Coolier - 新生・東方創想話

はたたん・いん・ぶるー いち

2018/11/16 22:40:59
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「ねぇ、文? なんで膝枕なわけ?」
「私がしたかったからです」
「なんでしたかったのよ」
「そこにはたてが居るからですよ」
「……理由になってないわよ、それ」

 突然はたての家に押しかけてきた文。押しかけてくることはしばしば有った。
 それはいい。
 上がるや否や「ほら、ここに」と膝を指差す文。これが問題だ。しばらくは抵抗したものの、まったくわからない理論をまくし立てられ、今に至る。
 はたてには文が膝枕をしに来た理由を理解できなかった。

「まあ、最近はたてが何か悩んでるようでしたので」
「それは——」

 たしかにはたては悩んでいた。深く、深く。

 元はと言えば、文が悪い。
 こうやって結構な頻度でウチに来ては、ご飯をたかったり、料理してくれたり、椛を誘って飲み会を開きだしたり、ゴロゴロしたり、新聞製作を手伝ってくれたり。
 どうしてこれほどまでにわたしに絡んでくるんだろうか。こんな根暗で、面白くもないわたしに。
 手料理はおいしいし、愚痴をこぼしたいときに来てくれるし、ふと人肌恋しくなったときに居てくれる。…………おかげですっかり勘違いしてしまった。
 でも、文は、わたしには不釣り合いだ。性別こそ気にしないけど、そのうち天魔様の直属になるなんて噂されてるから、わたしにかまけている暇なんてないはず。わたしなんかが出世街道を行く文の邪魔をしてはいけない。

 ——本当になんでなんだろう。よくよく考えてみたら、時間が取れないほど忙しいならこっちに来るはずもない。なら、どうして?

「ねぇ、文? どうしてこんなにわたしのところに遊びに来るわけ?」
「お邪魔でしたか?」

 ほらこれだ。そう言われれば返す言葉に迷う。嫌ではないし、むしろ嬉しいけども。

「い、いやっ、そういうわけじゃあないけど……その、仕事は忙しくないの?」
「これくらいの休みは許されますよ」

 ふふっ、と笑う文。はぐらかされた、と思う。なにがおかしいのか。手のひらで弄ばれてるような、小馬鹿にされてるような、ちょっぴり気に食わない。

「もうっ!」

 腕を背中に回してお腹に頭を押し付ける。ぐりぐり。でも優しい手つきで撫でられれば抵抗する気も起きなくなった。
そのうち続きます
ハーメルンにも載せてます
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コメント



0.80簡易評価
3.70名前が無い程度の能力削除
優しい空間ですね。展開を練る力を鍛えるのおススメです。