こんにちは、私は古明地こいし。覚り妖怪です。妖怪としてはマイナーかもしれません。あれから随分長いこと某所で働いていましたが、『生存報告をした方がいい』と上司に言われたのでやります。
私は元気です。今からみんなに会うことは出来ないですが、私は生きています。安心してください。この報告は一方通行なので、あなた方の返事を聞けないのは心苦しいですが、仕事の都合上仕方のないことです。だから何故会えないかちゃんと説明します。
まず、最近は夢と現実の自分が邂逅してしまうという現象が多発しています。もしも自分だと思われるものを目撃した場合は、なるべくばったりと出会ってしまうことが無いように気を付けてください。もしも出会ってしまうと心に何らかの障害が起きてしまい、最悪の場合は心が壊れて死に至ります。必ず逃げましょう。
仕組みは少し分かりにくいですが、自分と言う存在は、現実にいる自分と夢の中にいる自分が居ます。これは私以外も同様です。二つの自分は繋がっていますが、特殊な方法によりこの関係を崩し、現実の自分と繋がるはずの夢の自分を他人に入れ換えてしまう事ができます。それによって孤立した夢の自分が現実世界に飛び出し、好き勝手に行動していく。これが今回起きている異変です。
記号で例えるなら、現実世界の自分をA、夢の世界の自分をaとします。そして、自分以外の誰かをBとすると、
「A-a」として夢と正しく繋がっているはずの自分が、特殊な方法で「A-B」にしてしまう事ができ、孤立したaが夢から現実世界に入りだしてしまう。書いといてアレですが、上手く伝われば幸いです。
さて、この異変......まだ終わってません。続いてます。正直な話、早くなんとかしたいですが難しいのが現状です。理論上は誰でも出来てしまい、かつ制限しづらいから私たちは何も出来ていません。以前はこんな事は起きなかった筈なんですがね......
では上記の事を踏まえ、現在の私の事についてお話しします。私は今、夢の中で生きています。一応現実にも居るには居ますが、私は元々夢の中に生きている自分ではありません。「A-a」ではなく、「A(?)-A」という状態が分かりやすいと思います。現実の私は夢を見ないため、aは消滅しました。要するに、現実の私は心を無くして彷徨く奇妙な存在になっていて、無くした心は夢の中に放り出された状態になっています。原因は......教えられません、私は此処に来てから記憶を無くしましたから。
ただ、辛いことがあったからこうなったのは間違いないです。心が此方側に放り出されたということは、心が壊れる前に夢の中に避難させたからだと思います。私の上司は恐らく全てを知っているでしょう。私は「自分がこうなった理由が特定できるまで現実に戻ってはいけない」と上司に固く禁じられています。だから私は現実に帰ることが出来ません。ただ、現実の私は昔の私より幸福だと上司は教えてくれました。
話を変えましょう。私の仕事についてです。あの時迷子になっていた私は今の上司に運良く拾われました。それからは夢の世界の管理を手伝う仕事をしています。大変なお仕事ですが、楽しいです。清掃活動から迷子の救助、他人に被害をもたらす悪夢の駆除に深淵の監視など。深淵の監視というのは文字通り夢の辺境にある真っ暗な穴の監視で、時々そこから怪物が這い出てくることがあります。それをいち早く仲間に知らせ、怪物を討伐するための狩人たちを派遣します。
古代の深淵は現実の地下に存在していましたが、人間の行動範囲が広がるにつれて深海に場所が移されました。でも最近は深海にも人の手が及び始めているので、つい最近夢の中へ移動されました。深淵は世界に絶対に必要なもので、アレは私たちの友達なのです。光だけで世の中は出来ていません。闇が優しく寄り添ってくれる時もあります。最近の創作は闇を敵対者として表現しすぎな気がします。ただちょっとだけ、何処よりも殺伐としているだけなんですよ。やんちゃな子が外に出てはしゃがないようにするために監視してます。でも個人的には、光も闇も仲良くしてほしいです。
あ、そうだ。私はこの世界に来てからは心を読むことをしていません。心を読むより直接言葉で会話をする方が楽しいですから。あと、サードアイが原因で此方に放り出されたと私は考えています。だからなるべくサードアイを使うことは避けています。具体的に何が原因だったのか、家族か友達か、あるいは親しい者たちか赤の他人。覚り妖怪が心を手放すなんて、それだけ辛いことがあったのに忘れるということは、覚えていたくなかったからでしょうか。もしかしたら、心が危険にさらされたとか......心を吸収されるかもしれなかったとか? まさかそんなことは、ないでしょう。ぶっとびすぎか。
あまり長々と書いてもマンネリなので、この辺りで筆を置きます。いつか何処か、夢の中で会えるかもしれません。でも気を付けて、夢の世界に生きている私は、現実の私とはほぼ別の生き物だと思った方が良いです。考え方も行動規準も話し方さえも、まったくの別人だと思っておいてください。そもそも、別人なら気がつかないかもしれませんね。
私は元気です。今からみんなに会うことは出来ないですが、私は生きています。安心してください。この報告は一方通行なので、あなた方の返事を聞けないのは心苦しいですが、仕事の都合上仕方のないことです。だから何故会えないかちゃんと説明します。
まず、最近は夢と現実の自分が邂逅してしまうという現象が多発しています。もしも自分だと思われるものを目撃した場合は、なるべくばったりと出会ってしまうことが無いように気を付けてください。もしも出会ってしまうと心に何らかの障害が起きてしまい、最悪の場合は心が壊れて死に至ります。必ず逃げましょう。
仕組みは少し分かりにくいですが、自分と言う存在は、現実にいる自分と夢の中にいる自分が居ます。これは私以外も同様です。二つの自分は繋がっていますが、特殊な方法によりこの関係を崩し、現実の自分と繋がるはずの夢の自分を他人に入れ換えてしまう事ができます。それによって孤立した夢の自分が現実世界に飛び出し、好き勝手に行動していく。これが今回起きている異変です。
記号で例えるなら、現実世界の自分をA、夢の世界の自分をaとします。そして、自分以外の誰かをBとすると、
「A-a」として夢と正しく繋がっているはずの自分が、特殊な方法で「A-B」にしてしまう事ができ、孤立したaが夢から現実世界に入りだしてしまう。書いといてアレですが、上手く伝われば幸いです。
さて、この異変......まだ終わってません。続いてます。正直な話、早くなんとかしたいですが難しいのが現状です。理論上は誰でも出来てしまい、かつ制限しづらいから私たちは何も出来ていません。以前はこんな事は起きなかった筈なんですがね......
では上記の事を踏まえ、現在の私の事についてお話しします。私は今、夢の中で生きています。一応現実にも居るには居ますが、私は元々夢の中に生きている自分ではありません。「A-a」ではなく、「A(?)-A」という状態が分かりやすいと思います。現実の私は夢を見ないため、aは消滅しました。要するに、現実の私は心を無くして彷徨く奇妙な存在になっていて、無くした心は夢の中に放り出された状態になっています。原因は......教えられません、私は此処に来てから記憶を無くしましたから。
ただ、辛いことがあったからこうなったのは間違いないです。心が此方側に放り出されたということは、心が壊れる前に夢の中に避難させたからだと思います。私の上司は恐らく全てを知っているでしょう。私は「自分がこうなった理由が特定できるまで現実に戻ってはいけない」と上司に固く禁じられています。だから私は現実に帰ることが出来ません。ただ、現実の私は昔の私より幸福だと上司は教えてくれました。
話を変えましょう。私の仕事についてです。あの時迷子になっていた私は今の上司に運良く拾われました。それからは夢の世界の管理を手伝う仕事をしています。大変なお仕事ですが、楽しいです。清掃活動から迷子の救助、他人に被害をもたらす悪夢の駆除に深淵の監視など。深淵の監視というのは文字通り夢の辺境にある真っ暗な穴の監視で、時々そこから怪物が這い出てくることがあります。それをいち早く仲間に知らせ、怪物を討伐するための狩人たちを派遣します。
古代の深淵は現実の地下に存在していましたが、人間の行動範囲が広がるにつれて深海に場所が移されました。でも最近は深海にも人の手が及び始めているので、つい最近夢の中へ移動されました。深淵は世界に絶対に必要なもので、アレは私たちの友達なのです。光だけで世の中は出来ていません。闇が優しく寄り添ってくれる時もあります。最近の創作は闇を敵対者として表現しすぎな気がします。ただちょっとだけ、何処よりも殺伐としているだけなんですよ。やんちゃな子が外に出てはしゃがないようにするために監視してます。でも個人的には、光も闇も仲良くしてほしいです。
あ、そうだ。私はこの世界に来てからは心を読むことをしていません。心を読むより直接言葉で会話をする方が楽しいですから。あと、サードアイが原因で此方に放り出されたと私は考えています。だからなるべくサードアイを使うことは避けています。具体的に何が原因だったのか、家族か友達か、あるいは親しい者たちか赤の他人。覚り妖怪が心を手放すなんて、それだけ辛いことがあったのに忘れるということは、覚えていたくなかったからでしょうか。もしかしたら、心が危険にさらされたとか......心を吸収されるかもしれなかったとか? まさかそんなことは、ないでしょう。ぶっとびすぎか。
あまり長々と書いてもマンネリなので、この辺りで筆を置きます。いつか何処か、夢の中で会えるかもしれません。でも気を付けて、夢の世界に生きている私は、現実の私とはほぼ別の生き物だと思った方が良いです。考え方も行動規準も話し方さえも、まったくの別人だと思っておいてください。そもそも、別人なら気がつかないかもしれませんね。
いいですねこの解釈
こいしがサードアイを閉じた拍子に切り離された心が独立し、本来の夢の世界のこいしを蹴落として居座っているってことでしょうか