「青娥先生? どこにいらっしゃるのですか? 悪ふざけもたいがいに…」
「はい豊聡耳様、ここでーす!」
午後の日差しが、渡り廊下に降り注ぐ。
その日差しの中、一人で辺りをきょろきょろと見回していたのは、白と紫色の上等な着物に身を包んだ人物であった。そしてその背中に、どこからともなく、青色の髪の女性が飛びついた。いきなり飛びつかれた側は、体勢を崩してしまい、そのまま顔から床めがけてどどっ、とこけてしまった。
「あっははー豊聡耳様、ごめんなさーい。もうお茶の時間ですよねー。お誘いにきて下さったんですよねー。最近、従者の御二方と執務室にこもりっきりで、一人でお茶するの退屈だったんですよ? お忙しいのはわかりますけどー。もう少ぉしくらい…って、あれ、いつまで蹲っているんです? 豊聡耳様? ねぇ? あの?」
地面に倒された方は、ぴくりとも動かなかった。いや、それだけではない。首筋、手などの部分がまるで血が通っていないかのように、白くなっている。それを見て、飛びついた方の女は、同じように真っ青になった。
「と、豊聡耳様ぁっ!」
女は、慌てて駆け寄ると、うつぶせの人物を抱き起した。そして目を丸くした。
「っぷ、あははははははは!」
抱き起された方が、大声を上げて笑った。
「いやー、私もついに青娥先生でも見破れないくらいに、生の気を操ることができるようになったということですね。なかなかの進歩です」
その人物はささっと立ち上がると、顔を真っ赤にして口を開いたり閉じたりしている女性をしり目に、服の乱れを正した。血色はすでに良い。
「この間青娥先生がこれをしたときは焦りましたよ。ただ、元々色白の先生より、私がやる方がより効果的ですね。では、お茶に行きましょうか」
「………。…嫌です」
「む、確かに最近執務が重なり、お相手できなかったことは申し訳なく思っております。ただ、今回やっと時間を作ることができたので、是非青娥先生とお話しできればと思っているのですけれども。もしや急にお腹の具合でも…」
「違ぁいます! 純粋に楽しみにしていた私に対しての、くだらないからかいが気に食わないだけです!」
良く晴れた日。とある為政者のこの御殿にて、霍青娥は何度声を張り上げただろうか。どちらかというと静かな物言いをする性格だと自負していた彼女だったが、この人の前でだけは、なぜか、声が高くなってしまう。げらげら笑いながら逃げるこの人を、ムキになって追いかけていた。ひとしきり走り回って追いついた頃には、自分も何故だか笑っていたような気がする。
それは遥か昔の陽だまりの思い出。
今もあの人は同じ日のことを覚えているだろうか。いや、案外話を持ち出せば、思い出してくれるかもしれない。けれど、自分が持ち出さずとも、あの人から思い出したりはしてくれないのだろうか。
蒸し暑い。
庭の木はほとんど裸になり、数えるほどしかない葉が僅かばかりくっついている。ここ数日、冷たい風が吹いていた日々であったが、今日は太陽の勢いがあり、どこの家庭でも室内にいるのが憚られるような湿気と熱気であった。
しかし、そんな中でも、どこかへ涼みに行こうという気持ちになれず、何をするわけでもなくただそこにいる。
縁側に座った霍青娥は、庭に向けて突き出した素足をぶらぶらと揺らしていた。
午後のきつい陽ざしが素足を包む。服の中にはじんわりと汗がにじむ。
それでも、動かずじっとして、青娥は宙をぼうっと見つめながら、だいぶ前から空っぽになった湯飲みに口をつけたり離したりしていた。
「おや、青娥」
馴染みの声がした。
青娥は反射的に素足を引っ込めた。そして、落ち着いてゆっくり振り返った。
青娥の高く結った青い髪がふゆんと揺れた。
目線の先には、無造作に結い上げた髪が、動物の耳のようにぴんと立っている少女が、顔を汗でてからせ、母親の元に走ってきた子犬のような笑顔で立っていた。
「ごきげんよう、豊聡耳様」
青娥が言葉を返すと、豊聡耳と呼ばれた少女は目を細め、口角をくいっと上げた。
そして手に持っていた、向こう側が透けて見えるほど薄手の紫色の外套を、くるくると畳んで手の中に収めると、ぎゅっとこぶしを握った。こぶしを開いた時には、外套は消えていた。
もし、今の彼女の芸当を里の子供たちが見ていたら、ちょっとした驚きの声が上がっていただろう。幼子は不思議さに目を丸くし、少し大きな子は外套がどこかに上手に隠してあると思って、色々思案してみるだろう。彼女に、手品の種がどんなものなのか教えてもらおうとするかもしれない。
だけれど、それはなかなかに難しいことだった。
というのも、少女が行ったのは手先の技術ではなかったからだ。遥かな昔、人が人を超えようとして編み出した、素養を持つもののみが扱える秘術の一端であったからだ。
外套をどこかへやってしまうためなどではなく、手、目、耳、口を遥か彼方まで張り巡らし、他を掌握することを歩む道として生きていくことに決めた者たちが、心血を注いで会得する類のものであった。
そして、青娥自らが、この少女、豊聡耳神子に教えたものであった。
青娥は素足をおしりの下に畳むと、体ごと神子に向き合った。
「豊聡耳様、私に何か御用でしょうか」
「いやあ、今日は本当に暑いですねぇ」
神子はすたすたと青娥の横に歩み寄ると、すとんと腰を下ろした。
「先ほど命蓮寺の飛行寺に見学に行ってきたのですがね、飛んでいるときに空調がおかしくなったようで、もう暑いのなんの。地獄をみましたよ。まぁ、修行の形としては寺で地獄を見られるというのは、ある意味良いことなのかも、しれないですけれどね」
神子は一人で喋り、けらけらと笑った。
「おや、空になっていますね」
神子は青娥の手元の湯飲みをのぞき込んで言った。
「えぇ、今さっき飲み終わったところですわ」
青娥は素早く答えると、手のひらに湯飲みを乗せ、包み込むようにこぶしをぎゅっと握った。開いた時には湯飲みは無くなっていた。
「それで、豊聡耳様、命蓮寺に寒気の結界でも張ってこればよろしいですか」
神子はそれを聞いて少しだけ首を傾げた。そして、まじまじと青娥を見つめる。見つめられた青娥はなんだか居心地が悪くなった。けれど、それを顔に出すようなことはせず、返答を待った。
ほんの少し間をおいて、神子は、
「いえいえ、別にそれはいいのです」
そう言ってくっくと笑った。
「ただ、青娥が一人きりで縁側でのんびりしているところがですね、珍しかったものですから。それで、どうしたのか気になったのですよ」
それを聞いた青娥は途端に口を尖らせた。
「あらまぁ、ただ縁側に座っているだけのことがおかしなことなのでしょうか。豊聡耳様は、私がこんなところにいるのは不自然なことだと?」
青娥はそう言い終わると、手で口元を隠すと、ほほほと乾いた笑い声を上げて、さっと庭の方に顔を向けた。
「青娥」
ややあって神子も、冗談めかして息をはいたが、その眉尻は困ったように下がっていた。
「別に含みがあるわけではないのです。ただ、いつも何かの計画を進行中の貴女が、一人でのんびりとしている様子が珍しかっただけなのですよ。大抵私が目にする貴女は、芳香と楽しそうにしているか、誰かを貶め…えぇっと、楽しげに鑑賞しているか、ですからね」
「芳香ちゃんはお遣いに行っています。それに私だって、一人で過ごしたい時くらいありますわ。そして、そんな私に面白みを感じられるのは、豊聡耳様のご自由です。えぇ、なんとも思っていませんわ」
普段は他人をからかったり、面白おかしく観察するのが大好きな青娥ではあるが、いざ自分が観察対象となった場合はたとえ相手が神子であろうとも、面白いものではなかった。
それを聞いた神子は、青娥同様に正座になり、居住まいを正した。
「ほほう。私だけが面白がっていた、というのは問題ですね。青娥が全く面白くない時間を過ごしている中、私だけが愉快に時を過ごしているなどと。同じ空間にいるのにも関わらず、ですよ? これは面白さの独占ですね。いけない、いけない。やはり面白いというものは共有するべきものである故、私だけというのは由々しき…」
「違います。勝手に人の様子を面白がっている豊聡耳様の態度が、面白くないと言ったのです」
そう言ってから、青娥は口をぎゅっと結ぶと、庭の砂利に目をこらした。会話が噛み合っていないような神子を見るよりもマシに思えた。
神子も口を閉じると、そうして黙ってしまった青娥を見やりながら、同じように庭の方に目線を向けた。
庭の隅の木は、もうほとんど幹と枝のみのため、一瞥しただけでは、庭全体はこざっぱりしただけの、単なるだだっ広い空間となっていた。けれど、白い砂利を敷き詰めた地面は、不規則に波打ったり、渦を巻いていたりしている。童女が走り回ったあとのような砂利の文様のおかげで、奇妙なにぎやかさがあった。
青娥は、本日の庭掃除担当の同居人が朝食の時に言っていた、物部流枯山水という言葉を思い出した。もう一人の別の同居人はきちんと掃除ができていないと、苦々しい表情をしていたが、その場にいた神子は笑っていた。
そういえば、その時の自分はどういった表情をしていただろうか。全く記憶にない。
その時一緒にいた、神子なら覚えているだろうか。
青娥はこっそりと横目で神子の方を窺った。神子はまっすぐに庭を見ていた。その横顔を見て、青娥はもう随分とこのようにして神子の顔を見たことが無かったように思った。
まだ自分が彼女よりも多くの秘術を知っていた頃。一心不乱に為政者としての道を駆けていた神子の、目に星の灯りを映しながらも、星よりも遠くの何かを見つめる横顔。降るような星空の夜、それを見たことを思い出した。
「ねぇ、青娥」
神子がふいに問いかけた。青娥はすぐに返事をしそうになって、慌てて言葉を喉に飲み込んだ。そして、少しだけ時間を置いて、庭の方を向いたまま、できるだけ気だるそうに返事をした。
「なんでしょうか」
「この庭を、どう思いますか」
神子はゆっくりと問いかけた。
もう一度青娥は、にぎやかな枯山水に目をやった。
注意して見ると、神子が来る前からずっと見ていた庭だったのに、あちこちに気付くところがあった。
「作りかけで辞めてしまった、という表現が当てはまるかと思います」
「作りかけ?」
「例えば」
青娥は人差し指を庭の一か所に向けた。
「ほら、あそこです。あそこだけ、砂利の上に掘り返されたままの土が散っています。白の上に茶が無意味に散って。布都さんが見落としたのでしょうね。それに所々枯葉も残っていますし、屠自古さんが朝怒っていたのもわかります」
「ふむ」
それを聞いた神子は、ひょいっと飛び上がると庭先に降り立った。そして足元をのぞき込んだ。
「ほうほう、ここかな…ああ確かに。なるほど」
そして、神子は虚空に腕を振って、何も無いところから箒と熊手を持ち出すと、ささっと砂利を被せなおした。
「豊聡耳様、何もあなたがそんなことをしなくとも良いでしょう」
青娥は神子の突然の行動に、呆れた声で言った。なぜこのような御人が、庭掃除などするのか、疑問であった。掃除当番には、神子は入っていなかった。ただ、それを聞いて神子はからからと笑い声を上げた。
「いえいえ、気づいたものがやれば良いのです」
そうやって笑う神子に対して、青娥はまたもや面白くなくなった。
「それならば、気づいたのは私でしょう。命じて下されば…」
「ふふ。では、やりたい者がやれば良いのです」
神子はいたずらっぽく目を細めた。
そんなことを言い始めては、当番を決めた意味が無くなる、やはり当番通り布都さんに…と口にだそうとして、青娥は神子がまた自分をからかおうとしているのではと思った。ああ言えばこう言う、といった形で、まともに会話するのではなく、頭に浮かんだ言葉を、ぽんぽんと言っているだけなのだ。
しかし、自分をからかってくるような者は、昔から神子くらいなものであったことも思い出した。まだ、自分が秘術の手ほどきをしていた頃から、目に星を宿したこの御人は青娥に対し、こちらを本気で心配させるようなことをして、笑っていた。
「豊聡耳様」
ふいに口が走った。
神子は青娥を見つめた。
見据えられた青娥は、自分に続きの言葉が無いことに気がついた。
「あっ…」
呼びかけた以上、何か言わなくてはと思ったが、そう思えば思うほど、頭の片隅に浮かんだ星の光が、薄れて消えていってしまうようだった。
「なんでしょうか、青娥」
神子は庭先からつつっと走り、青娥の傍までやってきた。
「私…」
「はい」
青娥は、灯り無しの闇夜へ踏み出すのを躊躇するように、言葉に詰まった。
一歩先に何があるかわからない。奈落か、壁か。ただ既に言葉を踏み出してしまった。もちろん、なんでもありません、と言って何事も無かったようにもできるけれど。
ただその時、青娥は神子の目の中で何かがふゆんと動いたように見えた。
星の光では無かった。
それは自分の結った髪だった。
青娥はその瞬間、無意識に言葉を発していた。
「私に…御用は…ありませんか」
絞り出すようなつぶやきだった。
ただ、その瞬間神子の眼に光が灯った。少なくとも青娥にはそのように見えた。
「それっ!」
神子は後ろ向きに庭の中央へ飛び退ると、熊手と箒をまたどこかへ消すと、こんどは手を真上にかざした。
途端に、庭に風が吹き荒れた。
神子を中心にしてぐるぐると回る風は、砂利の間に挟まった落ち葉だけを巻き上げた。そして、それらは空中で一列になって静止したり、螺旋を描いて踊ったりした。
「豊聡耳様?」
「私がみえますかぁっ!」
神子が声を張った。落ち葉の数が明らかに増えていた。この庭のどこにこれ程の落ち葉があったのだろうか。風の流れに乗って、神子と青娥の間に壁を作っている。葉の隙間から、ちらちらと神子の姿が見えた。風圧に目を細めながら、青娥は神子を見失いたくなくて目をこらした。
ふいに、風が止んだ。落ち葉は無風の中、空中に静止している。
神子の姿は、どこにも無かった。
青娥は次に何が起こるかわかるような気がした。いや、それが起こってくれたら良いな、と思った。
青娥がその場から飛び上がると同時に、今まで座っていたところのすぐ後ろに神子が現れて、小突くように指を突き出していた。だが、その表情は、躱されたことにいささか驚いているようであった。
「むむ、避けられてしまいましたか」
「当り前ですわ」
庭に降り立った青娥は、いつの間にか履いた靴のつま先を地面に打ち付けながら、くすっとほほ笑んだ。
「あは、その顔」
「え?」
神子はもう一度腕を掲げた。空中で静止していた落ち葉は大部分が霞のように消え、残ったものは庭の隅の桶に収まった。
「私が教わった術で、あなたにやり返した時は、いつもそんな顔をしていましたね」
青娥は息が詰まった。
遥か昔、時の為政者であった神子に、青娥が近づいたのは、単純に面白そうなことに出会えると思ったからだった。もともと、他人にはできないことをできるようになることは面白かった。称賛を得たりするのも心地よかった。だから、人智を超えた秘術に手を出した。そして、そんな彼女の能力を必要とし、教えを乞う為政者の人物に出会えたことも面白かった。見返りに、宮廷で美味しいものをご馳走してもらったり、珍しいものを見せてもらえたりした。それが、自分から探しに行ったものでなく、感謝の印として送られるというのも、なかなか愉快であった。時には、神子の片腕として命じられる仕事についても、傍にいなければ体験しえぬであろうものだったし、冷たい闘いの世界での勝ち負けも、そのどちらに転んでも青娥にとっては面白いものであった。
神子の歩む道には、自分が体験しえぬ面白いものばかりが待っている。そう思って、青娥は満ち足りていた。
ただ、もともと聡明な神子は、次第に青娥に秘術についても、教えを乞うことが無くなっていった。そして、永い眠りを経て、為政者として駆けた世ではなくなった今、政治の闘いに身を置く生活でもなくなった。もちろん今でも面白いことはある。この今住む世界には、青娥の興味の対象は多く存在した。けれども、かつて神子が青娥を見る眼差しに抱いてくれていたものは、もう永久に無くなってしまったように感じていた。
今の自分は、まるで、飲み干された湯飲みのようなものではないのだろうか。
「と、豊聡耳様…!」
「青娥! もう今の貴女は私にとって、決して戦友だけの人でも、師だけの人でもない! 過去はそうであった。だけれど、今は、私がその笑顔をいつも見ていたいと、焦がれる人なんだ!」
一息でそこまで張った声のあと、神子ははにかむように笑って続けた。
「それでは、いけませんか?」
神子はそう尋ねた。
青娥にとってそれは、暖かく、緩やかで、心地よかった。彼女の心が求める欲を聴いてくれたのだろうという嬉しさがこみあげてきた。そして、思い出の陽だまりよりも、確かな熱が今の青娥を包んだ。
ただ、だからこそ、青娥は今この瞬間、それだけでは満足できなくなった。
ふっと青娥の姿がかき消えた。空中には、青娥が髪にさしていた簪のみが残された。簪はゆっくりと水に沈むように落ちていく。神子はそれが地面につく前に手に取った。きょろきょろと辺りを見回す。
突然、神子の視界が青娥の顔で覆われた。神子が声を上げるより早く、青娥は神子を抱きしめると、自分の唇を神子の唇に押し当てた。そして、手を離すとすぐに高く飛び上がって、とんぼ返りをしながら、庭を囲う塀の屋根に着地した。
「わ、私。芳香ちゃんを迎えに行ってきますから!」
青娥は、外の方を向きながら怒鳴ってから、ちらっと神子を窺った。
神子は、青娥の早業に目を丸くしていた。
それを見て、青娥は自分の心臓が早鐘のように鳴った。
「な、や、やりますね青娥。…で、では…また後で…」
神子は頬を染め、悔しそうに目を伏せた。
青娥はすぐに飛び上がった。全身を夕日の朱の光の中に投げいれた。
正面の夕日のせいなのか、青娥は顔が熱くてしょうがなかった。
「なんでも知ってしまうあなたを、驚かせたいわ。いつまでも、いつまでも」
「せーが、今日何かあったのかー」
「えぇっ? ど、どうして?」
「なんかたのしそーだぞー」
「そ、そー見える? 流石芳香ちゃんねー」
「いつも見ているからなー」
「もぉ大好き! ちゅーしちゃう!」
「えぇ…う、うん。…うん。 …もういいかぁ?」
「えー芳香ちゃん冷たーぁいー」
「しんでるからなー。そういえば、髪どうしたー。簪失くしたのかー」
「えー? うふふ、失くしてないわー。今夜きっと返しにきてくれるわぁー。うふふ」
「あぁ、そ、そーかー…」
「えへへー。そうなのよー」
「はい豊聡耳様、ここでーす!」
午後の日差しが、渡り廊下に降り注ぐ。
その日差しの中、一人で辺りをきょろきょろと見回していたのは、白と紫色の上等な着物に身を包んだ人物であった。そしてその背中に、どこからともなく、青色の髪の女性が飛びついた。いきなり飛びつかれた側は、体勢を崩してしまい、そのまま顔から床めがけてどどっ、とこけてしまった。
「あっははー豊聡耳様、ごめんなさーい。もうお茶の時間ですよねー。お誘いにきて下さったんですよねー。最近、従者の御二方と執務室にこもりっきりで、一人でお茶するの退屈だったんですよ? お忙しいのはわかりますけどー。もう少ぉしくらい…って、あれ、いつまで蹲っているんです? 豊聡耳様? ねぇ? あの?」
地面に倒された方は、ぴくりとも動かなかった。いや、それだけではない。首筋、手などの部分がまるで血が通っていないかのように、白くなっている。それを見て、飛びついた方の女は、同じように真っ青になった。
「と、豊聡耳様ぁっ!」
女は、慌てて駆け寄ると、うつぶせの人物を抱き起した。そして目を丸くした。
「っぷ、あははははははは!」
抱き起された方が、大声を上げて笑った。
「いやー、私もついに青娥先生でも見破れないくらいに、生の気を操ることができるようになったということですね。なかなかの進歩です」
その人物はささっと立ち上がると、顔を真っ赤にして口を開いたり閉じたりしている女性をしり目に、服の乱れを正した。血色はすでに良い。
「この間青娥先生がこれをしたときは焦りましたよ。ただ、元々色白の先生より、私がやる方がより効果的ですね。では、お茶に行きましょうか」
「………。…嫌です」
「む、確かに最近執務が重なり、お相手できなかったことは申し訳なく思っております。ただ、今回やっと時間を作ることができたので、是非青娥先生とお話しできればと思っているのですけれども。もしや急にお腹の具合でも…」
「違ぁいます! 純粋に楽しみにしていた私に対しての、くだらないからかいが気に食わないだけです!」
良く晴れた日。とある為政者のこの御殿にて、霍青娥は何度声を張り上げただろうか。どちらかというと静かな物言いをする性格だと自負していた彼女だったが、この人の前でだけは、なぜか、声が高くなってしまう。げらげら笑いながら逃げるこの人を、ムキになって追いかけていた。ひとしきり走り回って追いついた頃には、自分も何故だか笑っていたような気がする。
それは遥か昔の陽だまりの思い出。
今もあの人は同じ日のことを覚えているだろうか。いや、案外話を持ち出せば、思い出してくれるかもしれない。けれど、自分が持ち出さずとも、あの人から思い出したりはしてくれないのだろうか。
蒸し暑い。
庭の木はほとんど裸になり、数えるほどしかない葉が僅かばかりくっついている。ここ数日、冷たい風が吹いていた日々であったが、今日は太陽の勢いがあり、どこの家庭でも室内にいるのが憚られるような湿気と熱気であった。
しかし、そんな中でも、どこかへ涼みに行こうという気持ちになれず、何をするわけでもなくただそこにいる。
縁側に座った霍青娥は、庭に向けて突き出した素足をぶらぶらと揺らしていた。
午後のきつい陽ざしが素足を包む。服の中にはじんわりと汗がにじむ。
それでも、動かずじっとして、青娥は宙をぼうっと見つめながら、だいぶ前から空っぽになった湯飲みに口をつけたり離したりしていた。
「おや、青娥」
馴染みの声がした。
青娥は反射的に素足を引っ込めた。そして、落ち着いてゆっくり振り返った。
青娥の高く結った青い髪がふゆんと揺れた。
目線の先には、無造作に結い上げた髪が、動物の耳のようにぴんと立っている少女が、顔を汗でてからせ、母親の元に走ってきた子犬のような笑顔で立っていた。
「ごきげんよう、豊聡耳様」
青娥が言葉を返すと、豊聡耳と呼ばれた少女は目を細め、口角をくいっと上げた。
そして手に持っていた、向こう側が透けて見えるほど薄手の紫色の外套を、くるくると畳んで手の中に収めると、ぎゅっとこぶしを握った。こぶしを開いた時には、外套は消えていた。
もし、今の彼女の芸当を里の子供たちが見ていたら、ちょっとした驚きの声が上がっていただろう。幼子は不思議さに目を丸くし、少し大きな子は外套がどこかに上手に隠してあると思って、色々思案してみるだろう。彼女に、手品の種がどんなものなのか教えてもらおうとするかもしれない。
だけれど、それはなかなかに難しいことだった。
というのも、少女が行ったのは手先の技術ではなかったからだ。遥かな昔、人が人を超えようとして編み出した、素養を持つもののみが扱える秘術の一端であったからだ。
外套をどこかへやってしまうためなどではなく、手、目、耳、口を遥か彼方まで張り巡らし、他を掌握することを歩む道として生きていくことに決めた者たちが、心血を注いで会得する類のものであった。
そして、青娥自らが、この少女、豊聡耳神子に教えたものであった。
青娥は素足をおしりの下に畳むと、体ごと神子に向き合った。
「豊聡耳様、私に何か御用でしょうか」
「いやあ、今日は本当に暑いですねぇ」
神子はすたすたと青娥の横に歩み寄ると、すとんと腰を下ろした。
「先ほど命蓮寺の飛行寺に見学に行ってきたのですがね、飛んでいるときに空調がおかしくなったようで、もう暑いのなんの。地獄をみましたよ。まぁ、修行の形としては寺で地獄を見られるというのは、ある意味良いことなのかも、しれないですけれどね」
神子は一人で喋り、けらけらと笑った。
「おや、空になっていますね」
神子は青娥の手元の湯飲みをのぞき込んで言った。
「えぇ、今さっき飲み終わったところですわ」
青娥は素早く答えると、手のひらに湯飲みを乗せ、包み込むようにこぶしをぎゅっと握った。開いた時には湯飲みは無くなっていた。
「それで、豊聡耳様、命蓮寺に寒気の結界でも張ってこればよろしいですか」
神子はそれを聞いて少しだけ首を傾げた。そして、まじまじと青娥を見つめる。見つめられた青娥はなんだか居心地が悪くなった。けれど、それを顔に出すようなことはせず、返答を待った。
ほんの少し間をおいて、神子は、
「いえいえ、別にそれはいいのです」
そう言ってくっくと笑った。
「ただ、青娥が一人きりで縁側でのんびりしているところがですね、珍しかったものですから。それで、どうしたのか気になったのですよ」
それを聞いた青娥は途端に口を尖らせた。
「あらまぁ、ただ縁側に座っているだけのことがおかしなことなのでしょうか。豊聡耳様は、私がこんなところにいるのは不自然なことだと?」
青娥はそう言い終わると、手で口元を隠すと、ほほほと乾いた笑い声を上げて、さっと庭の方に顔を向けた。
「青娥」
ややあって神子も、冗談めかして息をはいたが、その眉尻は困ったように下がっていた。
「別に含みがあるわけではないのです。ただ、いつも何かの計画を進行中の貴女が、一人でのんびりとしている様子が珍しかっただけなのですよ。大抵私が目にする貴女は、芳香と楽しそうにしているか、誰かを貶め…えぇっと、楽しげに鑑賞しているか、ですからね」
「芳香ちゃんはお遣いに行っています。それに私だって、一人で過ごしたい時くらいありますわ。そして、そんな私に面白みを感じられるのは、豊聡耳様のご自由です。えぇ、なんとも思っていませんわ」
普段は他人をからかったり、面白おかしく観察するのが大好きな青娥ではあるが、いざ自分が観察対象となった場合はたとえ相手が神子であろうとも、面白いものではなかった。
それを聞いた神子は、青娥同様に正座になり、居住まいを正した。
「ほほう。私だけが面白がっていた、というのは問題ですね。青娥が全く面白くない時間を過ごしている中、私だけが愉快に時を過ごしているなどと。同じ空間にいるのにも関わらず、ですよ? これは面白さの独占ですね。いけない、いけない。やはり面白いというものは共有するべきものである故、私だけというのは由々しき…」
「違います。勝手に人の様子を面白がっている豊聡耳様の態度が、面白くないと言ったのです」
そう言ってから、青娥は口をぎゅっと結ぶと、庭の砂利に目をこらした。会話が噛み合っていないような神子を見るよりもマシに思えた。
神子も口を閉じると、そうして黙ってしまった青娥を見やりながら、同じように庭の方に目線を向けた。
庭の隅の木は、もうほとんど幹と枝のみのため、一瞥しただけでは、庭全体はこざっぱりしただけの、単なるだだっ広い空間となっていた。けれど、白い砂利を敷き詰めた地面は、不規則に波打ったり、渦を巻いていたりしている。童女が走り回ったあとのような砂利の文様のおかげで、奇妙なにぎやかさがあった。
青娥は、本日の庭掃除担当の同居人が朝食の時に言っていた、物部流枯山水という言葉を思い出した。もう一人の別の同居人はきちんと掃除ができていないと、苦々しい表情をしていたが、その場にいた神子は笑っていた。
そういえば、その時の自分はどういった表情をしていただろうか。全く記憶にない。
その時一緒にいた、神子なら覚えているだろうか。
青娥はこっそりと横目で神子の方を窺った。神子はまっすぐに庭を見ていた。その横顔を見て、青娥はもう随分とこのようにして神子の顔を見たことが無かったように思った。
まだ自分が彼女よりも多くの秘術を知っていた頃。一心不乱に為政者としての道を駆けていた神子の、目に星の灯りを映しながらも、星よりも遠くの何かを見つめる横顔。降るような星空の夜、それを見たことを思い出した。
「ねぇ、青娥」
神子がふいに問いかけた。青娥はすぐに返事をしそうになって、慌てて言葉を喉に飲み込んだ。そして、少しだけ時間を置いて、庭の方を向いたまま、できるだけ気だるそうに返事をした。
「なんでしょうか」
「この庭を、どう思いますか」
神子はゆっくりと問いかけた。
もう一度青娥は、にぎやかな枯山水に目をやった。
注意して見ると、神子が来る前からずっと見ていた庭だったのに、あちこちに気付くところがあった。
「作りかけで辞めてしまった、という表現が当てはまるかと思います」
「作りかけ?」
「例えば」
青娥は人差し指を庭の一か所に向けた。
「ほら、あそこです。あそこだけ、砂利の上に掘り返されたままの土が散っています。白の上に茶が無意味に散って。布都さんが見落としたのでしょうね。それに所々枯葉も残っていますし、屠自古さんが朝怒っていたのもわかります」
「ふむ」
それを聞いた神子は、ひょいっと飛び上がると庭先に降り立った。そして足元をのぞき込んだ。
「ほうほう、ここかな…ああ確かに。なるほど」
そして、神子は虚空に腕を振って、何も無いところから箒と熊手を持ち出すと、ささっと砂利を被せなおした。
「豊聡耳様、何もあなたがそんなことをしなくとも良いでしょう」
青娥は神子の突然の行動に、呆れた声で言った。なぜこのような御人が、庭掃除などするのか、疑問であった。掃除当番には、神子は入っていなかった。ただ、それを聞いて神子はからからと笑い声を上げた。
「いえいえ、気づいたものがやれば良いのです」
そうやって笑う神子に対して、青娥はまたもや面白くなくなった。
「それならば、気づいたのは私でしょう。命じて下されば…」
「ふふ。では、やりたい者がやれば良いのです」
神子はいたずらっぽく目を細めた。
そんなことを言い始めては、当番を決めた意味が無くなる、やはり当番通り布都さんに…と口にだそうとして、青娥は神子がまた自分をからかおうとしているのではと思った。ああ言えばこう言う、といった形で、まともに会話するのではなく、頭に浮かんだ言葉を、ぽんぽんと言っているだけなのだ。
しかし、自分をからかってくるような者は、昔から神子くらいなものであったことも思い出した。まだ、自分が秘術の手ほどきをしていた頃から、目に星を宿したこの御人は青娥に対し、こちらを本気で心配させるようなことをして、笑っていた。
「豊聡耳様」
ふいに口が走った。
神子は青娥を見つめた。
見据えられた青娥は、自分に続きの言葉が無いことに気がついた。
「あっ…」
呼びかけた以上、何か言わなくてはと思ったが、そう思えば思うほど、頭の片隅に浮かんだ星の光が、薄れて消えていってしまうようだった。
「なんでしょうか、青娥」
神子は庭先からつつっと走り、青娥の傍までやってきた。
「私…」
「はい」
青娥は、灯り無しの闇夜へ踏み出すのを躊躇するように、言葉に詰まった。
一歩先に何があるかわからない。奈落か、壁か。ただ既に言葉を踏み出してしまった。もちろん、なんでもありません、と言って何事も無かったようにもできるけれど。
ただその時、青娥は神子の目の中で何かがふゆんと動いたように見えた。
星の光では無かった。
それは自分の結った髪だった。
青娥はその瞬間、無意識に言葉を発していた。
「私に…御用は…ありませんか」
絞り出すようなつぶやきだった。
ただ、その瞬間神子の眼に光が灯った。少なくとも青娥にはそのように見えた。
「それっ!」
神子は後ろ向きに庭の中央へ飛び退ると、熊手と箒をまたどこかへ消すと、こんどは手を真上にかざした。
途端に、庭に風が吹き荒れた。
神子を中心にしてぐるぐると回る風は、砂利の間に挟まった落ち葉だけを巻き上げた。そして、それらは空中で一列になって静止したり、螺旋を描いて踊ったりした。
「豊聡耳様?」
「私がみえますかぁっ!」
神子が声を張った。落ち葉の数が明らかに増えていた。この庭のどこにこれ程の落ち葉があったのだろうか。風の流れに乗って、神子と青娥の間に壁を作っている。葉の隙間から、ちらちらと神子の姿が見えた。風圧に目を細めながら、青娥は神子を見失いたくなくて目をこらした。
ふいに、風が止んだ。落ち葉は無風の中、空中に静止している。
神子の姿は、どこにも無かった。
青娥は次に何が起こるかわかるような気がした。いや、それが起こってくれたら良いな、と思った。
青娥がその場から飛び上がると同時に、今まで座っていたところのすぐ後ろに神子が現れて、小突くように指を突き出していた。だが、その表情は、躱されたことにいささか驚いているようであった。
「むむ、避けられてしまいましたか」
「当り前ですわ」
庭に降り立った青娥は、いつの間にか履いた靴のつま先を地面に打ち付けながら、くすっとほほ笑んだ。
「あは、その顔」
「え?」
神子はもう一度腕を掲げた。空中で静止していた落ち葉は大部分が霞のように消え、残ったものは庭の隅の桶に収まった。
「私が教わった術で、あなたにやり返した時は、いつもそんな顔をしていましたね」
青娥は息が詰まった。
遥か昔、時の為政者であった神子に、青娥が近づいたのは、単純に面白そうなことに出会えると思ったからだった。もともと、他人にはできないことをできるようになることは面白かった。称賛を得たりするのも心地よかった。だから、人智を超えた秘術に手を出した。そして、そんな彼女の能力を必要とし、教えを乞う為政者の人物に出会えたことも面白かった。見返りに、宮廷で美味しいものをご馳走してもらったり、珍しいものを見せてもらえたりした。それが、自分から探しに行ったものでなく、感謝の印として送られるというのも、なかなか愉快であった。時には、神子の片腕として命じられる仕事についても、傍にいなければ体験しえぬであろうものだったし、冷たい闘いの世界での勝ち負けも、そのどちらに転んでも青娥にとっては面白いものであった。
神子の歩む道には、自分が体験しえぬ面白いものばかりが待っている。そう思って、青娥は満ち足りていた。
ただ、もともと聡明な神子は、次第に青娥に秘術についても、教えを乞うことが無くなっていった。そして、永い眠りを経て、為政者として駆けた世ではなくなった今、政治の闘いに身を置く生活でもなくなった。もちろん今でも面白いことはある。この今住む世界には、青娥の興味の対象は多く存在した。けれども、かつて神子が青娥を見る眼差しに抱いてくれていたものは、もう永久に無くなってしまったように感じていた。
今の自分は、まるで、飲み干された湯飲みのようなものではないのだろうか。
「と、豊聡耳様…!」
「青娥! もう今の貴女は私にとって、決して戦友だけの人でも、師だけの人でもない! 過去はそうであった。だけれど、今は、私がその笑顔をいつも見ていたいと、焦がれる人なんだ!」
一息でそこまで張った声のあと、神子ははにかむように笑って続けた。
「それでは、いけませんか?」
神子はそう尋ねた。
青娥にとってそれは、暖かく、緩やかで、心地よかった。彼女の心が求める欲を聴いてくれたのだろうという嬉しさがこみあげてきた。そして、思い出の陽だまりよりも、確かな熱が今の青娥を包んだ。
ただ、だからこそ、青娥は今この瞬間、それだけでは満足できなくなった。
ふっと青娥の姿がかき消えた。空中には、青娥が髪にさしていた簪のみが残された。簪はゆっくりと水に沈むように落ちていく。神子はそれが地面につく前に手に取った。きょろきょろと辺りを見回す。
突然、神子の視界が青娥の顔で覆われた。神子が声を上げるより早く、青娥は神子を抱きしめると、自分の唇を神子の唇に押し当てた。そして、手を離すとすぐに高く飛び上がって、とんぼ返りをしながら、庭を囲う塀の屋根に着地した。
「わ、私。芳香ちゃんを迎えに行ってきますから!」
青娥は、外の方を向きながら怒鳴ってから、ちらっと神子を窺った。
神子は、青娥の早業に目を丸くしていた。
それを見て、青娥は自分の心臓が早鐘のように鳴った。
「な、や、やりますね青娥。…で、では…また後で…」
神子は頬を染め、悔しそうに目を伏せた。
青娥はすぐに飛び上がった。全身を夕日の朱の光の中に投げいれた。
正面の夕日のせいなのか、青娥は顔が熱くてしょうがなかった。
「なんでも知ってしまうあなたを、驚かせたいわ。いつまでも、いつまでも」
「せーが、今日何かあったのかー」
「えぇっ? ど、どうして?」
「なんかたのしそーだぞー」
「そ、そー見える? 流石芳香ちゃんねー」
「いつも見ているからなー」
「もぉ大好き! ちゅーしちゃう!」
「えぇ…う、うん。…うん。 …もういいかぁ?」
「えー芳香ちゃん冷たーぁいー」
「しんでるからなー。そういえば、髪どうしたー。簪失くしたのかー」
「えー? うふふ、失くしてないわー。今夜きっと返しにきてくれるわぁー。うふふ」
「あぁ、そ、そーかー…」
「えへへー。そうなのよー」
神子ちゃんもイケメンに見えてウブで可愛いです!
文章も読みやすくて、読後感も爽やか。
これから期待させてもらいます!
神子に話しかけたはいいものの続きが出てこなくなったシーンがよかったです