◇
『メリー、メリークリスマス!』
「蓮子、メリークリスマス」
スピーカー越しの蓮子の声とともに、パンッと乾いた音がする。
画面の中では銀と白の紙吹雪が舞っている。
『あ、このクラッカー紙吹雪入りだ』
うへぇ、という声とともにガサガサと片づける音がする。
「あとでいいじゃない」
『いやいや、個室とはいえ電車だからね。そのままにはできないわ』
変にまじめだなぁとメリーは笑いつつ、箱のケーキを取り出す。
『いやぁ、毎年思うけど、メリー、メリークリスマスってなんか面白くない?』
片づけ終えたのか、蓮子も箱からケーキを出し、紙パックのカフェオレにストローを突き立てている。
「おあいにく様ね。大学でも、会社でもさんざんネタにされたわ」
そんな何百番煎じの弄りは効かないわよ、となぜか得意げに指を振る。
『ちぇ、まぁいいや。ケーキ食べよ?』
はいはいと、蓬莱泉の入った湯呑を左手に持ち、
「それじゃ、乾杯」
画面越しに紙パックと湯呑をぶつける。
「ちなみに蓮子何ケーキ?」
『んー? モンブラン』
「あ、同じだ」
よく見えるようカメラの前にケーキを出すメリー。
『おぉ、ほんとだー』
と言いつつ、すでに食べ始めている蓮子。
「ちょっと蓮子、私にもケーキ見せてほしかったわ」
『ごめんごめん、はい』
「もうすでに半分ないんだけど……」
『おいしくって……』
「もう……」
『ところで――』
画面越しのクリスマスも悪くないとメリーは思いながら、雑談に花を咲かせた。
◆
『それじゃあ、もう家だから』
蓮子は座席に忘れ物がないかを確認して、お開きの準備を始める。
「そうなの? じゃクリスマスパーティーもお開きね」
『うん。忘れ物はなし』
「あとはカメラとスクリーン……は備え付けか」
『あ、カメラ忘れてた』
えへへ、と笑う蓮子がどアップで画面に映る。
「もう、抜けてるんだから……」
といいながらこっそり画面の頬を撫でる。
「お仕事お疲れさま、付き合ってくれてありがとうね」
『何を~、クリボッチはお互い本意じゃないしwin-winよ』
ブイ、ブイと指を立てる蓮子。
「ふふ、ありがとう。それじゃお疲れさま」
『うん、お疲れ。あ、プレゼント送っといたから、amezonからの荷物受け取ってね!』
映像はそこで途切れた。
◇
「ふぁ、もうこんな時間かぁ。そろそろ寝ましょ……」
がばっと布団をめくり頭まですっぽり覆う。
「うぅ、この時期の布団ってなんでこんなに冷たいのかしら」
足元に埋めた湯たんぽがあたたかい。
「来年こそ有休とって蓮子の家に電撃訪問しよ」
どうでもいいことを考えていると、ふと体が重いことに気づく。
「merry! merry christmas! amezonでっす!」
バサッと顔部分の布団がはがされ、目の前に蓮子がいた。
「ヴぇぇぇぇぇ⁉」
聖夜の夜、レオパレス内に一人の声が響き渡った。
『メリー、メリークリスマス!』
「蓮子、メリークリスマス」
スピーカー越しの蓮子の声とともに、パンッと乾いた音がする。
画面の中では銀と白の紙吹雪が舞っている。
『あ、このクラッカー紙吹雪入りだ』
うへぇ、という声とともにガサガサと片づける音がする。
「あとでいいじゃない」
『いやいや、個室とはいえ電車だからね。そのままにはできないわ』
変にまじめだなぁとメリーは笑いつつ、箱のケーキを取り出す。
『いやぁ、毎年思うけど、メリー、メリークリスマスってなんか面白くない?』
片づけ終えたのか、蓮子も箱からケーキを出し、紙パックのカフェオレにストローを突き立てている。
「おあいにく様ね。大学でも、会社でもさんざんネタにされたわ」
そんな何百番煎じの弄りは効かないわよ、となぜか得意げに指を振る。
『ちぇ、まぁいいや。ケーキ食べよ?』
はいはいと、蓬莱泉の入った湯呑を左手に持ち、
「それじゃ、乾杯」
画面越しに紙パックと湯呑をぶつける。
「ちなみに蓮子何ケーキ?」
『んー? モンブラン』
「あ、同じだ」
よく見えるようカメラの前にケーキを出すメリー。
『おぉ、ほんとだー』
と言いつつ、すでに食べ始めている蓮子。
「ちょっと蓮子、私にもケーキ見せてほしかったわ」
『ごめんごめん、はい』
「もうすでに半分ないんだけど……」
『おいしくって……』
「もう……」
『ところで――』
画面越しのクリスマスも悪くないとメリーは思いながら、雑談に花を咲かせた。
◆
『それじゃあ、もう家だから』
蓮子は座席に忘れ物がないかを確認して、お開きの準備を始める。
「そうなの? じゃクリスマスパーティーもお開きね」
『うん。忘れ物はなし』
「あとはカメラとスクリーン……は備え付けか」
『あ、カメラ忘れてた』
えへへ、と笑う蓮子がどアップで画面に映る。
「もう、抜けてるんだから……」
といいながらこっそり画面の頬を撫でる。
「お仕事お疲れさま、付き合ってくれてありがとうね」
『何を~、クリボッチはお互い本意じゃないしwin-winよ』
ブイ、ブイと指を立てる蓮子。
「ふふ、ありがとう。それじゃお疲れさま」
『うん、お疲れ。あ、プレゼント送っといたから、amezonからの荷物受け取ってね!』
映像はそこで途切れた。
◇
「ふぁ、もうこんな時間かぁ。そろそろ寝ましょ……」
がばっと布団をめくり頭まですっぽり覆う。
「うぅ、この時期の布団ってなんでこんなに冷たいのかしら」
足元に埋めた湯たんぽがあたたかい。
「来年こそ有休とって蓮子の家に電撃訪問しよ」
どうでもいいことを考えていると、ふと体が重いことに気づく。
「merry! merry christmas! amezonでっす!」
バサッと顔部分の布団がはがされ、目の前に蓮子がいた。
「ヴぇぇぇぇぇ⁉」
聖夜の夜、レオパレス内に一人の声が響き渡った。
通話中に片づけを始める蓮子や、突然の訪問に飛び上がるメリーなどキャラがとても生き生きしているように感じました
聖夜のナイスサプライズでした