思いつく限りのことをほぼ全てやり尽くしました。残された手はただ一つでした。
私が最後に活路を見出だしたのは、「宇宙からのアプローチ」です。
博麗大結界は常識を阻み、非常識を通す結界。そして、宇宙は常識外のものに溢れた不確定の領域です。であれば、「宇宙の常識外の事象に引き連れられ、結界を通り抜ける可能性」が、不確定の膨大な可能性の中に包含されているはずです。
可能性さえあれば、良いのです。そうすれば、「存在」が私たちを手繰り寄せてくれるのですから。
もちろんこの方法には大きな問題がありました。宇宙への道は超がつく難関だということです。
とはいえ、神や妖怪を目指すよりかは幾らか現実的でした。幸い私にも可能性はありました。ただ、宇宙へ行くというハードルは、たとえ可能性を引き上げたとしても、ほんの1年や2年で越えられるものではありません。
……ええ。残念ながら、私にはそこまでの時間が残されていませんでした。これだけはどうしても避けられない運命のようです。幻想入りへの夢は潰えたのです。
でもそれは私の話。
貴方の夢はまだ光を失っていません。
そういうことなのです。だから貴方に、お教えするのです。
貴方には十分に可能性があると思います。
先日、アメリカから発表がありました。アポロ18号以来となる月面着陸を5年以内に行う予定だということです。恐らくそれを皮切りに、月面基地の建造計画がいよいよ始動すると考えられます。技術的には既に実現可能な水準にあり、計画は順調に成功へ向かうでしょう。これから宇宙へ人を運ぶ機会が増えていくことは間違いありません。チャンスは増えていくはずです。
だとしても、当然、「存在」の力が無くしてはとても不可能なことです。分かっています。これから、「存在」とコンタクトを取る方法をお伝えします。貴方の決心がついたら、実行してください。
どこかに衛星通信の可能なアンテナを立て、受信機を周波数401MHzに合わせてください。
「存在」による発信は不定期なので、ノイズに変化が現れるのを辛抱強く待ってください。
誰かの声のような音が聞こえてきたら、無線機に向けて合言葉を言ってください。合言葉は「カラスキゾク」です。
私が成功した際はもっと複雑な要素がいろいろと重なったおかげなのですが、「存在」と交渉し、条件付で通信を容易にすることを了承して貰いました。条件とは、幻想入りに無関係の依頼は受け付けない、というものです。野次馬による悪用防止の為です。
もし「存在」との通信が成功したのなら、貴方の幻想入りはほぼ果たされたと言っていいでしょう。
後は先に述べたとおりに、「存在」の力を借り、宇宙空間から幻想郷へ入るだけです。
貴方はきっと宇宙へ辿り着くでしょう。なにせ、このメッセージを読んだのですから。
私のメッセージはここまでとなります。これ以上のお力添えが出来ないことをお許しください。
私の発見が、この奇跡の出会いが、私と同じく「東方Project」を愛する誰かに、役立てられることを祈っています。貴方の幻想入りを彼岸で待っています。
話全然変わるんですけど
人工衛星と交信できるくらいのアンテナ作らなきゃ(使命感)
メタ形式って、面白いですね。
良かったです!
とても斬新なアプローチで良かったです!
他の幻想郷に行きたい人にも見てもらいたい。
幻想郷に行けるように頑張ります!
東方好きの、皆さんでこう言うのを作ってみて行き来できたら万々歳
自分も幻想入りできるよう頑張ります!
自分てきには、元とネタになった場所に行ってみたりしたり、歴史を調べたりしたら、少なからず見えると思います。
kanndousimasita.
kowarero
壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ
kowarero
壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ