Coolier - 新生・東方創想話

未失恋

2019/01/29 23:03:51
最終更新
サイズ
2.17KB
ページ数
1
閲覧数
1462
評価数
10/20
POINT
1160
Rate
11.29

分類タグ

僕の名前は射命丸文
あ、一人称がおかしいって?
うん、心の中では私じゃなくて僕なんだ。
多分これは同性で烏天狗の僕からすると、格下で差別するべき白狼天狗の椛が好きな気持ちと同じおかしさなんだろう。




『椛が元気だと、僕も元気、この気持ちはきっと恋なんだと思う』





 椛の事が好きだって思うようになったのは、ずっと、ずっと前からだ。

 妖怪同士だから、歳の差は沢山あるけど関係なんかない。ずっと好きだった。

 ……いや。この際だから初めて会った時から好きだったと告白する。

 あの娘、椛は説明できないけど他とは違うと思ったんだ。




 だけど、でも、でも、白狼天狗の椛は、烏天狗の僕が持ってる全部を持ってない。

 椛の好きの気持ち僕は持っていても。

 僕を好きの気持ち椛には持てない。

 僕は、椛と会うと、とてもうれしいの気持ちになる。

 でも、椛が僕と会うと、気持ちが止まってしまう。
 
 与えられる事象や仕事が彼女にとってはたいてい良くない事になるだろう。だから支配者の僕……烏天狗に会うから気持ちが止まってしまうのがわかる。

 椛が、僕と会う前に友達や、親友の、にとりと会うときっと嬉しいの気持ちになったんだと思う。

 嬉しいの気持ちのまま止まっているから。

 そんな時は、僕は嬉しいの気持ちが持てない。

 愛想笑いを浮かべて、『おっと~、もみじ~。今日は何か、超☆良い事でもあったんですか~?』なんて上辺のお話ししてるけど行く宛の無い嫉妬で僕の気持ちは一杯だ。

 思いの中で、僕は人殺しだ。申し訳ないと思いつつ勝手に嫉妬で、心の中で、にとりを何回殺したかはわからない。



 





 多分、いや必然。こんなだから告白して断られることは決まっている。

 どんなに、僕が椛の中で大きな存在になっても大きいだけで、けして成就はしない。

 『任務の中で僕は、幾度も椛を助けたが、背中を預けたことはない』

 椛が大好きなリンゴの大樹があっても彼女はリンゴが好きなだけで、大樹に恋などはしないだろう。

 視線の先には美味しそうに実ったリンゴにしか視線を合わせないし映らない。

 椛と同じ白狼天狗や河童は同じ視線で生きて、同じことを楽しみ同じ物を見て時間を過ごすのだろう。

 それに比べて、僕は烏天狗だからどんなに視線を合わせようとしても下としか見れず。椛からしたら上を見ないからその視線にも気が付かないのだろう。

 だから、今日も僕は烏天狗、椛は白狼天狗で上下関係のまま。

 僕はこの黒い羽根が憎らしい、それを引き抜いて地に落ち椛に告白する勇気がない僕が憎い。
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.340簡易評価
1.90奇声を発する程度の能力削除
面白かったです
2.100名前が無い程度の能力削除
戸隠先生病院行きましょう。
先生、オーパーツを作るのやめてください。

文ちゃんの一方的な恋ですね!
199500点
3.90名前が無い程度の能力削除
先生何か嫌な事でもあったの?
4.100名前が無い程度の能力削除
烏天狗の傲慢なところとか密かに病んでる文ちゃんが良く表現できていたと思う。
見下していたり格下とみている相手のこと好きになるとこんな気持ちなんだろうか?
で、この作品を作ったのは戸隠さんの中のどの人格の方なんですか?
7.90名前が無い程度の能力削除
うん、面白い
8.80名前が無い程度の能力削除
前の話に続くんでしょうか
タイトルが戸隠さんらしい表現で好きです
9.30名前が無い程度の能力削除
なんというか作者を無理やり登場人物に投影させたようなそんな印象を受けました。
10.100名前が無い程度の能力削除
oh!前作の前日譚だと思うと、切ない!
あの話のバックグラウンドこうなっていると思うと、泣ける!
11.50名前が無い程度の能力削除
独自の文体で雰囲気は醸し出してるけどテーマ自体はありふれてて展開にも工夫がないっす
貴君の魅力はやはりナンセンスでこそ活きる
14.90ヘンプ削除
堕ちてしまえば良かったのかもしれませんね